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書評『飛鳥むかしむかし 飛鳥誕生編』 古代の科学技術・水時計と斉明天皇の石造物群が同じ目線にある面白さ

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「なぜここに『日本国』が誕生したのか? 古代飛鳥の歴史と情景が色鮮やかによみがえる」
という帯にひかれて購入。

もともとは朝日新聞奈良版で連載されていた「飛鳥に関する寄稿」をまとめた本で、各種の展覧会で古代の歴史イラストを描かれている早川和子氏も作品も数十枚が寄せている。
色鮮やかな古代の情景が甦る――表紙からも、そんなイメージが伝わってくるであろう。

ところが、である。

「これまでの飛鳥に関する書籍は、飛鳥散策のガイドブックや遺跡の解説書が中心で、飛鳥の古代史の全体像を発掘成果に即して、わかりやすく叙述したものは多くありません」
「本書は、最新の発掘成果を盛り込みながら(略)古代国家の歩みと飛鳥・白鳳文化の実像に迫りました」

と、はじめに書かれた目的が、少なくとも前巻を読むかぎりシッカリとは伝わってこないのが残念だ。

目次を見ればその理由は一目瞭然。
230ページのうち冒頭のおよそ3分の1にあたる70ページが
「基礎講座編」「歴史おさらい編」「飛鳥以前編」「渡来人の活躍編」
となっていて、肝心の飛鳥時代についての最新の発掘成果を盛り込んだストーリーが出てこない。その間、早川氏の情緒あふれるイラストは孤軍奮闘しているだけに、まさに「飛鳥風」が吹き抜けるようだ。

不特定多数が読む新聞の連載としては、プロローグとして基礎知識を簡易&丁寧に紹介することには意味が大きいだろう。
しかし、この本は新書ですらなく選書であり、価格は2000円(税抜き1850円)となっている。古代史の書籍にこれだけのお金を支払う読者に、かような懇切丁寧なプロローグは果たして必要なのであろうか。

いや、むろん、多くの読者に訴求したいという気持ちは痛いほどわかる。
ただ、プロローグの基礎講座編と次の歴史おさらい編の筆者が外部の大学名誉教授であるからして、それを「要りません」とは言いにくかったのでは?なんてコトも思わず邪推してしまうほどに、同記事が長かったのである。

なんせ70ページであるからして、たとえその後の「飛鳥以前」や「渡来人の活躍」編が考古学の成果が反映されていても、本題の「飛鳥」を早く読みたい読者にとっては、章終わりにある1ページのコラムで十分だ。

繰り返すが、一つ一つの寄稿の内容に問題があるのではない。なかなか本題に進まない構成に、不親切さを感じてしまうのである。

「本書は、最新の発掘成果を盛り込みながら(略)古代国家の歩みと飛鳥・白鳳文化の実像に迫りました」
というのであれば、無情にも冒頭の70ページは7ページほどに圧縮、発掘成果によって明らかになる古代国家の歩みとして、早川氏のイラストが活きる「水時計」あたりから始めればよかったのではなかろうか。

「なぜ日本国という国家をつくるために、時から変えたのか」という導入にすれば、古代史の書籍に2000円を払う読者をぐっと引き込めたであろう。

水時計をつくる銅管の制作過程がイラストとともに説明された「飛鳥の暦と時刻編」(183ページから)は、まるで現代のものづくりの職人たちが最新の電気自動車の開発に挑むかのようで、非常に興味深かった。

現代人にとっても驚きを感じるであろう古代の科学技術・水時計。そして、現代人にはあまりにもオカルトじみている同時期の斉明女帝の石造物群。それらが当時の飛鳥人にとって同じ範疇の「文明開化の利器」としてとらえられていたことに対して、読み手がギャップを感じる構成になれば、ビジュアルを通じて「古代国家への一歩目」を読者と共感できたのではなかろうか。

後巻の「国づくり編」に期待したい。

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編集部・文

 




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