【艦これブログ】第109隻 艦これ聖地巡礼その五「大山祇神社」

 

さて、イベントも終わって一段落。せっかくの長期休みなのに、家に籠って艦こればかりというのもいかがなものかと思ったので、バイクで聖地巡礼に行ってみました。

これまでも、

などを訪ねてきましたが(それで思い出したけど、横須賀に行った話や比叡の碑を訪ねた話をしてませんね、今度いたしましょう)、今回は軽巡「天龍」の艦内神社を分霊したという「大山祇神社」に参ることにしましょう。

アンソロジーや二次創作ではすっかり威勢のよいヘタレキャラが板についてしまった「天龍」

アンソロジーや二次創作ではすっかり威勢のよいヘタレキャラが板についてしまった「天龍」

 

「天龍」は、八八艦隊計画の3,500トン級軽巡洋艦として建造された、天龍型のネームシップ。日本海軍では初となる近代型巡洋艦で、完成当初は英国の同クラスの嚮導艦や偵察巡洋艦を速力・戦闘力で凌ぐ、まさに世界水準を越えた軽巡洋艦でした。

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でも、いかんせん、船体が小さく、改良を加える余地がなかったため、太平洋戦争の頃にはすっかり旧式艦になっていましたが。本当はロンドン海軍軍縮条約で軽巡「利根」「筑摩」(書類上は軽巡でした)を建造する代わりに廃艦になる予定でしたが、条約失効にともない退役を免れ、太平洋戦争では妹の「龍田」と組んで南洋の島々の攻略を支援。その後は輸送任務に従事していました。

マダン(パプアニューギニア)上陸作戦支援中の1942年12月18日、米潜水艦「アルバコア」の雷撃を受け損傷。「涼風」が曳航を試みるも空しく、沈没しました。

 

日本総鎮守 伊予一之宮 大山祇神社

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大山祇神社は愛媛県の最北端、芸予諸島最大の島・大三島にあります。

かつては船でしか行くことができませんでしたが、現在では今治=尾道を結ぶ「しまなみ海道」で結ばれており、クルマやバイクでも割と気軽に行けます。この道は有料道路なのですけど、自転車も走れるので、最近はサイクリングに訪れる人も多いですね。

祀られているのは、大山積神(オオヤマツミ)。「ツ」は「~の」、「ミ」は「神さま」のことで、ずばり「大いなる山の神」さまです。日本神話では、イザナギ・イザナミの子として登場。また、天孫ニニギが美しい乙女コノハナサクヤヒメに恋をした話にも出てきます。

コノハナサクヤヒメは、オオヤマツミの娘でした。そこでニニギはオオヤマツミに

「娘さんをお嫁さんに下さい!」

と頼み込みます。すると、オオヤマツミは

「姉のイワナガヒメとセットやったらいいやで」

と快諾します。大喜びのニニギでしたが、イワナガヒメの容姿を見てがっかり。妹とは似ても似つかぬブスだったのです。そこでニニギはイワナガヒメを実家に返し、コノハナサクヤヒメとばかりイチャイチャしてしまいました。

もちとん、オオヤマツミのとっつぁんは激おこ。

「二人セットにしたのは、なにも割引販売じゃない。イワナガヒメを娶れば岩のように長い寿命を得、コノハナサクヤヒメと結婚すれば咲き誇る花のように繁栄するからじゃ。片方しか大事にしないってことは、寿命の方は要らんってこっちゃな!」

このため、天皇家(と人間)の寿命は神さまほど長くはなくなってしまったのでした。このあと、ニニギはコノハナサクヤヒメともひともんちゃく起こしてしまうのですが……それはまた別の機会に。

 

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この辺りは島が多く、伊予の国を興した越智氏、その流れを汲み、源平の合戦で活躍して伊予守護に任じられた河野氏、そしてそこからわかれた来島(くるしま)・能島(のじま)・因島(いんのしま)の「村上水軍」三氏によって、海上交通と戦勝の神として厚く敬われてきました。

ほんとは山の神さまなのに、どうしていつのまにか海の神さまに? というのはちょっと不思議なのですが、現地を訪れるとちょっとだけわかるかもしれません。芸予諸島というのは瀬戸内海に山々がスポッと沈んでいる感じで、海峡はまるで川のように激しく流れています。山の神さまが居座っても、そんなに違和感はないところなのデス。

源平合戦においては、平氏側が同じ海の神である宗像三女神を祀る厳島神社のご利益を願ったのに対し、源氏側(おもに義経に助太刀した河野氏ですが)は天皇家の寿命を縮めてしまうぐらいの力をもつ偉大な神オオヤマツミに勝利を誓いました。そのため、海戦においても本家の海の神さまをしのぐ力をもつとされたのでしょうね。朝廷から「日本総鎮守」の号を下賜された、海と山、つまり日本を守るためにいる神社です。

壇ノ浦の戦い。摂津国の渡辺水軍、伊予国の河野水軍、紀伊国の熊野水軍などが源氏に味方しました

壇ノ浦の戦い。摂津国の渡辺水軍、伊予国の河野水軍、紀伊国の熊野水軍などが源氏に味方しました

当然、日本海軍や今の海上自衛隊とも縁の深い神社で、かつては山本五十六、現在でも幹部による参拝があるようです。残念ながら先の大戦では神通力も届かず、アメリカには勝てませんでしたが……まぁ、敗戦は半分陸軍のせいなのデ(ぉぃ

 

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2010年造営に造営されたばかりの総門。とってもいい匂いがしそう……。

石碑には「延喜式内社 伊予国一宮」と誇らしげに書かれています。

『延喜式』とは平安時代中期に編纂された法律のようなもので、その一部に「どの神社にどれだけ朝廷が貢物を捧げるべきか」ということが書かれています。ここに載っているのを「式内社」といい、神社の格を示す一つの指標になっています。

一方、「一宮」とはその国で一番の格をもつ神社ということ。もともとは国司が参拝する順序だったとも言います。ちなみに以前訪れた戦艦「大和」所縁の「大和神社」は、大和国一之宮です。

 

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総門をくぐってしばらく歩くと、年老いた大樹が目に入ります。これは「乎千命(おちのみこと)御手植の楠」で、古代に伊予の国を築いた乎千命が植えたものとされています。だいぶおじいちゃんだけど、まだ元気。このほかにも、大山祇神社には国の天然記念物となっているクスノキが多く、枝葉を伸ばしています。

 

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その奥には神門と拝殿。拝殿は室町時代の応永34年に再建された国の重要文化財です。ここを右に折れると、おみくじや絵馬なんかをうってる社務所?があります。300円払うと御朱印がもらえますので、記念にいかがでしょう。ちなみに大山祇神社で売ってる御朱印帳はちょっとカッコイイです。

 

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そしてぜひ訪れてほしいのが、ここ、紫陽殿・国宝館(入館料1,000円ぐらい)。

源頼朝や義経が奉納した鎧、楠木正成を討った大森彦七の太刀、後村上天皇奉納の大和千手院派の大太刀……国宝・重文の武器・防具がゴロッゴロしています。もちろん、越智・河野両氏の奉納したものも。いずれも奉納するために新しく作られたものではなく、戦勝に感謝して奉納された使い古しのもののようで、なかには傷やハゲが生々しいものもありますが、それがまた迫力を醸し出しています。

 

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残念ながら館内は撮影禁止。泣く泣くパンフレット(1,800円×2冊)で我慢。無銘の者も多いですが、ぜひ刀剣女子にも訪れてほしいスポットです。

 

神事が行われる御棧敷殿(おさじきでん)と斎田

神事が行われる御棧敷殿(おさじきでん)と斎田

あと、見どころと言えば……「一人角力」の神事でしょうか。神さまと力比べをし、その偉大さを讃えることで、春に豊作を願い、秋に収穫を感謝するというもの。まだ見たことはないのですが、機会があれば目にしたいものです。古くから大山祇神社を守ってきた越智氏は、平安時代に越智常世をはじめとする相撲の名手を生んでいますが(一条天皇の時代、横綱にあたる最手を務める)、それと関係があるのかもしれませんね。

――さて。

ここまで言っておいてなんですが、「大山祇神社」には「天龍」と繋がりのあるものは見つけられませんでした。そもそも、艦内神社は艦名とゆかりのある神社が選ばれるのが常ですが、「天龍」の場合はなぜ「大山祇神社」を艦内神社として迎えることになったのか、由来がよくわかりません。できれば碑文の類があればいいのですが、まず生存者に恵まれ(天龍の場合は乗員327名中、戦死21名以上)、さらにその後、社会的成功に恵まれたひとがいなければ、慰霊事業の機運が高まるといったことはなかなか難しいでしょうしね。

ただ、オオヤマツミという神さまそのものは軍艦の守護神としてはピッタリ。「天龍」のイケイケな性格も、「オレのバックにはオオヤマツミがいるんだぜ!」みたいなノリなのでしょう(違う? もし何も関係なくても、提督ならば訪れる価値のある聖地の一つだと思います。

 

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文・ やなぎ ひでとし(33歳、独身♂)

1980年、大阪府大阪市で爆誕。中学・高校時代は伊賀、大学時代は京都で過ごしたため、あちこちの言葉が混じった怪しい関西弁を操る。
現在は東京・千葉を経て、愛媛・松山に在住。普段はWindowsソフトウェアを専門とするフリーライターと、舞鶴鎮守府サーバーの提督(大将)の二足わらじ。
中国史(とくに春秋戦国時代など)が割りと好物で、好きな人物は漢の光武帝、尊敬するのは管仲・晏嬰。コーエイの『三国志』シリーズではもっぱら馬騰で遊んでいる。日本の武将では武田信玄が好き。

 

 


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