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「ISが怖くて、研究ができるか!」ケンブリッジ大学の考古学者がネアンデルタール人の研究のため再び危険なイラク入り

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パリの同時多発テロを起こしたIS。先日、ISがパルミラ遺跡の考古学者を斬首!という拙稿を紹介したのを、賢明な武将ジャパンの読者の皆様はご記憶でしょう。本当に蛮行を繰り返しては、世界に衝撃を与えるどうしようもないクズどもですが、そんな脅しをものともせずに、敢然と研究の現場に戻られた学者さんがおられます。

ケンブリッジ大学で、ネアンデルタール人時代の研究をなさっているグレアム・ベイカー氏。この方面で最も貴重とされている、イラクのシャニダール洞窟は、ISとイラク軍とが激闘を重ねる、トルコ国境に近い地域。その上、クルド族の居住地域でもあるという、誠に地政学上ややこしい場なのです。


アーケロジー&クラシックスのHPより)

そして、ベイカー氏自身も、1度はISによって追放処分を食らった過去があるのですが、このほどチームを引き連れ、現地で再挑戦とあいなりました。

ほんとうに頭の下がる行為です。ネイチャーが報じています(2015年10月2日付)。

ネアンデルタール人が埋葬で花を供えた遺跡として有名

さて、このシャニダール洞窟は1953年から注目を集めていました。ネアンデルタール人が、埋葬の際に花を添えていた事が判明していたからです。

以下、ウィキペディア日本語版の「ムスティエ文化」から引用(写真も)。

一方でイラクのシャニダール遺跡 では『花の供えられた埋葬』で有名であるが、ここで発見されたムスティエ文化期の石器はウズベキスタンのテシク・タシュ遺跡 と文化的には同一なものである。シャニダールでは他にも洞穴の崩落で押しつぶされた人々が発見されているが、シャニダール4号の人物は岩を掘りぬいた墓の中に南枕で埋葬されていた。調査の結果、遺体は花のベッドの上に安置されて埋葬されていることが明らかになり、キク科、ユリ科、マオウ科、アオイ科の花粉が発見されている。

(中略)

イラク、クルディスタンのシャニダール洞窟は1953年にラルフ・ソレツキー によって発掘が開始された。この洞窟においては1953年6月22日に「シャニダールの子供」と呼ばれる幼児のネアンデルタール人が発見されている。また、洞窟を5.5メートル掘り進んだところでムスティエ文化期の石器が発見されており、最上部が4万5千年前、最下部が10万年前であることが放射性炭素年代測定法によって明らかにされている。

引用一旦終わり。という訳で、非常に貴重な遺跡なのですが、場所がヤバイ。

googlemap

グーグル・マップで検索すると、トルコとイラクとイランの国境付近にあり、しかも独立を叫ぶクルド族がいるわ、その上、ISが跋扈して悪行の限りを尽くすわと、非常に困った状況。再びウィキペディアから引用すると、次のような下りが。

なお、シャニダール洞窟では9つのネアンデルタール人が発見されているが、1991年の湾岸戦争以降、8つの所在が不明であり、シャニダール3号のみがアメリカで保管されている。

引用今度こそ終わり。そんな危険極まりない地に、足を踏み入れたのがベイカー氏の一行。勿論、案の定な展開が待っていました。2014年8月、ISが進軍してきて、一行に退去せよと恫喝してきたのです。洞窟から40キロ離れた州都のエルビルまでが占領されており、頼みの米軍の反撃もまだだった為、泣く泣く退去していました。

それが8月になって、クルディスタン古代遺物協会の支援を受け、再び現地入り。3週間に渡って調査したそうです。敬意を表したくなりますよね。

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「考古学はどんなに複雑な過去があっても人類の起源が共通であることを教える役割があるんだ!」

行動力は、祖国でも遺憾なく発揮されていました。テレグラフ紙の報道(2014年7月21日付)によると、「武力紛争の際の文化財の保護のための条約 」(俗称『1954 年ハーグ条約』)の批准を求める請願書を他の学者さんともどもサインしたうえで英国政府に提出していたからです。

この条約は、第2次世界大戦で数多くの文化財が破壊されたり、行方不明になったのを受けて作られました。ところが、2003年のイラク戦争ではフセイン政権の崩壊に伴い各地の博物館や遺跡が略奪の対象となってしまったのを受け、当時の英国政府が条約の批准をすると宣言していました。

ところが、10年経った今でも実行されておらず、そこにISの乱暴狼藉。ちなみにアメリカは2009年に批准しているのですから「早くしろよ」との声が上がり、遂には英国各地の学者さんが請願書の提出とあいなりました。イングリッシュ・ヘリテージ会長のローリー・マグナス卿やナショナル・トラスト会長のサイモン・ジェンキンス卿など、日本でも有名な団体の代表者の中に、グレアム氏も連なりました。なお、こちらの記事によると、肩書はケンブリッジ大学教授で、同大学のマクドナルド考古学研究所のディレクター職をなさっておられるそうです。

あの天下のケンブリッジ大学の肩書ですから、政府側もあだやおろそかには出来ませんよね。一方で、ISのメンバーは英国国内にも潜んでいましょうから、こうした請願に署名したのを報じられるのは、相手に知られている危険性が高い。そんな中での現地入りなのですから、本当に立派なものです。

なお、前出のネイチャーによると、現地入りは割とスムーズに運んだそうで、エルビルから数時間で到着できたそうです。ただ、洞窟の西部と南西部の平原には今なおISが存在していたというのですから、捕まると今度こそヤバかったかと思われます。この辺はグレアム氏も意識しており、少人数編成にして見つかりづらくする工夫をしていました。で、この少人数チームでの現地入りが成功したので、8月になって規模を拡大したのだそうです。

...ただ、気になるのが来年のイースターに再度現地入りする意向だとサイト上で公言している事。大丈夫なのかなぁ。

気になると言えば、現地の状況。グレアム氏によると、クルド協会側が移籍の重要性を理解しており、今回のような事態になる前は現地への道路などのインフラ整備に当っていたそうです。当然、今回も警護を厳重にしていたようですね。

「社会的な意義もあるのです。考古学といえば、得てして道楽研究と思われがちですけど、そんな事は無いのです。世界中では似た者同士や、そうでない者同士が殺し合いをしていますよね。でも、我々の起源は共通なんですよ。複雑な過去があっても、不安感を抱かずに済む市民社会を作り上げ、それに慣れてもらう。考古学には、そんな大きな役割があるんです」

肝が座っておられる方ですね。素晴らしい! でも、本当に安全には気をつけてください。

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