何を生娘みたいなことを……ドーピングなんてプロ・アマ問わず50年近くの黒歴史がありまっせ

 

予想されていたとは言え、ロシアのドーピング問題は国ぐるみだったのですね。

リオ五輪を控え、IOCやWADAとの三国志状態のバトルから目が離せませんが、そんな折りも折り、アメリカでは「昨日今日の話じゃあ無いでしょ。何を生娘みたいに騒いでるの」と皮肉交じりに指摘しているサイトがあります。

曰く。「旧ソ連や、今は亡き東ドイツでも国ぐるみでやっていたし、オリンピック以外でのプロスポーツでも常態化していたでしょ」と。

確かにそうですね。と言う訳で、そんなトホホな歴史を紹介してみましょう。シーカーというサイトの記事です(2016年7月20日付け)。

記事では、今回のドーピングを巡る情勢を解説していますが、今更ながらなので割愛。と言うか、入稿してからのタイムラグで、どう転ぶか分からないしね(汗)。

そうした中で、上記のような「何を今更」と冷笑しているのが、作家のマーク・ジョンソン氏。新著「美味しいスープに唾をペッ」(SPITTING IN THE SOUP=意訳してます。写真はアマゾンのサイトより引用させて頂きました)の中で、御本人が調べただけでも50年近い黒歴史があるぞと指摘しています。

SPITTING IN THE SOUP

それにしても、何とも汚いタイトルですな。副題は「スポーツに於ける、ドーピングの汚いゲームの内幕」(INSIDE THE DIRTY GAME OF DOPING IN SPORTS)という、ダメ押し的なものです。ジョンソン氏は、ソ連や東ドイツだけでなく、ランス・アームストロングを忘れたのかよと指摘しています。また、フレンチ・フェスティナ事件だってあったでしょ、とも。

それぞれ、ウィキペディア日本語版から引用しますね。まずはアームストロングから。

癌に脳まで冒されながらも奇跡的に復活し、その後1999年から2005年にかけてツール・ド・フランスを7連覇した選手として世界的に著名であったが、この7連覇はドーピング問題により後に取り消された。(中略)
2012年8月24日、全米反ドーピング機関(英語版)(USADA)により、ツール・ド・フランスの7連覇を含む1998年8月1日以降の全タイトルの剥奪とトライアスロンをも含む自転車競技からの永久追放の処分を科された。10月10日にはUSADAがドーピングの調査報告書を公表した。これを受け、国際自転車競技連合 (UCI) は10月22日、スポーツ仲裁裁判所 (CAS) には上訴せず、USADAの裁定を受け入れる事を発表[2]、ツール・ド・フランスでの7年連続総合優勝(1999年から2005年)を含む1998年8月1日以降の全てのタイトルの剥奪が確定した。2013年1月14日、テレビ番組の収録において自らドーピングを認めた[3][4][5]。

ランス・アームストロング/wikipediaより引用

お次は、フレンチ・フェスティナ事件。リシャール・ヴィランクが絡んでいましたね。

ツール・ド・フランスにおいて、同レース史上最多の7度の山岳賞を獲得した一方で、後述するドーピングスキャンダルの影響もあり、その評価が分かれる選手でもある。ただフランス国内では極めて高い知名度を持っており、引退レースにはF1で4度のチャンピオンに輝いたアラン・プロストら、多くの著名人が駆けつけた。(中略)
だが1998年のツールにおいて、ヴィランクにとって、悪夢といえる事態に遭遇することになる。第7ステージにおいて発生した、いわゆる「フェスティナ事件」と言われるドーピングスキャンダルにより、ヴィランクはもとよりフェスティナチームそのものが、ツールから撤退せざるを得ない状況に追い込まれてしまった。そんな中、ヴィランクは一貫して潔白を主張し続けた。そして他のチームメイトが半年間等の出場停止処分を受ける中、ヴィランクだけはお咎めなしとなった。
1999年、イタリアのポルティに移籍。この年のツールでは、区間優勝こそなかったものの、5度目の山岳賞を獲得。総合でも8位に入った。
その後、2000年10月、この事件の裁判の中で正式にドーピングを認めた。9ヶ月間の出場停止処分を受け、2001年のツールには出場していない。

リシャール・ヴィランク/wikipediaより引用

あったあった思い出しましたよって感じ。で、ジョンソン氏はバルコ(BALCO)という企業名を持ちだしています。カリフォルニアに本社があり、1990年代から2000年初期にかけて、スプリンターやハンマー投げ選手、および大リーガーにドーピング薬を供与していたと指摘しています。

ただ、今回のロシアの場合にはFSB(ロシア連邦保安庁)までが関与していたのが目新しい点だろうと、ジョンソン氏は指摘しています。「世界反ドーピング機構として、国ぐるみでのドーピング活動を把握したのは初めてだ。仮に参加した1つの国を丸ままオリンピックから追放するとなると、ドーピング活動は今以上に巧妙になるだろう。現状でも腐った林檎(英語の言い回しで、問題児を意味します)は少ないながら存在しているんだし」

…腐った林檎で思い出したけど、こんな人もおりましたな。

アレクサンドル・ヴァリテラヴィチ・リトヴィネンコ(リトビネンコ、ロシア語: Александр Вальтерович Литвиненко、ラテン文字転写の例:Alexander Valterovich Litvinenko、1962年8月30日 – 2006年11月23日)は、ソ連国家保安委員会(KGB)、ロシア連邦保安庁(FSB) の職員だったロシアの人物。当時の階級は中佐。後にイギリスに亡命しロシアに対する反体制活動家、ライターとなった。2006年、何者かに毒殺された。死の直前にイスラム教に改宗している[1]。

あったあった。死亡日時は2006年の11月23日なのですが、その後の展開が更に怖かったりします。

11月24日のBBC放送は、彼の体内から、ウランの100億倍の比放射能を有する放射性物質のポロニウム210が大量に検出されたと報じた。ポロニウム210が体内に取り込まれた場合、アルファー線を被曝することになる。大量のポロニウム210を人工的に作るには、原子力施設など大がかりな設備が必要とされる。英外務省は同日、駐英ロシア大使のフェドトフを通じ、事件関連情報の提供をロシア政府に要求した。
25日付の英紙タイムズは、英国内務省の防諜機関で国内の治安を担当する情報局保安部 (MI5/SS) と英国外務省の対外諜報機関:情報局秘密情報部 (MI6/SIS) も捜査に加わったと報道。同紙は、「動機、手段、機会の全てがFSBの関与を物語っている」と指摘した。捜査当局は同日、リトビネンコの自宅と彼が事件当日に紅茶を飲んだといわれるロンドン市内のホテルと寿司屋を捜索し、この3カ所で放射性物質の痕跡を確認。英内務省と健康保護庁は緊急ホットラインを設け、寿司屋やホテルのバーを利用した市民に放射線を探知するための尿検査を受けるよう呼びかけた。中には日本人観光客らも被害を受けた可能性があるとも報じられた。

腐った林檎で命を落としたのではなく、ポロニウムでの暗殺。しかもFSBが関与って・・・。WADAの職員の皆さん、ご家族が受け取るであろう生命保険の受取額はチェックなさっておかれた方が(脂汗)。

ちなみに、今回の発覚は2010年にロシアのトラック競技の選手がWADAの関係者と接触していたのが発端だったそうです。やがてドイツのテレビ局が嗅ぎつけて2015年にドキュメンタリー報道し、後は賢明なる武将ジャパンの読者の皆様もご存知の通りの展開と相成りました。

こうした方々は、紅茶を飲む際はガイガーカウンターでチェックなさった方がよろしいかと。あ、飛行機で出される飲み物にも。ウィキペディア日本語版より更なる引用をさせて下さい。

アンナ・ステパノーヴナ・ポリトコフスカヤ(ロシア語: Анна Степановна Политковская、ラテン文字表記の例:Anna Stepanovna Politkovskaya、1958年8月30日 – 2006年10月7日)はロシア人女性のジャーナリスト。ノーヴァヤ・ガゼータ紙評論員。第二次チェチェン紛争やウラジーミル・プーチンに反対し、批判していたことで知られている[1][2]。
ポリトコフスカヤはチェチェン共和国での取材を行っていた。彼女は『Putin’s Russia』と同様にチェチェンに関する書籍を何冊か著述し、国際的に名声ある賞を数多く受賞した。
2006年、自宅アパートのエレベーター内で射殺された。
(中略)
ポリトコフスカヤは、ロシア連邦大統領(当時)プーチンへの批判と、彼の第二次チェチェン紛争の遂行とを包括した『Putin’s Russia: Life in a Failing Democracy』を上梓した。彼女はこの本の中で、国内での自由を抑圧し、ソビエト時代の独裁権力を打ち立てた、ロシアの秘密情報機関であるロシア連邦保安庁を告発している。

アンナ・ポリトコフスカヤ/wikipediaより引用

そして、こう言う下りも。

ポリトコフスカヤは、2002年10月23日に発生したモスクワ劇場占拠事件や、2004年9月1日に発生したベスラン学校占拠事件を含めて、人質の解放の交渉を行ったことがある[16][17]。モスクワ劇場占拠事件では、チェチェン武装勢力からロシア当局との仲介を依頼され、人質釈放の交渉に当たった。事件後も犠牲者の家族に対する支援に関与した。
ベスラン学校占拠事件が発生すると、ポリトコフスカヤはチェチェン独立派に対する取材のため、ベスランに向かうが、航空機内で意識を失った。彼女は機内で飲んだ茶に毒を盛られ、そのために意識を失ったとして、これをロシア当局による毒殺未遂と主張している(ただし、彼女の証言を裏付ける証拠は現在のところ存在しない)。ロシア当局はこれを認めておらず、ロシアのジャーナリスト保護委員会も、病気の原因は特定されていないとしている。ポリトコフスカヤは一時重体に陥るが、容態を回復させ、2004年9月13日にはベスラン学校占拠事件についての記事を執筆している。

この人も、毒を盛られていたのですよ。飛行機では飲み物に気をつけましょうよという話の深刻さがお分かりかと。

さて、脱線が過ぎました。ジョンソン氏は1984年のロサンゼルス・オリンピックに注目しています。当時のソ連と東ドイツなどの東側ブロックの独壇場だった陸上競技にアメリカが挑戦状を叩きつけたオリンピック。陰では大勢の選手がドーピングに手を染めたり、巻き込まれていきました。

また、前年にベネズエラで開催されたパン・アメリカン競技大会ではステロイド検出に新しい手段を講じたところ、15人の選手から陽性反応が出ていました。それだけでもスキャンダラスなのですが、奇妙な事にアメリカから出場する筈だった複数の陸上選手が、怪我や病気を理由にドタキャンしていたそうです。「発覚を恐れての行為だと思われる」とジョンソン氏は推理しています。

翌年のオリンピックでは、酸素を体に運ぶ赤血球の機能向上を図る血液ドーピングという手法が露見。自転車ロードレースで優勝したアレクシー・グレウォールが後になって、手口として悪用していた事を認めています。

アレクシー・グレウォール/サイクリング・ニュースより引用

ちなみに、当時は新しい手口だったので違法規定がそもそも存在せず、医学的にも危険性は無かったのですが、国際自転車競技界から倫理的に問題ありとのジャッジ。翌年から本人は出場禁止処分を受けていました。厳しい姿勢で臨んでいた訳です。なお、この手口は上記のアームストロングも悪用していたと、後になって捜査したFBIに対し、複数の同僚が証言していました。要するに、アメリカもソ連も、その後継国家であるロシアも皆やっていたと。

となると、気になるのが悪事の大御所である中国共産党サンが統治する某国。英国テレグラフ紙の報道によると、1990年代には国ぐるみでやっていたと、当時の陸上競技選手が認めていたそうです。

サイトを確認すると、出てきた英語名がWang Junxia。で、これをグーグル検索したら、あの王軍霞の名前が! 当時のメディアを賑わせた、あの馬軍団の主力だった陸上選手ではないですか。

裏書きする公式文書などは存在しないものの、だからといって某国がやっていないとはならないと、ペンシルバニア州立大学で健康政策を専門とし、ドーピングの状況を研究なさってきたチャールズ・ヤセリス教授は指摘しています。

「閉鎖国家であり、処方薬業界を牛耳っている。東ドイツや、プーチン政権下のロシアと何ら変わらない」と同教授。教授もジョンソン氏も、今回のロシアの発覚後も、イタチごっこは延々と続くだろうとしています。余りに巨額の金が動くわ、国家の威信が絡むわ、そんなこんなで選手の感じるプレッシャーが半端なレベルでは無くなっているkらだそうです。

ジョンソン氏は、多くのアメリカ人が現代生活の中で薬に頼っているのだから、選手が生活維持の為に薬を使っていたからと言って驚いてどうすると皮肉っています。

余りに汚い舞台裏を見過ぎた末の諦観でしょうか? それとも、深入りすると身に危険が迫ると感じているのでしょうか?? なお、ソウル五輪陸上競技でカール・ルイスを破って金メダルを獲得しながら、後にドーピングが発覚して剥奪された、あのベン・ジョンソンとは縁戚関係には無い方のようです(余りに材料がテンコ盛り過ぎて、こっちの脳味噌がどうにかなりそう)。

と言う訳で、告発なさった皆さんも取材した皆さんも、そしてこの原稿を収めるワタクシメも、受け取った武将ジャパン編集部の皆さんも、ホンマFSBや某国には気をつけましょう。もっとも、ワタクシメの場合、暗殺以前に生活苦による餓死の可能性もありますが。

てな訳で、編集部の皆様、この原稿は長いし、少し多めの稿料プリーズ(自爆)。

南如水・記

 


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