徳川家康の娘・亀姫は★2つ 母は殺され兄は自害に追い込まれた激情の娘は嫉妬に狂う毒姫だった

 

徳川家康の正妻は築山殿(つきやまどの)です。
征夷大将軍の妻ですから、それはもうご立派で、さぞかし将軍の母として権勢を振る舞われたのでしょう……と考える方もおられるかもしれませんが、実は彼女、非常に不名誉な経歴を戦国史に残しております。
本来なら嫡男として徳川家(松平家)を継ぐハズだった息子・松平信康が自害へ追い込まれ、築山殿自身も1579年に殺害されているのです。
その原因は諸説ありまして。織田信長の娘であり信康の妻でもあった徳姫が父の信長へ讒言したとか、武田に内通したとか、あるいは徳川家(松平家)の内紛だったとか(こちらの説が有力)、ともかく彼女の周囲はトラブルがちでありました。

今回の主役は、築山殿の娘・亀姫です。
築山殿本人が題材となってもいい場面でありますが、この松平信康事件は戦国ファンにとってはかなり知られたものですので、少し変化球ということで妹に注目しましたのでご承知ください。
では本題へ参りましょう♪

 

夫は長篠の戦いで大殊勲の奥平信昌

徳川家康が父、自害した兄・信康のもとに生まれた亀姫(1560-1625年)は、三河北部を勢力下に置きたい徳川家の思惑によって、新城城(しんしろじょう)主の奥平信昌へと嫁ぎました。
この奥平信昌さん、元は長篠城主で、配下の鳥居強右衛門が援軍を呼びに行って壮絶な死を遂げ、長篠の戦いで勝利の遠因をもたらせた武将としても知られております。織田家にとっても徳川家にとっても、かなりの功労者。
しかし、もらった妻・亀姫は「亀」というより「毒」でした。

・なんせ嫉妬深くて、夫には側室を置かせない!

これはもう気の毒というほかありません。相手が家康の長女ですから逆らうことは能わず、しかも亀姫は4男1女を産んで後継問題もクリアしているのです。側室を求める理由などありません。
しかも、です。この毒姫さん

・熾烈な性格で侍女を12人も手打ちにする

夫に色目でも使った――と判断したのでしょうか。
どうやらキツい性格というのは母譲りだったもようで、築山殿自身にも『自分の奥女中が家康の子を身ごもった際、裸にして木に縛り付けた』なんて話があるほどです。この話は後世の創作ですが、母にしてこのように言われる有様ですから、娘にも引き継がれた可能性は否めませんよね。

 

後釜にやってきたのは憎き本多正純だった!

さて夫の信昌ですが、中々有能な人物かつ家康の娘婿でしたので、関ヶ原後には美濃加納藩10万石の領主となります。
長男・家昌も武勇に優れた人物で、父とは別に下野宇都宮10万石を獲得。妻の亀姫から見れば、夫も息子も出世して万々歳の場面ですよね。
しかし、不幸にして長男は1614年、夫は1615年に亡くなってしまいます。

夫亡き後の亀姫は、7歳で下野宇都宮藩を継いだ孫・忠昌の元に身を寄せます。しかし、まだ幼い忠昌には関東の要所・宇都宮が重荷であろうと下総古賀11万石へ転封の命が下ります。
ここで亀姫にとって大問題だったのが、代わりにやってきた人物でした。
後任の名は本多正純。父・正信と共に家康に寵愛されていた人物です。大河ドラマ・真田丸でも相談役として側にいつも控えておりますので、ご存知の方も多いかもしれませんね。

しかしなぜ、亀姫にとって正純が大問題だったのか。
それは亀姫の娘の嫁ぎ先である大久保家を陰謀で改易させた憎き相手だったからです。かような経緯があったのに、なぜ幕府もそんな危険な配置を進めたんですかね。それも正純は宇都宮10万石から15万石への加増となったため、とにかく亀姫さんの心中はとても穏やかではいられません。
そこで引っ越しの際に

・障子、襖、畳を剥がし、庭木まで掘り起こし一切合切持って行こうとした

なんだかせこい復讐ですが、このときのルールで私物以外は持ってはなりませんでした。実際、本多家から文句を言われて、返す羽目にもなっております。情けくてチョット可愛いかもw

 

「将軍暗殺」という、しょーもないチクリを……

ともかく正純憎しの思いは募るばかり――。
そんな彼女にチャンスが到来したのは1622年のことでした。家康の七回忌に日光東照宮を参拝した秀忠が宇都宮城に1泊する予定があったのです。
そこで亀姫がとった行動は……。

・『正純が寝室につり天井を仕掛けて将軍暗殺を企んでますぜぃ』と事実無根のチクリ

いや、もうドコまで子供なんだ! と呆れるばかりですが、その後、正純に移封命令がくだされたときにこれを拒んだため、なんと改易に……更には流罪でドン!
正純が失脚すると、孫の忠昌が見事、宇都宮城主に返り咲き、亀姫の念願は成就したのでありました。
彼女のチカラがドコまで働いたかは不明であります。
兎にも角にも女の執念は怖いですねぇ。

亀姫日本史悪ミシュラン

悪人度  ★★☆☆☆
影響力(権力)★★★☆☆
嫉妬度 ★★★★★

イラスト・文/馬渕まり(忍者とメガネをこよなく愛する歴女医)
本人のamebloはコチラ♪

 

【編集部より】

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【参考】

亀姫_(徳川家康長女)/wikipedia 長勝院/wikipedia 奥平家昌/wikipedia 奥平信昌/wikipedia 奥平信昌/新城市(しんしろし) 国史大辞典

 








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コメント

    • 馬渕まり
    • 2017年 1月 04日

    @匿名
    すみませぬ、名前を入れ忘れましたが馬渕です。
    本年もよろしくお願いいたします。

    • 匿名
    • 2017年 1月 04日

    @とくめい
    コメントありがとうございますm(_ _)m
    天皇を殴るとか凄すぎますΣ(゚д゚lll)
    調べて書けそうならチャレンジしてみたいです!昨日、書写山円教寺に行って平安づいてますんで(笑

    • とくめい
    • 2016年 12月 31日

    悪女のネタ募集…という事で、イロイロ考えてみたのですが、世界史と違って日本史の場合、インパクトの強い悪女はなかなか見つかりませんね。
    良く考えれば「悪女が少なかった」悪く考えれば「外国と違って表に出ようとしない(狡猾とも言える)『消極的悪女』が多かった」「そもそも女性が表舞台に立たなかったから目立たなかった」「後妻打ち・仇討ちなどの『復讐上等制度』があったため「歴史をさわがせるような悪女」にならずにすんだ」のでしょうか…?
    ただ「困った女」で「それなのにインパクトがあった人」なら、一人見つけました。
    紫式部の友人・小少将の君です。
    この方、平安時代のモンスターペアレントとも言うべき人で(内裏で悪戯をし、処罰された)息子可愛さから、内裏でヒステリーを起こし、暴れて貴族(男性)数名と三条天皇を殴る…なんて障害事件を起こしています。
    にも関わらず「もののけにとりつかれていたから。」という理由でお咎めなし。
    世間でイメージされる悪女とは違うと思いつつ「時代が時代なら『悪女なんてカワイイもんじゃない存在』になっていそうだなぁ。」という思いから、ここに紹介させていただきます。
    長々と失礼しました。

    • 馬渕まり
    • 2016年 11月 24日

    @とくめい
    コメントありがとうございます。確かに気の強い女性がワラワラおりますね。信康の娘、熊姫も千姫の再婚時にゴリ押ししておりますし血筋ですかね?

    悪ミシュラン、ネタでヒーヒーなのでぜひ悪女のご推薦をお願いいたしますm(_ _)m

    • とくめい
    • 2016年 11月 22日

    家康の回りは勝気な女性が多いですね。
    本多忠勝も、回りの女性達を見て「女は(生理で血を見慣れているせいか)修羅場に強い。」なんてコメントを残しているし…。
    徳川がやたらと女性を押さえつけたのは、そうした強い女性が(キレた時、何をするかわからないため)怖かったからかな?と疑いたくなってきます。

    • 馬渕まり
    • 2016年 11月 21日

    @匿名
    コメントありがとうございます。秀忠さん、地味に厳しいですよね!
    亀姫のチクリがそこまで緻密な計算に基づいていたかは分かりませんが、だとしたら相当な御仁ですね。

    • 匿名
    • 2016年 11月 20日

    亀姫こぇー…と言うよりも、正純も大久保家も容赦なくとり潰してしまう秀忠こぇー!!と思いました。
    しかし、秀忠のこうした指針を知っていて、しっかりと復讐に利用したのならば、亀姫はとんでもない策士ですね。

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