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ならば言おう!こんな大河ドラマを見たい!秀作歴史ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』に学ぶ

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「おい武者震之介!てめえいい加減にしろ!大河をボコボコに批判しやがって、てめえの理想とするドラマって何だよ?」といい加減つっこまれそうなので、そろそろ挙げておこうと思います。

その答えは、『ゲーム・オブ・スローンズ』(以下GoT)です(参考記事 http://eiga.com/news/20141212/11/)。ドラゴンや魔法も出てくる架空の物語ではありますが、王侯貴族や甲冑を身につけた騎士による時代劇を作ろうとしても、自国を舞台にしてはできないアメリカでは、大河ドラマのような位置になる作品と呼んでもそう外れてはいないでしょう。ちなみに舞台設定は薔薇戦争(15世紀)のイギリスがだいたいのモデルとされています。

今回私は、『GoT』の魅力についてレビューしようとは思えません。既に多くのレビューがあるので、今更ここで書く必要を感じないからです。気になる方は検索してみてください。レンタルでソフトを借りるのももちろんおすすめです。大河ドラマが好きであればまず失望はしないと思います。ここでは『GoT』の魅力をあげ、その要素を大河ドラマで実現可能か考えていきます。

 その1 莫大な予算による映画さながらのクオリティ

×:この作品と大河を比べますと、まず目に付くのがいかに金をかけているかという点です。諸説ありますが、一話あたり6億円とか、シーズン全体で80億円とのこと。シーズンごとに予算が増えておりますので、これよりもっと増えている可能性があります。これだけの予算を大河に使うことは現実的とは思えません。ハリウッドスターを出す、海外ロケを行うといった要素ももちろん×で。

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 その2 過激なセックス&バイオレンス描写

△:アメリカの放送局は、性的・残虐な描写には厳しい反面、この番組を制作しているHBOのような有料チャンネルでは制限がほとんどありません。そのため、思い切って過激な描写を売りにすることが多いようです。本作のみならず、海外歴史ドラマは当時の残虐さの再現も重要な要素ですので、拷問や処刑といったシーンは細やかなディテールまで再現されます。

本作でも斬首、拷問、去勢、死体損壊、幼児や妊婦の殺害、さらし首等、残虐描写のオンパレードといった趣があります。性描写もかなり過激です。本作は「アメリカドラマ史上初の子役が人を殺す作品」でもあります。

大河でそんな表現を売りに出来るとは思えないかもしれません。確かに私もあそこまで過激な描写ができるとは思いませんが、今の大河の及び腰には疑問を覚えています。

「家族みんなで見るのだから過激なものは駄目」

「安心して見られる番組がいい」

「残酷な戦の場面はつらいから見たくない」

と、大河ドラマは家族向け前提で語られるわけですが、そもそも戦国と幕末がメイン舞台のドラマでそれっておかしいのではないでしょうか。

生首や暗殺を見て泣くような子供には『妖怪ウォッチ』でも見せていればいいわけで、泣く子は日曜夜八時には布団に入れておけよ、と突っ込みたくなるのですよね。こうした意見は無視すればするほど、時代劇としては確かなものになると思います。いつまでも過激な場面を避けてばかりでは、ぬるま湯ドラマになるばかりでは?

花燃ゆもがんばって!(霜月けい・絵)

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 その3 原作がベストセラー 脚本はチームで

△: 『GoT』の原作は、全世界で大ヒットしているG・R・R・マーティンの『氷と炎の歌』シリーズです(日本語版早川書房刊)。

大河の脚本の質が下がっているように感じます。これにはあきらかに準備期間の不足があると思います(例えば『アナと雪の女王』で有名なディズニーの場合、脚本だけで2−3年かけるそうです。⇨http://eiga.com/news/20141216/7/)。

この準備期間の短さについては昔からそうだったわけですが、今と状況が違うのは、かつては原作がある場合が多かったということです。大河の場合、史料を調べる時間もかかるのですから、原作があれば準備期間不足は補えると思います。適当な原作がなかなか見当たらない、あっても断られるといった事情もあるのでしょうが、現在のようにあまり有名でない人物が主役原作なしでは、準備期間の短さは相当つらいはず。

また、海外ドラマでは脚本家がチーム編成されていることが多く、『GoT』もそうです。
大河は一年という長丁場を一人で書いているわけで、そりゃクオリティも下がるのではないかと心配になります。脚本協力がつく年も増えていますし、途中からそんなことをするくらいなら最初からチームにする方がよいのでは?『花燃ゆ』は二人体制ですので、どうなるかその点でも注目しています。

 その4 蝋燭を思わせる暗く趣のある照明、適度な汚れ方

○:海外の方が日本のドラマを見ると、のっぺりと当たる照明が安っぽく見えることがあるのだそうです。『GoT』では、蝋燭で照らされたような陰翳に富み、幻想的な照明効果を用いており、あの暗さが中世的な雰囲気や魅力を増していると言えます。中世的と言えば、兵士等の薄汚れた服装にもリアリティを感じます。

こうしたことを書きますと、2012年の『平清盛』で画面が暗い、汚いと叩かれた悪夢を繰り返すのかと思う方もいるとは思います。

個人的には『平清盛』の方向性が間違っていたとは思いません。ハイビジョン化、テレビの大型化で画面がクリアになっていく以上、それにあわせて画質を変えることは必ず必要になるわけで、批判されたから元通りにするのでは結局どこかで壁に当たるはずです。

そうは言っても、『平清盛』が正しかったとも私は思えません。湿潤な気候の日本でどの季節でも西部劇のように砂埃が舞う、朝廷に出仕する時でも顔に泥をわざとらしくつけるといった、非現実的でリアリティを欠いた演出であったことはまぎれもない失敗です。

顔や服装の汚しに関しては、逃走中や戦争中で服装にかまけていられない人物であれば汚れていても問題はありません。そういった失敗の要素を分析した上で照明を調節し、汚しを入れるのであれば、むしろ大河の見栄えはぐっとリアリティと上質感があふれるものとなるでしょう。

 その5 登場人物が封建的価値観に沿って生き、行動する

◎:『GoT』の世界は弱肉強食、多数の王侯貴族が謀略を張り巡らせて生きています。適齢期の子供がいれば政略結婚の条件を考え始め、親が子の反論を遮って、平然と駒扱いします。将来禍根となるならば子供や妊婦も殺しますし、暗殺や裏切りも辞さない世界で戦います。

いや、これ、そもそも何で今の大河はできないの?という話ですね。例えば現代の価値観からすると、

「キレやすい社長の暴力沙汰のせいで会社が潰れて職にあぶれた男たちが、その社長と揉めた別会社の社長邸を襲撃し、寝ていた社長とボディガード数人を殺害した」

という割とどうしようもない事件でも、江戸時代の価値観であれば『忠臣蔵』という感動の話になるわけです。そういう価値観が現代とは異なるがゆえに成立する話を、「現代の目で見ると野蛮だから……」と余計な気を遣ってねじ曲げているのが今の大河です。寿司が食べたくて寿司屋に入った客に「生魚はおなかを壊すかもしれませんからね」とあぶった魚やカッパ巻きだけを勧めてくるくらい間の抜けた対応だということに、いい加減気づいてください。

ドラマとはプロットが命です。大河では現代が舞台にはなりません。現代にあわせた価値観をねじ曲げることでプロットをも駄目になります。昔の価値観でドラマを作っては現代の視聴者は見ないなんて戯言は、『GoT』の視聴者数を確認したら今すぐ投げ捨ててください!

 その6 一点豪華主義の合戦回

○:『GoT』は予算が潤沢です。となればさぞや豪華な合戦シーンが多いのだろうと思うと、実は原作からかなりカットされています。シーズン1では合戦らしい合戦はなく、兵士が集まったら次の場面転換で終わっていたほどです(とはいえ、戦争そのものがなかったとするカット方式ではなく説明はあり、またその戦争において残虐な行為があったことには触れられています)。

ただし予算が増大したシーズン2からは映画レベルの合戦シーンが入るようになりました。シーズン2の「ブラックウォーター河の戦い」は、船団を火攻めで倒す戦いであるためすさまじい迫力で、赤壁の戦いを思わせるほどでした。演出も凝っていて、他の回では場面変換が入るのに、合戦のみの回はひたすらずっと戦闘のみを撮り、緊迫感を増しています。

大河で合戦シーンをカットするとブーイングをするファンも、何もすべての合戦を大迫力で見せて欲しいわけではないと思います。一年のうち一度でも、大迫力で45分間びっしり使う回があれば満足度は高くなると思います。他の合戦にせよ、存在そのものを抹消したり、残虐行為がなかったと無理矢理ねじ曲げたりせずに、そういうことはあったと作中で説明があれば納得もできるのではないでしょうか。

その7 確かな配役と演技力

○:『GoT』には経験豊かなベテラン俳優から、オーディションで選ばれ本作でブレイクした若手俳優、あどけなさの残る子役まで、様々なキャストが揃っています。彼らに共通するのは、どんな困難なシーンも体当たりで挑むガッツと確かな演技力を持ち合わせています。作品にあわせて適材適所を選び演技させているということは、良作を目指すのであればごくごく当然のことですが、その基礎ができているからこそ本作は高い完成度なのだと感じさせます。

一方で大河は(大河だけではなく日本のドラマ界全体の問題かもしれませんが)、適材適所とは役柄やストーリーに対してではなく、話題性や事務所の都合で決められているのではないかと思うことがしばしばあります。

三傑周辺の配役は毎回無茶苦茶で、三人の中で最年長の信長に若々しい俳優を起用するのに対し、最年少の家康にはどっしりとしたベテランを配役することが通例となっています。

没年を考慮すると仕方ないのかもしれませんが、『軍師官兵衛』のような家康と主人公の年齢差があまりない場合ですと、不自然な感じがするのも確かです。

ドラマの華である姫君や若武者役に若手をキャストすること自体は必要かもしれませんが、所作がちゃんとしていないのに日本舞踊をさせるような無茶ぶりは見ていて痛々しいものがあります。話題性だけで配役を決めるのではなく、この役目にこの人がふさわしいのか考えた上で、決めて欲しいと思います。

以上です。

書いてきていつも『軍師官兵衛』レビューで書いてきたことの総括のようになってしまったなあ、と気づきました。そして改めて『GoT』はスケール感や予算がとかく話題になりがちだけれども、時代劇としての基礎体力の作り方がちがうとも感じました。あんなに予算がかかった大作には及ぶわけがないとあきらめる前に、大河にはその点を見直して欲しいと切実に願います!

それと今更ですがこのお正月にでも是非、『GoT』をご覧ください。これから大河は見なくていいやと思うようになるかもしれませんが、本当にオススメですよ。

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