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花燃ゆレビュー 大河ドラマ他

「花燃ゆ」感想マンガ第2話「波乱の恋文」過去の大河の悪い部分を集めた悪魔合体なのか

更新日:

こんばんは、武者震之助です。今年の大河は視聴率関連で早くも一波乱ありそうですが。このレビューは視聴率については敢えて触れません。視聴率だけで判断するならば『天地人』が近年を代表する名作になるわけですし、低視聴率報道と無駄なテコ入れによるクオリティ低下というコンボにはうんざりしているからです。

とはいえ、敢えて苦言を呈します。第一回で数字が伸びなかった理由には、あのセンスが失笑ものの広報が一因であったと思うのです。「幕末男子の育て方。」、もゆるん、冗談みたいなポスターで視聴率が取れると思った方は、猛省していただきたいと思います。

いやいや、そんなコピーがあるわけは……あった!

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公式で連載しているもゆるん4コマ12話ではなんと本編にもこのキャラが出ることになりそうとか、やめてくれ!

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先週のレビューサイトなどを見ていて感じたことですが、高評価が多いようです。とはいえ、その評価は「想像していたよりも真面目」というものが目立ちました。おそらく饅頭をほおばったヒロインのような、わかりやすいスイーツ要素が少なかったからだと思いますが、まだまだ油断はできませんよ。

*「花燃ゆ」感想マンガ第3話「ついてない男」へ松岡修造が一言「運じゃない実力だろ」

 主人公はおにぎりマネージャー女子とトキメキ展開

今週からいよいよ子役は終わり、井上真央さんが出てきました。アバンで「寅兄〜」と叫び、またおにぎり(どこまでおにぎりが好きなスタッフなんだ)をふるまう文が出てきます。そしてサブタイトルは「波乱の恋文」。スイーツの予感に武者震いがしてきました。

雄壮なオープニングが終わると、のっけからイケメンにかんざしをもらってドキドキするヒロイン姉の寿という、期待を裏切らないトキメキ展開が待っておりました。

トキメキ展開から寅次郎(のちの吉田松陰)の書状を読む場面にうつり、江戸で遊学する寅次郎と伊之助の映像が映ります。上半身裸で素振りをする小田村伊之助の映像も! 女性視聴者向けのサービスを欠かさないきめ細やかな気配りですね。『花燃ゆ』って本当に素敵!

イケメン裸体サービスが終わると、寿の縁談に戻ります。どうやら家格が合わないと断ろうという流れになったところ、寅次郎は仙人のようで素晴らしい、その妹ならばと相手が勧めてきます。

寿はイケメンからもらったかんざしにうっとり。この寿、わかりやすい「聡明で謙虚な妹に対する、暗愚で傲慢な姉」というテンプレを適用されており、見ていてなかなか痛々しいものがあります。この寿さん、現在の梶取家や小田村家の祖先にあたる方なのですが、こんな性悪でよいのか不安になってきました。

一方で文は、姉の婚礼衣装を手に取りうっとりしたり、運命の人・小田村伊之助の名前を手紙にみつけて布団の中でときめいたり。そうそう。カワイイ妹がセールスポイントのドラマですから、こういうガールズ要素は欠かせませんよね! 『花燃ゆ』って本当に素敵!

ガールズ要素が終わると、イケメン要素です。江戸の寅兄と伊之助は、がんばって勉学に励んでいるようですね。悩ましげに息を荒くしてうなされる伊之助のセクシーショットも入れて、女性ファンをドキドキさせるサービスに手抜きは感じさせません。『花燃ゆ』って本当に素敵!

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半年で子役から井上真央に大進化

一方、寅次郎は東北旅行を企画します。そういえば『八重の桜』で会津にも来ていたなあと思い出しました。あのときの八重はまだ子役でしたから、文と八重はかなり歳が離れているのかと思って確認したところ、文が三歳年上なだけでした。

さらにひっかかって確認すると、作中では前回から半年しか経過していないのですね。包帯取ったら西田敏行という前例もあるのでこれも大河名物なのでしょうが、子役から本役に変わっていたのでてっきり数年経ていたかと思いました。

萩では寿の縁談が進んでおりました。婚礼衣装に身を包んだ寿に文がうっとりしていると、この縁談はなかったことにするという突然の展開が。しかもどうやら原因は寅次郎の脱藩のせいだそうです。ここで親切なシャアが、脱藩の経緯を説明してくれます。寅次郎、迷惑な兄レジェンドが始まったようです。

ついでに置き去りになった小田村伊之助のトラウマが説明台詞で語られます。伊之助もこうなっては学問続行もできず、萩に帰ることになりました。

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ホームドラマ&学園ドラマ化は確定か

萩では、わざとらしく集まった人々がみんなで寅次郎の悪口を言いまくっており、どうやら杉家は大変なことになっているらしいとわかります。なんとか耐えようとする家族の中、寅次郎のせいで縁談が駄目になった寿だけは怒りまくっております。

それもやむなしという展開ではありますが、どうにも寿を「文のように寅次郎の偉大さを理解できない愚かな姉」として描きたい意図があるようで、しらけてしまいます。

賢い文ちゃんは勝手に手紙を開封し読み、姉の失恋が決定的になる場面をのぞき見したりしています。寿はかんざしを投げ捨て、フラれてやけっぱちになっています。

さらに「せっかく努力して金持ちの妻になってセレブになりたかったのにマジサイテー! でもあきらめないでセレブ妻目指すんだからね! あんたみたいな妹も寅兄も大嫌いッ!」と、わかりやすい最低台詞を連発してくれます。

セレブ妻になりたいわりには料理できないみたいですけどね……脚本家さん、何か個人的な恨みでも寿さんにあるんですか? 書状では賢い寿と書いてありますけど、無理のありすぎるフォローですよね。

それと、このドラマはまだ江戸時代ですよ。当時は家同士の結婚という価値観を背景にドラマを描いていますか? 昨年も書いた気がしますが、現代の価値観を別の時代にねじこむとしらけるんですよね。たまたま幕末が舞台の学園ドラマ、ホームドラマをするというのはもう動かせないのだと、今回ではっきりしましたね。

まあ、そう公式サイトで明言しておりましたが。さすがNHK有言実行

まあ、そう公式サイトで明言しておりましたが。さすがNHK有言実行

美少女&BLをおさえた神ゲームだ!

最低の姉とはちがい、健気で一途なマネージャー妹は、みんなのために一生懸命はりきるようです。先週同様、適当に走っていると伊之助に偶然会います。ここでどうして本役に切り替わったのかがはっきりします。先週の淡いトキメキとは違い、今週は伊之助にはっきりと文が恋心を抱いたため、「まずい、子役のままだと絵的にまずい!」という配慮なのでしょう。なんせこの時点で寿は13歳、文は9歳ですからね。

ここで文は胃袋を掴む女らしく、スイーツ持参。相手の家庭事情から入るキャバ嬢並のトークスキルで伊之助の心もバッチリ掴みます。大河ドラマを見ながら女子力アップ、恋愛スキルも磨けるなんて『花燃ゆ』って本当に素敵!

トキメキイベントはここで終わるわけもなく、汚れた文の手を洗い、さらに転びそうになった文を抱き留める王道の乙女ゲー展開が! ここでヒロインの台詞は!

「お嫁さんにしてください!」

わー。

「……寿姉様を」

わー。

このあとで優しい文ちゃんが、お姉ちゃんを思って一生懸命姉をお嫁にしてねプレゼンを開始します。

あの、だから当時は家同士の結婚というですね(二度目、脱力、以下略)

このあと、伊之助は自分の結婚以上に「寅ちゃんと義兄弟になれるなんて」とトキメキます。これはあれですか、腐女子用サービスですか。流石女子向け大河、スイーツ好きから腐女子まで、アピール完備! 『花燃ゆ』って本当に素敵!

9歳の子役に演じさせたらタイーホな感じ(絵・霜月けい)

9歳の子役に演じさせたらタイーホな感じ(絵・霜月けい)

 見た目は20代だが史実では9歳だから大丈夫!

一方で寅次郎は超高速江戸から萩への帰還を果たします(昨年も超高速なんとかにさんざん文句を書いた記憶が甦ってしまい頭痛が)。しかも罪人と騒がれていたわりには護送もない単身帰国です。どんだけセキュリティが甘いんだよ長州藩!

さて、小田村伊之助と寿の縁談がまとまりました。ここで伊之助は文の頭をなでなでしながら「妹萌え〜(超意訳)」的なことを文に言います。未婚の武家女性がこんなふうにホイホイと、屋外で男性と口をきいたらいろいろと問題になるのが江戸時代ですが、ホラ、このドラマは、たまたま幕末が舞台のホームドラマですからね。

あ、まだ文ちゃんは9歳だからただの微笑ましい風景なんですね、わかります!

 

そして来週は怒濤の脱藩。イケメンもさらに投入してますますスイーツ全開ですよ! 二回連続でヒロインが運命の人に出会うなんて、『花燃ゆ』って本当に素敵!

……素敵過ぎて、もう既にめまいが……。

 過去の大河の悪いところを集めた悪魔超人合体になる悪寒

 

さて、先週の感想で「意外とスイーツ要素が少ない。まともだ」と仰った方、今週はいかがでしたか。

駄目だ、この作品は「幕末版江」だと絶望的な気分の方もいるかもしれません。「八重の桜下位劣化版」だとがっかりしている方もいることでしょう。

しかし、私はそうは思いません。

むしろここ数年の大河にあった欠点をすべて悪魔合体させたような、ハイブリッド大河になりかねないのです(もちろんこれは最低の想定ですが)。

 

その甘きこと『江』の如く

そのBGMがうるさきこと『清盛』の如く

主人公の知名度が低きこと『八重』の如く

主人公補正で乗り切ること『官兵衛』の如し

 

その甘きこと『江』の如く:これについては説明不要でしょう。十歳以下のヒロインを本役が演じるという禁じ手も今週で踏襲したことですし。

 

そのBGMがうるさきこと『清盛』の如く:ここ数年の大河でもっとも素晴らしかったサウンドトラックはどれかと言いますと、個人的には『平清盛』だと思います。今でも他番組で使われているのを耳にします。が、その素晴らしいBGMでドラマがよくなっていたかと言われますと難しいものがありました。音楽が印象的過ぎて、特に「遊びをせんとや」は非常にしつこくて胸焼けしそうでした。今作も川井さんの音楽そのものはよいのですが、既に鳴らしすぎの感が強く、あやうさを覚えます。これはナレーションも同じ事が言えます。個性的で話題にもなっていますが、ナレーションはあくまで添え物。BGMもナレーションも、押し出しすぎるとくどいノイズになります。

あと、BGMもナレーションも題材にあまりマッチしていない気がするのです。スイーツに振り切るなら振り切る方がよかったのではないかと言いますか、ミスマッチに思えてなりません。

それに本音を言いますと、このふたつはよければよいほど『真田丸』向きなのにと思えてしまうのですよねえ……。

 

主人公の知名度が低きこと『八重』の如く:これも説明不要でしょう。付け加えるならば、八重のように「復興大河だから」という言い訳が今回は通用しないという点です。

知名度の低さは共通していても、文と八重は性格がまるでちがいます。文がマネージャーだとしたら、八重は周囲から「女子向きの競技ではないからやめとけ」と言われるスポーツに汗を流し、毎日素振り千回を欠かさず試合出場を目指すアスリートタイプです。前者がサポートに徹するのに対し、後者はストイックに鍛え上げ、恋愛やスイーツには目もくれないタイプです。

合コンで隣に座るのは文がよいかもしれませんし、お弁当を作ってと頼んだら文の方がきっとおいしい料理を作りそうです。彼女や妻にするなら断然文という方が多いのではないでしょうか。

しかし、そんな理想のおにぎり彼女がドラマのヒロインに向いているわけではありません。八重のように自ら動かず選手の横でうなずいている文は、ストーリーの組み立てがさらに難しいといえます。自分の好み、妹萌えだけで大河ヒロインを決めるのは無謀です!(今更言ったところで遅いのですが)

 

主人公補正で乗り切ること『官兵衛』の如し:既にこの嫌な兆しは初回からあります。やたらと妹に意地悪をする姉・寿は、官兵衛の妻である光の兄と姉を連想しました。ヒロインを持ち上げるために周囲を落とす、姑息かつ古典的なやり口です。もうひとつ、寅次郎と伊之助の演説場面です。なぜ学ぶのかとかこの国を守るためとか、聞こえのいい理想を掲げていてもよくよく聞くと中身がいまひとつないという。ほぼ「太平の世ガー」だけで押し切った昨年の官兵衛と同じパターンですよね。漢籍の引用や難しい言葉をちりばめて中身のなさをごまかすところまで一緒です。

 

この中で一番深刻なマイナス要素であるのはどれかと言うと、個人的には最後の『軍師官兵衛』的な部分です。

その予兆は既に第一回で見えていたのですが、改めてふれておこうと思います。

昨年の官兵衛夫人である光の姉を、まるでシンデレラの姉のようにいじわるで浅はかに描いた時点で、私の中では黄信号が点灯していました。『花燃ゆ』でも同じことをしています。

寿は第一回から意地悪な発言で文をからかっていましたが、二回目からはっきりと「謙虚で聡明な妹に対して、浅はかでわがまま、愚かな姉」というキャラクターを押し出してきましたね。学園ドラマでいうと、文が素直におにぎりを作るマネージャー。寿は茶髪パーマでスマホ片手に「おにぎり作るとかダサくねえ?」とか言っているビッチ系でしょうか。

主役周辺を持ち上げるために、周囲を下げる手法というのはドラマを確実に腐らせます。昨年は、ヒロインの姉や官兵衛の義兄をこの手で貶めたのを皮切りに、山賊扱いの島津家、本当にどうしようもなかった石田三成などなど、一年を通してげんなりするようなパターンをやられ続けたわけです。

これとは反対に、主人公の前に立ちふさがるライバルを魅力的に描くことで、そのライバルとの戦いそのもので話を展開する手法もあります。近年ですと『平清盛』がそうでした。視聴率では惨敗したとはいえ、私の中で『軍師官兵衛』よりも『平清盛』のほうが良心的だったと感じているのは、安易なライバルの貶めをしなかったからです。『花燃ゆ』も安易な周囲貶めは避けて欲しいところですが、どうやら先行きは厳しそうですね。

武者震之助・記

霜月けい・絵

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