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あさが来たレビュー

あさが来た感想レビュー第1週「小さな許嫁」大河ドラマをすっ飛ばすにNHKの本気を見た

更新日:

*第2週「ふたつの花びら」のレビューはこちら

初回視聴率は21.2パーセントと好発進でした。(第一話のレビューはこちら

・NHK朝ドラ「あさが来た」 初回視聴率は21・2% - 産経ニュース http://www.sankei.com/entertainments/news/150929/ent1509290006-n1.html

もうひとつ、朗報です。

・大同生命特設サイト http://kajimaya-asako.daido-life.co.jp/column/01.html

これはよい兆候です。

関西の朝ドラ『カーネーション』は名作として評価されています。『マッサン』は北海道なのに猪肉を出すという初歩的考証ミスがあったにも関わらず、メインテーマのウイスキー関連はきっちりと描写しました。ニッカとサントリーはそれぞれの創業者を演じた俳優を広告に起用、商品不足になるほどウイスキーの売り上げを伸ばしました。共通するのは、厳しいチェック体制。前者はコシノ三姉妹、後者はニッカという厳しい目がありました。今作も大企業が目を光らせています。よい意味でプレッシャーとなり、『まれ』のようなでたらめは描かれないのではないでしょうか。

あさが来た(霜月けい・絵)

あさが来た(霜月けい・絵)

9/29(火)出会いは最悪・・・の黄金パターン

そして迎えた二回目です。

前回ラストは許嫁同士の年齢差に騒然となりました。ここでナレーションが「このくらいの年の差は当時珍しいことではなかったのです」とすかさずフォロー。よい仕事をしています。

この一言、なんと清々しいことでしょう。政略結婚や年齢差のある婚約を「今の価値観だとドン引きされちゃう」と逃げまくり、結婚前にわざわざ暴れ馬を止めるヒロインと相手が出会うような、くだらない創作を入れる昨今の大河に見習って欲しいところですな!

ここでOPを挟みます。あさと新次郎の出会いは最悪。古典的なお約束「何アイツ、サイテー!!」パターンですね。強気なヒロインにはよくありますね。

あさは新次郎を最低と思いますが、新次郎の父・正吉もあさのじゃじゃ馬ぶりに渋い顔です。どこか他人事の新次郎に「あのじゃじゃ馬の手綱を取れるのか」と正吉が聞くと、あっさり新次郎は無理だと認めます。このどこかひょうひょうとして抜けた新次郎の台詞周りから、彼の性格がちらりとうかがえます。

あさは父にそろばんや学問を習いたいと言い出してまた怒られます。そこに笑い声が聞こえてきます。あさの祖父・忠政です。ここで忠政が息子を評して「番頭のようによう働く」と言われているぞと指摘します。江戸時代の商家主人はどこかのんびりと構えたお坊ちゃまが多く、実力を発揮しなければ出世できないしっかり者の番頭に経理は任せることが多かったようです。祖父・忠政が典型的な大店の旦那、父・忠興はその反対のタイプですね。

このマイペースな忠政は、型破りな孫娘あさが大好きなようです。隠居の身ながら、ふらっと息子のところに来ては孫娘を存分に甘やかす。今でもありそうな孫バカ祖父です。孫と祖父は木登りをしています。

息子に商売を任せ、今は趣味に生きるマイペースな忠政。あさとこの祖父の仲の良さを見ていると、この祖父のキャラクターは新次郎から逆算して創作したのではないかと思いました。当時の女性としては型破りなあさをおもしろがり、認める男性。新次郎のひょうひょうとした部分は忠政と違って、現時点であさの目からは見えません。視聴者にだけ見えます。今は反発しているあさだけど、将来は祖父に似たタイプの新次郎とこんなふうに楽しく生きていくのではないでしょうか。出会いは最悪、でも相性の良さのヒントをさりげなく残しておくのも、少女漫画的なテクニックかもしれませんね。

楽しそうな孫と祖父の場面から切り替わると、忠興は忠政があさを男として育てたらどうかと提案したことを回想します。幼女にそこまで思い入れのある祖父とは何なのかと思いそうになりますが、押しつけがまさはなく、それでいてさりげなく「祖父の目から見てヒロインは男勝りだった」と予言のような効果が出ています。ヒロインがただ者じゃない予兆というのは、ヒロインの産声で戦が止むとか、そこまで大げさにしなくともちゃんと表現できます。

ここで忠興の仕事熱心さを紹介するとともに、どこか不穏なBGMが流れます。京都一の商人である忠興すら世間の雲行きにおかしさを感じていた、幕府や大名が返すあてのない借金をしてくることに不安を覚えていたと説明されます。

幕藩体制の崩壊は、何も黒船から始まるわけではありません。フェートン号事件に代表される外国船来港、ロシアの進出といった海外からの圧力。将軍権威の低下とともに存在感を増す天皇や朝廷。農業技術の進歩。貨幣経済の活発化。19世紀に入ったころから、幕藩体制には亀裂が入りつつありました。黒船来航は、その亀裂の入った体制に回復できないほどの大打撃を与えたのです。

「こんな時代、そう長うは続かへんちゃうやろか……」

忠興のこの台詞、実に秀逸です。脳天気にお菓子をつまみ食いするあさの顔と交互に挟まれるのもまた、よいのです。ヒロインたちの世界の、足下のほうから気づかないうちに迫ってくる時代の変化。「英雄ではない目線で描く歴史」というのはこういうことです。英雄におにぎりを握って喰わせるのは、断じて違います。

残り2分を切ったところで、12歳になったあさと14歳のはつは、父親の大阪行きについて行くように言われます。あさの許嫁は出てきても、はつは引っ張ります。あさより男前に敏感なはつの許嫁はどんな人なのか、視聴者の興味をうまく引き寄せています。

 

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9/30(水)渡辺謙になれるか?注目の俳優登場

大阪でそれぞれの許嫁に会うこととなった今井姉妹。大阪の活気溢れる雰囲気に、あさはすっかり浮かれます。浮かれるあまり、猛然とダッシュして街を駆け回るあさ。遠景はCG、近景はロケをしたと思われる大阪の街並みはなかなか綺麗です。大河の方が最近は屋外シーンでもスタジオ撮影ばかりなので、正真正銘太陽光で昔の街並みが見られるのはうれしいです。あさの目に映る新鮮な活気を表現するにはこのくらいやってもらわないと。

あさは縦横無尽に駆け回りますが、ぶつかって怒られると即座に謝る常識があります。そんなあさ、曲がり角の先で侍にぶつかります。ここで入るBGMがエレキギターでちょっと面白いです。そしてこの瞬間宙を舞うのはなんとピストル! おいおいお侍さん、ちょっと不用心とかそういうレベルを超えてませんか。侍の急ぐ様子からして、逃げているのか、あるいは誰かを追いかけているのかもしれません。ピストルはすっぽりとあさの袖に入ってしまいます。

ここで侍の名前が表示されます。

「五代才助(のちの 五代友厚)」

演じるのはディーン・フジオカさんです。香港や台湾、日本国外で活躍してきた俳優で、日本ではまだ知名度は低いのですね。このキャスト、実にうまい!

実力はあれど、人気知名度はまだこれからという役者さんを、やはりこれまた偉業を成し遂げたのだけれども人気知名度はさほどでもない歴史上の人物にあてる。この『独眼竜政宗』における渡辺謙さんにおいても行われたキャスティングを、本作は五代友厚でやるわけです。以前今年の大河レビューで、とりあえず知名度のある豪華な美男美女をかき集めてきているものの、面白みがないキャスティングと書いたことがありましたが、朝ドラはその点うまく大河のこぼれ玉を拾いました!

さらにこのフジオカさんの海外で培われたグローバルな雰囲気が、これまた五代にあっています。初期キャストポスターで一人だけ洋装、京阪商人中心の中で薩摩藩士、初登場でいきなり英語混じりと登場人物の中で異質な個性を放つ五代。実にうまく役者の個性と役柄がリンクしています。この五代役が当たれば、『花子とアン』の吉田鋼太郎さんのようなブレイクも狙えるかも。

このキャストの妙味、「民放の幕末ドラマで人気だった役者さん引っ張ればいいだろ」とイージーにやらかした今年の大河のスタッフは爪の垢煎じてでも飲みましょうね。有名ではない隠れた長州藩士のはずが、未来からタイムスリップした医者に見えて、新鮮味薄めて陳腐さすら醸し出していましたからね。

さてこの五代、やっとピストル紛失に気づきあさを追いかけ始めます。木登り自由なあさは駆け足も早く苦戦する五代。行き止まりでやっとあさに追いついた五代は、壁に押しつけて身体検査開始。目的のピストルを取り戻します。

おさまらないのはあさ。泥棒呼ばわりされるなんてひどいと追跡し、ジャンピングアタック(スロー入り)してピストルを再度奪います。五代に世間知らず呼ばわりされたあさはむっとして言い返します。汗をかいて上気して、本当に頑張って走ってそのまま台詞を読む梨央さんのかわいらしいこと。

「いきなりぶつかって逃げて、世間知らず呼ばわりして、それが日本男児のすることですか!」

と、一歩も退かずに正論をビシバシと決めます。五代が「はあ!?」と一瞬険悪になり、あさはお武家様に失礼なことを言ってしまったとあさは謝ります。先ほど人にぶつかった時も即座に謝りましたし、最低限の常識や礼法はきちんと身につけているわけです。五代は頭を下げるあさを見て、

「いや、もっともな言い分じゃ! 申し訳ごわはん」

と反省。五代は英語混じり、薩摩弁なのであさとは会話が通じているのか、それともちょっとおかしいのか、どこかユーモラスです。急いでいるのに、あさが呼びかけると振り向きなかなか楽しかった、グッバイと答える五代。子ども相手にも見下さない好青年ではありませんか。あさにとっては英語も薩摩弁も、同じちんぷんかんぷんなおかしな言葉なのでした。当時の薩摩以外の人にとって薩摩弁は確かに外国語でしょう。しばらく五代の出番はなさそうですが、この少ない場面に彼の情報はみっちりと描きこまれていました。

  • 薩摩出身
  • ピストルを持参、上海帰りで英語ができる(=グローバル)
  • せっかちだが悪い男ではない。相手が子どもでもきっちりと一人の個性として扱うフェアな性格

これはなかなか、再会が楽しみになりそうな好キャラぶりですね。

『マッサン』で会津藩、本作で薩摩藩と、『花燃ゆ』では実態不明悪の秘密結社のようにされてしまった幕末の雄藩を、朝ドラできっちりとフォローするNHK大阪。実に有能です。

五代との出会いを経て、あさは婚家加野屋白岡家を目指します。のれんをくぐって泉ピン子さんが出てきたらどうしようかと思いましたが、出てきたのはおっとりとした風吹ジュンさん。問題児をやさしく見守ることに定評のある女優さんですよね。この将来あさの姑となるよの、歩いてくる姉妹を見てどちらが嫁か品定め。最初にしずしずと歩くはつを見て、中番頭の亀助とともにこのお嬢さんなら安心と笑顔になります。次に、どすどすと歩くあさを見て眉をしかめます。

店に入り、いよいよ白岡家とご対面です。正吉が紹介するのは、きまじめそうな長男・正太郎、まだ幼いながらもこれまたませたほどしっかりした口をきく三男・榮三郎。番頭の二人もちらちらと様子をうかがいます。あさが嫁いでくると知り、よのも番頭も困惑を隠せません。はつに助けてもらいながらなんとか挨拶をしようとするあさですが、たちまちボロが出ます。露骨にげんなりするよのの横で、あさを知る正吉は挨拶を止めてその場を誤魔化そうとします。あさの許嫁・新次郎は分家とする予定とここで説明が入ります。ここでさりげなく忠興と正吉が、自分たちの若い頃とは勝手が違うと世間の変化を語ります。ここで忠興と正吉の性格の差が出ます。

昨日忠興は「こんな時代、そう長うは続かへんちゃうやろか……」

と暗い顔でつぶやきました。

一方正吉は「なんかこう、新しい波が来ているようで」と言います。

近づく新時代到来をピンチととらえるか、チャンスととらえるか。そこに目線の違いがあらわれています。

ところでこの場に肝心の新次郎がいません。やっと遅れてきた新次郎は腕に猫を抱いております。そして、猫を店の裏で鳴いていたからと抱っこして連れてきたものの、世話は番頭まかせで情が移るから鰹節はやるなと指示を与える、駄目な小学生みたいな行動を取ります。

新次郎は遅れた言い訳を父・正吉にする途中で、あさの存在に気づきます。「あさちゃん!」と笑顔で呼びかける表情は、おそらく猫を店の裏で見かけた時と大差がないのでは。仏頂面であさの身体検査をしていた五代とはこれまた違い、笑顔であさの手を取り自分の手に重ねる新次郎。ロリコンとかそういうことではなく、本当に猫を可愛がるようにあさもそう思っているのでは。番頭が猫の面倒を見ることに困惑し、よのが露骨にあさに困った顔をしているのは、今後対象と関わる自分を想像しているからでしょう。ところが新次郎はそこまで考えない。目の前に可愛いものがあったら愛でるわけです。無責任男め。

「ほな。わてこれで」

新次郎はあさの顔を見つめそう言うと、そのままさっさと場をあとにして三味線のお師匠さんの元へと行ってしまいます。これには流石のあさも呆然としてしまうのでした。

そしてここで、このドラマのキャスティングをもう一度褒めたいと思います。玉木宏さんの「つっころばし」ぶりがよい味を出しています。

「つっころばし」というのは肩を押せば転んでしまうほど頼りない男という意味。関西の歌舞伎など伝統芸能に見られる、甲斐性も根性もなく、のほほんとして頼りないけど、どこかユーモラス。浮気やひどいことをしても「かんにんな〜」と謝られると思わず許したくなってしまう。そんな役所です。このタイプの演技はなかなか難しいのですが、玉木さんはちゃんとこなして役者としての幅を広げています。

これはつっころばしが出来た好例になりそうですが、じゃあできなかった反面教師はというと、大河のレビューで思わずかなりきついことを書いてしまった東出昌大さんです。『ごちそうさん』では関西弁と台詞を覚えるまでで手一杯で、柔らかみのある関西男の駄目さ、ユーモラスな味わいまで出すことはできませんでした。キャリアを考えたら無理もないかもしれませんが、つっころばしの妙味を引き出せる役者さんであれば、西門悠太郎の浮気や態度の悪さもあそこまで不快ではなかったのではないかと思います。

これは『花燃ゆ』の久坂玄瑞もそうです。知能派で、京都では芸妓にもてたほど洒脱であった久坂は、剛より柔のキャラクター。『ごちそうさん』を受けての大河起用はわかりますが、もっと他の剛の個性を持つ役を用意すべきでした。それどころか史実の久坂を役者に近づけようとした結果、史実と創作の間に変なギャップができてしまったのです。東出さんは今後の伸びしろも課題も多い役者さんだとは思いますが、次のチャンスでは彼に合う剛直で、できれば関東以北出身者の役を用意してください。

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10/1(木) NHKの本気。堀北真希の夫がまたも土方演じる

まずは衝撃のニュースから。

・山本耕史が朝ドラ「あさが来た」で土方歳三を演じる! | ニュースウォーカー http://news.walkerplus.com/article/65655/ 

これは本気出してきましたね。意外性のあるキャストの中身がお笑い芸人、アイドル、落語家が一瞬出るだけの『花燃ゆ』と違い過ぎます。『花燃ゆ』で出番がなく、本作では出てくる人物は勝ち組と言えそうです。

そしてこの回にも、その勝ち組が出ております。

前回は五代の乱入もあり、はつの許嫁まで到達できませんでした。視聴者の興味を引っ張って、いよいよ山王寺屋眉山家へ。あさとちがってはつはきっちりと挨拶をこなし、相手を喜ばせます。ここであさは父から褒められる姉を見て「ええなあ、自慢の娘なんて言われて」とつぶやきます。

破天荒で無茶苦茶、あり余るエネルギーを自分自身でコントロールできないあさですが、己の至らなさも意識しており、なんとかよい子になりたいとは思っています。これが重要なポイントで、前作の『まれ』のように、非常識な行動をしてもそれを反省せず、省みないヒロインは視聴者に不快感を与えてしまいます。現在のところあさは自省するため、非常識で不愉快なヒロイン像の手前で止まっています。

なごやかな対面に見えますが、どことなく不穏な雰囲気があります。まず惣兵衛。能面のようとも蛇のようともたとえられる、無表情さがなんとも不気味です。それよりも嫌な予感がするのが、惣兵衛の母・菊。温厚そうな夫・栄達の言葉を遮り、はつを品定めするようなことを言います。眉山家の主人である栄達は番頭あがりの婿養子のため、なかなかお嬢様育ちでプライドの高い妻に頭があがらないようです。はつは前途に不安を感じた様子ですが、あさの方は畳を這う蟻を気にしております。

そんな中、菊がまたも嫌な予感がする台詞を言います。不景気なんて関係ない、淀川の水が涸れてもうちの金はなくならないと。世間の変化への反応が、不安を感じる忠興(敏感で悲観的)、新しい波だと感じる正吉(敏感で楽観的)、そしてそんなものは自分に関係ないとたかをくくる菊(鈍感で楽観的)、三者三様別れているのが今後のポイントとなりそうです。

菊が自分の家の自慢をしておほほ笑いをしていると、あさが蟻を見ていて滑ってなんと惣兵衛の膝へとスライディング! 周囲が騒然とする中、惣兵衛は無言でぷいと横を向いてそしらぬふりをします。

騒ぎが落ち着くと、皆ではつの琴を聞きます。これを聞きながらはつを品定めするような会話が、穏やかながらどこか心をざわつかせます。さらにあさが2話目で嘆いた「なんで女子はお中元やお歳暮みたいにもらわらねなあかんの。やっぱりへんやわ」という台詞が思い出されます。そこへ何者かが「たのもーっ!」とやって来ました。

五代さんじゃないですか! 昨日再登場は先かと書いたのに、また出てきたんですね。五代の出番はあらすじに書かれていないので、サプライズ状態です。五代はいきなり名乗り「上海で買い付けた船の代金を頼みたい!」と元気に言います。いや、ちょっとストレート過ぎるだろと。惣兵衛はこの頼みをうまく言いくるめて追い払ってしまいます。ここはあっさり引き下がる五代ですが、店を出た途端武士が商人になぜ頭を下げるのかと怒りがおさまらない様子。一方の惣兵衛は「薩摩なんぞに誰が貸すか」と吐き捨てます。これも今後の伏線になりそうな態度ですね。皆が去った部屋で一人残されたはつは、目を見開いていかにも涙がこぼれる寸前という顔でじっとしています。

場面が切り替わり、むしゃくしゃした五代は友人らしき男と居酒屋でやけ酒を呑んでおります。

「一蔵どん、笑い事ではごわはん!」

えっ、今一蔵って言いました? テロップには確かに「大久保一蔵」と。ええっ!?

この薩摩ビッグネーム同士の会話、中身は大阪の商人むかつくとか、酒屋のウェイトレスは年齢関係なくお姉さんと呼びましょうとか、金がないとか、しょうもないもの。だがそれがいいんです。わかっていますか? 松陰と楫取という親友同士設定の会話なのに「日本人ガー」「新しき世ガー」「至誠ガー」とか、大上段から視聴者を説教するような陳腐で薄っぺらく不自然極まりない会話をさせていた『花燃ゆ』スタッフのみなさん。初回でこういう会話をやらかしていてもう今年は駄目だと私は見切りをつけました。キャラクターが視聴者に対して確立していない段階で、居酒屋のトイレに貼ってある啓発カレンダーの標語みたいな台詞を連発されるなんて、はっきり言ってくだらなさの極致ですよ。この五代と大久保の会話は、剛直な五代と柔軟な大久保、そして二人はなんだかんだで性格が合うと視聴者に示す、何気ないようで秀逸な会話です。しかもこのフランクでドジな青年二人が、のちの五代友厚と大久保利通とネタばらしされるこの楽しさ。これが歴史ものの醍醐味ですよ!

そして大事なのは、二人ともなんとも楽しそうなところ。しかもイケメン同士です。五代も大久保も、実際に残っている写真がなかなかの幕末イケメン枠。イケメンをイケメンが演じるこの隙のなさよ。

どんなにイケメンの頭数を揃えても、そのイケメンぶりがわかるサイズで同時にフレームに入れる限界は二人なので、イケメンとイケメン二人が顔をつきあわせているのが一番効果的ではないか、と思います。そこのところわかっていますか、『花燃ゆ』のスタッフの皆さん。キャラ立ちしていないイケメンやアイドルをずらりと並べて画面に映しても、ただのクローン軍団に見えるんですよ。

この幕末薩摩青春コンビ、なかなかコミカルで視聴者に好評な模様。キラキラ薩摩藩士と呼ばれ始めているようです。よかったね、ちゃんと魅力的な男子を描けばファンがつくんだよ、『花燃ゆ』スタッフの皆さん。そして大久保ファンの皆さん、おめでとうございます。土方ファン同様、大河スルーで朝ドラ出場という勝ち組枠に維新三傑で唯一入りそうですね!

ここでキラキラ薩摩男子コメディが終わり、あさとはつの寝室に場面が変わります。はつは眠れない様子。その目には涙が光ります。この場面、はつの観察眼と演じる守殿愛生さんの演技力が光ります。いきいきとした鈴木梨央さんに比べると目立たないようで、背筋をぴんと伸ばした立ちいぶるまい、目だけで不安を語る表情、情感のこもった台詞の読み方、この人も凄い子役です。特に今日の涙をこらえきれずに泣き出す演技のいじらしさに、こちらももらい泣きしそうになりました。どうやら姉妹で明暗がわかれそうな結婚。はつの未来は明るくない予感が既に漂っております。これから待つ辛い日々、こうして感情をわかちあい泣いたことを、きっと思い出すのでしょう。幼い日、二人で過ごしたかけがえのない時間は、姉妹にとって一生の宝となるでしょうね。

 

10/2(金)長州と京都は近い大河ドラマもあるけど、大坂と京都のリアルな距離感

初めて姉の涙を見たあさは、大阪に嫁ぎたくないという決意をさらに固めます。自分のためではなく、大好きな姉のためならばなんとかしなければと、幼いなりにあさは考えているのです。

翌朝、寝坊したあさははつが先に起き、泣いていたことなど忘れていつも通りに振る舞う姿を見ます。自分の気持ちを言い出せない姉にかわり、なんとかしてあさは嫁入りを阻止しようと母に掛け合います。学問をし、自分の生きる道は自分で選び、学問をしたいと主張しますが、この時代にそれはあまりに非常識な願いでした。母はそんなことを父に聞かれないようにとあさに釘を刺します。母は娘が自分の言葉に納得していないと気づいていました。

しばらくするとあさは仮病を使い、姿を消して寺子屋に潜り込んで勉強をしてしまいます。案の定あさは連れ戻され、「アホ!」とこっぴどく父に叱られます。女というだけで男がする学問をして、何故恥になるのかと父に詰め寄るあさでした。

そんな中、許嫁・新次郎があさの顔を見に来ます。京都と大阪、近いようで特に当時は結構な距離です。幼い許嫁の顔を見るためにそんなにちょくちょく来るものでしょうか。それとも何かのついででしょうか。あさは父に反抗し、押し入れに籠城中。はつの差し入れするおにぎりをガツガツとほおばり、粘っております。押し入れに籠もる妹に、はつは自分の気持ちを気遣っての反抗と気づいて「おおきに」と声を掛けます。そして父も娘のことをちゃんと気遣っているのだと説明します。ここで悩める父・忠興の回想が入ります。はつとあさの許嫁を慎重に観察し、心配して仕事のことより嫁入りのことばかり話していたそうです。

いやあ、いいですねえ。当時の規範に従って幼い娘の許嫁を決める父親だって、娘が憎くてそうしているわけではありません。当時のやり方で娘にとって幸せになる道を考えているわけです。現代の価値観で過去の行為をおかしいと判断し、無理矢理恋愛結婚に押し込むとか、理解ある親にしようとするあまり放任しているように見せるとか、そういうありがちな鼻につく描き方をしていないところに、本作の誠意を感じます。

はつは父の優しさを語りあさをうまく誘導し、立てこもった妹の手をとり外に出します。そこに座るのは、居住まいを正しぴしっと正座をした新次郎。たとえ子ども相手でも、襟を正し背筋を伸ばす、この新次郎の紳士ぶりをご覧ください。はつはここで去り、あさは押し入れの会話を聞かれた気まずさに、また中に戻ってしまいます。新次郎は襖の外から「やめたかったら嫁入りなんてやめたらよろしい。自分の道を歩んだらええ」と語りかけます。『北風と太陽』と言いますか、頭ごなしに嫁に行けと言われたら反発するあさも、これには戸惑うばかりです。さらに襖の隙間から、あさに似合うサイズの小さなそろばんを差し入れる新次郎。このそろばんがまたかいわらしい赤い色で、金襴の綺麗な袋に入っています。カスタムメイドです、やはり新次郎はあさのためにわざわざ来訪していたのです! すっかりあさも喜んで襖を開け、喜びながらそろばんを振ります。ええ音がすると喜んでいると、新次郎にあさちゃんもええ顔やと褒められ、あさは慌てて襖をぴしゃりと閉めます。しかし先ほどのばつの悪さからとは違い、紛れもない照れが顔に浮かんでいます。

「……考えて考えて、わてのお嫁さんに来てくれることになったら、その時は、仲良うしような」

子ども相手だろうが全力でトークをする男、新次郎。子どもが好きそうなものと人形や飴玉を選ばない新次郎。女だからと装身具を選ばない新次郎。相手があさちゃんだから、あさちゃんが好きなものがええと気遣い、カスタマイズそろばんを贈る男、新次郎。短時間であさが一番好きな物を見抜く新次郎。そのあまりに高いスキルに全国の視聴者騒然の朝です。

あさはじっと新次郎の言葉を聞き、やがてたまらなくなって押し入れから飛び出して来ます。贈られたそろばんを見つめるあさ。押し入れに入る前と、出てきたあとのあさはどこか違います。どこか大人びて、何かに目覚めたような、そんな表情をしています。ナレーションで説明されるまでもなく、恋心がぽっと目覚めてと、全身で演じる鈴木梨央さんのみずみずしさが見事です。

今日は少女漫画直球王道でした。壁ドンとかそういう小細工に頼らず、脚本と演技と演出と、直球勝負でときめきを表現しました。

そういえば本作の許嫁描写を見て、児童ポルノだとかなんとか騒いでいる人もいるようですが・そういう歴史的経緯をちゃんと説明したことを無視してネタにしているわけですか。もうやめにしましょう。そういうことをネタにするから上野樹里(6)だの井上真央(9)だのが起こるわけですよ……。

10/3(土)小さな胸にトキメキ

新次郎からのそろばんと誠意溢れる言葉に、小さな胸をときめかせるあさ。一方で忠興は変化する時代にいち早く危機感を覚えております。大阪はまだぬるい、会津と長州に貸した金の取り立てを急げと支持を出します。おお、会津と長州! これぞ幕末の京都や!! どうやら武家からの借金はどんどん膨らみ、京都一の今井家すら危機的な状況のようです。新鮮ですね。商人から、市井から見た歴史の描き方としてのお手本のような会話です。ここで忠興は爆弾発言「ご公儀を見限る時が来たのかもしれん」が出ます。暢気な忠政はここで息子をたしなめるどころか、無言で煙草を吹かすばかり。この力が抜けているようで、事態を察していることを、深い演技力で見せる忠政役の林与一さんがまた絶品です。朝から全力投球のドラマが見られる、この幸福感よ。あさが「気持ちのええ朝や」とつぶやくのですが、私も言いたいです。

「気持ちのええ朝や!」

ここでOPを挟んで、あさが母・梨江にそろばんを見せます。凝った作りのカスタムメイドに、梨江も驚いたことでしょう。このそろばんが公式サイトでも解説してあるのですが、印象的な赤い色で目立ちます。あさに似合うし、新次郎の気持ちがこもっています。梨江はここで一生言うつもりはなかったという、爆弾発言をします。本当はあさとはつの嫁ぎ先は逆でしたが、七歳時にあさが木から転落したことを知った山王寺屋眉山家は、こんな嫁は叶わんとトレードを申し入れたそうです。怒った忠興は断りますが、なんと眉山家は加野屋白岡家に直接交渉をします。驚き断ろうとした白岡家の正吉ですが、新次郎が「赤ん坊の頃からあさちゃんが好きやったんや」と快諾し、今の縁談となったのです。

新次郎が変態というツッコミについては後述するとして、なかなか胸部向井設定です。加野屋はさておき、山王寺屋は絶対あとで「こないなことなら、あささんを嫁にもろうておけばよかった」と自分たちが言い出したことを棚上げしてはつをいびるのではないでしょうか。あさにとって重要なのは、はつが嫌な夫に嫁ぐ一因は自分にあると思いかねないこと、そして新次郎があさの個性を選んだことですね。もう既にあさは責任を感じ、蛇の皮片手に姉の幸せを祈ります。ちなみに第一話であさは蛇を振り回していましたが、手にしているのは抜け殻なので殺して剥いだわけではないと思います。蛇を振り回していたのは史実準拠設定。蛇の皮は幸運を呼ぶアイテムとして手にしていたのでしょう。そして赤ん坊の頃から新次郎に見ていてもらえたとときめくあさでした。

あさは許嫁からそろばんをもらったということで、あさは特別にそろばんを習うことができました。あさは、丁稚や番頭をも驚かせるほどめきめきと上達します。そろばんが上手というのは暗算もできるということで、知性の片鱗が光ります。結果的に新次郎があさの可能性を引き出したわけです。

あさを男として育てたかった祖父・忠政も、あさは女でむしろよかったと言い始めます。新次郎に嫁ぐなら、あさの才能が発揮できると見抜いたのでしょうか。さらにはこれから、女が活躍する時代になるかもと取れる、予言のようなことも言います。こういうさりげない台詞が聞きたかった! ヒロインは運命の子とか何か輝くものを持っているとか、目が澄んでいるとか、そういうスピリチュアルな持ち上げはうんざりだったんですよ!!

ここでチラリと三味線を弾く新次郎サービスショットを経由し、時は一気に1865年、慶応元年へ跳びます。すっかり美しくおしとやかに成長したはつと、相変わらず木の上に登るおてんばなあさ。子役の熱演から最高のバトンを受け取った波瑠さんと宮崎あおいさん。さわやかな笑顔です。子役があまりによかったのでもう少し見たかった気もありましたが、さわやかな今井姉妹本役を見ているとそれも薄れました。来週も楽しみですね!

さて、後述すると書いた「新次郎はロリコンの変態なのか」です。答えは言うまでもなく「否」です。筋金入りの幼児性愛者は育ったら興味を失います。幼児から淡い好感情を抱いたまま結婚する新次郎と、大人になったらつまらないと放り出すロリコンを一緒くたにする雑な考え方はやめましょう。

新次郎がまだ子どものあさが何故好きかというと、ロリコンではなくあさが持っている本質的な「三つ子の魂」に好感や興味を覚えたからではないかと思います。山王寺屋の花嫁候補基準は、女子としてのスペック勝負でした。女子としてのスペックとしてみると、木の枝から落ちるというのはマイナス要素に過ぎません。一方で新次郎はあさの活発な部分が好きなのですから、同じ事件でもプラスになるのです。

本作のあさと新次郎は、親が決めた許嫁という恋愛要素とは無縁のものと思わせながら、実は人となりを愛する感情が底にあるのでしょう。その行方は来週以降、じっくりと見せていただきますか!

武者震之助・記

霜月けい・絵

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*第2週「ふたつの花びら」のレビューはこちら




1位 意外と優しい!? 織田信長さん


2位 伊達政宗さんは史実も最高!


3位 直虎の後を継ぐ井伊直政とは?


4位 毛利元就の中国制覇物語


5位 ホントは熱い!徳川家康



6位 最上義光 名将の証明


7位 最期は切ない豊臣秀吉


8位 史実の井伊直虎とは?



9位 もしも戦国武将がサッカー日本代表だったら?



10位 小野政次 34日間の天下



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