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あさが来たレビュー

「あさが来た」感想レビュー!第4週「若奥さんの底力」姉妹の運命に引き込まれる至福

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おはようございます。今週もさわやかな朝が来ました。

家族に乾杯やで〰

家族に乾杯やで〰

10/19(月)お姉ちゃん、かわいそう

大阪の両替屋に嫁いだあさとはつの姉妹は、それぞれが困難に直面します。あさの嫁ぎ先である加野屋の蔵はすっからかん。はつは夫・惣兵衛と打ち解けるものの、姑・菊から虐待を受けていました。

あさははつを心配し、山王寺屋を何度も来訪します。しかしいつ訪ねても留守と言われてばかり。姉の身を案じていると、はつから手紙が届きます。綺麗な字で元気で暮らしているので心配しないようにと書かれていて、あさは一安心です。ほっとするあさの姿を確認すると、新次郎はすっかりおなじみの巾着ぶん回し小股ひょこひょこ歩きで、三味線の稽古に出かけようとします。あさはそれを引き留め、蔵が空っぽであることや。五代の口調を真似てしゃべり世の中変わるのではないかと、新次郎に詰め寄ります。あさはヒロイン特技あるあるの、時勢を見抜く予言力を発揮し「倒幕の戦が起きたらどうしよう?」と新次郎にさらに問いかけます。こういう未来を知る後世の作家が付与する、主人公の予知能力は陳腐なものになりがちです。それに説得力を与えているのが、実はネタキャラ的な五代なんですね。新次郎は流石に焦り、商人ごときが天下国家を論じてはあきまへんで、とたしなめます。

あさ番頭の雁助が蔵で作業するのにくっついて、質問責めにします。蔵の中に女を入らせ、大名からの証文を見せてしまうのは、雁助はちょっとおかしいのではないかと思います。が、あさだから仕方ない。主人公補正もありますが、あの眼光を光らせた新選組副長とやりあった度胸の持ち主です。先週のあの対峙場面が、今週もものすごい説得力になっております。

あさの「なんでどす?」攻撃に雁助もうんざり。そこへ亀助を連れて正吉がやって来ます。ここから正吉はあさの疑問点を立ち聞きするのですが、パントマイム状態になります。あさにばれないように、そっとあたふたする近藤正臣さんの名人芸を楽しめます。

あさは金でも銀でも無い、証文という紙切れをなんで信頼できるのかと詰め寄ります。こんなもん鼻紙になったらおしまいだ、と(大名に貸す場合、その家の年貢米も担保になりますが)。これにはそっと聞いていた正吉も面食らいます。

それにしてもあさはやっぱり、幕末の申し子ですね。倒幕にせよ、クーデターにせよ、田舎の薬売りから鬼の副長になるにせよ、この乱れた時代にその乱れをバネにして飛び上がる人物というのは、男でも女でも既成の価値観をブチ壊すパワーがあるものです。証文でずっと商売をしてきた正吉にとっては、鼻紙と同じだと言い切るなんて、驚天動地の話でしょう。高杉晋作が「いよっ! 征夷大将軍」と野次を飛ばしたのを聞いて世間があっと驚いたように(この逸話の真偽はひとまず置いておきます)、価値があるものをさらりと否定するようなとんでもない人物は、こういう時代に伸びるのです。

規格外嫁に動揺した正吉は、店に戻ると妻のよのに「あんさんは店のことには何にも口出ししませんなあ」と語りかけます。かわいらしい飾り物をうれしそうに並べていたよのは、店の季節ごとのインテリアは私が担当していると言います。さらに羽織の色には別の紐の方が似合いますよとファッションチェック。こういう台詞は何気ないのですが、季節ごとにこの時代何を飾るものか調べなくてはいけないので、風俗考証さんがとても頑張っていると思います。また羽織紐のおしゃれも粋ですね。スーツに併せてネクタイを選ぶように、和装では羽織紐でおしゃれをするんですね。正吉はおっとりした妻にほっとした様子ですが、そこへよのはあさの噂を伝えます。しょっちゅう出かける、しかも行き先が芝居や買い物ではなく、ライバル店や米会所のあたりをうろついているとのこと。やはりあの嫁はおかしいと、正吉は唖然とします。

それを新次郎が聞きつけ、わての嫁は秋刀魚や鰹みたいなもんで、泳ぎ続けていないと死んでしまうと言います。よのは、

「嫌だす、うちの嫁はんがお魚(とと)やなんて〜」

とまた天然ボケ回答。いや、そこは「とんでもない嫁だ!」と怒ってもよいのでは。正吉も目をぱちくりとさせて、「秋刀魚……鰹……」と言うばかり。どうやら加野屋は、あさという暴走嫁に誰もブレーキをかけられないようです。

向かうところ敵なしで、誰も手足を縛ろうとしないあさ。一方で山王寺屋では、はつが手足を縛られるどころか軟禁状態でした。蔵に入りっぱなしではないものの、うつむき豪華な食前を一人でじっと見つめています。一瞬映るはつの食前は、秋の味覚があふれていてとてもおいしそうです。季節感を大事にしています。こんなにおいしそうな食事でも、はつは箸を付けようともしません。

お付きのふゆが心配していると、惣兵衛が部屋に入ってきます。座ることもなく立ったまま、ぞんざいな態度です。はつは何も食べずとも偽の手紙を書くことくらいはできますと、精一杯の抵抗をします。それに対して惣兵衛は、

「おまえはこの家の子を産まなあかんのや、ちゃんと食べい」

と言います。これはまずいです。おまえが心配だと言わずに、あくまで子を産む存在、将来の子のために食べろというのは、傷つく場合もある言い方です。ひどいとは思うのですが、それでも惣兵衛は本心で言っているわけではない、本当は心配しているのだと擁護したくなります。それというのも惣兵衛演じる柄本佑さんが、言葉に出さずに表情でいろいろなことを伝えているからです。はつは心の中で笑うのがわかると先週言いました。視聴者も言外にある惣兵衛の気持ちを読み取ろうとしてしまうのでしょう。

それがはつに伝わるのでしょうか? 夫に愛されていると実感できていたjはつは、敏感に気持ちを読み取ろうとしました。しかし今、心が弱ったはつにはできません。嫁ぐ時に母からもらったお守りを手に、妹のあさに向かって「もう笑われへん」と語りかけるはつ。たった数分なのに、なんとも濃い場面です。

一方のあさは、新次郎の蔵書からビジネスに役立つものはないか物色中。新次郎はめんどくさそうな反応をしますが、それも一瞬です。あさにはとことん弱いのです。先週の時点では新次郎があさを掌で転がしていましたが、あさもだんだんと夫操縦法をマスターしてきたのでしょうか。あさはさらに、貸付金回収をやりたいと頼みますが、それはあっさり断られます。そこであさは「なら相撲を取ろう」と腕力にものを言わせようとします。上手投げでえらい目にあっている新次郎は、断れないのでした。口も達者でパワーもあるし、土方に立ち向かったヒロイン……強い。それにしても波瑠さん、この相撲をとろうと挑む顔いいですね。芸歴の浅さもあって、演技力では周囲の人と比べるとちょっとまだまだなところもあります。が、時折見せるこういう表情、とてもいいですよ。

あさに根負けしたあさは、正吉に話を持っていきます。あさは既に予習をしていて、期限切れでも払わない宇奈山家に狙いを定めていました。このモデル宇奈山家のモデルは宇和島藩でしょう幕末の四賢侯の一人である伊達宗城のもと西洋化と富国強兵を勧めました。が、そうした藩政改革には莫大な金がかかったわけです。幕末に改革を推し進める人々はとても魅力的ですが、その影でこうしてお金に困る商人がいたかと思うと、歴史の見方が変わりますよね。

ここで正吉は新次郎にやはりあさは秋刀魚や鰹だと言います。正吉は常に餌を求めて泳ぎ回るあさに対し、小さな餌を毎日やり続けるよりは、大きな餌にがぶりと噛みつかせた方がよいと考えたのでしょうか。

「やってみなはれ」

ここで正吉、宇奈山家限定で許可を出します。『マッサン』でおなじみ、日本で初めてウイスキー販売した鴨居欣次郎(鳥居信治郎)と同じ台詞です。関西のイノベーションを感じます。

翌朝、あさはうめと亀助をお供に連れ、早速宇奈山藩蔵屋敷に向かいます。さしものあさも、門番二人に追い払われてしまい尻餅をつきます。そこで闘志を燃やすあさに、声を掛けたのはふゆでした。

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10/20(火)姉の苦境を知る

偶然山王寺屋ではつ付きの女中をしているふゆと出会ったあさ。再会を懐かしみます。

ふゆは山王寺屋の経営が苦しいことや、はつが手紙すら書けないことを話します。しかし。山王寺屋の番頭が近くにいることに気づいて焦り、その場を去ろうとします。あさはなんとか機転を利かせ、手紙を書くとふゆに託します。紙ではなく端布に書いたことがポイントでしょうか。

ふゆが山王寺屋に帰ると、菊があさから預かった手紙があるだろうと問い詰めます。番頭がどうやら目撃していたようです。菊の口調は明るく、笑顔すら浮かべていますが、これが怖いの何の。菊の命令で使用人たちが逃げるふゆを取り囲み、手紙を奪おうとします。ふゆは逃げ回り、手紙は枯れ井戸の底へ落ちました。もしこれがうめなら機転を利かすこともできたかもしれません。はつとあさ姉妹は嫁ぎ先だけではなく、お付き女中も交換していた可能性があるわけで、もしそうなっていたらどうかと想像してしまいます。

ふゆはその顛末をはつに話します(これが大きな声で報告していて、誰か聞き耳立てていないか不安になりますが)。はつはふゆから、あさが借金取り立てをしていたと聞いて、異変を感じ取ります。

「外では今、何が起こってんのやろ……」

はつはそうつぶやきます。聡明で敏感なのに、周囲の環境のせいでそれを発揮できないはつ。ここで自分が世の中のことを何もわからないとつぶやくのですが、そこで姑や夫のせいにはしません。何にも疑問を持たずに生きてきた自分が悪いのだと責めるはつ。

いやいやいや、しかしはつの何が悪いと言うのでしょう。幼少期から劣等生扱いのあさと違って、琴も礼儀作法も何もかもできてきたはつ。それを褒められこそすれ、それだけでは駄目だと誰も言わなかったわけです。はつは何も悪くない! そう画面の外から慰めたくなります。

あさの奮闘ははつの心をざわつかせ、はつの苦境はあさの闘魂を駆り立てます。あさは気張って生きていくことを姉妹おそろいのお守りに誓うと、宇奈山藩蔵屋敷に再度チャレンジします。ラウンドツゥー、ファイッ! あさは時にフェイントで、または四股を踏んでパワーで、何度も何度も借金取り立てに挑みます。借金取り立てに朝から挑むヒロイン、斬新です。

その頃山王寺屋には徳川家の使者が来ていました。惣兵衛は流石におかしいと危機感を覚えていますが、世代間の差でしょうか。菊は相変わらずプライドだけ。惣兵衛の父・栄達は「大政奉還があったとはいえ、そう簡単に天下は変わらない」と言います。大政奉還! 今年の幕末大河ではスルーされたビッグイベントです。

後世からしますと、大政奉還なんて終わったらもう徳川は終わっていると思うわけです。しかし、当時の人はこんな感覚だったのだろうなと改めて思いますね。人間というのは、起きたら取り返しのつかないことは「起こるわけがない」と思い込むことで精神的均衡を保つこともあります。そういう心理かもしれません。

そこへはつがやって来ます。以前店に出ようとしたら蔵に監禁されたわけです。意を決したのでしょう。菊があさを侮辱した時もあさを庇い反論しますし、自分は家を守りたいのだと惣兵衛に訴えます。しかし惣兵衛は無言ではつの願いに背を向けるのでした。

ここであさの戦いはラウンドスリーか、と思っているとよのがお小言です。どうやら近所で、加野屋の若奥さんはド変人扱いだと噂になっているとか。蔵屋敷前で四股を踏んだりしていたら、確かにそうなるでしょう。ここであさをきつくしかり飛ばすのではなく、よよよとわざとらしく泣き崩れるのがよのです。するとお付き女中も新次郎も、両脇からすぐに支えます。よのという人は蝶よ花よと育てられ、涙をこぼせば周囲が言うこと聞いてくれたんでしょうね。

そこへ突然、店の中に投石攻撃が。異常なまでの不景気、世情不安となりますと、公務員や金融業に庶民の反発は向かうもの。それは江戸の世も同じようです。なんやあいつら、蔵の中に千両箱貯めておって、てなもんでしょう。その蔵がすっからかんなんて、投石するような人は知るはずもないのです。

今日の最後はあさのラウンドスリー。今日はパワーではなく粘る戦法にしたようです。お勘定方が来るまで屋敷前で座り込むと宣言したところ、相手も根負けし、中で待つようにと言い渡します。ところが、あさたちが滞在場所として案内されたのは、なんと加子部屋。褌一丁の男までごろりと寝転がる男臭い場所でした。歴史ドラマでもスポットがなかなか当たらない、下っ端の水夫たちです。こういう脇役たちの生態が垣間見られるのも本作のおもしろさ。さあ、この男臭い部屋であさはどう過ごすのでしょうか?

 

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10/21(水)今週のミッションを早々に終了させるドラマの底力

加子部屋に通されたあさは、怯むこともなく枕を出して寝てしまいます。むしろ動揺しているのはお供の亀助と、あさから店に戻されたうめから事情を聞いた新次郎と正吉です。あさはいつ帰ってくるかおろおろするほかありません。そこへあさはけろりとした顔で、しかも一部借金を回収して無事戻って来たのでした。あさは正吉に加野屋の一員として認められ、他の借金回収も認められたのでした。あさ夫妻、その家族、使用人までキャラクターが生きていて、雑談ひとつとっても楽しくなってきましたね。ドラマの世界の中、いきいきと人物が動いています。

朝ドラは週ごとにミッション設定があることがあり、土曜日に解決されるパターンが多いものです。前作『まれ』はその典型で、月曜日と土曜日さえ視聴すれば話が追えました。ところが今週は水曜日前半で借金回収ミッションはあっさりと終わってしまいます。

一方の山王寺屋。使用人を次から次へと解雇してしまったため、主人の栄達が薪割りをしています。気遣うはつに、番頭あがりの苦労人だからこのくらい平気だと語る栄達。強烈な菊のせいで影が薄い人物ですが、よい人ではあるようです。そこへ惣兵衛がよろめきながら入ってきます。

「徳川様の幕府が、のうなってしもうた……」

ついにこの日が来ました。大政奉還まではそう簡単に崩れないと言い合ってきた山王寺屋の人々。これからどうなってしまうのでしょうか。

ここからは大阪の町人が見た歴史の転換点です。歳が敢えて慶応4年(1868)、亀助は鳥羽伏見の戦いを知らせる瓦版を見て驚きます。徳川慶喜の敗走に加野屋の人々が驚いていると、丁稚・弥七が慌てて異変を知らせに来ます。あさたちが外へ出てみると、なんと大阪城から煙があがっているのでした。

この場面、朝からぞっとしました。私が思い出したのは911、ツインタワービルに飛行機が突っ込んだあの瞬間です。街のシンボルである大きな建物が燃える絵は、時代が変わると人々に知らしめる悪夢の瞬間でした。驚き城を見守るあさたち一人一人が、もう引き返せない転換点の向こう側に行く瞬間です。ずっと同じように続くと思っていた人生が、そうではないと思い知らされる日です。昨日と同じ明日は、もう来ることはないのです。

そしてこの大阪城の場面、ツイッター上ではなぜか徳川慶喜がひどいと言及される事態に。念のために書いておきますが、徳川慶喜は出てきません。視聴者の脳内で、大阪城から嫌がる松平容保らを引き連れて、江戸まで逃げる慶喜の姿がフラッシュバックするわけです。先週の土方歳三の出番もそうでしたが、うまく史実とリンクさせる話や絵を作り、視聴者側に脳内補完させる仕組み作りが実にうまい。弾丸一発飛び交わなくても、戦争や激動の歴史を描くことはできるのです。こういうのが見たかったんですよ!

正吉や栄達を含め、大阪の有力商人たちは、新政府から呼び出しを受け二条城まで向かいます。しばらくして、正吉は腰を抜かさんばかりにして、這々の体で帰宅します。

正吉が語るには、なんと十万両を調達しろと新政府から沙汰が降った、とのこと。新選組の四百両がささやかな額に思えてきますね。しかも借金ではなく、献金要求ですからね……十万両とは、千両箱で換算すると百箱とあさ。先日蔵には千両箱なんて少ししか無いとビジュアルで見せているので、絶望感がわかりやすいです。この莫大な金額で何をするかと言うと、江戸以北を攻める軍資金だそうです。

ちなみにこの時新政府が大阪の商人に求めた総額は、三百万両です。それを皆で分けて加野屋は十万両になったわけです。山王寺屋も同様に要求があるでしょうから、もうひとたまりもないでしょう。

燃える大阪城を見て徳川慶喜を思い出した人がいたように、私は二年前の『八重の桜』で山本覚馬が会津を攻めるなと叫んでいた姿が甦りました。故郷を攻め込まれるのもつらいことですが、金を根こそぎ取られるのも悲惨です。

さらに新政府軍は行く先々で軍資金と食料を供出させています。金目のものを求めて蔵ごと掠奪してもいます。戊辰戦争では大勢の人がたいへんな目にあっているわけです。そんな目にあわされてから十年そこいらで、薩長出身の県知事が赴任したときの県民感情を、某大河脚本家はお察し下さい。

今年の大河が、鳥羽伏見あたりから一気に戊辰戦争をカットした理由がおわかりいただけたでしょうか。「いろんなところから金をしぼりとっても! 相手が恭順すると言っていても! それでも戊辰戦争は必要です!」と説得力を持って描けないという完全敗北宣言でしょう。それで得意げな顔をして新しい日本を作るとか言われましても。

大河では逃げ回っても、朝ドラががっぷり四つ組み合う夜明け前。大阪商人から見た激動の時代、楽しみにしています。

10/22(木)十万両を脅し取られる?

 十万両の要求を受け、加野屋は大パニック。ショックで腰を抜かし正吉は寝込んでしまいます。あさはそんなばかばかしいことになんで金を出さねばならんのかとお怒り。戊辰戦争の大義もあさにかかれば形無しです。雁助は一応、新しい時代のためには戦わなければいけないとかなんとか言うものの、苦しく聞こえます(私の脳内では八重さんも「んだんだ、人の金使ってまで会津を攻めることはねえ!」と言っています)。ここで一同、他の店はどうするのかと思い出します。

天王寺屋では、女中も暇を出したのかはつがお茶を運んでいます。菊、栄達、そして惣兵衛は今後を話し合いますが、金なんてあるわけないのです。それでも新政府には従って払った方がいいと意見を言う惣兵衛ですが、菊は一蹴。返す刀でおまえが悪い、二百年続いた家を潰すことになったと文句をねちねち言います。二百六十年続いた徳川幕府が潰れる時代なら、二百年もった商家が潰れてもおかしくないと思うのですが。菊の八つ当たりは、お茶を運んでいたはつにまで及びます。もう天王寺屋は終了ですね。

加野屋では、正吉は頼りにならない息子ではなく、嫁のあさに意見を求めます。新政府なんかに一銭もお金なんて出したくないと言いながらも、借金をしてでも払った方がよいのではとあさは答えます。とんでもない状況ながら、切り抜けて新時代の朝を信じるあさが心強いです。しかもここで新次郎の言葉を引用するんですね。あさの精神に正吉もすっかりあさを信用しています。嫁いで来てから間もないのにここまで信頼されていると主人公補正(さすがヒロイン様)になりそうですが、あさの場合今までも「びゃっと筋を通」してきたので、嫌味がありません。正吉はあさの意見を受け入れ、残金がいくらか数えるように依頼します。正吉は積極的に新政府と結びつく路線で行くようです。

 

かくしてまたあさ夫妻の寝室は、大福帳だらけに。あさは新次郎にアドバイスを求めると、ちゃらんぽらんのようで知識教養のある新次郎が井原西鶴『日本永代蔵』の「長者丸」を語り出します。ここで新次郎とあさが、コスプレ姿で長者丸寸劇をします。こういう変なセンス、NHK大阪らしいです。新次郎はあさに本を渡すと出かけようとするのですが、本に中にあった言葉を引用したあさに遊んでばかりではいけないとたしなめられます。

十万両のピンチをどう乗り切るか思案中の加野屋に、さらなる試練が襲いかかります。なんと大阪で流通していた銀貨を使えなくしたのです。江戸時代は江戸は金本位制、大阪は銀本位制だったいたのですが、新政府は統一してしまったわけです。いきなりあんたらの持っている銀貨は使えませんとなったら当然パニックです。手形を持って大勢の人々が押しかけてきます。銀手形を預け、それを金手形にすればよいのですが、群衆は既に冷静に考えられなくなっています。

加野屋は正吉が寝ているため、番頭の雁助が応対に出ますがかえって群衆を怒らせてしまいます。頼りない新次郎も幼い榮三郎も出すわけにはいきません。そこで、あさが出ることに。さあ底力をどう見せるのか!?

実は今日、全体から浮いたシーンがありました。今週の五代パートです。大蔵一蔵と差し向かいで呑む五代は、新政府参与にスカウトされていました。ここで二人はもう薩摩の人間ではなく、日本人になったのだと語り笑い合います。維新もののテンプレとも言える会話ですが、もうこういうのが色褪せて胡散臭く見えてしまうのです。彼らの言う「日本人」には、幕府側の人間、武士以外の人間は含まれているのでしょうか。明治時代、権力に近い立場や軍上層部は多くの薩長出身者によって占められました。なぜ明治政府の実力者には薩長が多いのか? なぜそんなにすごいのか?とかそんなネタを時折見かけますが、出身者優遇の結果ですからね。皆が新しい日本人になったぞ、みんな差別しないで公平に扱うぞ、というわけでは決してありませんでした。

さらに本作では、敗者側の不公平ではなく、身分による不公平も描かれました。五代にせよ大久保にせよ、彼らは武士です。武士は尊重する一方で、商人たちからは金を根こそぎ取っても平然としているわけです。新日本、新日本人を作るための痛みだ、犠牲だ、仕方ないと言ったところで、金を請求された商人や銀手形を持って集まっていた群衆は納得するのでしょうか。新しい時代の到来に目を輝かせる彼らに、維新で苦しむ人々の姿は見えているでしょうか。その答えは、これから五代を通して描かれるのでしょう。

10/23(金)姉妹それぞれの旅立ち

あさは爆発寸前の客に対峙します。あさは窮地に陥った母子の必死の訴えを聞き、金を貸すことを決意。あさは早くも貫禄が出てきました。しかし、赤ん坊を抱えた母親を見たら苦しそうな、つらい顔になる。よい意味での二面性があります。人情もわかれば、商売も考える。そんな理想の若奥さんに成長しています。

番頭の雁助はあさの決断に文句をつけますが、正吉が一喝して黙らせ蔵を開けさせます。正吉は完全にあさの決断を信じているのです。一人一人の話をちゃんと聞いて、お金を渡すことに。

群衆を黙らせるにはこれしかなかったでしょう。とはいえ、金はもうありません。これからどうするか悩むあさに、正吉は奈良に金を借りるあてがあると伝えます。あさは早速、奈良へ向かう準備をすることに。

正吉はあさが立ったところで、新次郎に感謝します。あんたが嫁トレードを快諾したことで、あさちゃんという最高の救世主が嫁に来た、人を見る目はある、と。また、金の卵であるあさをあたためているのだと新次郎も褒めます。夫の新次郎のみならず正吉自身にも、山王寺屋の菊のように嫁を制限しない度量があるからこそ、あさは活躍できているのですね。もし夭折した新次郎の兄・正太郎が加野屋当主で、真面目すぎてとんでもない弟の嫁のあさを遠ざけていたら……やはり駄目だったかもしれません。本人の才能だけではなく、周囲の協力も不可欠です。

あさと違い、嫁ぎ先に恵まれなかったはつはどうなったのでしょうか。店のために何かしたいと菊に直訴しても、「琴なんか弾けても何の役にも立たへんかったなあ」と嫌味を言われてしまいます。理不尽過ぎる!! しかもお付きの女中・ふゆまで解雇されると伝えられ、はつは絶望の底に沈むことに。はつは枯れ井戸の淵に手を掛け静かに涙を流します。そしてふゆが落とした手紙を拾おうとして、中に転落してしまいます。頭から落ちたように見えて大変おそろしい場面です。ともあれ、やっとあさの手紙を手にしたはつ。そこには「わろてね」の一言とへのへのもへじが。はつはやっとほっとして、声をあげて笑います。この家に来て初めて、声を出して笑ったとひとりつぶやく、はつ。

「はつー!」

そこへ惣兵衛が駆けつけます。これまた初めてはっきりと動揺を表し、はつの救出に向かう惣兵衛。井戸の底に降りた彼は、はつを愛おしげに抱きしめます。ついに! 惣兵衛が! 愛情を態度に出しました。どん底の中でやっと素直になれた惣兵衛。今状況的に、この夫婦は底にいるのでしょう。底にいるのならばあとは昇るだけと信じたいです。史実を曲げてでも、ささやかな幸せを掴んで欲しい二人です。惣兵衛にとってはつはどん底にあってもなお美しい希望で、はつにとって惣兵衛は暗闇に差し込む光であればいいですよね……。

奈良へ向かうあさに対し、惣兵衛とはつも金策に向かうよう指示されます。行き先は新たな時代の風に乗ったはつの実家・今井家なのでした。

10/24(土)キター!五代!

 奈良まで山道を玉利まで向かったあさ。留守を守新次郎は自分が行った方がよかったやろか、と悩みますが「山道は苦手やし」と悪びれる様子もありません。その加野屋の前に立つのは、なんと五代。

五代が新政府の一員として処理することになったのは、実は外国人殺傷事件であったりします(神戸事件、堺事件。劇中だと今週半ば頃設定)。新政府を支持する中には弱気の徳川幕府ではできなかった攘夷を、新政府なら完遂できるはずと思う者もおりまして……そういう人もいた以上、案の定怒るべくして起こった事件であります。その事件担当者が洋装というのは煽っているといいますか、結構危険な気がします。五代は外国にかぶれやがったスカした奴と思われていたと言いますか、結構敵が多かったりします。彼がルー大柴語を使い、常に洋装なのは、劇中の表現として最先端を示しているからでしょう。

さてその五代、一体何の用件でしょうか。新次郎もいぶかしげな顔ですが、五代の噂を聞いているようで出迎えます。五代は今日も変人です。新次郎がなぜあさを知っているか尋ねても、運命としか言いようがありませんなあ、ガハハ!と完全に答えがおかしい。それも五代だから仕方ない。ここで新次郎、明らかに「あ、こいつおかしい」という感じでいきなり酒を出します。おかしい上に新政府の一員って、まあそうするしかありませんわな。

五代才助

五代才助なにもの?

一方で女中たちは、謎の登場、イケメン、しかも外国語を操るなんて何者なんやざわざわ……としております。よのだけは新次郎とイケメンかぶってよろしくないと不機嫌な様子。

この女中の騒ぎ方、五代を演じるディーン・フジオカさんへの視聴者の反応とかぶりすぎていて、面白いことになっています。

・NHK朝ドラ『あさが来た』のイケメン、五代友厚役のディーン・フジオカが人気沸騰中!「スペック高すぎ」「毎朝楽しみ」 - AOLニュース http://news.aol.jp/2015/10/17/deanfujioka/

一方、奈良の玉利邸宅でのあさはなんと、大道芸人たちが集まっている馬小屋に案内されてしまいます。加子部屋以下だとこれにはあさもお供の亀助もびっくり。しかしあさは猿回しの連れている猿にはしゃいでマイペース。なんと馬小屋掃除を始めてしまうのでした。

場面が変わると、五代が加野屋を去るところでした。五代は何故借金しに行くのが旦那の新次郎ではなく、あさなのかと疑問をぶつけます。新次郎のとぼけた答えに五代は納得のいかない顔ながら、新次郎に握手を求めます。意味がわからない新次郎は、提灯が欲しいのかと勘違いして渡します。

この場面、実におもしろいですね。イギリスで自転車に乗る女性を見て、日本の女性より大胆だと驚いた五代。それでもあさなら自転車を乗りこなすだろうと彼は思いました。そんな大胆な女性を見てきた彼ですら、あさが実際に取る行動は最先端過ぎるのです。大阪の商家の女であるあさの方が、五代が見たイギリス人女性より大胆で進んでいるわけです。握手を求める仕草でも示される、本作で最も進んだ五代。その五代すら理解できないのが、あさなんですね。

 一方、京都に向かった惣兵衛とはつ夫妻。惣兵衛はこんなことではつを里帰りさせてしまうことに罪悪感を抱き、妻を気遣います。はつも惣兵衛を気遣い、自分一人で借金を頼みに行くと言います。惣兵衛は井戸転落事件から喋り方に抑揚がつき、表情も出てきました。明らかに彼の中で何かが変わっています。

久々に登場した今井忠興の前で、窮状を訴える惣兵衛。しかし忠興は、返すめどはあるのかと厳しい態度で断ります。梨江は夫の態度に驚き、娘のためを思って貸せないのか訴えます。

梨江は母として、忠興は商売人として、この申し出を聞いているのでしょう。嗅覚の鋭い忠興は、時代の風を読んでそこに乗ってきました。いくら金をここで貸しても、菊に頭のあがらない栄達や惣兵衛に事態の打開策はない、と彼には理解できていたのでしょう。金を貸したところで、延命措置にはなっても救命措置にはならないのです。

そのことを、おそらくはつや惣兵衛もわかっていたのではないでしょうか。はつはどこかすっきりした様子で、金は欲しい一方で断って欲しかったと語ります。それにしてもはつを演じる宮崎あおいさん、完全に台本を読み込んでいるとわかる安定した名演ですね。

玉利はあさが馬小屋掃除をしていたと聞き、興味を抱き会うことにします。おお、笑福亭鶴瓶さん、完全に大物豪商の雰囲気だ! 先週の山本耕史さんに続いての豪華ゲストですが、劇から浮かび上がらずすっきりなじんでおります。あさは金を借りる立場であるのにまったく卑屈さはありません。惣兵衛のように頭すら下げずに相手をしっかり見つめます。ここであさが世の中が変わると考えている、新しいビジネスプランがあると堂々と語るんですね。実はまだ何をするのか決めていないのですが、秘密だからと何かあるふりを通してしまうのです。なかなかの策士、空城の計のようです。あさのはったりは成功し、見事金を借りることができました。しかもなんと、玉利から日本一の女商人になると太鼓判を押します。能登の食材を食べていたから味覚が鋭いんだヒロイン様流石!とか馬鹿な理由で、馬鹿な主人公の持ち上げをされるとしらけますが、あさは土方とやりあい、大名から金を取り立て、銀本位制廃止で怒る群衆をなだめた猛者です。しらけるどころか。納得できます。

意気揚々と帰路についていたあさは、偶然はつと再会します。お互い頑張ろうと語り合う姉妹。ほんの短い間でも、この二人が出会うとほっとします。惣兵衛ははつにうちを恨んでいるのではないか、本当は加野屋に嫁いでいればよかったのではないかと語ります。花嫁交換の話を知らなかったはつは驚きます。

総評: 今週も見事でした。大阪城炎上を呆然と眺める場面は、明治維新を表す映像表現として本当にお見事でした。そんな中、あさはめきめきとレベルアップします。借金取り立てていた週前半と、玉利と対峙する後半では明らかにレベルが違う! これまたお見事です。

一方で坂を転げ落ちるようなはつの運命。しかし、井戸の底で惣兵衛と心を通わせる場面や、父から借金を断られて微笑む表情を見ていると、彼女が決して不幸なだけではないと思わせます。はつははつで、自分の運命と向き合い強く成長しているのです。

四周目まで来た今、視聴者もぐっと姉妹の運命に引き込まれています。あさの活躍を楽しみにする一方、なんとしてもはつと惣兵衛には幸せになって欲しい……そんな願いを抱く人が増えているようです。そんな願いに応えられるのでしょうか、来週のサブタイトルは「お姉ちゃんに笑顔を」。かつてここまで、見る側の願いに合致したサブタイトルがあったでしょうか。お姉ちゃん、笑ってくれええ!!

武者震之助・記

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