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あさが来たレビュー

あさが来た感想レビュー!第5週「お姉ちゃんに笑顔を」とんだ迷惑だった明治維新を初の視点で斬新に切なく描く

更新日:

おはようございます。今週も絶好調の朝が来ました。

離陸するまでに総距離三分の二を助走に費やし、最終版になってまで「長い目で見て欲しい」というドラマが世の中にはあります。

・NHK会長、「花燃ゆ」視聴率“離陸”を宣言

http://www.hochi.co.jp/entertainment/20150903-OHT1T50139.html

・ドラマ最前線 制作者インタビュー  NHK 小松昌代 今の大河ドラマのトライを、長い目で見てほしい(木俣冬) - Y!ニュース http://bylines.news.yahoo.co.jp/kimatafuyu/20151002-00050070/

一方、本作は完全に離陸。レビューやニュース、SNSを見ていても熱い好評意見が多く見られます。

・ [あさが来た]NHKに好評意見が続々 「ここ何年かでは珍しい…」 | マイナビニュース http://news.mynavi.jp/news/2015/10/21/395/

視聴率も付いてきています。

先々週の視聴率上昇は山本耕史さん効果かと思われるところもありましたが、先週も数字評価ともに伸ばして来ました。

・「あさが来た」第4週平均は自己最高22・3%!4週連続大台超え ― スポニチ Sponichi Annex 芸能

http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2015/10/26/kiji/K20151026011387650.html

また先週の内容で私の見落としが。あさが玉利、惣兵衛夫妻が今井家に借金を頼み混む場面です。あさは出された座布団を避けて座りましたが、惣兵衛夫妻はそのまま座布団に座りました。破天荒に見えるあさですが礼儀はわきまえていて、一方で惣兵衛たちはこの期に及んでも詰めが甘いとわかる細かい演出です。こういう積み重ねが、高評価につながっているようですね。

実はわたくし武者は、レビューのためもあってか毎日二度か三度は本作を見直しているのですが、そのたび小ネタの発見があり、噛めば噛むほど味が出てきています。本当に面白いですね。そんなわけで、評価が甘くてすみません。

 

10/26(月)新国立競技場問題が切なくよぎる幕末維新

明治維新という新しい世は、大阪の町人にとって歓迎できないものでした。加野屋は持ちこたえたものの、山王寺屋はもう息の根が止まったようです。

明治維新って、国立競技場問題みたいなものじゃないかと思うのです。古い競技場=徳川幕府ではもう駄目です。補修改修が必要だと思う人は多かった。じゃあ壊してしまえと倒幕してしまうわけですが、新しい競技場=明治政府を作るとなると、ものすごく大変だということがわかった……。

「そうなるなら壊す前に気づいたら? 新しいものが必要なのはわかるけど、もっとやり方あったんじゃないの!?」

と、思う当時の人は多かったと思うんですよね。倒幕したはよいものの、ちゃんとした新政府の青写真があったかというと、そうとは思えないのが維新の難しさです。そういう混乱の現れのひとつに「萩の乱」などの士族反乱もあるのですが……大河の描写があれではねえ。

戦場になって負けた会津、将軍様のお膝元江戸、そういった側からの不満点が描かれることは今までありましたが、銀本位制を廃止されるわ、もろもろで大混乱の「大阪から見た明治維新」は今までに無い切り口ですね。果たして大阪のあさたちは、この局面をどう切り抜けるのか!?

明治を迎えた大阪の街は、銃を担いだ兵士が歩いているくらいしか表面的な変化はありません。加野屋では、あさの手腕にすっかり感心した亀助が「頼もしう思えてきた」と語ります。それに雁助が茶々を入れ、口論に。この口論で、亀助が独身、雁助が妻に逃げられてバツ一独身ということが暴露されます。こういう本筋とは関係ない脇役のやり取りが面白いです。「思わせぶりに出てきて、しかも面白い役者を使っているのに、結局あいつは何だったんだ……」みたいな、脇役を腐らせる使い方はしておりません。ここを止めるのが正吉。エスカレートしても、人の心は傷つけるなと彼の優しさがよくわかる止め方です。

あさは姉のはつの様子が気になって仕方ありません。ここでのあさと新次郎の、「おいど=おしり」が出てくる会話がいいですね。おいどをぶたれていたあさでしたが、今はおいどが立派な若奥さんになっているわけです。新次郎はあさを連れて、山王寺屋を偵察することを提案。といっても、三味線の稽古ついでのようですが。美人の三味線師匠・美和を思い出し、あさは気がかりです。

山王寺屋の前は、提灯を持った群衆が押しかけていました。この場面、照明効果が面白い。提灯だけが光っていて、群衆は顔が見えないまま動いているのが何とも不気味なのです。「画面が暗い!」というのはクレームとしてよくありがちですが、暗い=悪いわけではないのですね。見せ方の問題です。この場面で顔がはっきりと見えるのは、あさと新次郎だけ。暗闇の不気味さがあさの心情ともシンクロします。次のカットでは山王寺屋の暖簾が無残にも踏みつけられています。加野屋の朝を描いた場面で、亀助が笑顔でバサリと暖簾を掛けていました。山王寺屋にも同じように暖簾に誇りを持つ人たちがいたはずです。踏みにじられる商売の誇りが、なんとも哀しく見えます。

苦境に陥っていたのは山王寺屋だけではありません。なんと維新の混乱で、大阪の両替屋は9割潰れました。加野屋も綱渡りです。ドラマの構成上、機転を利かせた加野屋ギリギリの成功と、無策な山王寺屋の失敗が対比されておりますが、9割も潰れるような状況ではどうしようもなかったのでは。いくらなんでも、新政府のやり方が乱暴過ぎたのではないでしょうか。亀助の台詞の「なんでこないことに。新し時代なんて言うけれど、なーんもええことあれへん」が、当時の大阪商人の正直な気持ちでしょう。

加野屋は、山王寺屋の二の舞にならないよう重役会議を開きます。正吉は自分の商売だけの問題ではない、自分まで潰れたら大阪の商売全体が危ういと踏ん張る決意を新たにします。さらにしっかり者の三男・榮三郎も「天子様も新政府も江戸に入ってしまった。このまま何もかも江戸に取られてしまったらかなわない」というようなことを語ります。子役から成長していないように見える彼ですが、精神は着実に育っているといいますか。神童か!

そして明治維新と大阪という、新たな視点にぐっときます。そうか、大阪にとって明治維新は「かまいませんわ! 上方の意地、見せたりましょ!」なんですよね。そしてこの榮三郎の台詞、本作スタッフの心意気なんじゃないかと思います。そりゃ、気合いも入りますよね。

気合いの入ったところで、あさの言うところの新しい商売について語り出します。この場で一番当時者意識も危機感も薄そうな新次郎が、ここで三味線仲間から聞いた噂を語り出します。ふらふらと遊んでばかりの新次郎の社交性が、道を拓くこともあるわけです。新次郎が聞いたのは、炭鉱経営のことです。しかし石炭が何をするのか、どうやって商売するのか、てんでわかりません。雲を掴むような話です。石炭と言えば現代人は燃料だと思いますが、正吉らは「石」と思っているのも面白いところ。用途すらよくわかっておりません。正吉はあさに意見を尋ねます。よのはおらず、あさだけこの会議にいるのもポイントですね。あさは加野屋の商売にとって、行方を決める一員であるわけです。

しかしあさは、はつのことが気になって上の空です。あさはうめとともにはつを探すことにします。やっとそれらしき噂を聞いたあさは、谷町というスラムのような場所へ向かいます。力なく歌う老婆の歌詞は不吉。そこで出会った水桶を持つはつは、ちぐはぐな着物と帯にやつれた顔。はつは無言で家の中に逃げ込みます。障子越しに開けとくれやすと何度も頼むあさと、それに答えず戸を押さえ続けるはつ。姉妹の再会はどうなってしまうのでしょうか?

 

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10/27(火)転落した姉との再会

「お姉ちゃん!」

あさの悲痛な声が長屋に響きます。しかしはつは、戸をしっかりと押さえ、帰ってくれと言うのでした。

「これが山王寺屋のなれの果てだす」

とはつに言われ、あさは何故自分に相談してくれなかったのかと訴えます。何故姉の苦境に気づかなかったのか。助け合えなかったのかと悔やむあさ。すると中から菊が、今井家が助けなかったからだと罵ります。はつは声を震わせ、ついに「あんたの顔なんか見たないの!」と言います……あさはこうまで姉に言い切られ、愕然として去ります。はつはあさが去ると「会わせる顔があらへん……堪忍してや」と泣いてしまいます。

この場面、絶対総集編に入る名場面ですね。既に多くの方によって指摘されているとは思いますが、扉越しに妹が心を閉ざした姉に語りかける姿は、『アナと雪の女王』を思わせます。制作側があのヒット作を意識したかはさておき、姉妹が互いに思い合う姿は感動的であり、「真実の愛」なのだと示したことは確かです。これから二人の運命はどうなるのでしょうか。

元気が取り柄のあさも、姉の苦境に心を痛め泣くばかり。それを夫の新次郎が慰めるかと思っていたら、「うんとかすんとか言うけど、うんはともかくすんって何やろ〜」とかしょうもないことを言い、ふらりと出て行ってしまいます。意地悪というよりも、自分にできることなんかないと割り切っているからでしょうか。この新次郎はひどいのですが、玉木宏さんは愛嬌たっぷりに、憎めない演技を見せております。

あさは翌日、またも着物や食べ物を持って長屋を訪れます。が、はつは去った後。謎の老婆が借金取りに追われて逃げたと笑います。この老婆、妙に妖怪ぽくて雰囲気出ています。あさが落ち込んで泣く加野屋の部屋には、テーブルが。洋風を取り入れております。正吉は山王寺屋の借金が莫大であり、今井家から借金をしても助からなかった、忠興を恨まないようにということ。また自分を責めたらいけないということ。そう説明し、あさを慰めます。ここでよのが呆れている通り、本来こういう慰めは新次郎がすべきなのですが。

五代才助

五代才助

そこへあの五代が来訪。また正吉に通じない握手をしようとし、誤解されます。五代はもう関西弁をマスターしており、正吉が感心します。関西の人ってネイティブ以外の関西弁に厳しいイメージがありますが、果たして。五代は大久保と会話しているときを除くと、出番ごとに薩摩弁がだんだんと薄くなっていましたが、ついに切り替えたようです。薩摩弁は難解な方言として有名ですので、五代なりにいろいろと配慮しているのでしょう。また正吉が指摘した通り、関西のビジネス環境になじむぞという気合いの現れでもあるでしょうね。

五代はズバリと用件を切り出します。東に遷都した、大阪商人の奮起が必要だと熱く語り出します。ここでジャージャージャンと、五代のテーマらしきエレキギター。そして炸裂するルー大柴語。

「ビッグなカンパニーを作ってビジネスを、ビッグなトランザクションをできるようにしないとあきまへん」

なんで薩摩弁をやめておきながら、英語混じりなんや! 明治の意識高い系男・五代のプレゼンテーションに正吉は唖然。後ろで台詞もなく映っている亀助も困惑しております。得意げな顔をして何がビッグカンパニーだ。

そこへあさがお茶を持って入ってきます。五代はすっかり意気消沈したあさに戸惑っております。これまた戸惑っている正吉も、五代の熱意はわかってもすっかり意味がわからず、提案を婉曲に断ります。

あさはとりあえず五代を無視してはつを捜索しようとします。新次郎に止められ泣いていると、五代がそこへ出てきます。

「おい、そこの娘!」(エレキのジャージャージャーン付き)

なぜか挑発的にあさに声を掛ける五代。「ヘイガール!」でもいっそよかった気がしますが、この先は明日に続きます。インパクトを見せ付けた五代さん、ツイッターでもトレンド入りです。

一方山王寺屋の面々は、大八車に荷物を積んで夜逃げ中。解雇されると言われていたふゆも付いております。はつが必死で一晩だけでも泊めて欲しいと民家に宿を乞うも、断られてしまいます(この断る主は確かマッサンとエリーが借りようとした洋館の持ち主だったような……)。はつははつなりに、ここまで落魄しても家を守るため交渉するのですね。途中、白足袋で水たまりを踏んでしまった菊は、ついに我慢の限界に達したのか、はつを唐突に「あんたが嫁いで来てからなんもええことあらへんねん、疫病神め! ご先祖からいただいた山王寺屋を返せ!」と罵り始めます。そういえば菊、他の人は皆粗末な着物になっているのに、この人だけよれよれだけど高そうな着物です。今度は惣兵衛がブチ切れました。「疫病神はおまえや!」と菊に向かって絶叫すると、荷物から包丁を抜き取り、菊に斬りかかります! しかし、包丁が当たったのは間に入ったはつの腕でした。衝撃の展開です。

と、ここでまた衝撃の展開が!

・「あさが来た」に驚きすぎた有働アナ、つけまつげポロリでびっくりぽん! - ねとらぼ http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1510/27/news082.html

あまりの結末に固唾を呑んで見入っていた、「あさイチ」の面々。するとなんと、驚きすぎて有働アナのつけまつげが取れてしまいました。これぞびっくりぽんや!

あさが来た(霜月けい・絵)

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10/28(水)五代は言葉責め大好きなMなのか

 惣兵衛に斬りつけられたはつですが、幸い傷は軽い様子。はつは家がなくなったのは誰のせいでもない、悪いのは新政府だと言います。そして、自分に出来るのは前を歩くだけと健気にも言います。腰が抜けた菊を惣兵衛が背負い、栄達が大八車を引き、山王寺屋はどこかへ歩いてゆくのでした。

加野屋では、五代があさに勝手に失望して罵ります。おしとやかにお茶を出したことを責め、かなり理不尽です。しかもとどめは、この店なんて勝手に潰れたらええ、とまで言います。ここであさ、キレて反撃開始。

「あぁ? テメエこそムカつく新政府役員になっているとかナメてんの?(意訳)」

周囲はハラハラします。ムカつくと言われ、店を去り掛けた五代が戻って来ます。あさは止める周囲を無視し、さらに続けます。

「ムカつくに決まってんだろーがよ。こっちが商売困っているのはテメエら新政府が金もねえくせに国作りとかやって、金ぶんどったからじゃねえか。大金せびっておいて勝手に潰れたらいいとか馬鹿じゃねーの。どの口が言ってんだコラァ! うちが苦しいのも山王寺屋潰れたのも借金を返さない大名や新政府のせいだろうがぁ!?」(意訳)

あさの暴言に新次郎もヘルプを求めます。

「こんな明治の世にしてくれなんて誰も頼んでねーだろ!」(意訳)

さらにとどめ。

「新政府なんてクソくらえだすーーーー!!」(ママ)

すっご……クソくらえとか朝から叫んじゃったよ。品行方正清純派が多い朝ドラヒロインがクソくらえだよ。どこのラッパー抗争だよってくらい罵りあってとどめがコレだよ。パニックになって、うめがひたすら謝ると五代は、

「ワンダフォー……!」(ママ)

 何故か恍惚とし、「これが聞きたかった!」と大興奮。マゾなのか、五代さんはマゾなのか。それとも少年漫画的な師匠の「それがおまえの力か!?」系挑発なのか。

重要人物、特に歴史ものでは有名な人物がヒロインを褒めることでヒロインを持ち上げる手法はよくあります。これもその一種ですが、あさはクソくらえだし、何よりも五代にドM疑惑が持ち上がるほどクレイジーなので、嫌味がありません。大阪再生の偉人である五代さんをNHK大阪はどうするつもりなのでしょうか。目が離せません。どんなにマッドな五代像を確立したとしても、どこぞの群馬県令と違って水増し不要の功績持ちなので、問題はないかもしれませんが。マッサンも駄目ニートにしましたし、NHK大阪は関西の偉人をただ褒めるだけではなく、茶化さないとあかんのでしょうか。

五代はあさを大阪商人の寄り合いに出すよう要請。正吉と新次郎の許可も得て、あさは気が進まないまま寄り合いに参加することに。紅一点のあさは酒のお酌をさせられ、セクハラまがいのことを言われます。『カーネーション』の糸子を思わせるシチュエーションですし、現代でも重役会議だとこういう男女比の会合はあるでしょう。今年の大河スタッフは間抜けなことに、ヒロインが女性ということで遭遇するノイズをバッサリカットすることこそ女性に受けると勘違いしているようです。しかし、こういう紅一点苦労あるあるの方が、リアリティがあってよいのではないでしょうか。

あさは居場所のない気分ではありましたが、造幣局や鉄道の話を聞いているうちに持ち前の好奇心が湧いてきます。もっと早く世の中の動きをわかっていれば、その情報を姉とわかちあっていれば、事態は違っていたかもしれない、女にも知識が必要だと語るあさ。正吉はそれを聞いて、知識を身につけることが姉のためになるのではないかと助言します。こうした痛恨の思いが、あさをのちに女子教育に向かわせるのでしょう。動機付けバッチリですね。

それからあさは、寄り合いで積極的に学ぶことを心がけ、活発に振る舞います。そして家では熱心に帳簿の確認。いいですね、この熱心に勉強している場面。こういう裏付けが大事です。ラストまでガチャガチャ乱暴に泡立て器動かすしか能の無いパティシェヒロインとか、全然進歩も努力もしていないのにはうんざりさせられますからね。

あさが寄り合いに出かける一方、新次郎はふらふらしております。一部では振り回すことで動力を得ていると言われているトレードマークの巾着片手に、新次郎がどこを歩くかと言いますと、なんと山道。以前山道は苦手やと本人も言っておりましたし、似合いません。なんと新次郎、あさには内緒ではつ捜索をしていたのでした。なんだかんだで優しい奴です。山道で新次郎がすれ違ったのは、野菜を積んだ車を押す農婦。と、その顔を見るとなんとはつではありませんか! 着物もさらに粗末なものになって、すっかり薄汚れてしまったはつ。新次郎は、そしてはつはどうするのでしょうか?

 

10/29(木)おぼれる義姉を救えるかダメ夫

 はつとともに車を曳いていた栄達は、新次郎に見られたのがいたたまれないのか逃げ去ってしまいます。はつは汚れた顔は恥ずかしいのかうつむいてしまいました。ここで新次郎は蕪を手にして「おいしそうなかぶらはんや」とにっこり微笑むのですが、こういう新次郎ののほほんとしたところ、本当にシリアスな展開では癒やしになります。

一方であさは雁助とともに、五代の開いた洋式の寄合所へ。豪華なテーブルと椅子、糊の利いたテーブルクロス、帆船模型、銀のティーポット、そして世界地図。明治らしさあふれる、素晴らしい洋館ロケです。丁髷頭の大阪商人がぞろぞろと洋館に集まる姿はなかなか面白い。こういう明治初期の面白い絵を見られるのは眼福ものです。

ここで背景の世界地図について。五代は少年時代、琉球交易係を担当していた父に世界地図を見せられました。興味津々の五代は二枚複写し、一枚を藩主に献上、もう一枚を手元に置いて眺めていたそうです。ボーイの頃からアンビシャス、グローバルなビジョンを持っていたんですね。

新次郎は栄達の放置した車を引っ張りますが、まるで動きません。なぜここがわかったのか訝しむはつに、新次郎は適当に歩いていただけと答えます。こういうとき、この人は本音を言いませんからね。広い大阪を闇雲にふらふらして見つかるものでもないと思いますが、どうなんでしょう。顔の広い新次郎だから、調べていたような気もします。新次郎はせっかく会えるならあさから荷物を預かればよかったと言います。しかしはつは、百姓のもとで世話になっているからときっぱり施しを断り、さらにあさには会ったことも居場所も言わないよう口止めします。そこへ天秤棒を担いだ惣兵衛も来て、加野屋はまだ無事なのかと新次郎に話しかけて来ます。憑き物が落ちたようにすっかり口調が明るく、新次郎に酒を奢ってくれとまで言う惣兵衛。農夫姿も商人の時より似合っています。どん底の眉山家で唯一救いがあるとすれば、惣兵衛の閉ざされていた心が、ありのままに解放されたことでしょうか。

寄合所であさは、新次郎のほつれた着物を縫いながら参加。五代は意識の高いプレゼンをするのですが、その意識の高さが災いしてか、商人に通じない結果に。薩摩の侍出身というのも印象が悪いようです。五代がルー大柴語であるのは明治初期には翻訳語が未整備という仕方ない部分もあります。しかしビッグもカンパニーも、この時点でちゃんと相当する日本語があるわけで、もうただの五代の癖にしか思えません。五代さん、イギリスでプレゼン技術は学ばなかったんですね。

休憩時間、紅茶を飲む五代にあさが「大丈夫ですか」と話しかけます。背景に謎の銅像があるのがちょっと気になります。あさは五代に「クソくらえ」の一件を謝りますが、五代は来てくれておおきにと御礼を言います。あさは姉の苦境と、そのせいで商売のことなんて考える気にはなれない、でも今すべきことは商売だと五代に打ち明けます。五代は新政府の政策ミスを陳謝。あさは新政府の政策を「なんでどす!」と五代に問い詰めるのですが、お目付役の雁助の制止でやめます。五代は、新政府の政策で衰退した大阪再生こそ使命と熱く語ります。英語でも「それが罪滅ぼしなのだから」と言うのですね。思い出すのは『八重の桜』の山本覚馬です。彼は戦乱に巻き込み荒廃した京都復興を願い、知事の元で働きました。

店に戻った雁助は、五代の大阪再興に賭ける情熱は本物であると正吉に報告します。正吉も五代の情熱に触発されているようです。あさの元には実家今井家から手紙が。新政府の仕事を正式に請け負うことになった今井家は、さらなる商売拡張のため東京への移転を考えているとのこと。梨江もはつのことを探し、何故助けなかったかと悔やむばかりとも。あさは姉妹の懐かしい思い出を回想します。この回想シーンからまだドラマ放映から一ヶ月経っていないんですよねえ。あの無邪気な姉妹がこうも対称的な運命となるとは。わかっていたけれど、辛いものがあります。

ここで今井家、史実では三井家の東京移転についてちょっと補足を。三井家には商売敵に小野組という豪商がおりました。明治六年(1871)、この小野組が東京に移転しようとしたところ、京都府から待ったがかかります。移転により京都府の税収も減るし、府の面目にも財政にも悪影響が出るからとのことです。この裏では三井家の策謀があり、ライバルである小野組が東京に来ては困ると考え、井上馨を動かして妨害したのではないかとも言われております。このとき小野組を妨害したのが、長州閥の府参事・槇村正直です。

おさまらない小野組は裁判に訴えます。司法卿・江藤新平の尽力もあり、小野組は結局移転することができ、槇村らは処罰を受けます(小野組転籍事件)。この槇村、『八重の桜』では高嶋政伸さんが演じておりました。小野組は東京移転はできたものの、結局三井家に負けてしまいます。三井がライバルを出し抜けたのは、井上馨とインサイダー取引をしていたからと言われております。

この件からもわかるように、三井家は井上馨とズブズブの関係で、西郷隆盛は井上のことを皮肉って「三井の番頭さん」と呼ぶほどでした。井上のこうした腐敗ぶりを尾去沢鉱山事件などでも追及した江藤新平は、のちに政府を追われます。江藤は「萩の乱」などとともに不平士族の乱のひとつに数えられる「佐賀の乱」に連座し斬首刑となりました。不平士族の乱には、井上ら新政府の重鎮があまりに金に汚く、堕落していると反発したこともあったでしょう。今年の大河は連呼し、政府が悪いと繰り返すばかりですが、こういう事情もあったのです。志だの至誠だの言うその先に何があったか、ちゃんと描かず逃げていますな。

伊藤博文を大河にすると隣国がうるさいとか何とか言います。が、それだけではなく、長生きした長州出身明治政府重鎮にはカネ、女、政治闘争というマイナス要素があるんですね。そのへんをうまく扱えなければドラマにするのは難しい、もっとはっきり言えば現状では無理だと思います。創作物において坂本龍馬、高杉晋作、新選組が幕末定番人気なのは、明治の腐った政治世界と関わりがないというのもあるでしょうね。

このように、本作は他の作品や史実とのつながりを考えていくとますます楽しくなる作品です。歴史を知らなくても楽しめる、知っているともっと楽しめる。こういう贅沢さこそが歴史ドラマの醍醐味です。「若い女性は歴史わからないだろうから〜」などと言い訳し、面倒臭い歴史部分をバッサリカットすることは無意味だと今年の大河プロデューサーは学んでください。

ドラマに話を戻します。

新次郎は惣兵衛に酒とうどんを奢っていました。惣兵衛は新次郎の冗談に冗談で返すほどになっています。「幼い頃はおもしろい性格だった」と新次郎はかつて惣兵衛を評しておりますが、その頃に戻ったのでしょう。惣兵衛は母親殺害未遂を語り始めます。わだかまりであった母を殺すことはなかったものの、母に縛られていた心を殺すことはできたのでしょう。それもはつのおかげと語る惣兵衛。このすっきりした笑顔にはほっとさせられます。ついでに新次郎も無言ながらこの場面、顔や仕草で演技していてなかなか細かいです。

家に帰った新次郎は、あさに石炭のことを持ち出されますが、新次郎はかわしてしまいます。あさははつへの思いを商売にぶつけるかのようです。

そしてはつは、狭い農家で縫い物をしております。惣兵衛はどこかに寄りかかるように休み、栄達は土間に莚を敷いて大の字で眠り、菊は黒く汚れた白足袋を見せつつ、一段高いところで横になっています。ふゆの姿もちらりと見えますが、そろそろ暇を出した方がよい気もしますね。それにしても暗い灯りの中、髪をほつれさせ俯く宮崎あおいさんの美しさ。健気な美しさ、貧しい中でも気品ある仕草が、悲劇性をより強くしています。宮崎さんにとって、かわいいだけの女優ではなく、脱皮する作品になりそうです。

 

10/30(金)不倫疑惑をネタに姉妹を再会させるデキル夫!

あさは石炭に興味津々で、新次郎に話を持ちかけた山屋に会いたいと言い出します。正吉と新次郎は乗り気ではありませんが、あさは寄り合いで仕入れた「陸蒸気(おかじょうき=蒸気機関車のこと)」が走るようになる、そのためには石炭が必要だという知識を披露します。石を燃やすと走る鉄の車、つまりは鉄道をあさは妄想するのですが、まったく想像すらつかないようです。五代はん、だからもっと具体的に説明をしろと……。

新次郎が三味線に出かけていきます。亀助は主人夫妻が大丈夫かとぶつくさ言います。その横で弥七はネイルのお手入れに夢中です。おまえは若手OLかっ! こういう脇役もおもしろいんですよ。

あさは新次郎にくっついて三味線の集いに行き、三味線仲間で炭鉱の話を持ちかけた山屋に話を聞きます。新次郎は興味がありませんが、あさはもうそればっかりに夢中です。そこへ美人のお師匠・美和がお茶を持ってやって来ます。あさは美和が気がかりではあるのですが、山屋は炭鉱の話を始め、それをあさたちは聞くことに。あさは新次郎の着物の袖が気になるようです。

店であさが炭鉱について正吉に話すと、正吉は人手もないしやめましょうと一蹴。新次郎も同意します。夫婦の意見が対立してなんとなくちょっと険悪になったところで、あさが新次郎に突如詰め寄り始めます。新次郎の着物に、どう見てもあさの雑で大きい縫い目とは違う、別の女の縫い目があるではないか、と。この時食事中なのですが、新次郎の横にいる弟の榮三郎が、険悪な空気を察してお膳をずりずりと無言で引っ張って下げていくのがおもしろいです。あさは美和の縫い目だと問い詰めにかかります。新次郎は弱り、目が泳ぎ出します。そしてこれを縫ったのは女、美和にも世話になっている、しかし縫ったのは美和ではない女と衝撃の告白。しかもこれから一緒に会いに行こうと誘います。

夫婦が来たのは、町外れの畑。訝しむあさは振り向いた農婦を見て驚きます。はつでした! ほとんど動きがないのに、脚先だけちょっときゅっとなって動揺しているはつ。うつむき、どこか切ない表情です。新次郎は「袖を縫った女が誰か問い詰められただけ」と言い訳してふらり〜と去ってしまいます。今週やたらと出てきた縫い物にはこんな伏線が!

あさが近寄り話しかけると、こわばった顔のままはつは「あかん」と一言。一瞬このまま会えないと言うのかとこちらも焦りますと、続けて加野屋の若旦那にあんな雑な縫い目の着物を着せてはいけないと、あさを諭します。あさが「ほんまやな」と反省すると、険しかったはつの顔がふっと微笑みに変わります。うぉおおお、ここの宮崎さんの演技! 本作は皆さん素晴らしい演技で、名場面ばかりですが、その中でひとつベストを選ぶとしたら暫定でこの姉妹再会、はつの微笑みを選びます。本当に素晴らしい! 「お姉ちゃんに笑顔を」という今週のサブタイトル……確かにこの笑顔は、なんとしてでももう一度見たくなりますね。

姉妹は久々に語り合います。あさが姑・よのの脳天気さをこぼすと、はつは置物のように静かになった菊よりはましだと語ります。うーん、あの毒々しいお姑さん、すっかり気が抜けてそんなことになっているんですか。あの鬼姑の悪口を言わずにかばうはつ。健気です。眉山一家は、惣兵衛が天秤棒かついで野菜を売り、はつが繕い物や農家の手伝いをして暮らしているそうです。はつは繕い物の仕事を紹介してくれる新次郎の親切さをあさに語ります。おおっ、新次郎お前……いい奴だなー。昨日は旦那の新次郎と惣兵衛同士、今日は妻のあさとはつが語り合うんですね。そこへはつに黒蛇はんと呼ばれた惣兵衛が帰ってきます。ここで売り物のキュウリを折ってひょいと新次郎に渡して二人でかじるんですよ。惣兵衛も変わったなあ。はつは貧乏は惨めだけど、忙しいと案外よいことだ、両親に今でも家を守ろうと気張っていると伝えてくれとあさに思いを託します。一緒にお家を守ろうと誓った姉妹は、道は違えどこうして頑張っているんですね。

帰り道、あさは新次郎に御礼を言います。新次郎は無言で、すっとあさに手を差し出します。その手を握って歩き出す夫妻。青空を背景に歩く二人がなんともほのぼのとしていて、「あさ絵」でもこの題材が多く描かれたようです。カップル好き視聴者を萌え殺しに来る名場面ですね!

このまま終われば今日はほぼよい話だけになるのですが、残り一分で五代の寄合所の場面へ。正吉とあさは五代に「びっくりぽんなかっぱ」を作りましょうと言います。正吉とあさがそろって肘を曲げた万歳みたいな変なポーズをするのが、なんともかわいい。女性が着物で肘を出すのはマナー違反、はしたないとも言われますが、あさちゃんの場合はおてんばかわいいです。あさはまだよいとして、なんて正吉までかわいいのかと困惑しました。

困惑したのは五代もです。五代はんもこれをきっかけに「聞いている側がわからない、誤認するような言葉は使わない」ということを学んでください。

 

10/31(土)貧しくても小さな幸せを・・・って逃げた???

正吉とあさのダブルかっぱポーズからの幕開け。そういえば昔近藤正臣さんがかっぱコスプレでCMに出ていたねえ、なんてネタもツイッターでは流れてきます。五代はやっとビッグカンパニーと理解。喜び右手を差し出します。何度か空振りした五代の握手ですが、ここでがっちりと正吉も握り返します。ギャグのようだったこの五代の握手ですが、ここで五代と相手の意思疎通度を示すバロメータになりました。知識はなくとも、相手を理解していればわかるということでしょう。

加野屋を皮切りに、他の大阪商人も五代に理解を示すようになります。前回の五代を疑う空気はありません。薩長の新政府に金をむしり取られたと恨みと不信が底にあり、五代の話はわけがわからんと言っていた商人たち。それでもだんだんと、信頼が芽生えています。この場面、商人たちの手元がおもしろいんです。ティーカップを茶碗と同じ持ち方で手にしているため、持ち手を握らないとか、両手でつつみこむようにしているとか、片手を底に添えたりしているわけです。こういう細かいところまで見ていて飽きません。

その頃はつは、体調に異変を感じていました。惣兵衛に刺された傷は幸い軽かったのですが、別の原因がありそうです。惣兵衛ははつを気遣い、膏薬を傷に塗ります。もう完治しているので意味はないと思いますが、何かしないといけないという、惣兵衛なりの愛情表現でしょう。一晩中反物を選ばせていたころからずいぶんと落ちぶれてしまいましたが、愛情はより深くなっているのでしょうね。

商売に邁進するあさは、石炭にあこがれて仕方ないようです。そのことを農作業を手伝いながらはつにも語ります。はつはあさを止めることなんてできないと言いながらも、新次郎の意見はちゃんと確認するようにアドバイス。遊んでいるように見えるけど、新次郎の人脈に助けられているとも言います。一歩引いたところから、冷静に妹夫婦を観察しアドバイスする姉。いいですねえ。どうでもよいことですがこの何気ない場面で、畑の広さにびっくりぽんでしたね。大河の農作業は楫取と美和の尻と尻がぶつかりそうな、2メートル四方の畑でしたから。朝ドラの方が予算は少ないはずなのに不思議ですね。

この場面のあとに、ナレーションが惣兵衛の抱える心の闇について言及。嫌な予感がします。

あさは食事の時間に、炭鉱について意見を家族に語ります。九州の炭鉱まで見に行きたいと語るあさに、正吉もよのもよい顔はしません。新次郎も強い口調で反対。新次郎があさに強く反対するのはこれが初めてです。あさの熱い思いに、嫁が可愛らしくて仕方ない正吉は折れそうですが、新次郎とよのは強硬に反対。ついに行くなら新次郎と離縁してからにしろとまで言われます。

次の場面は寄合所。五代が薩摩弁で激昂しています。横浜の会計官権判事になれと新政府から命令が下ったようです。五代は一極集中させてはならない、せっかく大阪のためにこれから尽力するつもりなのにどういうことだ、と激怒。

実はこの場面、あさの物語としてはまったく必要がありません。五代の異動を彼自身の口から次の場面で言わせても成り立つんです。実は五代そのものが、原案では出番がほとんどないのです。それでは何故五代を本作では大きく扱うのか。台詞を注意深く聞いていると、答えが見えてくると思います。五代の口から語られる大阪の存在意義、東京だけにありとあらゆるものが集中してよいのか、ということ。本作の根底に流れるテーマが含まれている気がします。これで今年もし大河が『真田丸』だったら、大坂の陣から四百周年で「東京モンには負けへんで!」イヤーになっていたかもしれません。

このあと、寄合所に大阪商人たちが集まって来ます。薩摩の侍だから信用できないと言われていた五代が、今ではルー語だけが欠点と言われるまでの信頼関係を構築しています。ここであさが五代に大阪になくてはならない人だ、横浜には行かないで欲しいと声を掛けます。大阪商人たちは驚き、「政府のもんで、この大阪のことを考えてくれはるのは五代様だけや!」とまで言い出します。五代は「おおきに!」と感激し、必ず大阪のために戻ってくると誓います。商人たちは喜び、「船場締め」をして手をパンパンと打ちます。よい場面です。第一印象が最悪だったのに、もうここでは「政府の中で大阪のことを親身になって考えている唯一の方」になっております。この場面を、新次郎も目撃します。

これが下手な描き方だと、大久保利通を無理矢理出して「五代こそこの国の楫取りをできる唯一の男……大阪にはもったいない」と言わせたりします。五信頼関係を築く描写なしに、大阪商人たちが「五代様がいなくなるのはしんどいけど、五代様こそ日本の救世主や!そんな御方を縛り付けるわけにはいきまへん!」と押しかけて、五代に横浜に行って欲しいと頼んだりするんですよね。あれー、そんな感じのドラマ最近見たなあ。何てドラマだったっけ?

次は眉山家の場面です。はつの体調不良はいよいよ深刻なものとなっているようです。栄達は月代も剃らずにボサボサ頭、菊も同じ着物をずっと着たきりです。菊は体調不良の原因が妊娠と気づき、今更そんなことになってもと皮肉な笑みをもらします。確かに皮肉ですな。山王寺屋が健在だったころは、おまえの唯一の仕事は子作りだと閉じ込められていたのに懐妊せず、一家を支える働き手となってから妊娠ですから。はつは妊娠を惣兵衛に知らせようと探しに行きます。手伝いに来たあさと探したはつの目にとまったのは、置き去りにされた惣兵衛の天秤棒。ナレーションで惣兵衛がこの日から失踪したと語られます。ああ、頼むからこれ以上、はつさんを苦しめないでください……。

 

総評: もし本作にはつと惣兵衛夫妻がいなかったらどうなっていたでしょうか。実は原案では、姉夫妻はほとんど出番がありません。それも無理のないところで、はつのモデルとなった人物は、ほとんど語られることのないまま夭折しております。ところが本作でこの二人がいないとなると、成立しないことが今週でわかりました。はつあってのあさ、あさあってのはつという、姉妹の絆がテーマの今週。あさのサクセスストーリーなら、いらない週ではあるのです。でも物語としては必要です。宮崎あおいさんの演技の素晴らしさが際だっていました。

本作で描かれるはつの運命は、幕末維新という時代の狭間に消えていった人々へ捧げる物語のようにも思えます。失敗した、時代が読めなかったと切り捨てられてしまう人々も、一生懸命生きていました。無名の人々をすくいあげる優しさは、『タイムスクープハンター』にも通じるものもあります。

絆といえば、大阪商人と五代の関係もそうでした。「とにかく偉くて素晴らしい五代様が、愚かな大阪商人どもを教え導いてやる」という傲慢さはゼロ。薩摩弁をやめて関西弁を使い、ルー語という欠点はあれど辛抱強く語り合う五代。共に歩む彼の姿、そしてそんな彼に感激して「新政府で唯一大阪のことを考えてくれている」とまで言うようになる商人たち。じーんと来ました。彼の過剰演出にはウザイとか変人という感想もありました。その気持ちもわからなくはないのですが、大阪商人との交流が深まるとそのウザさも薄まってきた気がします。船場締めのあたりではもう五代の不在を想像して寂しさすら覚えました。

そこに来ると実はちょっと足踏み気味なのはあさ本人です。炭鉱の話は行き止まり、新次郎との関係にも暗雲が立ちこめています。これは来週以降動くようです。「妾」とか「愛していますか」とか何やら気になる言葉も飛び交う予告編。さあどうなるのでしょうか。楽しみです。

武者震之助・記

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