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花燃ゆレビュー

花燃ゆ感想マンガ第33回「花となるために」ってイミフ…… 薄~い会話の連続は時間稼ぎのためなのかい!?

更新日:

 

こんにちは、武者震之助です。

前回のレビューでは人名の表記を間違え、さらにいくつか誤りがあるとご指摘を受けました。確かにその通りです。気づいた間違いについておわび申し上げます。

  • 隊士たちは白塗りにし「V8!」ポーズを捧げるべき

→「V8!」はあくまでV8エンジンを称える神聖な儀式です。エンジンがなくともしてよいものであると誤解を与えかねない表記でした

  • 高杉晋作は火炎放射器を三味線に仕込むべき

→火炎放射器を仕込む楽器はギターであるべきでした。弦楽器という大ざっぱなくくりで、三味線に仕込むべきだという意見は暴論であると反省しております

  • このレビューは『花燃ゆ』の視聴意欲をそそるものであるべきで、それをさしおいて『マッドマックス 怒りのデスロード』を薦めるべきではなかった

→その通りです。大変失礼致しました。ただ本当に『マッドマックス 怒りのデスロード』は今最も見るべき映画です!

 

さて、先週は視聴率があがりました。

これは池田屋事件の回と同じく、高杉晋作の見せ所「功山寺挙兵」のイベント効果だと思います。どうせ出来が悪いんだろうなと覚悟しつつ、義務感でチャンネルを合わせた幕末ファン、高杉晋作ファンもいたのではないでしょうか。ところがあの出来ですから、今週は反動でガタ落ちするおそれもありますね。サブタイトルも意味がわかりませんし。

・視聴率持ち直した「花燃ゆ」で輝く黒島結菜 CMでも注目の18歳 ― スポニチ Sponichi Annex 芸能 http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2015/08/15/kiji/K20150815010929700.html

持ち直したといっても『平清盛』平均値程度なんですが……。

そんなわけで今週もいってみましょう。

 

それにしても今週のサブタイトル「花となるために」って何なんですか。この間「母となるために」と似たようなサブタイトルがありましたが。松陰の妹が母となろうが花となろうが知らんがな、という気持ちなのですが。どうせなら打ち切りになってください。

アバンで先週をまとめるわけですが、高杉の功山寺挙兵によって奥がピンチみたいになっていて、これじゃ高杉がまるで悪役だなと早速ツッコミ。そしてここで梅太郎が和睦の使者としてやって来て、そうせい候を説得しています。そうせい候はもう、ソフトバンクつながりでペッパーにでもやらせたら話題作りになるんじゃないですか。

 

史上初ロボット出演大河なんていいじゃないですか。

そして、ここで私はピンときました。

もしかして伊之助がするはずのことを梅太郎にやらせている?

時系列で脚本を書いているとも限りませんし、このどこか既視感のある無双っぷり。本当は伊之助無双として書いたのかもしれません。伊之助の入牢時期が長くしてあるため、史料だけ読んで無双展開をしたものの、本作ではまだ牢屋に入っているということになって、梅太郎がピンチヒッターになったのではないかと。だってアバンでこの戦をおさめてしまうんですよ。すごいな〜(棒読み)、吉田松陰のお兄さんってすごい人だったんだねっ!

それにしてもこの限りなくモブっぽかった梅太郎によってあっさり排斥される椋梨とは。ラスボス感がたっぷりにじみ出ていたわりに、一撃死したみたいな不遇感ですよね。そして弁解がましく高杉が出てきますが、まさか高杉の活躍が梅太郎で上書きされるとは誰も予測できなかったのではないでしょうか。ここまで無茶苦茶にするなら、現代人がタイムスリップしてきた設定の大河もイケる気がします。

 

あっさりダークホース梅太郎にしてやられ、殿にも言い分を聞いてもらえなかった椋梨は、何故か血相を変えて奥に乗り込みます。なんでこのドラマの人々は奥をやたらと目指すんですか。はいはい、美和ちゃんがいるからですよね。主人公補正はいはい。

主人公補正はそしてこのあと頂点に達します。奥から出る椋梨が去る際、なぜか美和がくっついて来ます。久坂の死後、勝手に椋梨邸に乗り込んで美和(当時は文)が暴れた場面がここでチラリと出ます。あの時の屈辱を倍返し! というつもりでしょうか。

ここでアバン終了、OP。

美和は椋梨に「私の兄を追い詰め、夫を殺そうとしたのはあんただよね? そこまでして何を守るとしたの?」と言うわけです。なんでや! 松陰も久坂も、どっちの死因も椋梨は関係ないやろ! 自重したらあんなことにならんかったやろ! おまえは松陰が「塾生を突っ込ませてもテロやらないと」と死んでもやむなしと煽っとったんは忘れたんか!? 武装して御所に向かっておいて「帝と話し合う」とか言ってた久坂は完全に自爆やんか! 椋梨さんは暴走気味の連中をなんとかまとめようと頑張っておったんやろ!?

そしてここで椋梨さん退場……このドラマで去るのが惜しかった唯一の人物でした。

ここで赤子の泣き声が響きます。銀姫がお世継ぎ出産だそうです。もうすぐ明治維新なのに大名家のお世継ぎとか正直どうでもいいです。いや、ドラマ的には美和が守り役だから重要なのですね。

 

 

場面が切り替わると、梅太郎の妻・亀が奥までホイホイやって来ます。もうこの、未だにWindows XP搭載ウイルスソフトなし個人情報入り端末をオンラインにしているレベルのセキュリティには慣れました。亀の用件は、美和の父が病気だと伝えることでした。

ここでNHKなりの少子化対策でもやっているつもりなのかと言いたくなるような育児シーンが入ります。しかもなんと、美和が守り役に指名されて大変!……こんなくだらない育児ごっこは、山本むつみ氏と松平容保公のタッグが今秋粉砕してくれることでしょう……山本氏みたいに今後も仕事があるといいですね、本作の脚本家の皆さんも。

TBS金曜ドラマ『コウノドリ』 http://www.tbs.co.jp/kounodori/

 

さて、椋梨失脚によって伊之助も日射しがさんさんと差し込むグループホーム野山獄から釈放されます。気の毒なのは政治犯ではないので獄にとどまる高須久子です。こんなドラマにチョイ役で拘束され続ける井川遥さんが、ということですが。

そしてすかさずここで伊之助釈放に喜ぶ美和の顔。妻である寿の立場がないのは平常運転ですね。釈放された伊之助は早速無双を開始します(あれ、高杉はどこ行った?)。伊之助の進言で萩から山口にお引っ越しになります。幕末の長州といえば事件ばかりなのに、ちんたらとリストラだの引っ越しだので時間を使いますね。

ここで問題が発生し、父が病気の美和は守り役にふさわしくないのではないかと言われたりします。父・百合之助の回想シーンも入ります。長塚京三さんは頑張っていたと改めて思います。問題は脚本と演出、いや企画そのものですね。今週は家族を取るか、キャリアを取るかで迷う美和がポイントだそうですが、確かこの間伊之助があわや処刑という時は仕事放り出して抜け出しましたよね。父の場合は仕事と天秤にかけるけど、初恋の相手で妻の夫である小田村伊之助様のためなら、何をさしおいてでも駆けつけるんですね〜。すごいヒロインですね〜。

hanamoyu20150816

夫の釈放ではリアクションがなかった寿さんですが、なぜか椋梨の妻・美鶴にあこがれていましたとかなんとか告白する場面があります。この立場同士で今更なぜ二人きりで会うのかよくわかりません。これでも多分脚本家は寿や美鶴の見せ場を作ったつもりなのでしょう。これで美鶴は退場。若村麻由美さん、お疲れ様でした。次はもっとまともなドラマに出てくださいね。本作と『純と愛』というトンデモドラマに若村さんを出してしまったNHKは、おわびに素晴らしい役を用意すべきだと思います!!

 

このあと、銀姫と美和が「家族っていいよね」とかなんだか語り出すのですが、どこかからうすらパクったようなお寒い会話が続きます。美和の家庭環境について聞き出すのが初めてのようで、それでいて「おまえの家族ぬくいから抜擢したのな」とか言い出すから混乱。いや、銀姫あなた、適当なノリで守り役決めたでしょ。あと本作は美和の才能を何ひとつ描かず、新人なのにいきなりリストラ役に抜擢されたりしておりますので「はいはい、主人公補正の言い訳お疲れ様です」としか思えません。

このあと美和は実家帰省。梅太郎はあの輝かしいネゴシエーター設定は消え去り、ほのぼのと野良仕事に励んでいるようです。こんなハイスペック人材を埋もれさすなよ〜。

それと杉家周辺ですが、本作も春頃までは屋外で畑仕事の様子を撮影していたはずです。ところが今はあからさまにスタジオ撮影とわかる畑仕事になっており、なんだか切ないものを感じました。屋外ロケの予算を削って来年に回すのであればむしろ大歓迎! いっそ打ち切りにして来年に回しましょう!

 

それにしても今週は中だるみが多いといいますか、露骨な時間稼ぎばかりと言いますか。美和と椋梨の会話、美和と銀姫の会話、伊之助と久子の会話、寿と美鶴の会話、美和と百合之助の会話、スタジオ撮影の狭苦しい中で、薄っぺらいちょっといい会話を延々と流すだけです。先週のへろへろ都々逸入り功山寺挙兵はおそらく史上最悪の映像化でしたが、それでも野外ロケして戦闘をしていたぶん今週よりかなりマシに思えてきます。美和が赤ん坊を抱いて「命にかえてこの命を守ります!」と宣言したところで、だから何だと言いたくなります。これがラテ欄にあった「女の花咲く人生」ですか。はは、ご冗談を。

最後の砦高杉退場まであと少し。さらに明治以降はいよいよ美和と伊之助が結婚しますから、あの二人が顔をつきあわせて歯の浮くような台詞を、狭い室内で繰り返すだけのドラマになるのでしょうね。

来週予告では久々に、もっと正確に言えばやっとこさ二度目の坂本龍馬登場です。しかし予告で「薩長同盟!」と叫んでいた伊之助がでしゃばり、薩長同盟も彼の手柄にされるでしょう。きっと桂小五郎は置物と化すでしょう。

公式サイト「花燃ゆ白熱教室」より

 

小田村伊之助が裏から支えた! 薩長同盟の成立

もゆるん「伊之助さん、すご〜い!」

まあ、私もここのところずっと思っていますけどね。

武者「伊之助さん、でしゃばり横取りゴリ推し三拍子揃ってすご〜い!」

おなじみの炎上ネタいってみましょう〰

さて以下は余計なおまけです。

炎上することに定評のある政治ネタです。嫌いな方は読み飛ばしてください。

14日(土)、安倍談話が発表されました。

『花燃ゆ』は何故今年なのか。明治維新150周年でもなく、『八重の桜』から二年おいただけというインターバルで、タイミングが悪いとずっと疑問に思っておりました。その謎がやっととけた気がします。

百年以上前の世界には、西洋諸国を中心とした国々の広大な植民地が、広がっていました。圧倒的な技術優位を背景に、植民地支配の波は、十九世紀、アジアに も押し寄せました。その危機感が、日本にとって、近代化の原動力となったことは、間違いありません。アジアで最初に立憲政治を打ち立て、独立を守り抜きました。日露戦争は、植民地支配のもとにあった、多くのアジアやアフリカの人々を勇気づけました。(中略)

と、このようにこの談話は太平洋戦争ではなく、なんと幕末明治維新からスタートするわけです。この西欧への危機感からの近代化という流れは、まさに今年の大河でも描かれた「松下村塾から日本の近代が始まった」というストーリーです。司馬遼太郎氏の言うところの「坂の上の雲を目指した道」とも言えます。

このあと太平洋戦争への反省やおわびが盛り込まれ、さらにこう続きます。

事変、侵略、戦争。いかなる武力の威嚇や行使も、国際紛争を解決する手段としては、もう二度と用いてはならない。植民地支配から永遠に訣別し、すべての民族の自決の権利が尊重される世界にしなければならない。

間に挟んでいるから全体的にあいまいなのですが、こうあとで続くとなると諸悪の根源は「(西欧発)植民地支配」というニュアンスとも取れます。

なるほど。夷=西欧の植民地支配に対抗するため、吉田松陰率いる松下村塾の面々が日本を近代化させ、アジアの国々を勇気づけ、さらにいろいろあったけど西欧の植民地支配=夷は倒されたと。大きな歴史の流れを見ると確かに松陰の目指した攘夷は達成されたのだと。松下村塾から始まる日本、アジア、そして世界史を継承した談話なのですね。つまりはこの談話、ひいては戦後70周年という節目にあわせた企画なのではないか、と私は思い至ったわけです。今まで続けてきた卑屈な謝罪は子孫に引き継がないと世界に示す節目の年こそ、吉田松陰の復活にふさわしいというわけですね。

明治日本の産業革命遺産」が「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」をさしおいてこのタイミングで世界遺産登録されたのも、やはり合わせたわけです。

今年のはじめ、「吉田松陰の思想は満州、朝鮮、中国を支配するべしとあるわけで、そういう部分も含めて讃美は危ないのではないか?」という批判がチラホラとありました。そういう批判も織り込み済みなのでしょう。世界遺産登録、大河ドラマで吉田松陰の思想こそ近代日本を作り上げたと世間に深く浸透させ、そこであの談話です。松陰の思想は日本を超えて広がり、アジアやアフリカの人々を勇気づけ、西欧の植民地支配という悪を打倒したというストーリーです。松陰の思想が悪いわけがない。むしろ世界史上の巨悪すら倒し得た優れたものだったんだよ、という流れです。

「うるせえおまえちゃんと読んだのかよ!」「バーカ何いってんだ? まともな批評しろ!」「おまえのご託は聞き飽きた!」「政治ネタやめてドラマの批判だけしてろアホw」「あなたのレビューは間違っています」「おまえのレビューってホントクソくだらないよな」

みたいなコメントはうん、まあ、つくんだろうとは思うんですが。

むしろここまで踏み込んで読むのは、発表側にとっても正解に近いんじゃないかと思いますが。だってこの解釈、吉田松陰をベタ褒めしているわけじゃないですか。大河、世界遺産、談話とからめてトリプル効果を狙うなんてものすごく用意周到だとも思いますし。

まあ、深読みして外しているかもしれませんが、前述した通り「なぜ今年『花燃ゆ』なの?」という問いに対しては、なかなか正解に近いアンサーなんじゃないかと思う次第です。

 

武者震之助・記

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霜月けい・絵

 

 




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