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真田丸レビュー

『真田丸』ネタバレ感想レビュー第4話「挑戦」 超高速“本能寺の変”は真田から見てベストバランス也

更新日:

 

こんばんは、武者です。

第三回の視聴率は低下し、そろそろ叩き記事が出てきました。

◆裏の日テレが強すぎるわけじゃ、ない…? NHK大河ドラマ『真田丸』雲行きが怪しくなってきた視聴率 http://otapol.jp/2016/01/post-5450.html

そもそもが万人受けを狙っていないと思われる作品ですので、合わない人はそうだろうな、というところですかね。

しかしそれでも! こちらは好調。

◆「真田丸」館、1万人達成 : 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/local/nagano/news/20160128-OYTNT50370.html?from=tw

昨年は一年通して5万人弱の大河ドラマ館もあっただけに、絶好調ではないでしょうか。

 

そんな中でも絶好調なのはこの人です。

小山田茂誠/イラスト・霜月けい

小山田茂誠/イラスト・霜月けい

◆ネット検索で急上昇。「真田丸」で注目の小山田茂誠役の高木渉ってどんな人?(女性自身) - Yahoo!ニュース
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160126-00010006-jisin-ent

◆“声優界のバイプレイヤー”高木渉、大河きっかけに男版・戸田恵子となるか? | ORICON STYLE http://www.oricon.co.jp/news/2066113/full/

 

密書を奪った室賀正武は、織田・徳川へお先に密告!

さて、今週の「挑戦」は信長との謁見に挑む昌幸・信繁父子の綱渡りです。

お留守番中の信幸は、頭痛の種と向き合う予感。諏訪の法華寺に入った昌幸は、これも一つの戦、父の戦いぶりを見ていろと信繁に言います。ここで昌幸、家康がいることに気づきます。

昌幸と信繁は、「そういえば昔三方原で家康と戦ったけど、アイツがビビって逃げた姿思い出すと今でもウケるわ」「父上のあの話好き、超面白いよね!」と笑いあいます。家康が恐れた男ランキング(多数)に、もう昌幸はランクインしていました。

ここで室賀正武がドヤ顔でお出迎え。正武は密書を奪っておきながら、「上杉との密約がバレているから気をつけろよ、ともかく詫びろよ」と昌幸にそっと打ち明けます。昌幸は今になって怖じ気づいたんだなと分析。結構な綱渡りですよ。

その頃、家康は穴山梅雪に会っていました。不安そうな梅雪に、アポあり裏切りなら大丈夫ですよ、と励ます正信。同じ裏切りでもランクがあるわけです。

真っ先に武田家を裏切ったのは穴山梅雪でした……

真っ先に武田家を裏切ったのは穴山梅雪でした……

ここで正信は、あの武藤喜兵衛が来ていますよ、と家康に伝えます。昌幸は三男ですので、真田家を継ぐ嫡男とみなされておりませんでした。その知勇を信玄に評価され、武勇の誉れ高い武藤家を継ぎ武藤喜兵衛と名乗っていたのです。それが長篠の戦いで兄二人が戦死し、真田家を継いだのでした。家康、トラウマを思い出したのか複雑な様子です。

 

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忠勝・家康を前にして「もっと下っ端かと思っていました」

信繁は織田の備えを見に行くとウロウロし始めます。流石弓の手入れができていますね、と手入れ中の忠勝に近づく信繁。そこへ家康もやって来ます。

メンテナンスがとても行き届いていますね、と褒められてまんざらでもない家康。信繁は「でもうちの方が上ですよ。うちは弓立てにキャスターをつけているんです。ぼくのアイディアなんですよ!」と調子に乗っています。そこへ昌幸が来て「お前、そのへんウロウロするなよ」と息子を軽く叱責。そこで家康、昌幸に挨拶をします。

信繁は「えっ、この人徳川様だったんだ! もっと下っ端かと思っていました」といきなりNG発言をしてしまいます。真田、感じ悪いよね~(忠勝視点)。

のっけから家康をディスる信繁さん

のっけから家康をディスる信繁さん

昌幸は、信長に贈るプレゼントはどうすべきか、家康に相談。家康は定番の名馬ではどうかとアドバイス。家康はこんなふうに、信長に謁見を願う相手へのアドバイザー役でもあったわけです。

ここで家康、「そういえば、おたくにいた武藤喜兵衛って知ってます? すごく強いから有名なんじゃないかな、って思って」としれっと昌幸に聞くのですが、これまた昌幸「いやあ、俺、外様なんで知らないッスね!」とトボけます。狐と狸の化かし合いのようです。やっぱり真田、感じ悪いよね〜(家康視点)。

 

善良で堅物だけれども、昌幸は愚かではない

一方、生真面目な信幸は、リラックスするどころか不安で仕方ありません。そんな折、姉の松がどこかへこっそりと出かけて行く姿を目撃。尾行すると行き先は堀田作兵衛の家でした。これを目撃していたのは信幸だけではなくきりもです。

案の定、松はかくまわれている茂誠とこっそり会っているのでした。きりは堀田の家に行くと、何か隠し事しているんじゃないの、と梅に探りを入れています。そこへ信幸登場。隠れ家に踏み込むと、松と梅しかおりません。とぼけず茂誠を出せと姉に迫る信幸。どう見ても二人分ある食事を見て問い詰める信幸。そこへきりが入ってきて、

「私たち三日に一度はここで女子会してるんで~。男の人は出てってもらえます?」と機転を利かせます。

「最近かかとがカサカサになっちゃって〜」
「それってもしかして潤い不足?」
「心の潤いもお肌に出るって。最近寂しいんじゃない?」

とかなんとか始まるガールズトークに気まずくなった信幸は、出て行ってしまいます。真相はちゃんとわかっていて、作兵衛には「父が戻るまで何とかしておけよ」と釘を刺す信幸でした。善良で堅物だけれども、愚かではないんですよね。苦労しているなあ、お兄ちゃんに笑顔を。

きりが家に戻ると、父の内記が「フラフラ出歩くな。地侍に過ぎない堀田家の者とは距離を置きなさい」と娘を叱ります。何かと不評のきりではありますが、ちゃんと親に叱られたら反省するだけの分別はあります。ギリギリでうっとうしさが許容範囲になるのは、こういう場面があるからですね。

 

昌幸と家康の舌戦が冷や冷やで目が離せず

昌幸はいよいよ信長と謁見かと思ったところ、信忠による圧迫面接(一次)がスタートしました。信忠は、

「ここに二通書状があるけど、なぜ織田と上杉に同じような内容を送るわけ? コピペかよ」

と、突っ込み。面接には家康も参加しており、書状を見せてくれるように信忠に頼みます。昌幸は、

「コピペじゃないですよ、ちゃんと読んでください。上杉からオファーがあったから、ちょっと返事するまで待ってもらえるかと頼んでいるんです」

と言うわけです。家康も書状にそう書いてありますよ、と認めます。

昌幸と家康の舌戦スタート!

表裏比興・昌幸の芝居スタート!

「織田につくならば、上杉に待ってくれなんて言わずに断ればよかっただろ」

と信忠、至極当然なツッコミ。うっ、見ていて胃が痛くなりそう。

「そうは言いますけど、織田に会いに来ている間、上杉に襲われたら困りますし。うちみたいな中小だと上杉相手にどうしようもないんです。上杉を騙すのは悪いかもしれませんけれども、こちらも苦しいんです。お察しください。でも困ったな。そんな重要な手紙が届いてないって本当に危険ですよ。上杉からちゃんとうちのこと守ってもらえますよねえ?」

昌幸、相手を言いくるめるだけではなく「俺たちの味方、してくれるよね」と逆に頼んでしまいます。しかしここで家康が、気になる点があると言い出します。

「でもこれ、自作自演ぽいんですよねえ。こちらが入手することを計算して引っかけようとしていませんか? いるんですよね、そういう小細工して自分が大物であると思わせたい人って」

家康が昌幸を問い詰めるのは伏線ですかね……

昌幸を問い詰める家康。伏線ですかね……

ズバリ、家康、真相を究明しました。やはりただの小物ではありません。私が昌幸なら脂汗まみれになりそう。家康はさらに続けます。

「実は上杉も織田と和睦したいから、仲介頼まれているんですよね。上杉側担当者の直江がアポ取ってここに来ているんで、ちょっと直江を呼んで来て確認してもいいですか?」

家康、ついに本気で昌幸を殺りかねない提案出して来ました……!

「呼んでくればいいじゃないですか。嘘なら俺、切腹しますんで。でも本当だからしょうがないんだよなあ」

昌幸、もはやハッタリを続けるしかない!

家康と昌幸、目から火花を散らすような対峙です。家康もここで、相手が真実を言っていたらまずいと判断したのか、書状は本物だと認めるのでした。ようやく昌幸、一次面接を通過し、信長と謁見できることに。ここで家康、「流石武藤喜兵衛殿ですね」とバラし、昌幸にゆさぶりをかけます。こいつ、ただ者ではないぞ。

そしていよいよ最終面説。コツコツと足音が響き、よく磨かれたレザーブーツが映ります。そしてカメラがあがっていくと、和洋折衷の衣装を着た信長が!

ついに対面、織田信長!

ついに対面、織田信長!

これがもうこれ以上レベルアップしない、最終形態信長! 声低い、ライティング怖い、もう全体的に無茶苦茶怖い! 私があの場にいたら腰抜かしそうです。信長は「よき面構えじゃ」と感想を述べ、無事真田家は最終面説も通過しました。家康もここで、おめでとうございますと祝いの言葉。もちろん結果は知っていますが、ハラハラしました!

 

信長にボコられた光秀は恍惚の表情を浮かべ……

「勝った勝った! ガッツだ気合いだ!」とポーズを取り、喜ぶ昌幸。しかし、沼田と岩櫃という2つの城を差し出すことが条件と滝川一益から知らされ、ショックを受けます。昌幸、失望が顔に出ています。ここでノブヤボマップが入るのですが、本当にごっそりと領土が減ったことがわかり、昌幸のショックがよくわかりました。

滝川一益・昌幸の影響力を利用として少しおもねるような段田安則さんの雰囲気がいいっすよね

滝川一益。真田昌幸の影響力を利用しようとして、少しおもねるような段田安則さんの雰囲気がいいっすよね

信繁はわくわく気分で、矢沢頼幸に信長を見た感想を語ります。平時であんなに怖いんだから、怒ったらさぞかし怖いだろうといった直後、信長による光秀への過激過ぎるパワハラが目の前で繰り広げられます!

光秀を怒鳴りつけ、欄干に何度も何度も頭を打ち付ける信長! あまりにバイオレントな光景に、信繁も家康も、家康の隣にいるもの唖然。額から流血し、倒れた光秀を抱き留め、額を懐紙で拭う家康から優しさを感じます。ちなみにこの場面、信長がなぜキレたかというと、特に何もしていない光秀が「今回の武田攻め、私も頑張った甲斐がありました」と口にしたせいでした。「はあ? お前は何もしてねえだろ、ふざけんなよ」としかり飛ばしたとか。

作家の岩下尚史氏が大河で俳優デビュー「キモーッとか言われて気持ち悪がられると思う」 - SANSPO.COM
http://www.sanspo.com/geino/news/20151229/geo15122905000003-n1.html

この光秀役の岩下尚史氏、選ばれた理由が「キモいから、殴られてもうっとりとしていそうだから」だそうです。確かに桜が舞い散る中、妙にピンクがかった照明を浴びつつ、スローモーションになり、血を流しながらも恍惚とした目線を信長に向ける光秀は、確かに何とも言えない雰囲気がありました(しかもBGMは神々しい女声ボーカル入り)。すごい、ドMだ。ドMがここにおるぞ!

公式サイトの本能寺の変の解説に、様々な動機が想像できる事件だから、クリエイターたちが様々な解釈をとって面白い作品を作り出している、という旨の記載があります
http://www.nhk.or.jp/sanadamaru/special/history/history09.html )。

今年はシンプルに光秀怨恨説を取るのかと思ったら、ひねりがありました。

「ヤンデレBL(武将ラブ)説」とでも名付けましょうか。殴られても、冷たくされてもやっぱり殿が好き、でもそんな殿が手に入らないならいっそ……みたいな。SNSもあやしい信長と光秀の関係(と、ついでに光秀をお姫様のように抱く家康)にざわついております。

アラフィフドM家臣と、ドSな上様コンビが贈る、ヤンデレ!?ラブコメディが2016年の大河スタートを飾る!

って感じ(元ネタ http://www.tbs.co.jp/damekoi/intro/ )。

これはすごい挑戦だな!

 

城も取られ、人質も送り、弱小勢力はつらいよ

昌幸は真田郷に戻ると結果報告。信幸は喜んでいますが、出浦昌相らは自領を織田勢が支配することに「まあ仕方ないかな」と複雑な顔。さらに昌幸が安土に人質を出すと言い出します。昌幸は母(とり)にしたいと言いますが、信繁は姉・松を強く推します。

国衆たちは、まぁ納得するしか……

国衆たちは、まぁ納得するしか……

信繁は松の一行に茂誠を紛れ込ませ、ほとぼりがさめるまで待たせるつもりでした。これにははじめこそ怒っていた松も、大喜びです。ナイス!

息子のいないところで昌幸は「城も取られる、人質も出す。弱小勢力って本当につらいよな」と悲哀を漂わせ語ります。息子には見せない、弱気な姿です。

松を人質に出すとなると、薫は娘に抱きついて「私のかわいい松に何てことを!」と泣き出します。その様子を見かねたとりが「松ではなく私が行きます」と提案。松と信繁は何としても松を出そうとするのですが、昌幸もやはり松が不憫と感じているようで、とりにしようとします。結果がわかった上での会話ですが、ちゃんとハラハラさせ、笑いも入れるのが巧みですね。信繁は姉の送迎役に立候補します。

昌幸は叔父の矢沢頼綱に、城の引き渡しを報告。ずっと手入れしてきた城を手放すことに、二人は無念を募らせます。強がりながらも寂しげな二人のやりとりから、城への切々たる思いが伝わってきます。この真田一族の沼田と岩櫃への思い入れが、今後重要なポイントとなります。

マイペースでドラマに違った空気をもたらしてくれる松姉ちゃん、いいっすよねー

マイペースでドラマに違った空気をもたらしてくれる松姉ちゃん

 

あっという間に散るなんて、清々しいほどの挑戦なり

真田家は信長に馬を献上し、松を人質として送り出します。信繁の目に映る安土の町は、明朝風や西洋風のインテリアが見られ、グラスでワインを飲む人々がくつろぎ、南蛮人らが市場を営む活気溢れる場所でした。あまりの壮麗さに喜ぶ信繁。こっそりと松の家来に紛れ込んだ茂誠は、にこにことうれしそうです。CGで再現された安土城にも、ロマンを感じます。

茂誠は松と自分のために、おそろいの匂い袋を作っています。妻の側にいえることが本当に嬉しいんですね。高木さんが毎回可愛らしいなあ。一歩間違えれば相当ウザキャラになりそうな松と茂誠夫妻ですが、いいカップルです。癒やし枠ですね。

こうして安土に落ち着いた信繁たち。しかしその頃、京都では……

「敵は本能寺にあり……敵は本能寺にあり……!」

えっ、今年の本能寺の変、早すぎ? 私は残り数分で「敵は本能寺にあり」と聞こえてきたとき、そうか、来週に信長が死ぬのかと思っておりました。ところが今週、信長は散ってしまいました。超高速本能寺の変!

登場した直後に本能寺の変!?

登場した直後に本能寺の変!?

こんな挑戦をするとは思ってもいませんでした。本能寺の変は視聴率の稼ぎどころですから、ここぞとばかりに力を入れることが多いんですよね。『軍師官兵衛』なんて本能寺の変スペシャル番組まであったくらい。今年はそれをやらないとは、清々しいほどの挑戦です。

でもかえってこういうの、私は求めていたんですよ。昨年の戊辰戦争カットと並べてはいけませんからね。

戦国ものが多い中、ほぼ隔年で信長は燃えてきました。そうするとやはり食傷気味、「本能寺の変疲れ」が出てくるんですよね。そうならないよう、くノ一に首を絞められる光秀とか、信長の亡霊が幼女のあとにくっついて行くとか、変なアレンジを入れてきて、それがどうにも滑ってきたわけです。

真田から見た本能寺の変は、これがベストバランスだと思います。もっとあの信長・信忠親子の姿は見たかったのですが、それでいいんです。あんな信長どうでもいいや、とならない今年のバランス感、いいですね。本能寺の変そのものより、そのことによって追い込まれる各人の「窮地」こそが見所です。

それにしても「チクショオオオオオ信長めえええ!」と予告で昌幸が絶叫していましたが、確かに私が昌幸でもそう叫びますね。せっかく頑張ったのに、全部リセットかよ!

そして、茂誠とぶつかっただけでいろいろチビっていそうな家康も予告に登場。もう予告の時点で顔がビビりまくっている家康。こんな家康で大丈夫でしょうか? 家康が途中で影武者に入れ替わっても違和感なさそうです。ハードモードの伊賀越え、やっぱりこういうのが見たかったので来週が楽しみです。

 

今週のMVP

織田信長&織田信忠父子、明智光秀

この三人から絞れない! 昌幸と家康もいいけど、まだまだ彼らは出番があるのでこの三人で。

織田信忠義役の玉置玲央さんは、公式サイトでも取り上げられました。
http://www.nhk.or.jp/sanadamaru/special/subject/subject04.html

玉置さんは、スチル写真より動いているところを見た方が、その魅力が三割増しする印象です。動き、そして声が実によいんです。台詞は伸びやかでよく通り、抑揚もしっかりついていて、発声がクリアで本当に聞き取りやすいです。流石劇団で鍛えられただけのことはあります。細い髭、月代、装束や甲冑も似合っていますし、気品も激しさも感じさせます。「本能寺の変」といえば信長が散る事件ですが、今年は「あんなに英邁で、将来を期待させた信忠まで散ってしまったのか!」と、損失が例年になくこたえます。

吉田鋼太郎さんを信長キャスティングしたのは、シェイクスピアの演劇をイメージしてとのことです。戦国にシェイクスピアとはミスマッチなようですが、実は真田信繁とシェイクスピアは三歳差。国は違うとはいえ、ほぼ同時期を生きた人です。シェイクスピアは、英国の戦乱状態が続いた頃を舞台とした歴史劇を数多く残しています。

制作側ではリア王のイメージとも書かれていましたが、本作の信長は『ジュリアス・シーザー』のシーザーのような位置にいます。この劇で描かれるのは、カエサル(シーザーはカエサルの英語読み)という巨星が突如失われたあとに生じた、権力の空白と混沌です。本作もまさに、混沌の渦へと向かってゆきます。少ない出番で強大な権力を表現しきった吉田さん、素晴らしい!

 

安土城の演出や安土城のCGを担当されたスタッフの皆様もお疲れ様でした。少しの間で、安土の見る者の度肝を抜くような先進性や伝わって来ました。

信長とその周辺が巨大に描かれたからこそ、作品にメリハリが付きました。もっと見たかったと思わせる、そのバランスもまた秀逸です。

そして光秀。恍惚被虐のマゾヒスト! 上様が好き過ぎてヤンデレ化した光秀による本能寺の悲恋、そんな際どい設定に説得力を持たせた岩下さん、これが俳優デビューとは思えない熱演でした。

昨年私は、美男美女を集めてきても既に別の番組で人気がある新鮮みのない顔ぶればかりで、しかも適材適所で使っている感覚が乏しく、キャスティングに面白みがないと文句を言いました。今年は玉置さんといい、高木渉さんといい、本作が契機になってブレイクしそうな役者さんが既におります。平岳大さんも演技評価が上がっているようで、今年は昨年とはまったく違うんだぞ、ということを見ていて感じております。

 

総評

弁舌による昌幸と家康、そして信忠のやりとりは、まさに「頭脳戦」でした。結果が分かりきっているのに、これはもう駄目なんじゃないかと思ってしまったほど。歴史ものは結果がわかっているのですが、なぜその結果になるのか、どう切り抜けるのか、その過程でハラハラさせれば十分にスリリングになります。こういう会話劇を巧みに描けるのは、流石三谷さんといったところでしょうか。脚本家の技量が光りました。

室内でおっさんが喋っているだけですと、どうしても単調に思えます。そこは照明はじめ演出も頑張っており、本作の織田家のテーマカラーである黄色をいかした絵がとてもよかったです。黄色い光が、何故か見ている側を不安にさせるんですよね。黄色は警告の色でもあるんだな、と再認識しました。

そうした最高の舞台で、役者さんが火花を散らす演技合戦。まさにこれは「戦」でした。

そして今週タイトルの「挑戦」は、ある意味ドラマとしての挑戦でした。あの本能寺の変、こういうのもあるんだ、とハッとしました。昨今の陰謀説には個人的にちょっと疲れていたので、こういう原点回帰がむしろ見たかった! 真田から見たから高速で終わるというのも新鮮でした。

 

おまけ考察タイム

「本作の登場人物は現代人と同じ思考回路なのか?」(長く、公式サイトの歴史解説でも十分なので、時間がある方のみお読みください)

本作への批判で「登場人物の思考回路や行動が現代人そのままだ!」とありましたが、それだけは違うと言いたいのです。

二話で昌幸が、上杉につくか北条につくか、こよりで決めると言い出した場面がありましたね。あれなんか、まさに戦国の考え方です。

一応ですが、ここで言う上杉は遠藤憲一さん演ずる景勝さんです

一応ですが、ここで言う上杉は遠藤憲一さん演ずる景勝さんです

 

あの場面がおもしろいのは、

中世人の昌幸:こうなったら神の声をくじで聞け! 神意は尊い

近世人の昌幸:いや、神意とかいくらなんでもおかしいだろ。今更それはない

と、彼の中で中世と近世がせめぎあっているところとも解釈できますね。戦国時代というのは中世から近世への過渡期で、神様だから問答無用で尊いという、そんな考えは合理主義にとってかわられつつあります。そのグラデーションの過程にある戦国の人としての価値観が、あの場面にあらわれていました。 そういう小難しいこと抜きに面白い場面ですけれども。

三週でも戦国の理論で動いています。現代人は、隣町の人が境界線超えて木を伐採しているからって、石ぶつけて追い払ったりしないじゃないですか。よし、あいつらめ、と物置から槍出して来ないじゃないですか。交番や役所に通報するではないですか。描写は軽く見えても、生き延びるためなら何をしてもいいと割り切っているあたり、本作の登場人物は戦国の価値観で動いていると思います。

戦国の価値観というとよくある誤解が「無法地帯」の中で生きている、というものです。例えば松やきりのような若い娘が昼間っから歩いていて誘拐されないの? 内戦状態のシリアみたいなものじゃないの? というような誤解です。

結論から言いますと、本作に出てくる真田周辺の女性は、真田の領地にいる限り、むしろ現代日本の女性より安全かもしれません。松や真田家重臣の娘であるきりが道をふらふら歩いているからと、どこかの悪い奴が襲うということは、まずないでしょう。領主の関係者を傷つけるということは、領主領民全員に喧嘩をふっかけるに等しい行為であり、自分自身だけではなく家族にまで危険が及びます。

また戦国時代の女性が自由に出歩く様子は当時の宣教師によっても驚きとともに記録されていました。屋外では武家の男女は会話できない『八重の桜』の八重や、表を出歩くなど考えられなかった史実の杉文より、松やきりは行動の自由度は高かったでしょう(去年の『花燃ゆ』では屋外で文が義兄や松下村塾生とイチャコラしていましたが、あれは時代考証を丸無視していたからです)。

もちろん真田家の領土から出てしまったら、まったく別です。新府から岩櫃への道のりで、何度か松は拉致されそうになっていました。妾にして子を産ませる、遊郭に売り払うなどでき、人身売買市場では若い女性の方がより高値となるため、真っ先に狙われます。

先週の森林伐採をめぐる小競り合いでも、暴力はふるっても命のやり取りまでは行きません。腕っ節で解決できる時代だからこそ、エスカレートして死人まで出たら相手も仇を討つまで止まらなくなります。何をするのも自由だぜ、ヒャッハー! という世界ではありません。戦国時代の人間は「無法地帯」「無秩序」「混沌」の中で生きているのではなく、「現代人とは違う彼らの秩序」の中で生きているのです。

ちなみに現代人まんまと不評のきりですが(その狙いについては公式サイトに答えがあります)、室賀との小競り合いの場面で「喧嘩はやめてよ~」とか言わなかったので、個人的にはセーフ。ルールを破った隣村の奴を殴るという点で、きりと梅はまだ許容範囲です。見た目や仕草はしっとりとしたおしとやかであっても「いくさは嫌でございます!」「なぜ人は争わねばならいあのでしょうか……」とかなんとか、上から目線現代人視点で平和平穏を説くヒロインの方が個人的には苦手です。

同じく不評の松ですが史実でも彼女は、大坂方についた弟・信繁とも文のやり取りをしていた人です。リスクはあっても、どうしても愛する人とつながっていたい、そういうキャラクターにするつもりかなとも思いました。また、きりや松は行動をたしなめる家族がいるので、去年の暴走ヒロインより随分マシに感じます。

ちなみに時代背景については、公式サイトがかなり詳しく書いているのでそちらもご覧ください。今年の時代解説は本当に詳しくて、読んでいるだけで本当に勉強になります。軽いだの何だの言われていますが、時代考証の先生ががっちりと手綱を執って、作品を作っているのが本当によくわかります。だから昨年のように本当につっこめない。現代的でヤンキーやツンデレしていても、根っこの部分に戦国らしさがあるんですよね。視聴者の苛立ちを集める薫にせよきりにせよ、「戦国時代の困ったウザい女」止まりなんですよね。行動の基本に戦国の価値観があるので、多少困ったことをしても許容範囲にとどまっている印象です。

結論:本作の登場人物は、軽そうに見えて戦国していますよ。

 

武者震之助・記



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