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真田丸レビュー

『真田丸』感想レビュー第25回「別離」 ギラついた江戸と信州の野獣が鶴松の死をほくそ笑む

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こんばんは。私も見てきた「真田丸展」が大盛況だったとのこと。よいニュースですね。

江戸東京博物館「真田丸展」盛況閉幕 6年ぶり来場者10万人突破 ― スポニチ Sponichi Annex 芸能 http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2016/06/20/kiji/K20160620012817700.html

視聴率も高めで安定しており、周回遅れで「きりバッシング」をしているニュースがチラホラあるほかは、だいたいが好評のようです。余計なバッシングが少ないのはよいことです。

そういえば先週の伊達政宗ですが、『独眼竜政宗』と比較してしまうのは仕方ないにせよ、今回はこれでよいと思います。先週も書いた通り、あれはあれで意味がありました。主役は真田なのですし、ああいうコメディリリーフでも個人的にはありだと思います。

では、今回も本編へ行ってみましょー!

 

悪事に手を染めてもひるまない大谷吉継の精神力

天正十九年(1591)、秀吉の愛児・鶴松は死に瀕していました。巷では千利休の祟りとされているとか。

これより数ヶ月前、千利休は秀吉に切腹を申しつけられていました。

発端は自業自得と申しましょうか、北条攻めで敵味方問わずに物資を売買していた利休。石田三成と大谷吉継はこれを警戒し、秀吉の実弟・秀長に報告します。

しかし利休の息の根を止めることになるのは、もっと別の理由でした。秀吉が参拝する大徳寺に置かれた巨大な利休の像。その寺に参拝をするということは、利休の足下を通ることになるわけです。これが秀吉の逆鱗に触れ、利休は切腹となります。

この像について讒言したのは、三成と吉継でした。北条攻めでの商売よりも無理矢理こじつけたように思え、なかなか悪どいものがあります。この出来事を祟りとして蒸し返されて暗い顔をする三成に対し、「祟りならまず俺のところに来るだろう。だが何ともない」と吉継は言います。今のところはそう見えますが、病魔は静かに彼の体を蝕んでいることでしょう。

大谷吉継はなかなか面白い人物になってきましたね。

義の将というイメージが強い彼ですが、義だけでここまで引き立てられることはないわけです。多面性が彼の像に深みを持たせています。また吉継は悪事に手を染めてもまったくひるむ要素もなければ、後ろめたさを覚える様子もないのです。高潔そのもののさわやかな容貌と態度で悪事もいとわない彼からは強い精神力を感じます。

 

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信幸は稲相手に苦労を強いられ、松は夫と共に記憶も取り戻す

死を目の前にした利休は、信繁に金と権力を濫用して足下をすくわれた、だからこそ茶で己のバランスを取っていたと告げられます。利休のたてた、業で苦い茶を飲み干す信繁。権力を濫用するのは彼だけではありません。

昌幸と薫夫妻は、公家のツテを使って明渡来の高い薬を見舞いに献上します。なんとそれを片桐且元が自ら薬を作るとか。この人、張り切るとあんまりいいことないんだよなあ。

一方で沼田城の信幸は、相変わらず戦闘気質な大叔父・矢沢頼綱のわがままに手を焼き一人コントを演じてみたり、ツンツンする一方で一向にデレない妻・稲相手にそっけなくされたり、なかなか多難な様子。そんな彼の心を癒すのは、なんと元妻のこうなのでした。

上田城では、小山田茂誠(しげまさ)・松夫妻が病床の祖母・とりと再会。松は夫と再会したことで記憶を全て取り戻したそうです。とりは確か茂誠のことを「死んでますね」とそっけなく言っていたと思うのですが(第三回)、やはり再会は嬉しいようです。

茂誠はこれから岩櫃城主になるそうです。彼も出世しましたねえ。裏切り者一族という経歴もなんとかロンダリングされたようで。この二人が幸せそうだとこちらもうれしくなります。名物カップル復活おめでとう!!

真田丸松霜月けい

演じられるのは声優の高木渉さんです

仲睦まじ過ぎるこの夫婦はオアシスかもしれません

 

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利休の死にも関わっていたデスブロガー茶々

上田から一転、淀城では暗い空気に包まれています。

信繁は鶴松にもしものことがあれば、侍医すら害されかねないと北政所に懸念を語ります。北政所は夫に悪行がたたったのだときつく言っておくと返します。

ここで大蔵卿局が、利休の死に茶々が関与していたと語り出します。父のように利休を慕っていた茶々は、利休の像を欲しがります。ところができたものが予想以上に大きくなったため、茶々は利休が寄進した大徳寺に預からせればよいのでは、と提案していたのでした。

きりは「私、お茶々様が怖い。デスブロガーみたい」と不安を告げます。悪気はないと庇う信繁ですが、そこがかえって怖い、ときり。

薫と片桐且元は明渡来の薬を煎じますが、なんとここで且元が肝心の「煮汁」の方を流してしまいます。残されたわずか一本の薬草で何とかしようとする二人なのですが……。

鶴松の死後の段取りを三成と吉継が話し合っていると、領地から駆けつけてきた加藤清正と福島正則が「願掛け水垢離(みずごり)をする」と三成を誘います。あっさりと断る三成に「誘った俺が馬鹿だった」と吐き捨てる清正でした。

 

マッチョ三成が肉体美披露のファンサービス

そのころ、徳川家康と本多正信は、夜を徹して働く者たちに大量のケータリングを差し入れ。こういうさりげなさに、家康の「人たらし」の部分があると思います。秀吉のようなパフォーマンスとしてではなく、そのぶん人を思いやったさりげない行動ができるんですよね。

清正と正則が水垢離をしていると、三成が無言で登場。来るやいなやマッチョな肉体美をさらし、頭から水をかぶります。今日のファンサービスですね。この日のためにビルドアップしたという肉体美を皆さんご覧ください。

真田丸石田三成

三成は秀次と二人の弟、豊臣秀俊(のちの小早川秀秋)、宇喜多秀家らを一室に集め、これからもともに豊臣家の反映に尽くして欲しいと頼みます。この部屋に集まった人たちの大半は三十過ぎまで生きられないとは……。

一方、昌幸と家康は鶴松死後に乱れるであろう天下の行方を思い、ほくそ笑みます。このときの二人の顔はまさに餓狼の面構えです。幼い子の死という悲劇を前にしてほくそ笑む。こういうのがまさに、戦国の将です。槍を構えて鉄砲を撃つことよりも、この悪い顔がまさしく乱世です。

真田丸真田昌幸霜月けい

真田丸徳川家康霜月けい

昌幸と家康に「ひ弱すぎる」と評されていた秀次は、ますますのしかかるプレッシャーを感じています。あの二人と比べると彼は繊細で善良な好青年そのもので、だからこそ好感も持てますし、不安にもなるんだなあと哀しくなってきました。秀次はきりに側室にならないかと持ちかけますが、きりは言葉を濁してしまいます。

それにしても、この場面のきりの美しさときたら。そりゃ秀次も惚れるだろうと納得しました。そりゃそうですよ、だって長澤まさみさんですからね。むしろその美貌を残念にすら見せていた前半の演技力に驚きました。

 

息子・鶴松の容体が悪化 「何のために生まれてきたのか」

製法を誤って大量の煮汁を捨ててしまい、残ったわずか一本の薬草でどうにか作った薬を薫と且元が差し出すと、すかさず昌幸がパクっと味見! これで貴重な薬は全て無駄になりました。これは且元のせいだ!

昌幸は廊下で家康とすれ違い「治るといいですよね〜」「本当に心配ですよね〜」と心にもないことを言い合います。いいぞ、このしらじらしさ!

そしてその晩、鶴松の容態が悪化。

ふらりと一人でどこかへ向かう秀吉を追い、信繁はその嘆きを聞きます。一体何のために我が子は生まれてきたのかと悲しむ秀吉に、信繁はよいことを考えましょうと告げます。小日向さんの演技は父の悲哀を表現できてはいます。しかし同時にこうも思えてきてしまいます。あなたは我が子の死を悼む何分かの一でも、自分の手によって殺めた者たちもそうはできないのか、と。

戦で出会う敵ならばまだわかります。政敵も仕方ないでしょう。しかし秀吉は八つ当たりのように、誰かにとっての愛児にあたる幼子すら殺すような男です。そしてその嗜好は今後も変わりません。

天正十九年八月五日未明、鶴松は二年二ヶ月という短い一生を終えました。

秀吉は愛児の枕元でんでん太鼓を鳴らし続けます。魂が抜けたような淀は、ふらふらと廊下に出ます。信繁は我が子の側にいなくてよいのかと声を掛けるのですが、茶々は「死んでしまった者のそばにいても仕方ないでしょう」とつぶやきます。そんな茶々に廊下で出会った北政所は、何も言わず強く茶々を抱きしめます。ここで茶々の涙が堰を切ったようにあふれだすのでした。

失われた小さな命。しかしこれも、豊臣の悲劇全体からみると序章なのでした。

真田丸豊臣秀吉

 

今週のMVP:千利休

自分でも何故死ぬのかわかっているようで、わかっていないような、不思議な感覚がありました。

今年の利休は悟りやわびさびを感じさせない、むしろ金の力で得た権力によって転落するキャラクター。そんな彼がむしろ死に直面したからこそ何か憑き物が落ちたように見えたのは、己の溺れていたものの正体を悟ったからでしょう。

そしてその目には、権力に溺れた豊臣政権も盤石ではないと見えていたのかもしれません。

総評

矢玉が飛ばず、誰も刀槍を構えなくても「戦国」の臭いがむっとたちこめていました。

上田の信幸パートや薫と且元の薬パートで箸休め、悲嘆にくれる秀吉と茶々で人間ドラマを見せながらも、最もいきいきとしていたのは鶴松の死にほくそ笑む昌幸と家康。

ここまで見てきて、この二人ならばそうしてもまったくおかしくないと視聴者はわかっていると思います。ところがこれをこう表現するのはなかなか難しいのではないかと感じました。

彼らは二歳児の死を予想し、喜んでいるわけです。むろんただの二歳児ではありませんが、苦しそうな子供とその枕元で悲しむ親のすぐ横で、それを喜ぶ連中がいる――なかなかえげつない話です。ちょっと臆病なドラマ制作者なら、不謹慎と思われそうだからアッサリと扱うのではないでしょうか。

そしてこの場面の二人のギラついた顔。まさに獲物に飢えた野獣です。

以前、野生の雄熊が幼い熊を殺し、食べる場面を動画で見ました。あの時に感じたものを今回思い出しました。愛くるしい鶴松も、頼りない好青年の秀次とその親族たちも、昌幸や家康にとっては「獲物」です。豊臣政権は野獣を手なずけようとし、失敗します。悲劇はまだまだこれからなのです。

 

著:武者震之助
絵:霜月けい

 

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豊臣秀頼630-380

 




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