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『真田丸』感想レビュー総評「徳川ブラック編」 血の滴るステーキを所望したら牛皿だったでござる(´・ω・`)

更新日:

 

こんにちわ。
真田丸放送中のレビューでも、昨日公開させていただいた総評「真田レッド編」でも、私は本作を熱心に褒めてきました。一昨年、昨年のレビューを思い出して「掌を返しやがって!」と思う人もいるでしょうが、よいものはよいということなのです。
が、本作にまったく欠点がなかったわけではありません。
レビューでも幾度か苦言を呈してきたある欠点について、何とかならなかったのかと指摘させてください。

前編はコチラ→『真田丸』感想レビュー総評「真田レッド編」中世と近世、2つの意地がぶつかり、戦乱の物語にピリオドを打った

 

上田合戦や関が原は仕方ないと納得できたが

本作は脚本、演出、演技など、ありとあらゆる要素において最善を尽くして来ました。しかし、一点「なぜここで全力を出さないのか?」と言える要素があります。
それは合戦の迫力不足です。

第一次・第二次上田合戦の迫力が今ひとつと言われていました。小さな城で籠城する戦ならそれも仕方ないと思いました。一分に満たない関ヶ原も、ここで予算を圧縮して大坂の陣に持っていくと思えばむしろ思い切っていたと思えました。

そして迎えた大坂の陣です。
真田丸での戦闘は迫力がありました。夏の陣で突撃する真田幸村や毛利勝永も格好よい。
しかし主役級の役者から目を転じると、兵士はせいぜい数十人いるようにしか見えませんし、色彩もスタジオ撮影の部分と比べて明るすぎ、何か違和感がありました。

確かに合戦の場面はあります。迫力もまあ、そこそこあるでしょう。
それなのに私はテレビの前で首をひねりました。
喩えるならば、血の滴るようなサーロインステーキを待ち望んでいたのに、牛皿が出てきたような心境と言いましょうか………。

屋敷Pは、本作を世界で通用するドラマにしたいという、壮大な意気込みを持っています。公式サイトが日英二カ国語表記なのも、その現れでしょう。その意気込みを私は敬愛します。
しかし、海外に出ていくのであれば、2010年代の歴史ドラマとして合戦の迫力が必要なのです。

 

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物量差は如何ともしがたい ならばVFXは?

ここでライバルにあたる海外ドラマの合戦場面を見てみましょう。
◆『ゲーム・オブ・スローンズ』アメリカ・HBO

◆『ホロウ・クラウン/嘆きの王冠』イギリス・BBC

◆『戦争と平和』イギリス・BBC

ちなみにBBCは、2008年の『ウォリアーズ 歴史を動かした男たち』という番組でこんな関ヶ原を作っていますからおそろしいですよね……。

◆『ウォリアーズ 歴史を動かした男たち』関ヶ原編

エキストラがいないならVFXで補えばいいじゃない!
リンク先動画の『ゲーム・オブ・スローンズ』での撮影には、五百人のエキストラと馬七十頭を使用したそうです。『真田丸』での真田丸攻防戦でのエキストラは五十人とのこと。
やはり物量差はいかんともしがたい……いいえ、何も私は、五十人のエキストラを五百人にしろと言いたいわけではありません。VFXをもっと活用して欲しいのです!

これは年初、私が是非ともこだわって欲しいと希望を述べていた点です。

本作が決して悪かったわけではありませんし、想像を上回る部分もありました。
『信長の野望』のマップをそのまま使った地図は斬新かつわかりやすく、もういっそこのまま戦国大河なら毎回採用して欲しいと思えるほどでした。
CGで再現された漆黒の大坂城天守、真田丸などの絵は歴史ファンの心をぐっと掴めたと思います。スタジオ撮影とCGを組み合わせて、奥行きのある絵作りにも積極的に取り組んでいました。カルバリン砲が飛んでいって大坂城天守に当たる場面など、本当に素晴らし射ものでした。

しかし、この素晴らしい技術の数々は、何故か「ダイナミックに動くCG」という形では本編に登場しないのです。オープニングの最後の場面ではCGの赤備えの騎兵が雄々しく突撃しますが、本編では出てこないのです。

 

セットの危険性を低くした理由は重々承知であるがゆえ

こうした「ダイナミックに動くCG」不足が、合戦場面での迫力を削いでいたのは、実に残念に思われるのです。

本作では真田丸攻防戦において、エキストラの安全確保のためにセットの危険性を低くしたそうです。それはもちろん大事なことではありますが、迫力を削ぐことでもあります。だからこその、CGです。CGならば誰も死にません。CGでえげつない真田丸を作り、そこにCGの雑兵を飛び込ませて大量殺戮しても、誰も痛い目にはあわないわけですよ!!

以前のレビューでも取り上げた動画ですが、VFXを駆使すると合戦シーンがここまで底上げされます。

このVFX技術がNHKにおいて到底実現不可能であるならば、悔しがりつつも納得できます。

しかし、オープニングではできていて、かつ三年前の『八重の桜』(私の中では年末に三年連続再評価された不思議な作品です。一昨年、昨年は全体的な出来において。今年はVFXにおいて、この作品は優れていたと再確認できました)でも今年よりはるかにうまくVFXを使っていたのです。

こうなると「何故最善を尽くさなかったのか」と愚痴のひとつも言いたくなります。もしかして『精霊の守り人』にVFXチームはかかりきりとか?

 

実写と区別のできない人馬を作り上げれば問題ナシ

今年の初めも書きましたが、2010年代のVFXは進歩していてもはや人間の目では実写と区別がつかないほどなのです。

VFXに嫌悪感を示す人もいますが、そんな声は無視して、実写と区別のできない人馬を作り上げていただければもはや言うことはありません。こんな力作が、合戦シーンがショボいという理由だけで海外からそっぽを向かれたらそれは虚しいことではありませんか。今後、是非この点を改善していただければと思います。

16世紀から17世紀において、数万の兵士が動員され、激突する戦いは世界史上でも稀でした。そんな戦いなのですから、それにふさわしい映像的迫力と説得力があれば、言うことなしです。
本作の欠点は以上です。もしかしてVFX化については予算だけでなくスケジュール上の問題があったのかもしれませんが、今回、敢えてそこは問わずに願望だけを述べさせていただきました。

それ意外の脚本の問題点は、人の好み次第でしょうから敢えて言うまでもありません。私からはともかく動くVFXが見たかったと述べ、本作レビューのしめくくくりとします。
一年間、ありがとうございました。

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