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イラスト・富永商太

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その日、歴史が動いた 毛利家

鮮やかすぎる厳島の戦い! 世界遺産を舞台に毛利元就の奇襲作戦が大成功

更新日:

70歳で子供生む元気老人VSアーッな元美少年武将

戦国時代の魅力といえば合戦。
特により悪条件からのどんでん返しは何度読んでもワクワクしますよね。

弘治元年(1555年)のあす10月1日、厳島の戦いで毛利元就が大内氏の陶晴賢を破り、中国地方の覇権を握りました。
実はこのとき、元就は既に60歳近く。

毛利家の家督も既に長子・隆元へ譲っていましたが、まだまだその知性も体力も健在でした。
……何せ、70歳のときに最後の子供が生まれてますからね(ボソッ)
ちなみに永禄十年(1567年)のことですので、信長が美濃を取り、真田幸村や伊達政宗が生まれたあの年です。
老いてなお壮んな人って本当にいるんですね(ボソボソ)

 

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世界遺産として有名なれど戦国時代はやっぱり荒れていた

さてそれはさておき、厳島です。
世界遺産としても有名な美しく歴史ある島ですが、やはり戦国時代にはたびたび荒れてしまっていました。

平安時代には平清盛が日宋貿易の中継地点としていたことからもわかる通り、厳島は神域であると同時に瀬戸内海の航路として重要な位置にあったからです。
元就が厳島神社を崇めていたにもかかわらず、ここを戦場としたのはそうした点が大きかったからでしょう。

痴情のもつれでボロボロになったとはいえ、この頃の大内氏が大大名であったことには変わりありません。
(過去記事「アーッ!な下克上 毛利元就に道を開く名家・大内家の内乱参考)

動員できる兵の数には圧倒的な差がありました。
毛利方を1とすると、大内側は4~6倍程度の兵数だったそうです。
これでは平地でまともにやりあったら、叩き潰されるのが目に見えています。

 

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小さい島におびきよせればいいじゃん

寡兵で大軍に打ち勝つためには、いくつもの条件を整えて絶対的に有利な条件を作り出す必要があります。
例えば源範頼・義経兄弟が一ノ谷でやったように、敵の度肝を抜いて混乱させるのが最も有効。
その準備のため、元就はロマンスグレーの脳細胞をフル稼働させます。

こうした意味からも厳島は適した場所でした。
もともと神社ですから、軍事的な防備はさほど厳重ではありません。
当初は陶氏から寝返った毛利方が数百人ほどの兵で守るのみ。
とても戦を行うには向かない状態でした。
しかし、裏を返せば「そんなところで俺達が負けるわけがない」と油断させることもできるわけです。

 

あまちゃんもビックリな毛利劇団の劇的シナリオ

世界遺産「厳島神社」はかつて戦場だった

世界遺産「厳島神社」はかつて戦場だった

元就はまず情報操作から始めます。
「今厳島から来られたら困っちゃうな~、ワシどうしたらいいかなぁ~」(チラッチラッ)とあからさまにあちこちで呟き、毛利家内に潜むスパイの耳に入れさせたのです。
ここでボケ老人と思われなかったあたり、毛利家臣の元就への信頼振りが窺えます。
当主の隆元からして「父上が隠居するなら私も隠居します!後は息子(※当時7歳・後の輝元)に任せた!!」とか言っちゃうほどの心酔振りですからねえ。

そして止めに、重臣の一人・桂元澄に「おまえちょっと裏切るフリしてくれない?」と命じます。
この人は木戸孝允や桂太郎の遠いご先祖に当たります。
元就が家督を継いだ頃からずっと宿老として仕えてきた忠臣でした。
主君の意を汲んだ彼は、陶晴賢へ「最近ウチの主人が冷たいんです!私に居場所をください!!」と泣きつく手紙を送り、まんまと陶家へ浮k……もとい、裏切る手筈を整えます。
この辺の毛利家一同、演技力がすげえ。

さてさて、このわざとらしい呟きと裏切りに見事に釣られた陶晴賢、意気揚々と厳島へやってきました。
「うわー本当だ小城しかねえwww小指でひねり潰せるぜwwwww桂が寝返ってきたら総攻撃なwwwwwww」なんて大爆笑していたことでしょう。
当時にツイッターがあったら、写真つきでつぶやいていたに違いありません。
実は「いくらなんでもわざとらし過ぎますよ、元就が何か仕掛けてるに決まってますよやめましょうよ!」と引き止めてくれた人もいたのですが、大内氏の実権を握ってホクホクしていた晴賢は聞き入れませんでした。
テンプレ臭が着々と濃くなりますね。

 

捕食者がいつのまに食われる立場に

小城というエサに釣られた大魚・陶軍、そこが厳島という極めて狭い漁場ということをすっかり忘れています。
この状況でもし包囲されたら……なんてこと考えもしません。
だって、毛利には陶軍を囲めるほどの人数がいないのですから。
そこが晴賢一生の誤算でした。

一方、その頃毛利側は着々と準備を進めています。
確かに毛利家だけの兵ではどう考えても数が足りませんが、敵を小さな島に押し込めた上で、出口となる海を包囲してしまえば袋のネズミの完成です。
海で包囲するのなら、陸地で同じことをするよりも兵数は必要ありません。
敵船の間を泳いで通り抜け、対岸までたどり着くなんて芸当はドーバー海峡横断より難しいでしょうからね。
時期的にも水が冷たくなる頃ですし、下手に飛び込んでもそうそう長くは泳げません。
そこに目をつけた元就は自分の家の水軍だけでなく、瀬戸内海の有力者・村上水軍に援軍を要請し、「包囲よろしく!」と依頼したのです。
これで準備は万全、あとは神様の気分次第……。

そして作戦決行の夜、予想外の荒天に見舞われながらも毛利側は二手に分かれて進軍を開始します。
元就・隆元の新旧二人の当主が島の裏手、「三本目の矢」小早川隆景が船で島の正面へ向かいました。
もちろん、隆景はそのまま戦ったわけではありません。
なんと「陶さんに加勢に来ました!(キリッ」と大嘘をついて無事上陸を果たすのです。
小気味良いくらいの清々しい嘘ですね。さすが親子。
そしてこっそり小城こと宮尾城の味方と合流します。

そして嵐も収まった翌朝10月1日、ついに毛利の逆襲が始まります。
前から後ろから容赦なく攻め立て、数で勝る陶軍を見事に大混乱へ叩き落しました。
我先に助かろうとして、無事な兵も互いに船を奪い合い、沈没あるいは溺死者が続出します。
無事出航した船も村上水軍によって討たれてしまいました。

そんな状態ですから、奥まった本陣にいる晴賢が船に乗ろうとしても当然残っているはずがありません。
ついに諦めた晴賢は、大江浦(別説として高安原)で自刃しました。
毛利氏の本姓が大江氏であることを考えると、なかなか因果なものを感じますね。
ちなみに晴賢を引き止めてくれた弘中隆包(ひろなかたかかね)は、その後も2日間粘り続けましたが、最後の一兵まで戦い全滅しました。

 

戦場となった聖域をきちんとお掃除した元就

こうして後に頼山陽が「日本三大奇襲」の一つとした厳島の戦いは、毛利側の完全勝利となったのです。
陶軍の死者は4000人を超えたといわれており、これは毛利方の兵数とほぼ同等です。
諸説ありますが、これは全軍からみた割合だとおおよそ1/4~1/8弱ほど。
現在の軍事的にいえば「全滅」(直接戦闘する兵の3割が死亡)~「壊滅」(同じく5割が死亡)にあたります。
ちなみにこの上は「殲滅」(全員死亡)しかありません。
厳密には逃亡して戦意をなくした兵も含まれますが、だいたいこんな感じです。
元就さんマジパネェ。

これでも元就に信長のような「殺戮者」のイメージがあまりないのは、戦後処理が異常なくらい丁寧だからでしょう。
特に厳島の戦いの後は、神域を汚したお詫びとして社殿を洗い清めた上、島表面の土を削り落として徹底的に血の臭いを消したそうです。
その後も社殿の整備や島の保全に勤めるなど、万全なアフターフォローをしています。
そのおかげか、神社側が毛利家を責めたとか、朝廷からお咎めを食らったとかいうことはなかったようです。
いろんな意味でさすが元就さん、そこに痺れる憧れるゥ!!

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