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その日、歴史が動いた 源平

平敦盛を討った鎌倉軍の熊谷直実さん 思うところあって出家す

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源平合戦で活躍した熊谷直実 平敦盛の首を取る

同じ武士でも、時代によって随分とその姿は変わります。
例えば戦国時代の武士にとって裏切り以外でも主を変えることは当たり前でしたし、江戸時代中期以降の武士はどちらかというと貴族や官僚のような存在でした。
となると、平安時代末期から鎌倉時代初期あたり、武士という存在ができ始めた頃も当然違ってくるわけで。
ここを踏まえておくと、今日のお話はちょっと違った視点で見れるかもしれません。

建久三年(1192年)の11月25日、源平の合戦で活躍した熊谷直実が出家しました。

日付や年については諸説あるようですが、今回はこの日のできごととして取り扱わせていただきます。
この人については、歴史よりも国語が好きな人のほうが覚えている名前かもしれませんね。
中学校くらいの古文でやる、平家物語の「敦盛の最期」で平敦盛(あつもり)の首を取った人です。

 

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1184年一ノ谷の戦いで一番乗りと同時に死にかける

これは寿永三年(1184年)の一ノ谷の戦いでの出来事でした。
このとき直実は息子や一族と共に一番乗りの大功を挙げているのですが、同時に討ち死にしかけるといううっかりぶりも披露しています。
平均寿命が50歳そこらの時代の40歳過ぎとは思えない血の気の多さです。

「敦盛の最期」の末尾で「直実は息子同然の年頃だった敦盛の首を取ったことで、仏教にますます傾倒するようになった」とされていますが、上記の通り、一ノ谷の戦いから出家までは間が開いています。
建久元年(1190年)には高野山で敦盛の七回忌を執り行っているので、要因のひとつではあったのでしょうけれども。
ではなぜ出家したかというと、どうやらいろいろと理由がありそうです。

平家との戦いが終わった後、直実は頼朝との不和や自領の相続争いなど、順風満帆とはいえない生活を送りました。
そこで出会ったのが、当時、浄土宗を開いたばかりの法然。
直実は武功を挙げて出世し続けた人でしたから、多くの将兵を殺しています。

法然/wikipediaより引用

しかも腰を落ち着けられると思ったとたんにまた別のゴタゴタ。
心身共に休まらないまま人生の終わりに差し掛かり、来世が気になったのでしょう。
「私はたくさんの人を殺めましたが、極楽往生するためには今からどうしたらいいでしょうか」と真剣に尋ねたそうです。
法然はこれに対し、浄土宗の教え通り「今までの罪や行いに関係なく、念仏を唱えれば救われますよ」と答えます。
この答えを聞いた直実、「手足の一本や二本を切り落としてお詫びしなければ救われないと思っていたのに、念仏だけで救ってくださるとは、仏様はなんと慈悲深いのだろう」と泣き出したそうです。
法然の答えによってはその場で切り落とすつもりだったらしく、刀を持参していたそうですから本気でそう思っていたのでしょうね。
それを知ってたから法然もそう言ったとか、いやいやまさか。

 

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法然の教えに影響を受け仏の道を歩み始め

この教えに深く感じ入った直実は息子に家督を譲って法然に弟子入りし、法力房蓮生(ほうりきぼうれんせい)として仏の道を歩み始めます。
その後浄土宗の教えを広めるべく、諸国を渡り歩いて数多くのお寺を開きました。
亡くなる間際まで法然とのやり取りは続いていたようですから、心の底から敬っていたのでしょうね。

ちなみに源平の戦で活躍したもう一人の武士・那須与一も出家したという説があります。
やはり浄土宗に帰依したとのことで、法然さんの人気パネェ。
与一についてはそもそも実在したかどうかがアヤシイとも言われていますが、功績を挙げた武人ほど晩年には仏教を選んだというのは興味深いですね。

これがもっと時代が下ると、「隠居したら頭丸めるモンだろ(※でも戦もするし下半身はまだまだ現役でーす☆)」みたいな風潮になっていくのですが、その話はまたおいおい。

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長月七紀・記

 




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