窮地に陥る上杉家を救った財政再建のプロ上杉鷹山 九州の小藩で生まれた義理堅い男

 

義理は大切です。現代だと「イヤイヤだけどやらないと今後困るから」みたいな気の進まないシチュエーションで使うことが多い単語のような気がしますが、「義務」ほど絶対的でないにしろ、守って損のあるものでもありません。義理を守ることによって生まれる信用もあるわけですからね。
それだけに必ずしも本人にとってメリットがあるわけではないのですが、それでも律儀に義理を守った人というのはちょくちょくいます。「忠義」も義理のうちに含めるとしたらもっとでしょう。今回はそんな人のお話です。
宝暦元年(1751年)の7月20日、上杉鷹山が誕生しました。
火の車どころか地獄で自転車操業といってもヌルい状態だった上杉家財政を好転させるきっかけを作った人です。「鷹山」は出家後の名前で、藩主時代は「治憲」なんですが例によって有名なほうで統一しますね。
現代ではビジネス書で取り上げられることもありますし、そのへんの手腕についてはご存知の方も多いかと思いますので、今回は鷹山の別の面についてお話して行きましょう。

上杉鷹山(Wikipediaより)

彼は上杉家の男系男子ではありません。お婆さんが上杉家から来た人で、当時の上杉家に後を継げそうな器量の男子がいなかったので、当主重定から「キミは賢そうだから、ちょっと婿養子になってくれないかい」と頼まれて上杉家に入りました。
実家の秋月家(高鍋藩=現・宮崎県東部)はお兄さんが継ぐことになっていたため、この縁談は「どうぞどうぞ」とあっさりまとまります。

 

どこまでも義理堅い男

元々婿養子でということだったので、鷹山は上杉を名乗ると同時に結婚します。お相手は幸(よし)という名のお姫様で、由緒正しき上杉家の女性だったのですが、一つ問題がありました。現在で言うところの知的障害を持っていたらしきことが記録されているのです。
とはいえ意思の疎通ができないのではなく、ずっと子供のような言動を取り続けるというタイプの障害でした。こんな状態ではろくに正室として扱ってもらえないというのが世の常ですが、鷹山は彼女が30歳で亡くなるまで決して邪険にはせず、むしろ積極的に人形やおもちゃで一緒に遊んでいたようです。
婿養子という立場からというのもあったでしょうが、それにしたって一緒に遊ぶことまでしなくてもいいわけですから、これはやはり鷹山の義理堅さや優しさというものでしょう。
当時は大名の妻子は江戸詰めのため、父・重定はろくに娘の状態を知らず、幸姫の遺品を見て初めて悟ったといいます。同時に鷹山の心遣いに感謝ひとしおであったとか。ええ話や……。

 

 35歳での家督返上に深い配慮

この「義理を通す」姿勢は、後継者選びにも表れています。
鷹山が上杉家に来た後、重定には男の子が生まれていました。そして鷹山自身には子供がおらず、重定の血筋に家督を戻すような形になります。
このこと自体はどこの大名家でも「あるある」な話ですが、鷹山はあえて35歳の若さでこの決断をしました。まだ重定の存命中のことだったので、「家を返して安心させようとしたのでは?」といわれています。
早めに家督(と幕府関係のウザ……面倒な仕事)を譲ることで、財政改革に集中するという狙いもあったようですが、それでも35歳ってのは明らかに早いですしね。

 

実家も忘れない忠孝の人

また、実家のことも大事にしていました。
実父危篤の時、鷹山は江戸屋敷へ一ヶ月も毎日看病に通い、最期を看取っています。普通養子に出た後は養子先の人になるので、実家については「他の家よりちょっと親しい」くらいのお付き合いになってしまうものなのですけれども、彼は米沢から江戸へ飛んでいっています。
また、実父が亡くなった後は養父重定が床に伏したという知らせを受け、四十九日を終わらせてから再び米沢へ飛び帰っています。ついてくる部下も大変だ。
重定のほうは三ヶ月近く看病をした甲斐あって、見事回復しました。鷹山の根性に病気のほうが退散したんですかね。よかったよかった。
彼に医術の心得があったかどうかという話ではなく、病人が「こんなに一生懸命看病してくれるコイツのために、俺も頑張らないとな!」と思えるような尽くし方だったのでしょうね。ガチで「病は気から」の時代ですし。

藩政改革についても「藩主としてお家と領民への義理を通すため」と考えれば、鷹山はまさに全方向への義理を果たしたことになります。
経済的手腕が語られることのほうが多いですけども、このあたりについてもぜひ見習いたいお人ですね。

 

長月 七紀・記
参考:http://ja.wikipedia.org/wiki/上杉鷹山


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コメント

    • 名無しのリーク
    • 2016年 6月 11日

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