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その日、歴史が動いた 学者・医師

剣よりも強くあれ 人類とペンの歴史は8000年前に始まった

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身近なものの歴史って意外と知らないですよね。
特に家具や日用品などを調べてみると、意外な歴史上の人物が使っていたり、使われ始めた頃は全く別の意味を持っていたりとなかなか興味深いものです。
今回はそんなものの一つ……ではなく、一カテゴリについてお話しましょう。

明治四十四年(1911年)2月9日、セーラー万年筆が開業した日です。日本の高級万年筆メーカーとして有名な会社の一つですね。

といっても、ここで販促をするわけにはいかないというか、してもメリットがない上に何か問題があるといけませんので、今回は万年筆を含めた筆記具の歴史をたどってみましょう。
あくまで「書く」ことについての歴史ですので、石版などは含んでいません。悪しからずご了承ください。

万年筆2

 

最古の筆記具は約8000年前のメソポタミアから

現在見つかっている最古の筆記具は、約8000年ほど前のものです。
場所は四大文明の一つ・メソポタミアで、何か尖ったもので文字を書いたらしき瓦が発見されました。今の感覚で言えばチラ裏ですかね。まだペンやノートというものはできていませんでしたが、「書く」という行為そのものを行った痕跡と見れば重要でしょう。

その後、ローマ帝国の時代には蝋の板に尖った棒で文字を書くということが行われていました。
鉛筆に近い形ですが、インクや黒鉛で書いたのではなく、板のほうを削って文字にしていたのです。
昔そんな感じのおもちゃがあった気がしたんですが、名前を忘れましたすみません。それより「液晶とタッチペン」といったほうがわかりやすいですねHAHAHA!

さらに時が経ち、5世紀ごろにはヨーロッパで羽ペンが生まれます。
鳥の羽の軸を削って書きやすくし、インクをつけて使うもので、手紙を書いている絵なんかでよく出てきますね。これが出てくるだけで一気に中世っぽい雰囲気になるので、そうしたイメージのマンガや小説・ゲームでもお馴染みです。
元がそんなに丈夫なものではないので、時々ペン先を削り直す必要があったり、何度もインクをつけなくてはいけないなど、なかなか面倒な道具でした。

話が前後しますが、その点4500年ほど前の中国で生まれた「筆」は実に活気的な筆記用具でした。今も場面が限られてはいますが現役ですしね。
羽ペンと違って毛の部分が墨をある程度ためられるので、より多くの文字を書くことができますし、手入れをきちんとすればずっと長持ちします。
とはいえ、筆を使う=漢字文化圏ですから、一文字一文字を書くための墨の量はそれだけ多いということもまた事実。墨やインクを付け直す頻度として考えると、あまり変わらないのかもしれませんが。

photo by 朱 雲希@flicker

photo by 朱 雲希@flicker

 

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鉛筆は徳川家康や伊達政宗も使ったことがある!? 

さて、現在主要な筆記具といえば鉛筆・ボールペン・シャーペン・サインペンあたりですよね。
これらは筆記具の世界でいえばニューフェイスといった感じです。

鉛筆は16世紀ごろ、黒鉛というものが作れるようになってから生まれました。
最初は木の棒の先に黒鉛の塊を詰めていたので、現在のものほど長くは書けなかったようです。しかし17世紀初頭には、現在と同じように二枚の棒で黒鉛の棒を挟み、整形するという形の鉛筆ができていました。

その後紆余曲折を経て、六角柱型が最も使いやすいということになり、定番化しています。円柱型や三角柱型もたまに見かけますね。円柱のは一度落とすとどこまでも転がっていって大変ですけど。
日本では徳川家康や伊達政宗が鉛筆を使ったことがあるという記録が残っていますので、戦国時代末期には入ってきていたと思われます。どちらも現存していて、東照宮や瑞鳳殿(政宗のお墓)の副葬品として見つかったとか。

筆まめだった政宗さんだけに(絵・富永商太)

筆まめだった政宗さんだけに(絵・富永商太)

 

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目の付けどころが、シャーペンでそ( ー`дー´)キリッ

ボールペンはもっと時代が下ってから、19世紀に登場します。
最初は液漏れがひどくて使い物にならなかったそうですが、ユダヤ系ハンガリー人のビーロー・ラースローという人物がこれを解決し、イギリス空軍に採用されて広まりました。これが1943年ですので、第二次世界大戦の真っ只中にボールペンが誕生したということになります。

当初は油性インクだけでしたが、その後水性・ゲルインク・エマルジョンインクなどさまざまなものが出され、広く愛されているのは皆さんご存知の通りです。
お役所の書類で使えるようになったのも品質が安定してからのことですが、最近は消せるインクの登場により、ごく稀にトラブルもあるようで。

シャーペンことシャープペンシルは、家電メーカーのシャープが作ったものです。
何でかというと、元々シャープは家電メーカーじゃなかったというか、同社の創業時には家電というものが存在していなかったのです。当初はベルトのバックルを作るメーカーで、その後現在のシャーペンの大本となる「繰出式鉛筆」を開発し、アメリカで大ヒットしたことで一気に成長しました。

アメリカに輸出する際、品名を「エバー・レディ・シャープ・ペンシル」にしたので、同じタイプの筆記用具を皆シャープペンシルやシャーペンというようになったのです。

残念なことに関東大震災で当時の工場が焼けてしまい、当時の社長さんが会社ごと大阪へ移転して新たな道を歩むことになったのですが……これ以上は筆記具から離れてしまうので、今回は割愛しますね。

2010年にスローガーンを「目指してる、未来が違う」に変更し、その後、経営危機に陥った・・・

2010年に「目指してる、未来が違う」とキャッチコピーを変更してから、経営危機に陥いるという悲劇に・・・

 

裸の大将でお馴染み山下清も使っていたサインペン 

サインペンは、おそらく最も新しいタイプの筆記用具で、1953年に発売されています。

しかし「蓋を開けっ放しで乾いてしまい書けなくなる」ということが大不評で、当初は実演販売をしても2~3本しか売れないほどの不人気ぶりだったとか。
その後値下げや「書いてすぐ乾く」というメリットに加え、漫画家の長崎抜天という方が「このペンでマンガもすぐ描ける!」というパフォーマンスをしたことでようやく広まったのだそうです。苦労人(?)ですねえ。

実は、「裸の大将」(※裸はフィクションです)こと山下清(過去記事:「裸の大将」山下清はドラマと違い渋い男前だった【その日、歴史が動いた】 )もサインペンで描いた点描画を発表したことがあるのだとか。ググっても大きな画像が出てこないのでちょっと残念なのですが、どこかで保管されているんですかね?

 

絶対にインク漏れしないペンを作ってやるんだから!

さて、万年筆はどの辺で生まれたのかというと、断言するのがなかなか難しいところ。というのも、ペン先と軸の部分で差異があるためです。
ペン先のほうが先で、18世紀の後半に「金属を丸めて溝を入れる」という概念が生み出されました。
そして19世紀中ごろにインクを溜めておく構造が考え出され、さらにこの二つを組み合わせて万年筆の原型ができたのは1883年のアメリカでした。万年筆という形が整ったところを起源とするならこの年ですかね。

万年筆3

fountain pen /Wikipediaより引用

 

日本に入ってきたのはそれから10年ほど後のことで、アメリカ・ウォーターマン社のものでした。
上記の原型を作ったのもこの会社なのですが、開発のきっかけが面白いというか笑っちゃいけないというか。
あるとき同社の社員が、客先との契約書を取り交わす際、新品のペンからインクもれをして書面が台無しになってしまったのだそうです。
現在であればすぐ作り直せますが、当時はパソコンもない時代ですから、どんなに急いだところでそれなりの時間がかかります。その間に同業他社に契約を奪われてしまい、歯噛みしたことから「絶対にインク漏れしないペンを作ってやるんだから!><」という執念で万年筆を作ったのだそうですよ。
あまりカッコイイ話ではないですが、歴史に残る発明のバックグラウンドとしてはなかなかいいですよね。公式サイトには載ってないので創作の可能性もありますけども。いや、隠しているとしたら真実なのかも?

日本ではまず輸入したペン先を使った万年筆が作られ、その後全てのパーツが国内で作られた純日本製のものも販売されるようになりました。
特筆すべきは、カートリッジ型が日本で発明されたことですが、どこが一番最初だったのかはいくつか説があるようですので、各社様のお怒りを買わないためにも社名は伏せさせていただきますご勘弁くださいm(_ _)m

 

贈り物に、大人の証明に。宝石では得られない付加価値を

その後万年筆は「改ざんを防げる筆記用具」として長く信頼されましたが、ボールペンの品質が安定すると徐々に使われなくなってしまいました。ボールペンのほうが扱いが簡単だからです。
多分、ある程度の年齢層までは一度も使ったことがないのではないでしょうか。かくいうワタクシも持っておりませんし、触ったこともあったかどうか記憶が危ういです。

しかし、最近は軸に蒔絵が施されているもの、木製の軸で軽く使いやすいものなどいろいろ出ていますので、一定の地位を保っています。特にプレゼントとしては人気があるようで、記念になるものや長く使えるものを探している場合には候補に上がることが多いみたいですね。
時計やアクセサリーなど身につけるものは「重い」と思われてしまうことも多いですが、質の良い筆記用具ならそんなこともありません。「ティファニーのシルバーペン」よりは地味かもしれませんが、実用性では万年筆に軍配が上がりますし。お値段的にも優しい(ボソッ)

そして何より、使いこなせるとカッコイイですよね。大人の証明というかなんというか。使う人は格段に減ったでしょうが、それでも多くのメーカーがあり、それなりのお値段のものが多く、かつ流通しているということは、そういう価値を見出している人が多いんでしょうねえ。

いつかは「これぞ」というものを手元に置いておきたいアイテムの一つではないでしょうか。

 

長月 七紀・記

TOP画像:Fountain pen/Wikipedia

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参考:セーラー万年筆/Wikipedia 日本筆記具工業会

 

 




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