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恐怖、真夏にエアコン全停止! アメリカ大停電の歴史に見るインフラの考え方

 

毎日暑さや湿度で嫌になってしまいますねえ。
文明の利器で何とか酷暑を乗り切れておりますが、もしこれがいきなり使えなくなってしまったら……なんて、考えただけでゾッとします。背筋が冷やっとしても、体感温度までは下がりませんけどね。

しかし、海の向こうのはるか彼方では、まさにこの真夏にそんな事態になったことがありました。
2003年(平成15年)8月14日、北アメリカで起きた記録的な大停電です。

近年の話ですのでご記憶の方もいらっしゃるかと思うのですが、ではなぜ取り上げたのかというと、これが初めではなく、ついでに言えば隣国カナダまで巻き込まれているからです。インフラどうなってんねん。
まあとりあえず、時系列順に行きましょうか。

2003年北アメリカ大停電における、停電地域。もしかしたら日本全域と同じぐらい……?/wikipediaより引用

 

最初のニューヨーク大停電は1965年

最初のニューヨーク大停電は1965年のことです。しかも11月という「よーし寒波頑張っちゃうぞー」みたいな時期の話でした。
しかもこの年は寒くなるのがやや早く、カナダもアメリカ北部も真冬と言っていい寒さになっていました。というか、だからこそ皆が暖房をガンガン使い、大量に電気を使っていたのです。

さらに運の悪いことに、発電所の機械に不具合があり、プラスマイナスマイナスみたいな状況になった結果、ものの見事に12時間にも及ぶ停電になってしまったのでした。人数にして2500万人ほどが影響を受けたといわれています。

が、この停電に関しては「UFOを見た! きっとアレのせいだ!」という人が現れたり、翌年の出生率が異様に高かったりと、たくましいにも程がある逸話もあるのですが……。

 

続けて1977年には3700人以上が暴れてタイーホ

1977年の7月半ばにも同様に、ニューヨーク周辺で大停電が起きています。
夜に起きたためか混乱も大きく、火事も発生したとか。落雷により停電が長期化したということなので、火災も同じ原因だったのかもしれませんね。

このときも空港が封鎖されたり、略奪や放火が起きたり、「私たちは神様に見捨てられたんだ!」と発狂する人が出現。3700人以上が逮捕されたというんですから、まったくもってパニくりすぎかと。てか、日本が災害やトラブルへの耐性が強すぎるんすかねー。

ともかく1965年の事故からわずか12年で同様な大停電が起きているのですから、いい加減、対応方法を考えておきなさいよ、と苦言の一つでも呈してやりたくなりますが、不幸なことにそれから26年後にも同じような大停電が起きてしまいました。

2003年、このときは実に29時間以上の大停電となってます。
技術は向上しているはずなのに段々被害が長期化していくのか、ほんと不思議(哲学)。

死者が出たか出ていないかは説が分かれますが、真夏のこの時期に日本で同様の停電が起きたら……と考えると、笑うに笑えません。

交通機関が麻痺して、道路が歩道化してしまっていた/wikipediaより引用

 

電力の自由化で、日本のインフラも少し心配になってきた、かも

2006年の(やっぱり)8月14日、日本でも首都圏で大規模な停電が起きていますが、このときは4時間半ほどで回復しております。

東日本大震災で大幅に揺らいだ電力事情ながら、他国と比べるとやっぱり日本最強だね!
と、対岸の火事ならぬ対岸の停電を、実は笑えなかったりします。

というのも2003年のニューヨーク大停電の理由は、電力の自由化→電力会社の合併によるシステムトラブル・メンテナンスの不備ともいわれているからです。

電力自由化については、震災後の日本でも一気に加速化しておりますよね。確かにこれは電気料金が安くなる(かもしれない)という多大なる恩恵を享受することができます。しかし、その代わりに、トラブル発生の危険性が上昇するおそれもあるのです。

そもそもインフラに対するセキュリティ意識のレベルが格段に上なので、日本がアメリカのような大停電になることはなさそうですが……。

最近は何でもかんでも世界基準にするのが良いという風潮ですけれども、こういう点に関してはむしろ世界が日本に追いつくべきのような気がしますね。

何にせよ、どの業界の方も手抜きダメ絶対安全第一でお願いしますということで。

長月 七紀・記

参考:2003年北アメリカ大停電/wikipedia New York City blackout of 1977/wikipedia 1965年北アメリカ大停電/wikipedia

 

 



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