世界最初の切手(イギリス・1840年)/wikipediaより引用

イギリス

「あなたの想いを届けます」切手と郵便の歴史 1840年イギリスから始まる

最後に”手書きの”手紙を書いた日って覚えていますか?

今ではほとんどメールやLINEで済ませてしまう人が多いですから、十年~何十年前と答える人が多そうですね。ワタクシもです。

しかしよくよく考えてみると、見知らぬ人から人へ手紙を届けるというのはなかなか大変な仕事です。

10月9日は「世界郵便デー」ということで、「郵便」の裏側を少し見てみたいと思います。

 


地球上で皆平等に郵便物を出したり受け取ったり

なぜ10月9日なのか。
と申しますと、明治七年(1874年)のこの日に万国郵便連合が結成されたことに由来するもので、特にイベント等は発生しておりません。

なのでちょっと違和感はあるのですが、それはさておき万国郵便連合はスイスの首都・ベルンに本部が置かれていて、以下の三点をモットーとしている機関です。

◆地球上のほぼ全ての地域からほぼ固定料金で郵便を送れること

◆国際・国内問わず、郵便物を同様に扱うこと

◆国際郵便料金はそれぞれの国で徴収・利用すること

ざっくりまとめると
「地球上で皆平等に郵便物を出したり受け取ったりできるようにしよう!」
というのが目的だということですね。

万国郵便連合の旗/photo by Denelson83 Wikipediaより引用

現在は国連の中に組み込まれているので、国連に加盟していない国や地域も万国郵便連合には加盟していないことになります。
身近なところだと台湾とか。

日本は発足から3年後の明治十年(1877年)に、アジア初の国として加盟しておりました。

そもそも郵便というシステムが生まれたのも、長い歴史の中で見ればごくごく最近のことです。
郵便と切っても切れない関係にあるものといえば、切手ですよね。切手だけに切っても……なんでもありません。

 


世界最初は1840年のイギリス 日本は1871年だった

世界で初めて切手を実用化したのは1840年のイギリスだったといわれています。これと同時に郵便というシステムも作られたので、同い年の兄弟みたいなものでしょうか。無理があるか。

この切手にはヴィクトリア女王の肖像画が使われていました。
存命中から「偉大な君主」として認識されていたというわけですが、そんな人の肖像画の上に消印を押してしまって不敬罪には当たらないんですかね。

コレクターの買取価格には影響しそうですが……って、ゲスい発想ですみません。

日本で切手が初めて発行されたのは、明治四年(1871年)のことです。

通貨単位が、江戸時代の「文」だったころ。
郵便の重さなどに応じていくつかの種類があり、少しずつ絵柄も凝るようになっていきます。

日本の切手は最初の頃、ラーメンどんぶりみたいな模様(雷紋)で囲まれた紙のど真ん中に「銭◯◯文」と書いてあるだけのシンプルなものでした。

1840年に発行された日本最初の切手。なんだかアイドルグループみたいですね/Wikipediaより引用

 


プレミア切手を国家の財源に充てているところも

天災などにより「幻の切手」と呼ばれるものもちょくちょくありますよね。

有名どころでいうと、関東大震災の年に発行される予定だった「東宮御婚儀祝典紀念切手」でしょうか。
東宮というのは皇太子のことで、この場合は昭和天皇をさします。

この切手はほぼ全てが震災によって焼失したといわれていましたが、当時日本が統治していたパラオで近年見つかったそうです。

持ち主のお父さんの遺品だったとのことなので、もしかしたら日本国内でも関東以外の地方で現存しているかもしれません。

もし見つかった場合は宮内庁へ連絡するのがよさそうです。
某鑑定団や切手ショップに出したら凄まじい金額となりそうですけど……。

また、切手というものは、本来の役割以外にも重要なアイテムとしての面を持っています。
いわゆる「ミニ国家」と呼ばれるような小さな国のコレクターズアイテムとして、貴重な財源になっているのです。

当コーナーに今まで登場した中では、サンマリノ共和国などが切手の売り上げを財源として活用しています。

西暦301年に出来た世界最古の共和国・サンマリノってどんな国?

続きを見る

なぜ切手が財源になるのかというと、各国の切手をコレクションしている人が世界中にいるからです。

ただし、日本でいう82円切手のようなごく一般的なものだと、当然ながらコレクターの心はくすぐれません。
宗教行事や、外国の記念イベントに便乗したり、同じテーマで限定100枚を作ったりして、コレクションする楽しみを仕掛けなければなりませんね。

やりすぎて締め出されてしまった国もあるので、それなりにその国らしさが出ていないとダメなのですけれどね。

 

気軽に始められるから世界中に広まった?

実は日本でも、季節ごとの柄や夜景シリーズ、都道府県ごとのシンボルをあしらった限定切手などが作られていたりします。

こちらもやはり実用品というよりはコレクターズアイテムですが、お金もスペースもあまり取らないので、気軽に始められるコレクションとして適しているのではないでしょうか。
案外、世界中に切手マニアがいるのもそういう理由なのかもしれません。

記念切手の類は後々高く売れることもありますから、長期的な宝くじとして集めてみるのも良さそうで。かさばらないだけに、きちんと保存しておけば長く続けられるでしょう。

完全に余談ですが、コレクションというのは【いつ・誰が・どんな値段】をつけるかわからないものなので、遺品やパートナーの趣味で集めたものを「邪魔!!」と即座にゴミへ出すのはやめてあげてくださいね(´・ω・`)

たまにそういう話を聞くと、他人事ながらに哀しくなります……。
値段だけでなく、本人にとっては思い出とか血とか汗がこもっているものですし。

長月 七紀・記

【参考】
総務省
産経ニュース
万国郵便連合/Wikipedia
切手/Wikipedia


 



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