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その日、歴史が動いた 明治・大正・昭和時代

大隈重信も「うまいなっし~♪」と評価した二十世紀梨 明治時代に千葉県で始まった

更新日:

最近は諸々の理由で、生の果物を食べる機会が少なくなってきてしまいましたが、やはり旬のものを食べると季節を実感できていいですよね。だからこそ、果物狩りなどが人気を博しているのでしょうか。
本日は夏から秋にかけて日本各地で食べられる、あの果物について見ていきましょう。

明治八年(1875年)5月24日は、「二十世紀」という梨の発見者・松戸覚之助という人物が誕生した日です。
これだけ見ると、代々の梨農家が研究を重ねた末に生み出した……という予感がしますが、実はそうでもなかったりします。

【TOP画像】梨/Wikipediaより引用

 

たまたま見つけた苗を育てたら「うま~い!」

松戸覚之助さんは千葉県大橋村に生まれました。現在は松戸市となっておりますが、途中で八柱村→松戸町と変遷しており地名とは直接関係なさそうです。

覚之助が梨に関わり始めたのは、彼が11歳のときでした。

父親が梨の栽培を始め、13歳のときに覚之助がたまたま親戚の家で見つけた苗を育ててみたところ、10年かかって非常に味の良い梨ができたのだとか。
たぶん偶然に味が良くなるような交配をしたんでしょうね。事実は小説より奇なり。

ときの内閣総理大臣・大隈重信も試食して「うまいなっし~♪」ではなく「うまい!」と評価したそうです(ちなみに、ふなっしーで知られる船橋市を含め千葉県は和梨の生産日本一です)。普段からいいものを食べているであろう人のお墨付きですから、良い宣伝になったでしょうね。

大隈重信/Wikipediaより引用

その後、東大でこの品種に関する研究が進められ、新たな時代の到来を示す名前として「二十世紀」と呼ぶことが決まりました。

松戸一家は他の農家にも気前良く苗を分けたため、周辺はもちろん、やがて他の県にも二十世紀梨の生産が広がっていきます。
世紀の大発見……というにはややインパクトが小さめですが、人間何によって名前が残るかわからないものですね。

ちなみに、松戸家で育てられていた二十世紀梨第一号の木は、昭和二十二年(1947年)に枯死してしまったとか……。梨の木の寿命は30~35年くらいだそうなので、無事お役目を全うしたと見るべきですかね。
今はごく一部が松戸市立博物館に展示されています。
もう少し梨のお話を続けましょうか。

二十世紀の原木/松戸市HPより引用

 

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「和漢三才図会」に登場する巨梨「犬殺し」

多少品種の違いこそあれ、梨は世界各地で古くから栽培されてきました。
中国ではよく美人の形容詞として「梨花のような」という表現をしますね。唐の皇帝・玄宗と楊貴妃の悲恋を描いた「長恨歌」にも出てきます。

日本では梨=なし=無しを連想させて忌み言葉扱いになることもあるため、梨の花も美女の表現としては使われなかったようです。今でも梨畑の近辺では「ありの実」ということがありますね。
逆に、鬼門の方向に梨の木を植えて「鬼門無し」なんて使い方をされることもあるそうですが。これをやり始めた人は、一休さん並にとんちがきく人だったんでしょうね。

また、「犬殺し」という物騒な名前の梨の話が江戸時代の百科事典・「和漢三才図会」に出ています。

「奥州津軽・羽州秋田の梨にとんでもなくデカくなる種類があって、周囲が一尺と四・五寸にもなる。俗に犬殺しと呼ばれている」(意訳)

周囲=円周として計算すると、直径14.3cmくらいになりますので、大人の手のひらくらいはあるでしょうか。
現代の品種でもこれよりやや小さいくらいのものはありますけれど、確かに犬の頭にぶつかったら死んでしまいそうですね。
ぶつかるのは棒だけでお願いしたいものです。

 

今では日本の方が欧州より生産量が多い「ラ・フランス」

西洋梨では、やはり「ラ・フランス」が有名でしょうか。

これも1864年にフランスのクロード・ブランシェという人物が発見した、比較的新しい品種です。日本にはそれから10年ほどして、受粉用として導入されました。
季候の問題でヨーロッパでは栽培しにくく、今では日本のほうが生産量が多いんだそうです。なんだかなあ……という気もしますが、季候が合うかどうかはやってみないとわかりませんしね。

特徴としては、実が固いうちに収穫し、その後熟成させてからでないとおいしく食べられないというものが挙げられます。このためか、あまり梨狩りの対象にはならないようですね。
調べたところ、国内で10ヶ所前後、青森・山形・山梨・長野・広島・山口あたりでやっているようですが、やはり取ったものをその場で食べるのではなく、既に収穫してあったものと交換というスタイルらしいです。
希望すれば、自分でもいだものを後日送ってもらうこともできるとか。

なんだか歴史と離れてきましたが、最後に梨が大好きという方向けのちょっとした穴場情報を。首都圏近郊に限られますが……。

梨を都内のスーパーで買うと1個数百円することがありますけれども、千葉県北西部の梨農家近辺だと、同じ値段で5~6個買うことができます。
といっても「安かろう悪かろう」ではなく、ちょっと傷がついたり形が悪かったりして、贈答用から弾かれたものです。作っている畑は同じなので、大きさや味は問題ありませんし、ご家庭で食べるには充分かと。
ワタクシそういう場所で育ったもので、お盆を過ぎると毎日のように食べておりました。大きくなってから都内のスーパーで、「その値段で一袋買えるよ(´・ω・`)」と思ったものです。
8月中旬~10月頭くらいまでは、梨畑からちょっと離れた県道沿いに直売所ができていることもあるので、その時期に千葉方面へ行かれる方はぜひどうぞ。

都内で買うと高くなるのは、流通過程その他の問題でしょうから、仕方ないといえば仕方ないのですけどね。

長月 七紀・記



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参考:松戸覚之助/Wikipedia 二十世紀梨の原木/松戸市 二十世紀梨誕生の地/松戸市 ナシ/Wikipedia ラ・フランス/Wikipedia 和漢三才図会/国立国会図書館

 

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