飛鳥・奈良・平安

世界最古の記録は日本の「直方隕石」地球上に年間4000個も降り注ぐ物体X

「空から何かが降ってくる」という比喩表現は多々ありますよね。

槍とか雷とか。
本日はそういった「空か降ってくるもの」の中でも、最大級のアレに注目です。

1492年(日本では戦国時代・延徳四年)11月16日は、フランス・アルザス地方のエンシスハイムという町に「隕石」が落下した日です。

 

メバチマグロが燃えながら落っこちてくる

この件とは直接関係ありませんが、世界史上ではレコンキスタが完了した年でもあります。

フランス史としては、百年戦争が終わって40年ほど経ったころ。
戦争中にこんなモノが落ちてこなくてよかったですね。

なにせこの隕石、元の大きさは127kgほどあったといわれています。ちょっと小さめのメバチマグロが燃えながら落っこちてくるようなものです。怖すぎ。

幸い、エンシスハイム隕石は農園のど真ん中に落ちたため、負傷者や死者はいなかったようです。

エンシスハイム隕石/wikipediaより引用

エンシスハイム隕石/photo by Sternwarte Singen e.V. wikipediaより引用

もちろん目撃者は多く、ちょっと変わった名物として、観光の目玉になりました。
その際お土産として多くの人が切り取っていったため、現在は56kg弱にまで小さくなってしまったとか。半分以下ってスゴイですね。

まあ、日本でも「ご利益がある」とされる人の墓石を削ったりしますから、あまり他所様のことはいえませんけども。

本体は現地で、切り取られた破片のほうもヨーロッパ各所で展示されているそうです。
旅行先で偶然見かけることもあるかもしれませんね。

 

須賀神社の境内に落ちた直方隕石

さて、15世紀となると大昔のことですよね。
上記の通り、日本では戦国時代の始め頃ですから。

しかし、もっと古い時代の隕石も見つかっています。

現在、世界最古の目撃記録がある隕石は、日本の福岡県直方(のおがた)市に落ちた直方隕石(のおがたいんせき)とされています。

861年(貞観三年)4月、現在の須賀神社境内に落下したと伝わっており、こちらも幸い人的被害は出なかったのか、次の日には土の中から「黒く焦げた石」が見つかり、これを桐の箱に納めて保存したと伝わっています。

その箱に「貞観三年四月七日ニ納ム」と書かれていたため、世界最古の目撃記録とされました。

世界最古かどうかには異説を唱える人もいるようですが、神社の許可を得て隕石の調査をした結果、世界最古で間違いなさそうだということになったようです。
もちろん、今後別の隕石が見つかる可能性もありますけれどね。

現在もこの隕石は須賀神社で保管されており、五年に一度、お祭りで一般公開されます。
普段は境内の記念碑に設置されたレプリカを見ることができます。

 

ツングースカ大爆発も隕石の空中爆発と目されている

実は、地球には年間4000個近くの隕石が落ちてきているんだそうです。

◆「隕石 落下予測は可能」 日本にも毎年1キロが2個程度

南極での隕石採集と研究で知られる「国立極地研究所」(立川市)の小島秀康教授(隕石学)によると、世界では年間約4千個、日本国内でも2個程度、重さ約1キロ(ソフトボール大)の隕石が落ちているという。(産経

しかし、人の目につくのは稀で、だから地表に落ちた隕石の記録自体が珍しいんですね。
それは今も昔も同じで、後から「実は隕石によるものでした」と発覚する事件(?)もあります。

有名なのは、2013年にやっと原因がわかった「ツングースカ大爆発」がありますね。

ツングースカ大爆発は1908年にロシア中部で起きた「謎の大爆発」とされていました。

この地域はほとんど人が住んでおらず、しかも日露戦争の三年後・第一次世界大戦&ロシア革命直前ということで、世情的にも緊張していた頃です。
そのため調査がされず、数十年してからやっと研究が始まりました。

当初は「彗星・小惑星爆発説」「ガス噴出説」などさまざまな仮説が立てられましたが、地球にはほとんど存在しない元素や鉱物が検出されたことから、隕石の空中爆発によるものという結論が出ています。

 

ロシアだけじゃなく地球全体が無防備だ

2013年には、同じくロシアのチェリャビンスク州というところの市街地付近へ、別の隕石が落ちてきましたね。

国土が広いと、こういうことで割りを食うんだなぁ……(´・ω・`)

こちらはインフラや建造物、そして負傷者などの被害が出ました。

 

メドヴェージェフ首相はこれに対し「ロシアだけでなく、地球全体がこういった事態に対して脆弱である」として、世界共通の脅威の一つだという認識を示しています。

確かに、宇宙人が攻めてくるよりは現実的な話ですよね。

恐竜や大型爬虫類が絶滅したのも、中米のユカタン半島沖に落下した巨大隕石が原因だとされていますから、もし同等の隕石が現代に落ちてきたら、人類どころか地球の生物のうち何割が生き残れるか……という話になってしまいます。こわい。

長月 七紀・記

【参考】
産経ニュース
エンシスハイム隕石/wikipedia
直方隕石/wikipedia
ツングースカ大爆発/wikipedia
2013年チェリャビンスク州の隕石落下/wikipedia

 



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