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【軍師官兵衛感想マンガ】41話 「男たちの覚悟」ますます冴える主人公補正で目指せサイヤ人

更新日:

 

こんばんは、今週は第四十一回「男たちの覚悟」です。

くっさいサブタイトルですね。

今回のアバンは家康の国替えです。

官兵衛と家康が並ぶと、実年齢は数歳差なのにそうは思えず、演技力の差が際だってなかなかきついものがあります。
それ以上にこの時点で「家康が次の天下人! それを察知する官兵衛はすごい!」的な演出はかえってしらけるので勘弁して欲しいのですが。主人公補正って便利なのはわかりますけれども。

左から時計回りに、それぞれの決断をした三成、秀吉、官兵衛、利休(絵・霜月けい)

左から時計回りに、それぞれの覚悟をした三成、秀吉、官兵衛、利休(絵・霜月けい)

官兵衛「中国攻めたら軍師やめるぜ」

アバンの次はおねと、堂々たる禁教令の無視に定評のあるマグダレナの出番でまたも嫌気がさします。おねも禁教令を無理して洗礼名でマグダレナを呼ぶわけで、一体このあたりの整合性をスタッフはどう考えているのでしょうか?

スタッフは忘れてもこちらは覚えているわけなのですが……そしておねの「古女房の願い、聞いてくだされー」というだらしのない、かわいらしくもない、ただただ不快な語尾の延ばし方に今週もイライラします。

このあと、ねねの提案で官兵衛、秀吉、おねの飲み会になります。官兵衛が半兵衛の名を出します。この健忘症の官兵衛が半兵衛を覚えていたことにむしろ驚きますね。
ここで官兵衛が「明(中国)を攻めたら俺、軍師やめるから!」宣言します。官兵衛が軍師を辞めても別に困らないよな、とここでツッコミたくなるというのが、この『軍師官兵衛』というドラマが何なのかを示していると言えるでしょう。そう、虚……虚です。それにしても主人公補正って便利ですよね。

これだけどなったりがなったり脅しているのに、なぜ秀吉さまは俺の話を聞いてくれないのだ(絵・霜月けい)

これだけどなったりがなったり脅しているのに、なぜ秀吉さまは俺の話を聞いてくれないのだ(絵・霜月けい)

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前田利家もちょいやくでそろそろ出てくるかな?

本作における重要人物は、唐突に登場し、唐突に死にかけており、唐突に官兵衛と昵懇で、唐突に官兵衛に行く末を託すというセオリーがありましたが、今回は豊臣秀長がその担当でした。秀長亡き後、おそらく前田利家あたりがこのポジションを継承するのでしょう。

秀長超高速末期のあとはおねと淀の方の「正妻と愛人諍いタイム」です。だから母親が子育てをしているような描写はもうやめろと。

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いよいよ朝鮮出兵、ますます冴える主人公補正

ドラマはいよいよ朝鮮出兵に向けて動き始めます。小西行長が保身のために朝鮮からの使者と秀吉に嘘をついてしまったため、どうしようもないピンチに陥ります。

この行長は迫真の演技で官兵衛に泣きつくわけですが、せいぜい使い走りしかしていない官兵衛に行長が頼るのが不可解に見えてしまうのでした(このあたりのその場しのぎは対馬宗氏によるもので、このドラマの行長は随分な描写です。またマグダレナは行長の母ですが、そういう描写が出ることを期待するだけ無駄でしょう……)。それにしても主人公補正とは便利なものだなあ。

この直後に利休が迫力のある演技で秀吉の諫言を行う場面が入るため、余計官兵衛の説得力のなさが際立ちます。岡田さんはこの伊武さんの演技から中身のある長台詞の言い方など覚えて欲しいものですが、利休はこの直後に退場してしまうのでした。

官兵衛は自分の口からではなく利休に真っ正面から諫言させたのでしょうか?
この直前に深刻な顔で考えこんでおいて、自らではなく別の人間に火中の栗を拾わせておいて、結果的に切腹に追い込んでおいて、暢気に茶を立てている場合じゃあないでしょうが。

伊武さんのお手前は眼福でしたが、官兵衛が人間のクズ過ぎてもう何とも。官兵衛と関わる者が次々と死んでいくので、主人公がもはや死に神にしか見えません。利休も利休で、よりにもよってなぜ失敗続きの官兵衛に後事を託すのでしょうか。主人公補正って本当に便利ですね。

官兵衛「俺どなる人」ナレーション「私説明する人」

官兵衛とあまり関わりはなかったのですが、鶴松が夭折します。重要人物の死をナレーションが次から次へと片付ける、典型的な悪しき年表大河ですね。
ここで官兵衛が「殿下がおかしくなったのは鶴松のせい」と書くのですが、
はいー、入りましたー!
脚本家のお忘れ入りましたー!
三成の台頭からおかしくなってきた描写していましたよね?
鶴松の前からですよね?
自分の書いたものはしっかり確認して、整合性は取りましょう。

秀吉は愛児の死で変なうめき声で狂う生物になっています。驚きの生態観察は『ダーウィンが来た!』で間に合っているので、大河では勘弁してもらえませんかね。
ま、その願いの直後に官兵衛が「ムボームボー!」と鳴く奇妙な生物になってしまったのですが。引退してもおかしくないほどの歳で、怒ると絶叫し畳をパンチしまくるとか、官兵衛がまるっきりただのチンピラです。
それにしてもこんなダイナミック諫言をしても、利休のように殺されない官兵衛が不思議です。主人候補生ってまったくもって便利過ぎますね。

こんなチンピラ風情が「黒田が支えねば豊臣は……いやこの国は滅びてしまう」とかどんなギャグですか。主人公補正ってつくづく便利ですね。いくら官兵衛が怒鳴ろうが、私の大河を愛する心はもはや滅びかけています……。

やっと声が届いた!とうとう糸が消えた!

と、ここまで書いていてさらにもう一点愚痴らせてください。

今週にも実はよい点がありました。糸の出番がなかったことです。なぜその糸について書くのかといいますと、公式サイトの糸役女優のインタビューに頭を抱えてしまったからです。見ているだけで目が腐りそうなピンクを背景としたこのページ

女優が悪いのではなくて、スタッフが諸悪の根源だと再確認できる内容です。

この中で「糸はツンデレなキャラクターなので」とあります。制作側はそういう薄っぺらい認識で糸を創作しているのでしょう。
一昨年も由良御前がわかりやすいツンデレ演出をされていました。

しかし大河ドラマの視聴者はツンデレヒロインより、戦国時代の史実に沿った女性、あるいは時代劇の文法に則った女性が見たいのではないでしょうか。
ツンデレが見たい人向けにはライトノベルでもアニメでもマンガでもあります。それなのに敢えてヒロインをツンデレにする、そういう軽薄な媚びはむしろ不愉快です。

 

そしてこの中で「戦国時代の女性はいつ死ぬかもしれない夫を待っていて大変」と書かれていますね。
こうした認識はこの女優や本作だけではなく、『江 姫たちの戦国』でもありました。

しかし実際の戦国女性は、おにぎりを作りタオルを差し出す野球部のマネージャー的な役目を担っていただけではありません。むしろ選手として戦う役目も時には担いました。

彼女らは政治の場、外交の場、緊急時には戦闘員として乱世に巻き込まれ、命を落とすこともあったのです。
時代は違いますがそうした巻き込まれ戦う女性の姿は、さんざん昨年の大河では描かれていました。戦争に巻き込まれ逃げ惑い、射たれ、辱められ、爆死し、自害していた女性たちの姿を描いた翌年に、「愛するダーリンが死ぬかもしれないなんて、昔の人って大変(キャピ)」じゃねえだろと。

史実では官兵衛入牢中に黒田家をまとめ取り仕切っていた賢妻の光が、ドラマではプルプルして泣きわめくだけだったり、糸はじめ他の女たちにまったく緊張感がない理由が、このインタビューでわかった気がします。史実よりもしょうもない萌えを投影させるだけで、戦国の女性を描いたと言い張る厚かましさにはげんなりです。

武者震之助・記

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霜月けい・絵

 





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