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『戦国武将を診る 源平から幕末まで、歴史を彩った主役たちの病』歴史人物を医学的にアプローチ!

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赤備えといえば、鎧や武具などを赤で統一した戦国期の精鋭部隊である。
著名な部隊長としては「武田の山県昌景」、武田旧臣を継いだ「井伊の赤鬼」、そして現在大河ドラマで盛り上がっている「真田信繁」など。
眼前に彼等赤い軍団が迫れば、兵も将も恐怖におののき戦場から逃げ出す者もあり、実際、山県や信繁が徳川家康を死の一歩手前まで追い込んだ話は戦国ファンにとっては定番の胸熱シーンでもあろう。

 

「赤」がなぜ勝利に結びつくのか? 医学的にアプローチ

ここに一冊の書籍がある。

 

朝日新聞出版から今年5月に発売された早川智氏の『戦国武将を診る 源平から幕末まで、歴史を彩った主役たちの病』だ。
著者の早川氏は医師である。当然ながら歴史家とは異なる“目”を持っており、この赤備えについてもまず「赤」という色に着目、同書の中でその強さを分析している。

まず、赤は膨張色で敵に威圧感を感じさせる効果があり、更にはその武具を身に着ける将兵たちのアドレナリン分泌を促進させ、内面までも勇猛果敢にさせる。ここまでは素人でも何となく考えつくレベルかもしれない。
ゆえに、本書では更に深く赤をえぐる。「赤」が血中のどのホルモンを上昇させ、それが最終的な勝利にどう結びつくかを医学的根拠に基づき説明しているのだ。根拠となった論文も合わせて明示されている。

なんて書くと『どうせお堅い本なんでしょ』と思われるかもしれない。
否、である。
赤の話にしても「赤は女性の勝負下着の定番だそうだ、検証は出来ないが」などユーモラスなアプローチも交えて、文章的にも読みやすくまとめられていて、「医学ばかりでもツマラナイ。やっぱり歴史の話が欲しいよね」というニーズにもシッカリ応えてくれる。

更に一例を挙げさせてもらえば、赤備えのテーマで真田信繁の晩年の手紙などを引用し、男性更年期の話まで丁寧に描かれているのだから知的好奇心バリバリの方にもうってつけであろう。

 

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織田信長や武田信玄から義経、龍馬に待賢門院璋子まで

あらためて著者のプロフィールに注目すると、早川氏は現役の産婦人科医かつ臨床免疫学者として著明な日本大学の教授である。
そして本書は、医療総合誌『メディカル朝日』に連載された「歴史上の人物を診る」から、日本史の有名人を抜き出して加筆修正したもの。書籍タイトルはご覧の通り『戦国武将を診る』だが、内容は多岐にわたっていて半分が戦国時代の人物、残りは平安、鎌倉、幕末というラインナップとなっている。

具体的には、「織田信長」や「武田信玄」をはじめとする有名戦国武将から、「藤原道長」、「在原業平」といった雅な平安貴族、源平合戦を彩った「源義経」に「平清盛」、そして「坂本龍馬」や「西郷隆盛」など幕末のヒーローなどが掲載されている。
歴史上の有名人で診察室が大賑わいとなる一方、「待賢門院璋子(たいけんもんいんしょうし)」といったマイナーで取り扱いにくい人物も取り上げているのが、コアな歴史好きのニーズも満たすだろう(ちなみに待賢門院璋子のサブタイトルは「院政社会を滅ぼしたオギノ式―計画妊娠―」である)。

確かに、もとは医師向け雑誌に連載されていたこともあり、「脳内のバソプレッシン受容体の遺伝子多型と恋愛感情の関係」とか「塩化ナトリウムによるグルココルチコイドキナーゼの活性と自己免疫」など、専門職の強い用語もある。
が、基本的には特別な医学知識が無くても楽しめるように書かれていて、特に、氏の専門である産婦人科的視点から描かれているものは、男性読者でも新鮮な感覚で読むことができる。

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偉人の病気に関しては、今残る資料からの類推で、本当のところは誰にも分からない。
そこで氏はかく語る。
「真相は小栗栖※1の藪の中(明智光秀の項より)」
なお、氏が参考とした本について、最近では杉浦守博士と篠田達明博士の名前を挙げている。杉浦先生は疫学、篠田先生は整形外科学がご専門で、産婦人科医である著者とは見解を異にすることも多い、ご併読願えれば幸い、とのことだ。
武将ジャパンで連載中の馬渕まりは内科医なので、こちらもご併読願えれば(略)。
※1 小栗栖とは、明智光秀が討たれたとされる場所(京都市内)

 





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