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三国志もやっぱりカネか!書評「劉備と諸葛亮 カネ勘定の『三国志』(著:柿沼陽平)」が面白い!

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アマゾンで目下ベストセラー。
三国志ファンならムッとしそうな文庫の帯を見ると、煽った結果があった感じでしょうか?

しかし、中身はそう単純なものでもありません。
読み進めると納得がいきます。

信義を重んじたというのが定評の劉備ですけど、やはり最終的にモノを言うのはカネだったんだなぁと。

著者の柿沼さんは、1980年生まれで、帝京大学の准教授。
2009年に早稲田大学大学院で文学博士号を取得なさったとの事ですから、お若くて優秀な方なのでしょう。

専門は中国古代史、それも経済史や貨幣史を専門となさっておられまして、そうした関連の史料を駆使しながら、丹念に検証なさっておられます。
また、安直な断定は避けながら、慎重な記述に専念なさっておられます。

御本人は、少年時代に横山光輝の「三国志」にハマり、遂には家族を説得して中国に旅行して関連史跡を訪問なさったという「筋金入り」です。
横山三国志がお好きな方、disらないようにね(苦笑)。

 

宦官と外戚、さらには財政逼迫も後漢の滅亡へ

今回、目からウロコだったのは、後漢滅亡の原因です。

宦官と外戚が争った挙句、董卓がしゃしゃり出て、そこに有志連合軍が攻撃し…というのが横山三国志の出だしですが、柿沼先生によると、その前から財政的的に逼迫していたという遠因もあったのですって。なるほどな~。

前漢が匈奴との戦いに明け暮れたというのは有名ですが、同書によると後漢では西羌との戦いにも備えねばならなくなります。
現在の青海湖から蘭州にかけて存在し、季節ごとに移動するという習俗を持っていました。

これが当時、徐々に寒冷化(という話も初めて知りました)していく中で、より温暖な場所に移動するようになって漢族と衝突します。
敵が2つになった訳です。

しかも、戦端を開くと旗色が悪く、長安以西がやられるという有様。
そうなると、当然ながらカネが必要となってきます。

カネというと、当時の農民は作物の物納制では無く、それを銭にして納付せねばならない制度でした。

そうなると、機を見るに敏な商人に買い叩かれ、青息吐息になります。

また、死刑判決を受けても、絹織物を収めたら罪が減じられたそうです。

「地獄の沙汰も金次第となれば、金持ちはバレねば幸いとばかり、悪事に走りやすい。長期的にみれば、これが社会不安を招くことになる」(同書30P)

そりゃそうですよね。その帰結が、黄巾の乱となるのでしょう。

 

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実は裕福だった模様の若かりし頃の劉備

さて、三国志の主人公である劉備と言えば、横山光輝の漫画では親孝行の好青年。
貧しい暮らしながら、母親の為に当時高価だったお茶を買う――という出だしは、皆様も御存知でしょう。

これ、実際はどうだったのか?

本書によると、実は裕福だったのではないかという指摘がされています。

父親が早世したのは漫画の通りなのですが、祖父の劉雄という人物が孝廉という中央省庁の管理職に必要な資格を得ていた。これに柿沼さんは注目なさっています。

当時、この資格を得るにも試験は10年に1回しかなく、そもそも狭き門だったのにパス。
そんなエリートの孫だったというのは、今回初めて知りました。

実際、父親の死後には叔父に育てられ、著名な儒学者である盧植の元で学問を学んでいたとの事です。
母子家庭で細々と暮らしていた訳では無かったのですね。
ちょっとイメージ壊れたぞ(苦笑)。

 

一方、諸葛亮の知られざる顔も。「三顧の礼」の真相とは?

一方、三国志のもう1人の主人公である諸葛孔明こと諸葛亮にも注目です。

若くして学問を極めながら誰にも仕えず、晴耕雨読の暮らしをしていたところへ、劉備のいわゆる「三顧の礼」に感激して、大活躍――というのが、横山三国志や吉川英治バージョンでもお馴染みですね。

これも実際はどうだったのか?

と言うか、そもそも3度も出向いてスカウティングした時点では、言葉は悪いけど、今で言うところのプー太郎ですよね。
何で晴耕雨読してたの?
って疑問が沸く方もおられましょう。他なわぬワタクシメが、長年そう思っておりました。

諸葛亮も、劉備同様に早くに父親を亡くし、叔父の諸葛玄に育てられました。

この人も優秀で、豫章郡の太守に任ぜられるのですが、反乱に巻き込まれ斬首の憂き目に遭います。
原因は諸説あるらしいのですが、劉表が辞令を交付したとの説があります。

にもかかわらず、救出に向かわなかったので、諸葛亮は含むところがあったらしい。
つまり、ショックの余り引きこもり生活に入ったという訳では無さそうなのです。

この当たりは、同書の半ば頃に様々な文献の引用がなされており、読んでいて納得しました。

なお、諸葛瑾は荊州きっての閨閥に属する、関西弁で言う「エエしの家」の子でもありました。
人脈面で当てに出来ると思った節はあるようです。

 

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軍師として有能だったのか?

あんまりネタバレしすぎるものアレなんで、後はサクッと。

諸葛亮は、結局のところ蜀漢の復興に失敗し、五丈原で没したのは皆様もご存知ですね。

悲劇的な最後を遂げたからこそ、今なお多くの人に愛されている所以なのでしょうが、じゃあ、軍師としては有能だったのか?
同時期に司馬懿仲達がいたから天下統一が成らなかったのか?

そこらは第五章以降に詳しいです。

ここでも出てくるのは「カネ」の話のオンパレ。
そりゃぁ、人は情ではなくカネで動くとは言え…と思わされてしまいます。そして、そのカネが絡んだこその、数々の秘話を同書から知らされました。

蜀漢って「ブラック」やってんなぁ(ポツリ)。

ともあれ、ベスト・セラーになるだけはある!
面白い!

でも、これを読んだ後では横山三国志を素直に読み返せないかも。




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南如水・記

【参考】
劉備と諸葛亮 カネ勘定の『三国志』 (文春新書)

 

織田信長 武田信玄 真田幸村(信繁) 伊達政宗 徳川家康 豊臣秀吉 毛利元就 




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