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「居合」って一体何なんだ? いまさら聞けない武術用語を優しく解説

「いかん、“居合”だ! 気をつけろ!!」

敵が身を伏せ、刀に手をかけた瞬間、周囲の仲間が思わず叫ぶ――居合に対して、そんなイメージをもっているのは私だけでしょうか。

同じ日本刀を扱う技術でも、日本の武術では大きく「剣術」と「居合術」に分かれており、フィクションの世界でも居合は特にあなどれないような恐ろしい技として描かれることが多いようです。

しかし、両者の違いって明確に説明できます?

なんとなく「刀を抜くまでが居合」で「刀を抜いてからが剣術」そんな漠然とした捉えられ方をしているように思います。

そこで今回は「居合」とはそもそもどういった武術なのかを見ていきます!

 


「居合」は「迎撃」の技!

居合とは本来は、臨戦態勢ではない状態から突然攻撃を受けた場合に対処する技法群のことを指しています。

つまり普通に歩いていたり、室内で対話している時などに急に相手に襲いかかられた時にどう対処するか――。

そんなシチュエーションを想定するところから技が発想されました。

相手はもう刀を抜いているが、こちらはまだ刀を抜いていない。

同時に斬り合えば、必ず相手の方が速くこちらに致命傷を与え得る絶体絶命の状況に対応するのが居合、すなわち「“居”ながらにして急に“合”する」、「居合わせる」技術であるといえます。

最大の特徴は「抜きつけ」と呼ばれる、抜くと同時に片手で斬撃を加える技術。

これによって攻撃を加えてきた相手を迎撃し、その初太刀あるいは二の太刀・三の太刀で止めを刺すという流れになっています。

 


発祥は戦国時代!対剣術戦用に開発

居合の始祖は戦国時代~江戸時代初期の剣客である「林崎甚助(はやしざき じんすけ)」だとされています。

そもそもの始まりは、こちらが長大な太刀をもち、至近距離から短刀で突いてくる敵を迎え撃つことができるか?という課題に対する答えとして開発されたといいます。

このようなシチュエーションですので、当初からいわゆる「護身」の要素の強い武術であったともいえるでしょう。

戦国時代までは、刃を下にして腰に吊り下げる「太刀」によるものでしたが、江戸期に入ると刃を下にして腰に差す形式の「打刀」で発動できるように技が工夫されていったといいます。

 


「居合術」、「抜刀術」の違いって?

居合と良く似たイメージで使われることばに「抜刀術」というものがありますね。

刀を抜く技術――という意味ではこちらの方が理解しやすいようにも思います。

西南戦争で激しい白兵戦を繰り広げた警視庁「抜刀隊」や、映画&マンガ『るろうに剣心』における「抜刀術」など、馴染み深いかもしれません。

現代にも伝わる古武道流派には、同様の意味で使われることが多く、例えば「抜刀術」と書いて「いあい」と読ませたり、「抜剣(ぬきぼこ)」という呼称を用いることもあるようです。

現代の理解では、全てを迎撃の技で構成するものが「居合」、こちらから攻撃をしかけることがある場合を「抜刀」と区分することもあるようですが、主には形稽古を中心とする「居合道」や、試斬に主眼を置く「抜刀道」に分かれているようです。

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