おんな城主直虎感想あらすじ

『おんな城主 直虎』感想レビュー第49回「本能寺が変」

突拍子もない計画に賛同し

ここで、船に移動した龍雲丸は、九年ぶりに会ったのに挨拶抜きでいきなり頼み事をされた、と恨めしそうに愚痴を漏らします。
しかし、おとわに「すごい格好だの」と言われると、ファッション自慢を始めます。

全身異国のファッションで固めた龍雲丸。彼なりにすっかり楽しく暮らしているようです。
今の龍雲丸は通詞(通訳)をしていました。なかなか儲かっているようですぞ。

何故こんなことに首を突っ込んだのか、と聞かれたおとわは、ニッコリ。大きな構想を語り出します。

「戦をなくす戦をしておるのだ」
おとわは万千代の主君である家康を天下人にしたいと語ります。

「相変わらずいかれておるのぉ~」
そういうおとわが好きんだろ、お頭! 確かにそう言いたくなるような、大きな話です。

龍雲丸は、この突拍子もない計画を手伝うと言い出します。
そうなればおとわも堺に来てくれるだろうし、と本音を切りだす龍雲丸。おとわは忘れていましたが、「やることやって終わったら堺に来ればいいじゃねえか」と二人は誓っていたのです(第38回)。

あれだけの誓っておいてを思い出せないおとわに怒るわけでもなく、思い出す暇もないほど充実していたんだね、とフォローする龍雲丸。いい男です。

 

本当に信長は徳川家を滅ぼしたいのか

堺で待つおとわ一行の元に、お忍びで万千代がやって来ました。

光秀と音信不通となった徳川主従は、松下常慶に光秀の動向と真意を探らせていました。

愛宕神社で光秀は、おみくじを何度も引き直していました。
その様子を見守る常慶です。焦った様子で、何度もおみくじを引く光秀。その胸中は?

六月一日。
堺で徳川主従は、光秀が戦勝祈願のおみくじを三度も弾き直していたと常慶から聞かされました。

さあどうすべきか?
このまま光秀が戸惑うようであれば、徳川主従は京都で討ち取られてしまいます。

そこへ、明日京都に来るよう、信長の使者長谷川秀一が来てしまうのです。
さあ、どうすべきか?

その晩、信長は茶道具をいくつも並べ、満足げに眺めていました。
どれを徳川家康にやるべきか考えているのです。

三国を治める海道一の弓取りになったのに、センスが欠けている家康を思いやる信長。
彼としては、そんなな家康に箔を付けることを覚えさせたいのです。

そう傍らに小姓に語る信長の口調は優しくて、到底これから家康を殺すようには思えません。
んっ、あれ? あれ?

 

「敵は本能寺にあり。フッ……我に続け!」

一方、明智勢は。
光秀は「大吉日」というおみくじを思い出しつつ、ニヤリを不敵な笑みを浮かべます。

「敵は本能寺にあり。フッ……我に続け!」

この台詞は気合いや恨みをこめて言うことの多いものだと思いますが、今年は軽やかに、気負いがむしろないような、そんな言い方でした。
これもあり。チャンスを前にした策士光秀像に合っています。
彼らは、本能寺を目指してゆくのでした。

翌朝、家康主従を待っているおとわたちの元に、万千代の伝言を携えた中野直之がやって来ます。
家康は結局、信長にはそもそも殺す策がないのではないかと考え、信長の招きに応じて京都に向かうことにしたのだと。

どんな薄弱な根拠で罠かもしれないところに向かうのか、と驚くおとわ。
視聴者としては、その家康の見立てが正解なんじゃないかと、わかっているわけです。しかし、おとわが気づくわけもありません。

一応、危険がないかどうか、忠勝が先行しています。この動きも史実準拠だとか。

 

龍雲丸に芝居をさせたら

おとわは方久から銭を強引に奪うと、龍雲丸に芝居を打てと言います。
徳川殿は招待を断れないだけだから、戻らざるを得ないようにしろ、と命じるおとわ。

京都に向かう家康主従の前に、龍雲丸らが現れました。そして芝居を始めます。
「きょ、京都で謀叛がぁ~!」

万千代は、龍雲丸に対して見覚えのある男だと感じています。
そこへ常慶もやって来ました。
今度は本当、明智の謀叛の知らせでした。

ここで梅雪が「なんでこいつらは、謀叛があるとわかっていたような態度なんだ?」と疑いの目を向けてきます。
「何やら謀叛が起こることを知っていたようなお口ぶり」

まずい。
梅雪の存在感がありすぎる。
ただ、伊賀越えで討たれてしまう残念な男のはずが、やたらと鋭いぞ。

「徳川様は仇打ちに参るのでございましょう~」
ここで龍雲丸はこう言い出します。流石のアドリブです。
「そうだそうだ! 仇打ちをするぞ~!」

ここから、劇団徳川によるアドリブ芝居の開始。
康政に仇打ちをするには手勢が少ないと指摘された家康は、切腹までしようとします。ここでまた康政が止めて、三河に脱出して仇打ちをしようと言い出します。
「臭い芝居だなあ」
と言いたげな梅雪。

 

こりゃ穴山を始末したな

そこへ、茶屋四郎次郎がやって来ます。なんだかんだで合流できたのです。

「みなさま~! 一刻も早く三河に抜け参陣いたしましょう~」
と万千代。やっぱりちょっと臭い演技だな。

一行が途中で休憩していると、ここで万福とノブ(本多正信)も合流します。

「ご無事でようございました!」
感無量の顔をする万服。これに対して万千代も嬉しそう。

この井伊の主君と小野の家臣のやりとり、熱いですね。感動しますね。
自分たちの軽挙妄動のせいで今川の罠にかかり、井伊直親と生きて再会できないと悟って苦しんでいた小野政次

彼が苦しみながらギリギリと欄干を握って居た場面を思い出すと、より感動しますね(第11回)。
政次だって、こんなふうに直親と再会したかったことでしょう。

一方で康政と忠勝は、こそこそと梅雪対策を練っています。その様子を見ているのがノブです。

その翌朝。
姿を消した梅雪を追っていた常慶が、見つからないと言いつつ戻って来ました。

ニヤニヤしたノブが戻って来ます。しれっと、梅雪を道案内していたと語るノブ。

「野伏に襲われなどせねばよいのですが……野伏に襲われねばねえ」
ニヤリと笑うノブ。これは始末しましたね。
ここで事切れた梅雪の手が映り、「土一揆により命を落としたと言われているのじゃが」とナレーションが入ります。

このノブの存在感と凄味も流石です。
榊原康政酒井忠次も切れ者ですが、それでも本多正信と比べると一段落ちる。そんな策謀の冴えを見せ付ける正信です。
彼の場合、卑劣な手でもすぐに思いついてしまいます。これは重用されるわ~。

 

明智か織田か ひとまず京を押さえねば

家康主従は伊賀越えを済ませ、三河に戻ります。
苦しい道中は2016年『真田丸』で見られました。昨年と時系列では重なるものの、描写が繰り返しになるところは敢えてスパッと切る、そんな潔さを感じます。

問題は今後。どうするかと悩む徳川主従。家康は当主がいなくなった穴山は困っているハズだと言い出します。ここでノブも同意します。

「最期を見届けた我等だからこそ……」

正信が嫌いで、反発してしまう忠勝は顔をしかめます。
「きったないのう、考えが」

しかし、忠次と康政は感心します。
「穴山領の世話をしていたと言えば、言い訳になる」
「どちらに味方せずともよい」
要するに妙案であると。

『真田丸』で描かれた通り、家康は秀吉に次ぐ本能寺の変の受益者であり、ぽっかりと宙に浮いた武田遺領を、真田昌幸らの手を借りつつ手にすることになります。
そして力を付けた家康を秀吉としても無視できなくなり、妹を嫁がせ、母を人質にしてまで呼び出すことになるわけです。
更には豊臣政権でもトップクラスの大名として振る舞い……というのはまさに『真田丸』の内容です。

ここで家康の脳裏に浮かぶのは、空き城を拾うと言った自分を励ました瀬名の姿です(第24回)。

そのころ、おとわは堺の海を見つめていました。まだ留まるのかと尋ねる龍雲丸に、謀叛の成り行きを見たいと語るおとわ。
おとわは、井伊に残した光秀の子・自然について気にしていたのです。

 

MVP:龍雲丸

久々に登場したお頭は、ファッションもワイルドになっていました。
龍雲丸が再会したおとわの言動から彼女の充実した人生を感じたように、その生き生きとした表情やファッションから、彼なりによい時間を過ごしてきたことが伝わって来ます。

南蛮人と添わせる提案をしたのも無茶苦茶といえばそうですが、このカップルらしいと感じました。
流石にこれは相手も困るはずだと思ってふっかけても、切り抜けてくるおとわ。そんなおとわの突拍子もないところが好きでたまらなくて、今でも惚れている……そんな気持ちが伝わってきました。

そういう型にはまらないところが好き、というのがわかります。
ババアになろうと俺はおとわが好きなんだ、と言い切った龍雲丸。彼女の若さや美貌ではなく、その性格や魂そのものに惚れ込んでいるわけです。

それにしても龍雲丸は度量の大きい、いい男ですよ。自分との約束を忘れていても「ま、それだけ充実していたんだろう。彼女が楽しく生きてきたならいいか」と思えてしまう。流石お頭!

今回はMVPを一人に絞るのは難しいですね。

明智光秀もよかった。
フッと力の抜けた「敵は本能寺にあり」の迫力たるや。誠意と謀略の間を行き来する迫力を感じました。

織田信長も。あの圧迫饗応と心の底から親切心で茶器を選ぶギャップがすごい。
穴山梅雪もいい味を出していましたねえ。

 

総評

うーむ。どこまでも油断できない、視聴者を騙してくる本作。
ここにきて、
「実は光秀の言っていた家康暗殺計画は嘘であったのではないか? 光秀に利用されただけではないか」
「信長はいいひとで、心の底から家康のセンス磨きのために茶器を選んでいた!」
と突きつけて来ました。

近藤康用にせよ酒井忠次にせよ、憎まれ役のようで実は違ったというのは本作お得意のパターンではあります。
しかし、それを信長でもやるとは。底が見えない。とんでもない作品です。

ここまで騙すというのは勇気もいることだと思います。
あまり複雑化し過ぎるとわかりにくくもなります。
それでも視聴者を信じて、こういう変化球を投げてくるのが本作の良さ。見ていて嬉しくなります。

もうひとつ凄いのが、おとわの行動に意味がないことです。
陸路を行くとわかっている以上、海路のために南蛮商人とキスしかけるような苦労も、意味がないっちゃないのです。

龍雲丸を送り込んで芝居を打たせるのも、意味がない。
結果をわかっているとただの空回りで意味がないように思える行動を敢えてやらせる。
しかもそれでいて面白い。これは龍雲丸の存在感もあります。

乱世を終わらせるために奮闘するおとわの姿だけではなく、そんなおとわにぞっこん惚れている龍雲丸も面白い。一年かけて魅力的な人物を作り上げてきたからこそです。

小野政次を亡くしたばかり(といっても劇中では結構な歳月が経過していますが)のタイミングで、龍雲丸と結婚したおとわを節操がないとみなす意見も見かけました。
が、私は残酷な脚本を書いてきた森下氏のやさしさだと思いました。

こんな風におとわのやることをいちいち面白がり、見守る男と短い間でも結婚生活を過ごしたのは、かけがえのない歳月であったと思えます。
久々に龍雲丸と再会できた喜びを感じます。

そんな愛おしいキャラクターともあと一回のおつきあいです。
それでも不思議なことに、なんだかあと二十回くらいありそうな気もしてしまいます。

柴咲コウさんもクランクアップ時まだまだいけると語ったそうです。
【直虎】柴咲コウ、元気いっぱいクランクアップ「あと1年やれそう」 | ORICON NEWS

私もあと一年くらいある気がしてしまいます。本作ならではのエネルギーのせいでしょうか。
そうそう。
先日発売になったばかりのサウンドトラック三も素晴らしい出来ですので、是非ご鑑賞ください。

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