おんな城主直虎感想あらすじ

『おんな城主 直虎』感想レビュー第50回(最終回)「石を継ぐ者」

井伊谷の棚田に村民たちも集まり、そして龍宮小僧になる

その翌朝、おとわは笛の転がった井戸端で、微笑みながら息絶えていたのでした。

遠い西の海岸には、難破した船が一艘……傍らには水筒二本が寄り添うように落ちていました。
龍雲丸もまた、命を落としていたのです。
互いに自分より先に死なないように言っていた、そんな二人の死でした。

井伊谷に皆が集い、おとわの、井伊直虎の葬儀が営まれました。
南渓はどうしても経を読みたくないため、欠席しています。

ああ、愛された領主の葬式です。
そして直盛や直親の葬儀と比べて、なんと穏やかで満ち足りたことか。

南渓は猫を膝に乗せ、ひとりおとわを悼んでいます。
「そなたが読んでくれるはずではなかったのか、わしの経を……」
彼は今回も、大事な人を見送ってしまったのです。

領民たちはおとわの棺を抱え、黄金色に実る稲穂を見ながら歩んでゆきます。
大事な人が亡くなった日でも、民は実りを確認しています。

「殿! 今年もはぁ、よう実りましたで! 今年も、来年も、その先も、たーんとお供えしますにぃ! 楽しみにしてくださいよ!」

そう呼びかける声が響きます。
領民に最期まで慕われたおとわでした。

そして皆がいなくなったあと、一人おとわは井伊の豊かな実りを見下ろすのでした。そこから視点は、空へと向かいます。

おとわは、ついに竜宮小僧となりました。
そうして、これから先も見守るのです。

万千代は陣中で、おとわの訃報を受け取ります。
中野直之、奥村六左衛門、小野万福、万千代、そして家康。
それぞれが、大事な人の死を知って、それぞれの悲しみの表情を見せます。

 

直虎から直政へ伝えられる井伊の魂

徳川は北条と和睦することに。
評定の最中、呆然とする万千代に、榊原康政が厳しい声で「気が入らぬなら下がれ、目障りだと言うておる!」と叱りつけます。

クールな康政センパイ。これも思いやりですね。
身内が亡くなったら休んでいい。そんな配慮です。

万千代のことを南渓が待っていました。
南渓は万千代に笛を渡します。

おとわの最期を聞かされる万千代。おとわは労咳(肺結核)だったのでした。
南渓も、長くはないと知っていたのでしょうね。万千代はおとわから遺言はなかったかと尋ねます。

「井伊の魂じゃ。何じゃと思う、それは?」

・井戸端の拾い子が作った国
・よそ者にあたたかい
・民には、竜宮小僧のようにあれかし
・泥に塗れることを厭わず、恐れず、戦わずして、生きてゆく道を探る

万千代はそう答えます。

「殿は小さな谷でそれをやった。そなたはそれを、この日の本を舞台にやるのだ。頼んだぞ」
井伊の、そしておとわの志は、小さな碁石を通して万千代に継承されました。

 

吹っ切れた直政、工作&交渉役を買ってでる

万千代は吹っ切れた様子で評定に戻ると、北条の使者になると志願します。

若造が使者で元も子もないと酒井忠次が言うものの、万千代はそれを逆手に取ると宣言。
若造で、かつ潰れた家の子だからこそ、徳川で出世できた、度量の広さを見せ付けるのだと、そう主張します。

康政はただの和睦ではないと説明します。
問題となるのは、甲斐・信濃・上野。
甲斐と信濃を得て、国衆に火種を残すなと康政が釘を刺します。

「できます! 潰れた家の前髪だからこそできる和睦を、ご覧にいれまする!」
万千代はこうして和睦の使者を任されました。

万千代の元に、瀬戸方久が犬の鳴き真似をしながら登場。直虎形見の硯を託します。

・直親の笛
・政次の碁石
・直虎の硯

万千代はこれらの品を受け継いだのです。

一方、家康は、於大から南渓の書状を受け取りました。

 

「井伊万千代、今日これよりは直政と名乗るがよい」

万千代は、中野直之、奥村六左衛門、小野万福とともに国衆の元を回り始めました。

六左衛門は、自分は材木を切るしか能が無いのに、出世できたと語ります。
万福は、育ての親が磔になった子でありながら、出世できたと語ります。
万千代は、潰れた家の子でありながら、こうも大役をつとめていると語ります。

それぞれの悲しい過去を、笑顔で語れるようになったのですね。
こうして国衆の臣従をとりつけ、北条側に和睦案を持ちかけ、万千代は交渉をまとめたのです。

和睦成立後は宴会が始まりました。
今川氏真徳川家康、酒井忠次、本多正信が、豆狸がエビで鯛を釣るダンスをしています。
最後までかわいさをあげてくるこの四人じゃあないですか。

本多忠勝が、ここで酔い潰れた万千代に願いを聞きます。
元服を」と酔っ払いながら言う万千代。
四天王のうち三人がすっかり宴会モードなのに、クールな康政だけは平常心を保っています。ったく、こういうところがいいんだよなあ!!

こうして万千代は、いよいよ元服することになりました。

「井伊万千代、今日これよりは直政と名乗るがよい」

井伊の通り字“直”。
小野の通り字“政”。
これよりないよい名だと思う、と家康。万千代改め直政も万感の思いです。

百尺竿灯に一歩を進む
大死一番、絶後に蘇る
禅語を引用する直政。
ちなみにこの禅語は、サウンドトラック『鶴のうた』収録「君看よ双眼の色」で小野政次(高橋一生さん)が朗読しているので、要チェック!

「何事も、大死あってこその蘇りにございましょう」
新生井伊はここから始まる宣言です。
ああ~、小野政次の大死が(第33回)、ここで報われました。

 

赤備えを率いて一番槍を目指す大将

ここで康政が直政への褒美を発表します。
松下家、庵原家、井伊谷三人衆を含めた七家が配下となります。瀬戸方久はスルーされましたけど。

さらに武田より新たに臣従した赤備え組が、侍大将・井伊直政の配下となりました。

「直虎殿は、家の潰れるあわれを無くすことを考えていたそうだ。ならばこれが、井伊にふさわしい役目ではないか」
「恐悦至極に存じます!」

潰れた家の武田、その赤備えが井伊の配下となる、見事!

井伊谷では南渓が酒を器に注ぎ、一人新たな船出を祝っていました。
「皆様参りますぞ、いざ!」

船出とは『真田丸』の第一回のタイトルです。見事なまでの、エール交換です。

高瀬は川手良則の嫁となり、梅の妹松が侍女にあがりました。

そして井伊の赤鬼となった直政。小牧長久手の戦場で、配下の元武田赤備えから「若造」と侮られています。
そこで、なんとしてでも一番槍として敵陣に向かう宣言。
井伊直政は味方を率いて突撃してゆくのでした。

ここでナレーションが響きます。

時は戦国。群雄が割拠し、戦や略奪が繰り返された混乱の世、その流れに果敢にも飛び込んだ女子がおった。
彼女が守り抜いた井伊家は、260年に渡り徳川家の屋台骨となった。
勇ましい男名で、男達とわたりあったその女の名は……おしまい。

ここで碁盤は映り、そこには碁石で描かれた「完」の字。
にゃあーん。
初代にゃんけいが鳴いて、おしまいです。

 

MVP:おとわ

一年を通してのMVPですし、やっぱり改めて彼女のことが大好きなんだと思いました。

第一回のラストシーンでおとわは、亀之丞の格好で今川家の追っ手の目をくらましていました。
その頃からまっすぐ、人の命を機転で守ろうとする人だったのだと思い出しました。

たった一つの命を守ることができずに、無力さに涙していたおとわ。
そんな彼女が成長して、鮮やかに命を守る。一年間を通して描かれた成長を感じました。

第一回から命を守りたいと願い続けたおとわ。そんな彼女の奮闘を楽しませていただきました。

柴咲コウさんもお疲れ様でした。柴咲さんが主役で本当によかったです。
透き通った歌声、凛としたたたずまい、まっすぐな瞳、すべてが素晴らしかったです!

 

総評

燃え尽きていてなんかもう、小賢しいことを一切書きたくない……。
まとめて総評も掲載しますので、今日はこのまま余韻に浸りたい。そんな気分です。
大好きです、ありがとう、しか言いたくない。

終わってしまったことも信じたくない。
来週から『おとこ当主 直政』が始まるんじゃないかと思うし、『真田丸』の第一回「船出」から見直したい気持ちもあります。

最終回を見て欲しいという森下氏の気持ちも、理解できました。
小野政次の辞世にもつながる碁盤に「完」の文字。無邪気な直虎の笑顔。ニャーンという猫の声で終わる軽やかさ。
あのラストシーンが永遠に続くような気持ちがしてしまう。

終わり方としては百点満点中十万点じゃないの、くらい叫びたいです。
多分これは本作が個人的な好みのツボを突いて来るがゆえの、評点が甘いのを通り越して「クレイジーになっている」ので申し訳ございません。ハイテンションなのも承知の上です。

最終回といえば大抵「死」を描くわけですが、今回は見事でした。
おとわが井伊谷をみおろす場面から、ドローンによる撮影で鳥瞰目線になり、この人は本当に竜宮小僧になったのだな、と表現するわけです。

各人の反応を見せ、故人の残したものを見せるわけです。
多くの人を見送ってきたおとわが、今度は見送られる側になって、何を残したか。そこまで描いて「完」。

こんなにも幸せで満ち足りた大河の最終回ってあったのでしょうか。

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「何となくなんですけど、この先に女性主人公の大河の鉱脈みたいなものがあるんじゃないかなぁと…。引っかき傷くらいかもしれないけれど、穴を開けられたんじゃないか」

このことについて、私の見解を述べて終わります。
その通りです。二年前の女大河が、後退させてしまった潮流を二十年くらい進めたと思います。

妻でもなく、母でもなく。
そんな一人の女性が、リーダーとして、女性として、懸命に生き抜いた。そして竜宮小僧になった。そんな風穴を開けました。

十年後、二十年後、あれは凄かったと語られる、そんな名作を二年続けて大河ドラマは作り上げました。

ありがとうございます。
美しい魔法をかけられたような一年間でした。本当にありがとうございました。

このレビューを一年間読んでくださった皆様にも御礼申し上げます。
ありがとうございました。

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