『真田丸 完全版ブルーレイ全4巻セット』/amazonより引用

真田丸感想あらすじ

『真田丸』感想レビュー第5回「窮地」でも笑ってはいけないクス

こんばんは、武者です。先週やってしまった本能寺の夜に月があった件ですが、再放送ではカットになったそうです。

それにしてもすごい本能寺でしたね。NHK側は何故か今週のテレビラテ欄に「本能寺の変」と入れて来ましたが、先週終わっているんじゃありませんか。明智M秀という呼び名や、「今までは山崎で散った光秀可哀相だったけど、今年は上様を自分だけのものに出来てハッピーエンドじゃない……?」とヤンデレの本懐を称える意見などぼちぼち見られました。

いくらなんでも「本能寺の変」が短いのではないか、という視聴者向けにNHKが補う動画を作っていました。

大河ドラマ「真田丸」~『本能寺の変♪』スペシャルムービー

「信長が、死んだ! 日本中が大さわぎ!」

今年のNHK……何かこう、違うな。『歴史にドキリ!』や『タイムスクープハンター』ともコラボしないかな。なんて。こういうことをやればやるほど、「お前は何をしているのかわかっておるのかあ!」とブチ切れながらNHKの頭を欄干にボコボコぶつけたくなる人も増えるんでしょうし、視聴率も伸びないとは思うんですけれども、個人的にはこういうノリ嫌いじゃないんで、このまま突っ走ってください、と。

いや。今年、我ながら甘いと思います。昨年のせいでいろいろ勘が狂っているのかな、というのは思います。それはもう、織田信長森長可に対する対応くらい甘いんですけれども。実のところ、テレビの前で「おのれやりおったな!」と怒る気持ちはあるんです。でもそれを上回る「だがそれがいい!」という気持ちがあるんですよね。作中の真田昌幸自作自演にマジレスかっこわるいみたいに、ここで怒るのも負けかな、みたいな感じもあるし。

ひどいとは思いますよ。本作が大嫌いという気持ちもすごくわかります。だってひどいじゃないですか。ヤンデレ光秀せいで本能寺の変が起こって、日本中が大騒ぎって。でもまあいいよ! 今年はこうなんだよ! って自己催眠かけていますからね。

◆絶好調!大河ドラマ『真田丸』真田・徳川家の子孫が明かす「謎と真実」(→link

ニュース関連ではこれが最高でした。

今週のバッドニュースはこちら。

◆早くも暗雲立ち込める大河ドラマ「真田丸」 "NHKのドン”が異例の対応!?(→link

頼むからあなたは大河にさわらないでくれ、としか。視聴率なんて気にしないで頑張って欲しいと言いたいところですが、低視聴率を受けて変なテコ入れがされるとかなわないので、なんとか踏ん張って欲しいところです。

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ひさしぶりの主人公補正なしが心地よし

さて今週。本能寺の変の余燼からスタート。玉置さんの信忠の最期を見られたのは、嬉しい予想外でした。信長の切腹より信忠を優先するのは、独特ですね。この信忠さえ生きていれば……。

安土では、信繁が異変の気配を嗅ぎ取り京都まで向かおうとします。主人公でも先がまったく読めず、変事においては右往左往する様子が、主人公補正がなくてよいです。信繁は今日、安土から京都に行って戻る展開となるわけですが、メインではありません。

登場した直後に本能寺の変!?

登場した直後に本能寺の変!?

 

絶対に笑ってはいけない伊賀越え

さてその頃、旅行中の徳川家康本多忠勝より凶報を聞きました。

いよいよ今夜のメインイベント! 「絶対に笑ってはいけない伊賀越え」です。一週間、これが楽しみで楽しみで仕方有りませんでした。途中で家康、影武者に入れ替わるんじゃないかと思うくらい、あの家康だと無理そうで。まあ、脇にはいざという時変身できそうな忠勝がいるわけですけれども。

家康チームの作戦会議。絵図を前にルートを決めようとする一行ですが、どこへ向かっても危険だと迷いに迷い出します。そのうち家康はカーッとなって「逃げ道なんてない! もうこのまま京都に戻って上様を救うぞ!」とか言い出します。

「もし生きていたら上様に怒られる! 怖い!」

と口走る家康に「光秀が上様を討ち漏らすはずがない」と、忠勝が指摘。家康はここで伊賀ルートならいけるんじゃないかと言い出します。意表はついているけど、山道で危ないのではと石川数正穴山梅雪は反論。忠勝と家康がここを押し切って、伊賀越えが決まります。

一方、真田の郷ではまだ情報が伝達していないので平和な雰囲気。家臣の高梨内記は、年頃になったきりの行く末を考え始めたようです。そのきりは、堀田家に入り浸っておやつをぱくついています。作兵衛は妹の梅に「真田源次郎様、おまえに気があるみたいだよ。近づいてみなよ」と言います。梅は「兄はあんなこと言うけど、私ごときが好かれているなんて思えないし」ときりに言います。きりは「謙遜と嫌味が紙一重なんだよ!」とツッコミ。不器用ヒロインきりは、どうやら恋のライバルを手伝ってしまう人の良さがあるようです。

内記は、きりに真田家に奉公するようにと持ちかけます。奉公しているうちに信繁とよい雰囲気になれば、と狙う内記。今日の休憩タイムはこのあたりですね。

家康一行は絶賛伊賀越え中。そんな中、穴山梅雪がそわそわし出します。

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「ついて行きたいのは山々なんですけど、私腰痛持ちで。別行動した方がよくないですかね?」

そう言う梅雪の手を、家康はしっかと握りしめ送り出します。家康を見送ると、梅雪は「おまえと心中なんてやってられんわ」とつぶやきます。「少しも痛くないわ♪」というふうに、杖まで肩にかついでしまう梅雪。ありのままに裏切る梅雪なのでした。そこへ重なる、梅雪は落ち武者狩りにあって死亡というナレーション。アナ雪こと梅雪さん、冥土の彼方へとレリゴーしました。

 

佐助よりは役立ちそうな服部半蔵と思いきや

家康一行が休憩をしていると、ある男が目の前に。伊賀育ちの服部半蔵正成です。心強いガイドだ、これでもう安心だ、とほっとする家康です。そんなに楽に行くかな?

真田郷ではついに、昌幸と信幸の元に本能寺の報が届きます。さらに明智の使者を迎えた昌幸は、「今夜はゆっくり温泉に入ってね」と持ちかけます。

「いえ、これから他の国衆にも行きますんで」

と使者、ここでいらんことを言います。

昌幸はなおも、

「えっ、俺の風呂が入れないの? 十日でもゆっくりしていってよ」

と強引勧誘。十日どころか永遠に風呂に沈められそうな雰囲気ですが……使者の持っていた国衆への手紙は全て没収されました。

父ちゃん、やっぱりカッコイイ!

父ちゃん、やっぱりカッコイイ!

内記は「今こそチャンス、織田勢に取られた城を取り戻しましょう!」と持ちかけますが、昌幸は乗りません。信幸と二人きりになった昌幸は、「チキショーーーー! せっかく頭下げて馬まで贈ったのに、なんで死んでしまうのだ、信長めええええ」とガチ切れ。

信幸は「信長が死んでも織田を敵に回してはいけませんよ」と言います。昌幸は各地の大名が立ち上がるぞ、織田が持ちこたえられるかと反論。

「じゃあどうしたいんですか、本心をお聞かせください」と迫る信幸。

「本心? まったくわからん! 俺どうすればいいんだよ、教えてくれよ、源三郎!」

と、昌幸ソウルフルに絶叫。どうするんだ、これ。信幸もこれには困ります。ここで彼も気づいたでしょう。

「親父、なんかすごく深い考えがあるようで、実は何も考えていなくてハッタリかましているだけじゃないの?」

ということに。さてこのことは彼にどんな影響を与えるのでしょうか。

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家康一行は落ち武者狩りに遭遇。家康、ガイドの半蔵を信じたのに、困惑します。

「半蔵、村の連中にはちゃんと話つけてたって言ったよね!?」

「だいたいは!」

「だいたいって……」

「全部つけたとは言っていません。ここは押し切りましょう!」

は、半蔵ォォォ! やむなく家康、すごい顔芸で強行突破です。もうだめ、腹筋が限界!!

ちょっと雑なハンゾーさん

ちょっと雑な性格で、でも憎めないハンゾーさん

昌幸はもうこれはどうしたらわからんね、と信幸の前で心情を吐露。

「乱世マジ荒波。この海どうやれば渡りきれるんだよ。もうこうなったら、俺もワイルドサーファーとして生き延びるしかねえな!」

本作のテーマを織り込みつつ、俺は負けない宣言をする昌幸でした。本能寺の変のせいで、皆荒波をかぶっているんですね。信幸は「織田に従ったなら織田につけばいいのに」と納得いかない顔です。結果から考えると、織田の後継者になる秀吉を頼るのが成功への近道であるわけで、実はシンプルな思考回路の信幸が、正解を出している気がするんですよね。昌幸は実のところ、策士策に溺れている部分があるのです。

夜、昌幸の部屋に薫がうきうきした顔でやって来ます。

「信長死亡確認、よかった♪ ああいう神仏を敬わない人には天罰が当たるんですよね。おかげで松もお役御免で帰って来るでしょうし」

「松か、まずいぞ」

マイペースでドラマに違った空気をもたらしてくれる松姉ちゃん、いいっすよねー

マイペースでドラマに違った空気をもたらしてくれる松姉ちゃん、いいっすよねー

妻の言葉に反応する昌幸。

「明智はこのまま織田の人質を取るはず。松を明智に取られたら明智に味方する羽目になるぞ」

昌幸は佐助を呼び出し、何か指示を出します。昌幸はあまりのことに頭が煮詰まって、娘のことすら忘れていたようです。

信繁と頼幸は京都で信長の死を確認し、安土に向かうことにします。

ガイドの半蔵は、家康探検隊一行をどう見ても崖としか思えない道に案内します。ここが一番の近道だからついて来て下さい、とひょいひょいおりてゆく半蔵。あとをついてゆく家臣。家康も迷ったあと、叫んで走り出します。もうこの家康、今回はずっと弱音だけではなく、いろいろ漏れていそうです。

昌幸を問い詰めるのは後の伏線か……

 

名将と思ったらばくち打ちと見破られ

小県の国衆は昌幸に激怒。室賀正武は「お前みたいな当てにならないばくち打ちについて、行けるかあ!」と叫びます。正論出た。ついでに今日も「黙れ、小童ぁ!」と怒鳴られる信幸。もしかして、これが室賀の名物になるんでしょうか。もうこれ、個人的に本当に好きなんですが。メール着信音にしたいくらいです。

昌幸は「俺は織田を見限る、これからは上杉につく。あいつらはなんだかんだで小県の価値を知っているからな。織田は上杉に追い払ってもらう」と宣言します。正武は「やってられるかあ!」と決別宣言します。無理もないですね。

昌幸の弟・信尹は上杉家に支援を頼みに向かっておりました。上杉景勝、そして先週家康のブラフ要員にされた直江兼続もいます。

真田丸直江兼続霜月けい

景勝は昌幸らの臣従は認めるものの、織田勢を追い払う件は断ります。弱っているような者に戦いを挑むのは上杉の義に反する、とかなんとか。義とか今更何眠たいことぬかしとんねん、と言いたいところですが、この言葉は額面通りに受け取れるのでしょうか。

昌幸は「上杉の義」の本音を見抜いています。織田に追い詰められた上杉は、要の魚津城を失い、さらには家臣の反乱まで起こるなど、かなり苦しい状況で、昌幸の支援などできないのでした。ともかく、ここで昌幸のプランは失敗。織田を完全に切るべきか迷っていると、滝川一益から呼び出されるのでした。

真田丸上杉景勝霜月けい

家康はやっとゴール間近。楽しそうにおにぎりを食べて盛り上がる一行。大河でおにぎり……うっ、頭が。ここで家康と忠勝が、互いのほっぺについた米粒をとりあって口に運ぶのですが、先週の信長と光秀の場面に続いて困惑が広がります。何故おっさん同士がイチャイチャするんだよお! それにしてもおっさん同士のイチャイチャでやけにSNS盛り上がっていますが。某会長はこの反応を見て、イケメン大河よりこういうおっさんのイチャイチャが受けると学んでいただきたいですね(というより、おそらく各個のキャラ立ちに差が)。

しかしここで非情のガイド半蔵、先には明智の軍勢がいるから「押し通りましょう!」と言います。現地に詳しいガイドかと思ったけど、強行突破ばっかりじゃねーか!! 家康、またも変顔絶叫で猛ダッシュ。転んでも負けずに頑張る家康、伊賀越え、つらいね!

 

なにも知らない滝川一益 逃げキャラ定着の家康

昌幸を呼び出した一益は、どうやら信長の死を知らないようでした。一益は上様が天下を統一したら戦はもうなくなる、ゆっくり温泉にでも行きたいとニコニコ語ります。一益さん、なんだかよい人ぽいですね。それにしても何故、一益のもとには情報が届かないのでしょうか。山の中で使者が討たれてしまったのかもしれません。この一益は真相を知らないという状況が、なかなかスリリングな伏線になっています。「新しき世」だの「戦のない世」だの、このあたりはもう陳腐な大河のテンプレと化していて、誰かが言うと「はいはい……」とツッコミたくなるのですが、ここでは説得力がありました。本当に一益は信じていて、だからこそ信長に一生懸命ついていったんだろうな、と思えたのです。「上杉の義」とその種明かしでも感じたことですが、このあたり、三谷さんの力がものすごく出ているのでは。そして一益のこうした一連の言葉から、信長が恐ろしいだけではなく別の面があり、日本に新たな時代を生み出すことができたのだと表現しているわけで。本能寺の変がいかに大きな損失であったか、そのことを直接的にではなく、語っているわけです。

それにしてもこの一益の、つきものがおちたようなさわやか笑顔。何も知らない、このあと衝撃の事実が伝わるのかと思うと切なくなってくるものがあります。滝川一益はどちらかと言えば地味な武将の気がしますが、彼も人気が出そうです。知ったあとの一益の動揺が今から怖いです。

滝川一益・昌幸の影響力を利用として少しおもねるような段田安則さんの雰囲気がいいっすよね

滝川一益・昌幸の影響力を利用として少しおもねるような段田安則さんの雰囲気がいいっすよね

信繁らは安土にようやく戻ります。松は既に織田勢に連れ去られ、安土城内にいるそうです。混乱しているから結構すんなり入れるかも、と繁誠。本当にこのあとすんなり入れました。混乱しているからね、仕方ないね! そして信繁、あっさりと松に再会。松は他の人質も連れて帰りたいと主張。信繁は困りますが、繁誠も「ああ言っているから!」と松の肩を持ったため連れて行くことに。流石にこれだけ人質がいるとすんなり門通過作戦は使えないようで、抜け穴を使います。信繁は狸が不自然に井戸から出入りしていることを見ており、おかしいと感じていたのでした。このあたりあっさりしとしていると感じるほどテンポが速いです。今日の見せ場は伊賀越えですからね。

そして家康はついに阿茶局の膝にゴォォォォル! ボロボロになってよろよろとしております。

「死ぬかと思った〜〜……」

とつぶやく家康。確かに見ているこっちもこいつ死ぬかな、と思いました。よかったな、家康!

抜け穴ダンジョンを抜けた信繁たちは、これから真田へ向かうようです。アフター本能寺、ひとまず終了でしょうか。来週はいよいよ秀吉も登場します。

 

今週のMVP:徳川家康

徳川家康はもう殿堂入り。家康の逃げリアクションは完成しています。この調子で最終回まで逃げ惑うかと思うと笑いが止まりません。

ハマカーンの浜谷健司さんによる服部半蔵も。結局力押ししかないすがすがしさに笑いました。彼も本業俳優ではありませんが、本当に今年はゲストの使い方がうまいです。頼りになるのか、ならないんだか、ちょっとわからない味わいがありました。

 

総評

先週が知恵対知恵の戦いだと思っていたら、今週は一気にギャグでフルスロットル来ました。なんだあの伊賀越えは! 最高じゃないか! 45分間、視聴者を引き込むのにちょうどいいギャグっぷりだと思います。史実では二百名程度犠牲になっていますが、本作はこれでいいんじゃないですかね。これでも家康絶品の逃げキャラっぷりが確立したので、これだけでも今年後半までいけるんじゃないでしょうか(余計な介入がなければ、ですが)。

じゃあギャグだけなのかと言えばそうでもなく、昌幸パートでは戦国の策略と近隣事情が盛り込まれていました。明智の使者を容赦なく捕まえる黒さ、室賀正武が的確につっこむばくち打ちっぷり。「上杉の義」も出てきましたが、昌幸からすぐに家が苦しいから誤魔化しているだけだ、と喝破されていました。史実における上杉家の動きも、このあたりは特に義でも愛でもありません。アフター本能寺としてよくまとまっていました。昌幸が智恵者のようで実はギャンブラー過ぎていかんのでは、と信幸目線で見せたことも今後の伏線になりそうです。

そして今まで名前すら出てこなかった秀吉が、いよいよ満面の笑みとともに出てきます。ここまで触れなかったぶん、予想外の男がいきなり天下のトップに踊り出た感が出ています。鬼武蔵こと森長可も出てくるそうです。秀吉は言うまでもなく、一部である意味人気急上昇の鬼武蔵、とても気になるところです。「マッド武蔵 怒りの信濃ロード」になってしまうのでしょうか。早く来週が見たい!!

武者震之助・記
霜月けい・絵

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【参考】
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