絵・富永商太

豊臣家

【小牧・長久手の戦い】で秀吉の天下ほぼ内定!複雑な戦況をスッキリ解説

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中入り戦術――徳川の本国へ攻め込む

この中入りという作戦。
徳川の本国へ攻め込めば、岡崎城を落とせずとも、膠着した戦況に変化を生むことができる――そんな豊臣方の狙いがあったとされます。

そしてまた、攻め込んだ部隊も見事なメンバーでした。

【中入り部隊】
総大将:羽柴秀次
一番隊:池田恒興・元助・輝政父子
二番隊:森長可
三番隊:堀秀政
四番隊:羽柴秀次・田中吉政

羽柴秀次とは、後に自害へ追い込まれる(あるいは自発的に自害したともされる)あの豊臣秀次です。

当時は豊臣秀頼が生まれておらず、秀吉の信任も厚かった、あるいは後継者として手柄を立てさせたかったのでしょう。
総大将を任されています。

他に、池田恒興という織田家歴戦のツワモノや、鬼武蔵と呼ばれた森長可(ながよし)、信長の側近として長らく活躍した堀秀政など、錚々たるメンツが揃っており、豊臣方にしても「あわよくば……」という思いもあったかもしれません。

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しかし、ここは徳川のほうが一枚上手でした。

中入り軍の虚を突いて襲いかかり、池田恒興と森長可を討ち取るという、凄まじい戦果を挙げたのです。

これが【長久手の戦い】です。

【小・長久手の戦い】の名前にもなっているように、徳川から見れば華々しい戦歴であり、このとき武田の赤備えを引き継いだ井伊直政の凄まじい働きぶりが伝わっております。

以下の記事に直政の詳細が掲載されておりますが、

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先鋒としてがむしゃらに突撃し、敵の陣形を崩すという「突き掛かり戦法」を駆使したとされます。
駆使というか、命がけの突撃ですよね。

さすが井伊の赤鬼。
この戦いの後、直政は4万石→6万石へと大幅加増されました。

 

勝手に和睦しよった!戦況を動かしたのは伊勢だった

徳川軍の快勝となった長久手の戦いが終わると、再び、静かな合戦へと戻りました。

長久手古戦場碑/Wikipediaより引用

長久手古戦場碑/Wikipediaより引用

細かな戦闘はあっても、趨勢を左右するような流れにはならず。
小牧周辺では厭戦気分すら漂う中、戦況を動かしたのが【伊勢】です。

メインの戦場となった尾張の隣・伊勢でも戦闘が行われていて、羽柴秀長や蒲生氏郷らが同地方へ攻め込んでいたのです。

伊勢方面は、小牧・長久手の戦い主役の一人・織田信雄の本国でした。

秀吉はい、その拠点をいくつか陥落させると、いよいよ長島城の織田信雄へ迫り、兵糧攻めを敢行……するのではなく、講和をもちかけます。

負けているならまだしも、なぜ、秀吉から和睦を求めたのか?

前述の通り、この戦いはそもそも織田信雄が秀吉と対立し、徳川家康に協力を求めたことから始まっています。
つまり、信雄が戦線放棄してしまうと、家康には戦う理由がなくなってしまう。

戦乱期とはいえ大義名分はそれなりに重要です。
秀吉が目をつけたのは、まさにそこでした。

結局、家康は、兵を退かなくてはならない状況に追い込まれてしまいます。

 

戦後処理 秀吉の思惑どおりにコトは進んだ?

秀吉と家康の対立――。
この和睦によって両者完全には手打ちとはならずも、概ね、秀吉の思惑に沿って終結しております。

よほど満足のいく結果だったのか。
信雄に対しては人質提出だけでOKという寛大な処置。

賤ヶ岳の戦いでは、自分に反した織田信孝を自害まで追い込んだのに、信雄には領地の安堵なども認めるほどです。

家康からは、人質として次男の結城秀康をとり、その後、家康サイドについた勢力については、紀州攻め、越中攻め、四国攻め、小田原征伐で討伐することになります。

面目丸つぶれの家康は、さぞかし苦虫を潰すような顔になったことでしょう。
織田信雄の勝手な講和により、中途半端なカタチで戦が終わり、そして徳川家も豊臣政権の中に取り込まれることになってしまうのですから。

最終的には、江戸幕府を開いた家康の勝ちですが、秀吉存命の頃は叶わなかった。

秀吉は中央(東海・関西・甲信越)エリアをほぼ掌握し、天下人への道を邁進していく――そんな契機となったのが小牧・長久手の戦いです。

なお、秀吉・家康・信雄3人の生涯については、以下の記事でご覧ください。

文:五十嵐利休

【参考】
『戦国武将合戦事典(吉川弘文館)』(→amazon
『戦国時代人物事典(学習研究社)』(→amazon
『秀吉家臣団の内幕 天下人をめぐる群像劇 (SB新書)』(→amazon
国史大辞典

 



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