『武田三代』著:平山優(→amazon link

歴史書籍

戦国甲斐武田の軌跡がバッチリわかる~平山優『信虎・信玄・勝頼 武田三代』

こちらは2ページ目になります。
1ページ目から読む場合は
平山優・株式会社サンニチ印刷『信虎・信玄・勝頼 武田三代』
をクリックお願いします。

 

デザイナーさんも素晴らしい仕事をしていますね!

ビジュアルといえば、圧巻なのが写真です。

よくぞここまで撮影したな、と言いたくなるほどの満足感。チョイスがいちいち素晴らしい。

「義信事件」のページは、愛宕山に沈む落日を背景にした、義信の墓写真を使用しています。

『信虎・信玄・勝頼 武田三代』平山優(→amazon link

この黄色く染まる空が、なんとも哀切でして。写真一枚で、彼の死がもたらすものが伝わってきて、ページにじっと見入ってしまいました。

勝頼の生い立ちには、諏訪湖に沈む日です。これも意味深に思えてしまう。

武田三代が生きてきた信濃。その美しさや土地の息遣いまでわかるような、素晴らしい写真ばかりです。

これは暴言だとわかった上で書きます。本文がなくても買いです。

この写真だけでも、写真集にできる。武田三代写真集。その企画でも通りそうです。

もう眼福。見ているだけで幸福感が湧いてきます。

写真担当者もあっぱれでござる!!

 

総大将が強いからこそ、本書は素晴らしいのです

本文なくても買う価値があると書いておいて、なんだか後付けのようで恐縮ですが。

言うまでもなく平山先生あっての本書だと思います。

彼が指揮したからこそ、この陣容。いわば本書の武田信玄、総大将ですね。

平山先生の本は、片っ端から買って損はない。どれを読んでも後悔しない。

そう言い切れるのですが、それでも初めの一冊はどれにしようかな?と迷う方には一番のお勧めですね。

最初の第一歩に相応しい。

三代の軌跡がまとめてあって、わかりやすい。

めくっているだけでも『風林火山』や『真田丸』が浮かんできて圧巻。スッと入り込めるという点では、これに勝るものはなかなかありません。

他の薄い本と違うこと。それは彼のカラー、軍配の振り方が隅々まで及んでいるという部分もあります。

先に触れた大河ムック本あたりは、執筆者によってテンションの違いが結構あるものです。

ロマン重視か。
史実重視か。
フィクションをこめる作家か。
研究者か。

その点、本書は平山先生がカラーを統一しているからスッキリしている。テンションの高低差が薄く、最初から最後まで充実の読後感があります。

本書の見事さは、薄い本ならではのビジュアル面での特性と、総大将の指揮系統が水際立っている。そこががっちりと噛み合っているところだと思います。

この適性を余さず使い切るところ。あなたが武田信玄でしたか。そう言いたくなるくらい、テンションがあがります。

研究者さんにこういうことをいうのは、ちょっと気が引けますが。

もしかして、研究テーマに思考回路が染まっておりませんか?

武田氏の研究に没頭した結果、武田氏の思考ルーチンが身についていませんか?

風林火山が常に脳裏にありませんか?

これは『真田丸』鑑賞時も考えてしまったことです。あのドラマも、論理がきっちりしていて、ハキハキとした爽快感がありました。

本書にも同じ風があります。

なんだか武田信玄や真田昌幸もそういう指揮を執っていたのではないか。そう思えて来るのです。

 

それでも敢えて言うのであれば

欠点がないかのように思える本書。

それでも敢えて探すとすれば、こう言いたくなってしまう。

けしからん!
900円だと?
ふざけおって!!
おのれ武田め〜〜〜!!

三方ヶ原の戦いや、第一次上田合戦のあとに徳川家康が真田昌幸を罵るようなニュアンスです。

なぜか読了後、家康気分になれるんですよ。

過去、戦国関連の書籍を調べていると、どうしても惜しいと思う点がありました。

◆この写真をもっと綺麗な写真で見たい。
できればカラーで。

◆花押を並べて比べたい。
父子で並べているものはそう多くない気がします。

◆史跡巡りの地図をよこせ。
でかいやつ、折りたためてカバンにさっと入るやつ。

そういう痒いところに、本書はぬかりなく手を伸ばしてくる。

今までコピーして、自分なりにノートを作っていたあの時間はなんだったのか……。

今すぐ武田だけでなく、全国大名でこれをやって欲しい。他の時代でも頼みます!

そう主張したくなるほど、満足感とともに悔しさがこみあげてくる。

おそろしいものを作ってしまったな。そう興奮しながら叫んでのたうちまわりたい。そんな力作です。

日本全国で流通している、もっともけしからん薄い本をあげろと言われたら『武田三代』をあげます。

迷いなんて1ミリもありませんよ。

※平山先生が、本記事ライターのツイートに反応してくれた! ありがとうございます!

あわせて読みたい関連記事

武田信虎
信玄の父・武田信虎は暴君に非ず!武田家飛躍の土台を築いた悲哀の生涯

続きを見る

武田信玄
史実の武田信玄は最強の戦国大名だった?人物像に迫る生涯53年まとめ

続きを見る

武田義信
信玄の嫡男・武田義信はなぜ廃嫡&自害へ追い込まれた?30年の生涯

続きを見る

武田勝頼
武田勝頼は最初から詰んでいた?不遇な状況で武田家を継いだ生涯37年

続きを見る

なぜ戦国最強の御家が滅んだか?平山優『武田氏滅亡』が圧倒的な読後感

続きを見る

武田家の子孫
戦国武田家の子孫たちは滅亡後に何処へ 江戸時代に復興した者もいた?

続きを見る

文:小檜山青

【参考】
平山優・株式会社サンニチ印刷『信虎・信玄・勝頼 武田三代』(→amazon

TOPページへ

 



-歴史書籍
-

×