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日本人は台風や地震とどう関わってきた?書評・天災から日本史を読み直す

今年も台風シーズンの9月になりました。

昨年は、伊勢湾台風や室戸台風と並び、過去最大級と目される台風10号が日本列島に近づき、全国各地で被害が報告されたほど。

凄まじい雨量は、各地の水処理能力を凌駕し、特に、事前の台風9号で多くの雨に見舞われたエリアでは、より深刻なダメージを受けました。

こうした自然災害は、今に始まったことではなく、日本では昔から頻発。

歴史も大きく動かしていた――というのを意識させてくれるのが、

書籍『天災から日本史を読みなおす 先人に学ぶ防災 (中公新書)』(→amazon

です。

著者は『武士の家計簿』で有名な磯田道史氏。

現代文を読むがごとく古文書をスラスラ読解するその道の第一人者であり、私たちにわかりやすい言葉で伝えてくれます

 

実際、他国と比べて災害は多いの?

地震、火山に台風、高潮――。

日本は他国と比べ、体感的に自然災害の多い国だと感じますが、実際はどうなのか?

国土技術研究センターのホームページから引用させていただきますと……。

日本の国土の面積は全世界のたった0.28%しかありません。

しかし、全世界で起こったマグニチュード6以上の地震の20.5%が日本で起こり、全世界の活火山の7.0%が日本にあります。

また、全世界で災害で死亡する人の0.3%が日本、全世界の災害で受けた被害金額の11.9%が日本の被害金額となっています。

このように、日本は世界でも災害の割合が高い国です。(一般社団法人 国土技術研究センター

感覚でなく、自然災害に遭いやすい国ということが分かりますね。

こうした気候や地理条件は昔から大きく変わるものではなく、歴史的に見ても同様のことが繰り返されてきたのは我々にも想像できますね。

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豊臣政権に影響与えた二つの地震

第1章は豊臣秀吉の時代です。

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日本史好き、特に戦国好きには有名な2つの地震から始まります。

1つめは天正13年(1586年)に日本列島の中央部でおこった大地震「天正地震」。

秀吉による九州征伐の前年ですので、豊臣家の支配体制が完全には確立していない時期の出来事ですね。

この地震では飛騨の帰雲城(かえりぐもじょう)が山崩れによって完全に埋没、城主の内ヶ島一族が全員行方不明となり滅亡した話で知られます。

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しかし、その他にも大垣城が全壊焼失、長島城も倒壊となっており、北陸から中部での大きな被害が確認できます。

山内一豊夫婦の唯一の実子である女子がこの地震で命を奪われたのは大河ドラマ『巧妙が辻』でも描かれておりましたね。

本書では、当時の地震の記録を紹介するところからはじまります。

時計の普及していない時期ですので時刻は太陽が頼り。夜中におきた天正地震は亥刻、子刻と記述がまちまちだそうです。

続いて山内一豊の話を書き、徳川家康が地震に救われた話へと続きます。

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