前九年の役

『前九年合戦絵巻』鎮守府将軍の源頼義と、その息子・源義家が共に参戦/国立国会図書館蔵

源平・鎌倉・室町

前九年の役で源氏が台頭! 源頼義と義家の親子が東北で足場を固める

康平五年(1062年)9月17日は前九年の役が終結したとされる日です。

といっても

「いつの時代で、どこの話?」

「名前だけ聞いたことあるような気がする……」

という人のほうが圧倒的多数の予感。

しかし、源頼朝武田信玄など、武家としての源氏が大きく羽ばたくキッカケとなった事件でもあり、源平・戦国時代をより深く楽しむための重要な転換点だったりします。

まずはこの戦があった平安時代の展開をダイジェストで確認しておきましょう!

 


平安15のポイントで「前九年の役」を確認

平安時代をざっくりまとめるとこんな感じですね。

【摂関政治のクライマックスへ】

① 延暦十三年(794年) 平安京遷都

② 天安二年(858年) 藤原良房が人臣初の摂政となり、摂関政治が始まる

③ 貞観十一年(89年) 貞観地震(東日本大震災が「千年に一度の規模」という由来になった東北沖の巨大地震)

④ 寛平六年(894年) 遣唐使廃止

【だんだん武士の時代】

⑤ 天慶二年(939年) 承平・天慶の乱(平将門藤原純友の乱

⑥ 長和五年(1016年) 藤原道長が摂政になる

⑦ 永承六年(1051年)~康平五年(1062年) 前九年の役 ←今日ここ

⑧ 永保三年(1083年)~寛治元年(1087年) 後三年の役

【源平時代を経て鎌倉時代に】

⑨ 保元元年(1156年) 保元の乱

⑩ 平治元年(1159年) 平治の乱

⑪ 仁安二年(1167年) 平清盛が太政大臣になる

⑫ 治承四年(1180年) 以仁王の挙兵、続いて源氏も挙兵

⑬ 元暦三年=文治元年(1185年) 壇ノ浦の戦いで平氏滅亡

⑭ 文治五年(1189年) 奥州藤原氏滅亡

⑮ 建久三年(1192年) 源頼朝が征夷大将軍となり鎌倉幕府を開く

というわけで、前九年の役があったのは”平安時代の後半”といえます。

こうやって並べてみると、数々の物語や歌集が生まれた優雅な時代と、武士が台頭する時代が同じ区分になっているのは不思議な気がしますね。将来的に変わるかもしれませんが。

では、本題の「前九年の役」を追いかけていきましょう。

 


豪族の安倍氏が納税をサボった? よし討伐だ!

前九年の役を無理やり一行でまとめてみると、

「東北のヤンチャな一族を、中央から派遣された源氏が討伐した!」

こんな感じでしょうか。

まだ日本が統一国家ではなかった時代とはいえ、一体何がどうしてそうなったのか?

戦場となった、現在の岩手県あたりには安倍氏という豪族が一大勢力を築いておりました。

彼らは自らの拠点に砦や柵を用意し、のっけから中央政府と殺り合う気満々。

それでも、しばらくは朝廷への税を納めていたのですが、いつの頃からかサボりはじめました。

現代だったらマルサの出番ですが、当時は「納税サボった? よし討伐だ!」という時代です。

このときも、陸奥守に任じられていた藤原登任(なりとう)という貴族が、安倍氏退治に向かいます。

そして、ものの見事に負けてしまいました。

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