眺めのいいところって、何となく憧れがありますよね。
しかし、それが「高いところ」となると、人によって好みが分かれるのではないでしょうか。
どちらかというと好きな方が多いのか、人類は数々の高層建築を作っていますね。
本日は現在とこれからの「高いところ」を見ていきましょう。
1968年(昭和四十三年)4月12日は、日本初の超高層ビル・霞が関ビルディングが完成した日です。
「超高層建築」の定義が統一されていないので、これ以前に建てられていたホテルニューオータニ(21階建て・高さ73m)や、ホテルエンパイア(21階建て・尖塔までの高さ93m)を「日本初」とすることもありますが……こまけえこたあいいんだよ。
霞が関ビルディングは、かつて華族の社交場だった霞会館の跡に建てられました。
現在は身分制度そのものがないですし、テナントやオフィス、クリニックなど多くの業種が入っていて、また違った賑わいを見せていますね。
実はこれ、現代の高層建築のほとんどが同じ特徴を持っています。

霞が関ビルディング/Wikipediaより引用
206階で高さ828メートル 世界一のブルジュ・ハリファ
例えば、現在世界一の高さを誇るブルジュ・ハリファ(ドバイ)。
206階建て・一番高い尖塔の高さが828mという、まさに天をつくようなビルですが、そのほとんどはホテルとオフィスと機械室、そして居住区(!)です。レストランや展望台もありますが。
内訳はこんな感じです。
ブルジュ・ハリファの内訳 | |
1~39階 | アルマーニ ホテル |
44~72、77~108階 | 個人用住居 |
40~42、73~75、109~110、 136~138、155、160~206階 | 機械室 |
111~121、125~135、139~154階 | オフィス |
43、76、123階 | スカイロビー |
122階 | レストラン |
156~159階 | 展望台ほか |
つまり、階数全体の1/4強が機械室で、同じくらいの居住区があり、その二つよりやや少なめの階数をホテルが有しているということになりますね。
上に行くに従って床面積が減っていくので、面積的には階数と同じ比率にはならなさそうですが。
日本のビルだと下のほうにオフィスで上が居住階ということが多いですけれども、ブルジュ・ハリファは逆ですね。
これだけデカい建築物なので、高さ以外にも様々な伝説を打ち立てています。
いわく、「ビルの外側を全て掃除するのに、36人で3~4ヶ月かかる」とか、「オープンから間もない時期に世界金融危機が起きたため、10ヶ月で賃料が40%まで値下がりした」とか、「900室ある居住区のうち、825室が空き部屋になったことから、”高さ600メートルのゴーストタウン”と酷評された」とか。特に最後のがキツイですね。
2025年には400階建て・2400メートルのビルが
さらに、世界各所でブルジュ・ハリファを超える超々高層ビルの計画が立てられています。
同じドバイでも、400階建て・最頂部2400mの「ドバイ・シティ・タワー」が建造中です。2025年完成予定とのことなので、もう少しですね。
また、同じアラブ世界でもこれに負けじと、複数の建築計画があります。
一つはサウジアラビアの「ジッダ・タワー」。167階建て・最頂部1008m予定ですので、ドバイ・シティ・タワーには大きく離されていますが、ブルジュ・ハリファを超えるのは間違いなさそうです。
ジッダ・タワーの設計者はブルジュ・ハリファと同じ建築家だそうで、文字通りの(高さが)最高傑作になるかもしれません。
もう一つはバーレーンの「ムルジャン・タワー」です。こちらは200階建てで、屋上が1022mの高さになるとのことですので、おそらくそれ以上に高くなるのでしょうね。
が、これだけの高さになると、建築技術は元より、諸々の問題が起きるものです。中には、計画が立ってもモノが建たないというケースもいくつかあります。
中国の「空中城市」や、ドバイの「アル・ブルジュ」というビルは、200階超の設計がされていながら、建設中止または凍結中になっているのです。
ブルジュ・ハリファやドバイ・シティ・タワーが建っているのに凍結中のビルもあるなんて、ドバイは一体どうなってるんでしょうか。さすが石油王の奥にはケタが違います。
高さ1800mあたりから高山病(高度障害)の危険が出てくるので、いずれ「超々高層ビル内での高山病問題」なんてものが取り沙汰されるようになるのかもしれません。
現在人間が定住している一番高い場所は海抜5100mだそうですから、屋内であれば、空調次第で定住可能でしょうけれども。
人類が滅ぶのと、高さがキロメートル単位の建築物が当たり前になるのと、どっちが先でしょうね。そのうちビルから宇宙エレベーターが繋がったりして……?
長月 七紀・記
参考:霞が関ビルディング/Wikipedia 超高層建築物/Wikipedia 世界一高い建築物の変遷/Wikipedia