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【在原業平】
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妻は紀氏一族 後世の紀貫之や友則に影響を与えた!?
そんなこんなでガッツリ皇室の血を引いていた在原業平。
又従兄弟にあたる文徳天皇の時代まで、官位がほとんど上がらず、苦労していました。
「学はないが歌は素晴らしい」という評価や、「伊勢物語」の主人公がちょっとひねくれたような感じになっているのは、うだつが上がらなかった時代に、外から見られた印象が含まれているのかもしれません。
あるいは彼の歌が、技巧的というより素朴でわかりやすいというのも理由のひとつでしょうか。
業平が本格的に昇進するのは清和天皇の代になってからで、ほぼ3~4年に一度、官位が上がっています。
プライベートでは、妻が紀氏出身のため、紀氏とも交流があったとされます。
舅の紀有常(きの ありつね)もまた温厚な人柄で、伊勢物語でもべた褒めされているので、不遇だった間も親しくしていたのでしょうね。
紀氏といえば有名なのは紀貫之や友則ですが、業平は彼らより上の世代なので、彼らの子供時代を見たこともあったかもしれません。
業平からすると「妻の実家の遠いような近いような親戚」くらいの関係です。全く会わなかった可能性もありますが、まあそこそ歴史ロマンということで。

月岡芳年の「在原業平と二条后」/Wikipediaより引用
群像劇の中に業平の歌を盛り込んだストーリー
業平といえばやはり伊勢物語の印象が強いですけれども、主人公の「昔男」は業平そのままではありません。
「筒井筒(つついつ)の恋」(井戸の縁の木材で背比べをした幼馴染同士の恋)など、業平の身分ではあり得なさそうな話が混じっているからです。
実話と、イメージからきた創作を半分くらいずつ織り交ぜているのでしょうね。
現代でよくある「実話を元にしたフィクション」というやつです。
個人的には、伊勢物語は一人の主人公がいるというよりは、群像劇に業平作と思しき歌の中からストーリーに合いそうなものをつけたという感じがします。
いずれにせよ、伊勢物語が最古の歌物語であることや、後世の文学に大きな影響を与えたことは間違いありません。
例を挙げれば、源氏物語の「夕顔」は伊勢物語の「芥川」にそっくりです。紫式部が伊勢物語の作者に訴えられたら勝てないレベルで。
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「小野小町は本当に絶世の美女だったのか」と同様、「伊勢物語はどこまで真実か」というのも、謎のままであるほうがロマンがあっていいのかもしれませんね。
伊勢物語の本文はかなり簡潔というか、和歌の詞書くらいの文量しかないので、マンガ化や映像化にも向いていそうな気がします。
そのうち名作が出てくる……かも?
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長月 七紀・記
【参考】
国史大辞典
在原業平/Wikipedia