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千年のベストセラー『源氏物語』はグッズ・二次創作も最高!徳川美術館で展示会

漫画もアニメも映画でも。

『鬼滅の刃』が空前の大ヒットを飛ばしています。

気がつけばコラボグッズも至るところで発売されていて、文房具やキーホルダー、カップ麺などの定番どころに始まり、洗剤や、果ては瓦まで!

いやはや推しキャラを身近に感じていたいファン心理のパワーは凄まじいものですが、そんな『鬼滅の刃』の大先輩にあたる作品が『源氏物語』ではないでしょうか。

紫式部によって上梓されてからというもの1000年以上も日本のエンタメ界に君臨し、今なおCOOL JAPANの多方面に影響を与え続けている――。

前置きが長くなりました。

本日11月8日から徳川美術館(愛知県名古屋市)で開催される企画展「読み継がれた源氏物語」は、そんなファン心理が今も昔も変わらないことを痛感する内容になっています。

そもそも『源氏物語』とはいかなる作品なのか。

日本にどう影響を与えてきたのか?

公式サイトの説明を引用させていただきますと……。

『源氏物語』は、現代に至るまで千年にわたり読み継がれてきた古典の名作です。

その作者である紫式部による日記『紫式部日記』には『源氏物語』の成立に関わる場面が記されており、平安時代、一条天皇を中心とする宮廷生活のなかで、いかに『源氏物語』が生まれ、享受されたかがわかります。

『源氏物語』は、壮大な長編物語にもかかわらず、多くの人によって幾度となく書き写され、数多くの注釈書が著されるとともに、絵画化も図られました。

後世の文学作品に多大な影響を与えたばかりでなく、和歌や能楽、茶道、香道といった日本文化にもその片鱗を見いだすことができます。

本展では、東京・五島美術館所蔵の国宝「紫式部日記絵巻」を特別公開するとともに、宮内庁三の丸尚蔵館や個人所蔵の源氏絵の名品を併せて展示し、日本が世界に誇る『源氏物語』の文化史をたどりつつ、その魅力を紐解きます。

徳川美術館公式サイトより(→link

文学だけでなく、絵画、和歌、能楽、茶道、香道と多方面に影響を与えているんですねー。

今回の展示会は4パートからなっていますので、地元名古屋の歴女医・馬渕まりが1つずつ簡単に説明させていただきましょう!

 

紫式部「紫式部日記絵巻」

徳川美術館といえば国宝「源氏物語絵巻」があります。

毎年、短い期間のみ展示されているのですが、今回はこれに加えて東京・五島美術館蔵の国宝「紫式部日記絵巻」が特別公開されます(前期・後期で展示替えがあります)。

平安時代の物語は作者が分からないものも多いものです。

その中で、なぜ源氏物語の作者が紫式部と判明しているのか?

というと一条天皇の中宮藤原彰子に仕えた日々の回顧録『紫式部日記』があるからなのです。

今回展示される中で注目は第三段・敦成親王誕生五十日の祝宴でしょう。

遅刻してきた藤原公任が「あなかしこ、このわたりに若紫やさぶらふ」と冗談まじりに言ったエピソードが記されています。

紫式部は塩対応で「光源氏みたいなイケメンが居ないのに、ましてや私が紫上のわけないでしょ。」とスルー。

ちなみにこの話は寛永5年(1008年)11月1日の出来事。この時点で源氏物語がある程度まで書かれていることが分かりますね。

これを記念して平成24年に11月1日は「古典の日」と定められてもいます。

なお、そのころの物語といえば女子供が読むものでしたが、紫式部日記の中には「一条天皇、藤原道長、藤原公任も読んでるのよ!」と記されており、源氏物語の人気のほどがうかがえます。

 

読み継がれた『源氏物語』伝本と注釈

『源氏物語』はかなりの長編にも関わらず人気があったため、数多くの写本が作られました。

しかし、転写を重ねると転記ミスの伝言ゲームで訳の分からない部分が出てきてしまいます。

こうした本文の乱れを校訂したのが鎌倉時代初めの

『青表紙本』藤原定家

『河内本』源光行・源親行

です。

この頃から注釈本も色々書かれ、それも展示されています。

藤原定家の姉妹とされる越部局の言葉「源氏見ざる歌よみは遺恨の事なり」って、アニメファンならこの作品は絶対見ろよな的で、個人的に大好物です。

 

『源氏物語』の絵画化と江戸の源氏絵

お気に入りの小説があるとイラストを見たくなりますよね。

このパートには様々な時代の源氏物語の絵画が展示されています。

目玉はやはり後期に展示される国宝源氏物語絵巻橋姫です。

 

『源氏物語』の広がり

今回、私の心にクリーンヒットしたのがこの展示です。

平たく言うとグッズ、二次創作です。

グッズと言っても格調高いんですけどね。

まず目を引くのが徳川美術館がほこる国宝「初音の調度」でしょう。

徳川家光の娘・千代姫が尾張藩主に輿入れする歳の嫁入り道具です。

初音の調度の名はズバリ源氏物語・第二十三帖の初音から。

「年月を松にひかれてふる人に今日鶯の初音きかせよ」の歌意を全体の意匠とし、歌の文字が道具に散らして書いてあります。

常設展にも初音の調度が3点展示されていましたので忘れずチェック!

そして、そしてタイトルは聞いたことがあるでしょう「偽紫田舎源氏」オマージュですね。

さらに二次創作の二次創作で挿絵から書かれた浮世絵も展示されており、たとえば夕顔が朝顔になってたりでオタク心をくすぐります。

かように1000年分の源氏ファンの愛を存分に堪能できる展示会で、チケット代はなんと1,200円! めちゃくちゃお得です。

展示会を堪能した後はミュージアムショップでグッズを買い込み……と行きたかったのですが、初音の調度の本を買ったらお小遣いが足りなくなりました。

へそくり崩してリピートするぞっと。

著:馬渕まり
※『まり先生の歴史診察室』を連載中

展示会「読み継がれた源氏物語」

【会期】2020年11月8日 (日) ~ 2020年12月13日 (日)

【開館時間】午前10時~午後5時(入館は午後4時30分まで)

【休館日】月曜日(ただし11/23は開館・11/24は休館)

【観覧料】一般 1,200円・高大生 700円・小中生 500円

※20名様以上の団体は一般200円 その他100円割引

※毎週土曜日は小・中・高生入館無料

【主催】徳川美術館・名古屋市蓬左文庫

【協力】名古屋市交通局

詳細は公式サイト(→link)をご覧ください。

【参考文献】
『企画展 読み継がれた源氏物語』発行徳川美術館
『新版 徳川美術館蔵品抄 初音の調度』発行徳川美術館

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