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【家臣の妻の風呂を覗く師直】
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家臣の美人妻をお持ち帰り 極めつけは風呂を覗いて……
『女好き』の高師直とは、いったい何をしでかしたらそう呼ばれるようになったのか?
まず師直さんは権力を笠に着てオンナを漁りまくり、今出川のお屋敷に住んで、京都のそこかしこに女性を囲っておりました。
皇族や公家の姫にも手をだします。なんと太政大臣の妹にまで手をつけてしまう始末。
さらには恋敵の家を焼いたりもしますし、家臣の妻が美人であればお持ち帰り――と殺されても仕方のないレベルではっちゃけます。
極めつけは塩冶高貞(えんやたかさだ)の妻をロックオンした話でしょう。
彼女が美人と噂を耳にした師直は
・吉田兼好にラブレターを代筆させる
残念ながらこの手紙は読まずに送り返され、兼好法師は師直亭に出禁になったそうです。おい!
それでも諦めるタマではなく……。
・せめて顔が見たいと風呂を覗きに行く
その結果、夫人の美しさにハートがズキューン!
惚れます。
やばい、これはタマラン。どうにか略奪愛したいんや!
と、思ったところで……。
・「尊氏さん、塩冶高貞が謀反を企んでますぜ?」
讒言します。
結果、塩冶高貞だけでなく、その妻も自殺へと追い込まれてしまうのでした。

足利尊氏の肖像とされていたが、近年では「高師直では?」という説が囁かれている一枚/Wikipediaより引用
『仮名手本忠臣蔵』とどう繋がる?
もうここまででお腹いっぱいですが、この塩冶高貞の妻に横恋慕した話が意外な形で世に広がります。
忠臣蔵って、あの赤穂浪士の討ち入りの?
-
赤穂事件=赤穂浪士の討ち入りはテロ事件?史実はどのように進んだか
続きを見る
そうです、あの忠臣蔵です。
高師直と忠臣蔵は一見関係ないのですが、実は【江戸時代は大名家が絡んだ話を実名で本や劇にするのはアウト】でした。
そこで舞台を元禄年間から室町にワープさせ、
◆浅野内匠頭→塩谷判官高定(塩冶高貞)
◆吉良上野介→高師直
に起き変えて忠臣蔵のストーリーを構成したのです。
足利尊氏の弟、直義の餐応役だった塩谷高貞が、彼の妻に横恋慕した高師直に暴言を吐かれ切りつけて塩谷家はお取り潰し、高貞は切腹。
塩谷家の家老だった大星由良助(おおぼしゆらのすけw)が浪士とともに高師直の屋敷に討ち入り敵討ちというお話です。
とにかく「事実に基づいたフィクション」の大ヒット作で女と金に汚い悪役にされたわけですから、もう悪人イメージはバッチリ定着。
実際に悪いこといっぱいしてるから仕方ないんですけどね。
★
忠臣蔵では、大星らに討ち取られた師直ですが、実際の人生はどうなったのでしょうか?
これが結構、悲惨な最期でして。
直義との争いの最中に、和睦して出家。
その護送中に恨みを買っていた人物に襲われて、一族郎等惨殺、挙句の果てに首のない本人の胴体は川に捨てられた、と……。
やっぱり悪いことはするもんじゃありませんね。
【本日のワル査定・高師直】
悪人度 ★★★★☆
影響力(権力)★★★★☆
女好き度 ★★★★★
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【参考】
『悪人列伝―中世篇 (文春文庫)』(→amazon)
『角川まんが学習シリーズ 日本の歴史 (6) 二つの朝廷 南北朝~室町時代前期』(→amazon)
高師直/wikipedia
足利直義/wikipedia