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歴史・戦国NEWS

19世紀の新聞編集者が予測した未来のメディア像……さて、当たり具合やいかに?

更新日:

競馬もそうですけど、何によらず未来を予測するのは難しいもの。まぁ今年の阪神も、例年同様に駄目みたいですね(涙)。まぁそれはさておくとして、19世紀のアメリカの新聞社の編集長らが予測した20世紀のメディア像という文書がヒストリカル・ニュースペーパーズという機関で見つかり、話題を集めています。readex.comが報じています(2014年5月6日付け)。

 

1895年、当時の大手13紙の編集長が寄稿

こうした予測がされたのは1895年。「予言の力」と題して、世界が今後どうなっていくかを予測して貰おうという趣旨でした。それまでに各種のテクノロジーが登場し(機械を使っての大量印刷や、電報の活用やタイプライターの出現など)新聞制作も進化していた事を肌身として知っていた編集者達は快諾したそうです。

以下、各紙の編集長が予測した未来を見て行きましょう。

 

紙は必要だがどうなっていくだろう? フェリックス・アーグナス(ボルチモア・アメリカン紙)

「手書きのダイレクト・メッセージが便利なシートに印刷されて顧客に届けられる時代となった。発案した人によると、コストがほどほどだし、自宅でも会社でも印刷出来るのだそうだ。いずれにせよ、紙は必要だが、では今後どうなっていくだろうか? 次の世紀の報道はどうなっているだろうか。すぐにでも有り得そうなのは、通信での伝播と自動機械による印刷だろう。そうなったら、1日1回発行の新聞はどう対応していくのだろうか?」

◆良いところを突いていますね! インターネットこそ予言できなかったものの、オンライン(通信回線)の普及による報道の変化を大まかに予測しているのが凄いなぁ

 

火星でも印刷している! A.G. ボイントン(デトロイト・フリー・プレス紙)

太陽系の他の惑星と通信し、火星と地球で新聞が同時発行できるようになる。それが私の予測の1つだ。国威を自慢したがる余りに馬鹿げた大げさな事を吹聴しているとか思われそうだが、電報や電話によってもたらされた社会の変化に比べれば大した驚きでは無かろう。また、範囲を新聞業界に限定するなら、予測はもっと確実になろう。今の新聞とは違い、20世紀の新聞は党派性やセクショナリズムなどに拘束されない、独立した存在になっているだろう」

◆ほぼ当たっていますね。火星はともかく、サテライト印刷は今日当たり前のようにやっています。党派性やセクショナリズムについては、国によっては実現していないのでしょうけど。

 

速報性が重視される フォスター・コーテス(ニューヨーク・コマーシャル・アドバタイザー紙)

「20世紀の新聞を予測するのは賢明な人か、或いは馬鹿者がする事だろうが、小さい判型となり、世界で起きた事を簡潔に説明する新聞が出現すると信じている人がいるのは確かだ。私は逆の考えだ。今よりも大きな判型の新聞になっているだろうし、もっとパーソナルなものになっているだろう。今よりも訓練を受けた男性や女性が記者として執筆し、速報性が重視されている事だろう。だから、読者は誰が書いているかを知りたがるかもしれない。嘘を書く記者や人を騙す編集者はいなくなるだろう。事実また事実、そして光に満ち溢れている未来だ」

◆楽観論が過ぎますな(苦笑)。実際には、1960年代頃からニューヨーク・タイムズを始めとする各紙で、ブランケット版(いわゆる日本の一般紙のサイズ)の左右や天地を寸詰めにするようになっています。つまり、「小さい判型となり、世界で起きた事を簡潔に説明する」時代とあいなりました。

 

ゴビ砂漠からも中継 ジェームズ・エルバーソン(フィラデルフィア・インクワイアラー紙)

20世紀に傑出した新聞になるには、科学の発明を取り入れていかねばならないだろう。…もし空を飛ぶ機械が出来たなら、第一線の記者は、それに乗って取材するだろう(訳注:ライト兄弟が初飛行したのは、この8年後)。飛行船が普及したら、大量の新聞配達に使われるだろう。電信によって、社会の中軸を担う人の毎日の動静が公けになる。密教が世界から信者を集め、聖者が過去、現在、未来に渡ってメッセージをゴビ砂漠から発するとしたら、全ての一流の新聞がスタッフを張り付かせ、聖者の主張を読者に伝えるだろう。エア・チューブで長距離列車が運行され、写真を映し出すスコープが1万マイル彼方の画像を映し出すかもしれない。全ての読者が、活動写真映写機によって好みの新聞や写真を見る事となろう。タイピングはしなくても住む可能性もある。蓄音機を使った複雑な装置が、それをやってのけるのではなかろうか。そうなれば、20世紀では人が自宅で映写機からニュースを読んで、朝食を食べているだろう」

◆すっげー! 映写機の下りは、インターネット時代の到来を予測していますね!

 

SNSができるんじゃない? パーシー.S.ヒース(シンシナティ・コマーシャル・ガゼッテ紙)

アイディアや不満や意見を公に伝えるフォーラムが出来ているのでは。それが未来の新聞の特徴となっていると私は思っている。新聞の力強い声が、読者から届く。つまりこうだ。新聞と直接接触できない知的な読者が、毎日意見を述べ、アイディアを練りあげ、より自由な意見として新聞に掲載されていくのだ。任意による編集の手入れは少なくなり、『第4のページ』では今まで編集者が予測したがっていた読者の意見で満ち溢れるだろう」

◆一種のSNS、もしくはアルゴリズムによって収集して紹介してくれるグノシーが、これに近い感じ?

 

30分ごとのタイムライン チャールズ.W.ナップ(セントルイス・リパブリック紙)

「読者の為に今以上に手の込んだ編集となっているだろうね。現時点でも、より誠実な新聞作りをするように改良が重ねられているし、未来では情報が豊富になり、逆に誤報は少なくなるだろう…。これを実現するには、1日1回や2回の発行では無く、30分毎の発行となるだろう。また、様々な講読者の社会的な階級に合わせた、過激なまでの多種類の新聞が発行されているのではないか。そうする事で、判型が大きくなるのを防ぐ事となろう。どの道、将来の新聞作りは複雑化し、疲れる作業となるだろうが、読者にしたら日刊発行の百科事典のように思われるだろう。ある種の階級向けに特化した新聞が制作して届けられたり、知りたい情報だけを指定して新聞作りをして貰う特権を楽しむ人が出るかもしれない」

◆紙での印刷という形では実現しませんでしたが、英国の新聞がスマートフォンで配信する際に、好みのジャンルを選んで表示出来るような機能を付けています。部分的に当たった格好ですね。

 

炎上するようなニュースはなくなる ジョージ.A.ロバートソン(クリーブランド・ワールド紙)

「注目すべき数多くの発明があったし、今後の新聞作りの改善に繋がっていくだろう。今までの10倍のメッセージを送信し、受信後は自動的に書き出してくれる電報機も出来た事だし、この機械が工場での印刷を改善させる結果となるだろう。写真の電送も将来は完璧なものとなるだろうし、製版印刷のコストも下がるに違いない。その結果、もっと美しい画像が沢山使われているのではないか。しかも安いコストで。 世界各国から写真が電送され、それを受信しては印刷する世の中だろうね。嘘が今以上に軽蔑されるようになり、結果としてセンセーショナリズムは無くなっていくのでは。 20世紀の新聞では、『邪悪な人物の行動』は載らなくなり、良い話の掲載が増えるかもしれない」

◆これはちょっと外していますね。印刷技術面では予測通りになりましたが、画像や映像が利用しやすくなった分、センセーショナリズムは酷くなりましたから・

 

キュレーションがはやるんじゃない? G.M. マッコンネル(ボストン・トラベラー紙)

「最も有り得そうなのは、今後は今までの新聞とは違った特徴を備えているのではないかという事。今以上にニュース特集が増え、事実という辛子の利いたタネが蒔かれ、研究の対象となっているかもしれない。明快な筆致で、世の動きを凝縮しているだろう。その他には編集コメントが少なくなっているだろうというのが私の予測だ。専門的に行う記者が数人いるって感じになっているのでは。編集作業は万人向けで、世間が思いもよらない事を掲載しているが、将来は個人向けとか、違った狙いで編集された別の新聞とかが、署名入りで作られているのでは」

◆キュレーションという形で、21世紀のインターネット上で実現しました。

 

暇つぶしに読まれることではなくクオリティ重視 フランク.a.リチャードソン(ボルチモア・サン)

「人類の進歩が顕著となるにつれ、世間の意見を追いかける一方で主導も同時にしてきた新聞が、こうした進歩に対応しているだろう。つまり、新聞もレベルが向上しているのだ。暇潰しに読まれるだけでなく、社会の指導等を目的とした紙面作りとなっているだろう。人道性という基本を仲介する事で、部数を伸ばしているのでは。知りたいという欲求に答えている新聞は、今は一流紙などでしか見受けられないが、20世紀になれば、これがもっと顕著になるだろう。逆に今のような新聞は消滅しているのでは。20世紀の新聞は厳密な取材に基づく事実や名誉、そして政治報道などが、誠実にとまでは言えないにせよ、まずまず行われているのではなかろうか」

◆…最後のくだりは、何とも言えないという所でしょうか。総じて、科学の発達をポジティブに肯定して取り入れていくだろうと思っていたようですね。

その結果として思い描いた新聞像の幾つかが現実化している事に驚かされました。「技術が追いつかないのは救いがある。イメージが追いつかないのは致命傷となる」というプロゴルファーの宮里優作さんの言葉を思い浮かびます。むしろ、イメージを描けてないのは、今の新聞業界の人達では?

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