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アメリカ 歴史・戦国NEWS

アメリカの市長がシリア難民受け入れ禁止の理由に第2次大戦の日系人抑留を引き合いに出し炎上

更新日:

アメリカ東海岸のバージニア州のロアノークという街の市長が、第二次世界大戦中の日系人抑留という歴史的な政策を引き合いに出して、シリア難民の受け入れや人道支援の一時延期を関係各方面に呼びかけていた事が分かりました。今回のパリのテロで難民を装ったテロリストがフランス入りしていた事を受けての発言でしたが、アジア系のアメリカ市民の間から、「余りにも不適切」と、批判が相次ぎ、Twitterでは大炎上中だそうです。

地元紙のサイトからSNSなどで非難が集まる

アメリカのNBCニュースが報じています(2015年11月18日付け)。発言の主はデビッド・バウワーズという市長。こんな顔をした人です(本人のHPより引用)。

市長は18日に、政府系および非政府系組織に対し、シリア難民への人道措置を一時停止もしくは延期するべきだとの呼びかけを声明文にしました。

まず、これを疑問視したのが地元のロアノーク・タイムズ紙。声明文に「ロアノークのデビッド・バウワーズ市長はシリア難民問題での声明を2015年11月18日に発表した」(Roanoke Mayor David Bowers' statement on Syrian refugees issued Nov. 18, 2015.)とだけ書き添え、後は声明文をスクリーンショットの形で全文掲載しています。サイトより写真を引用させて頂きます。

この声明文の中で「フランクリン・D・ルーズベルト大統領が、真珠湾攻撃後に日本国籍の非アメリカ人をやむを得ず隔離した事を、私は思い出す。ISISによるアメリカへの害悪という脅威が浮上しているのは、当時の日本という敵の脅威と同じぐらいの深刻な実際の出来事である」と書いた上で「私には、後悔よりする事も安全策を執る事が妥当に思える」("It seems to me to be better safe than sorry.")。

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オバマ大統領の政策と真っ向対立

この市長は民主党所属。つまり、オバマ大統領と同じ政党な訳です。そのオバマ大統領は、シリア難民の受け入れを歓迎する方針を打ち出しています。つまり、真っ向から対立している訳です。

まぁ、日本でも辺野古を巡って政府と沖縄県が対立していますし、ここまではギリギリ分からなくもない。実際、ロアノークだけでなく、アメリカの半数近い州が難民の受け入れを拒否する姿勢を見せています。難民を装ったテロリストが、フランスに流入していた事を思えば、州民の安全を考えた上で受け入れを拒む知事の姿勢は一概に非難されるべきではないでしょう。

ただ、バウワーズ市長の場合、アメリカ政府が後になって過ちだったと認めた歴史上の汚点を引き合いに出してしまった事が問題です。

まず怒ったのが、アトランタに住むザイド・ジラーニというアラブ系のTwitterユーザー。論評を加えず、ロアノーク・タイムズと同様に、声明文だけをTwitterに投稿しています。これを見た他のユーザーがRTを加え、更にそのRTを見た人が同じ事をしてという、定番とも言うべき炎上の流れが出来上がったのは言うまでもありません。

同じ民主党内からも苦言が呈されています。西海岸のワシントン州のジェイ・インスレー知事がその人。知事は、ワシントン州で起きた日系人抑留という歴史を悔やみ、シリア人難民の受け入れを歓迎する姿勢である事を、アメリカ公共ラジオ(NPR)のインタビューで表明しています。

インスレー知事は、当時のルーズベルト政権によるワシントン州のベインブリッジ島への日系人抑留を「移民による国という成り立ちを考えれば間違った政策である。このような過去を振り返ると、アメリカは今、道に迷っているのだと思う」との発言をしていました。

ウィキペディア日本語版から引用させて頂きます。

製材業や造船業に携わるため、多くの日本人移民・日系人、イタリア人、ハワイ人がこの島で暮らしていた。移民第一世代「一世」がはじめてこの島に来たのは1883年である。第二次世界大戦中、1942年2月19日、ルーズベルト大統領が、裁判や公聴会なしに特定地域から住民を排除する権限を軍に与え、大統領行政命令9066号に署名。1942年2月25日、日系アメリカ人に対して島から48時間以内に立ち退くよう命令し、彼らが最初に集団強制立ち退き命令を受けたグループとなる。その後、日系人の強制収容により、この島の日系アメリカ人たちは強制収容所に送られた。

戦争勃発前、日系人農民のイチゴ農場で働いていたフィリピン人たちは農場を去ることを余儀なくされ、北のファースト・ネーション(インディアン)たちが経営する農場に移った。フィリピン系・インディアン系の人々の接触の中から、両者の血を引く子供たちも生まれた。

引用終わり。フィリピン系の人達も被害に遭っていたのですね。そうした流れもあってか、日系市民以外のアジア系の人も怒りを表明しています。

切込隊長の役割を果たしたのが全米アジア太平洋米国人連合(NCAPA)という組織。名前をご覧になればお分かりでしょうが、アジア系などで構成される市民団体でして、Twitterでスクリーンショット化した抗議文と共に、怒りの投稿をしています。

(ロアノーク市長は、シリア難民と日系アメリカ人へのコメントに謝罪せねばならない)。

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日系人抑留の誤った歴史を招いたのと同じヒステリー

これが日系人団体になると、怒りが140文字に収まる筈も無く、NBCの取材に対し、日系アメリカ人リーグ(Japanese American Citizens League=JACL)は、「バウワーズ市長や、シリア難民を拒否する一派の声明は無責任であり、ヒステリーに浮かされて第二次世界大戦中にアメリカに忠誠心を示していた12万人の女性や子供を含む日系人を抑留に導いたのと似たようなレトリックを使っている」と、エグゼクティブ・ディレクターのプリシラ・オウチダ氏は怒り心頭。「破壊活動で有罪を宣告された訳でも無いのに、当時の日系アメリカ人は抑留されたのだ。この声明は、それと酷似している。法律に従う人々で構成される集団(訳注:この場合は日系人やシリア難民を指すものと思われます)に、犯罪人扱いする口実として、激情を使ってはならない。我々はアメリカの理想を考慮し、大統領やインスレー知事の側に加わる」と言い切っています。

アジア系の政治家からも苦言を呈されています。「日本人の抑留は、アメリカの歴史の暗い一章だった。後になって議会は謝罪したではないか」と、カリフォルニア州選出のジュディ・チュウ下院議員は声明を発表しています。この方はアジア太平洋系議員部会(Congressional Asian Pacific American Caucus=CAPAC)のメンバーでもあります。

「スパイ活動によって有罪を宣告された日系アメリカ人が1人もいなかったという事実を考えれば、バウワーズ市長が抑留政策を良いような意味合いで引用するのは全く間違っている。安全を維持する事と引き換えに、日系人の抑留はアメリカの理念を傷つけたし、日系人を悪魔のように描いてしまった。同じような外国人恐怖症が現代の政策に影響を与えているのには怒りを禁じ得ない。こんな事を許せば、再び後悔するのが関の山だ」

なお、このように声明の1部をTwitterのアカウントで投稿なさっています。

「よくぞ言って下さいました」と、1人の日本人として謝意を表したくなる発言ですね。

スター・トレックのジョージ・タケイ氏までが怒り

ワシントン・ボセル大学のスコット・クラシゲ教授(歴史学)は、NBCニュースの取材に対し、バウワーズ市長は過去の2つの歴史上の事実を一緒くたにしようとしていると批判しています。「当時のFBIや警察が、真珠湾攻撃の直後に約5000人の日系アメリカ人を訊問して拘束したのは事実だ。こうした人達の多くはアメリカ国籍を持たず、スパイ活動や破壊活動をしていたという証拠があった訳でも無く、ただ日系アメリカ人社会の指導者である事が『疑わしい理由』とされて、このような目に遭ったのだ。こうして訊問や拘束を受けた日系人は、アメリカ国籍を有する人も含め、後に釈放される場合もあった。政治的な圧力や間違った主張を受けて、ルーズベルトは大統領行政命令9066号に署名し、10万人を超す当時の日系アメリカ人の抑留が開始されたのだ。抑留はアメリカ国籍を有する日系人にも適用されていた。これが2つ目の歴史上の事実だ」

トドメは、スター・トレックのカトー役だったジョージ・タケイ氏によるFacebookの投稿。市長に対し、ブロードウェイで上演されているタケイ氏自身の体験を反映した「忠誠」という舞台劇の観賞に招待したいと書いていました。

以下、拙訳いたします。

本日朝、バージニア州のロアノーク市のデビッド・A・バウワーズ市長が、シリア人難民にいかなる政治的な支援をせず、そうした行為を再び正当化しようとしている幾つもの州知事の陣営に加わる書面を作成した。法的な正当性が無い(1980年制定の難民法の下では、難民を受け入れるか拒むかを決定できるのは大統領だけである)のも去る事ながら、市長がしているのは恐れをベースにした戦術である。また、こうした恐ろしいテロリストから逃れようとしている人達への同情心も無い。その事が腹立たしい。

バウワーズ市長は、次のような書き出しの声明文を発表していた。

「フランクリン・D・ルーズベルト大統領が、真珠湾攻撃後に日本国籍の非アメリカ人をやむを得ず隔離した事を、私は思い出す。ISISによるアメリカへの害悪という脅威が浮上しているのは、当時の日本という敵の脅威と同じぐらいの深刻な実際の出来事である。私には、後悔よりする事も安全策を執る事が妥当に思える」

バウワーズ市長に申し上げたい。貴殿が間違っていると思しき2つの歴史上のポイントがある。

1)抑留(隔離などでは無い)されたのは日本国籍を持つ人達だけでは無く、日系アメリカ人だったのだ。3分の2がアメリカ人だったのだ。私も、その1人だった(訳注:ウィキペディア日本語版によると、タケイ氏は1937年生まれです)。私と家族は真珠湾を爆撃した人と似ているという理由だけで4年間を強制収容所で過ごした。このような事が2度と起きないようにするのが私の人生のミッションだ。

2) 当時の「敵」とされた人達にスパイ活動や破壊活動を行ったと証明された事例は1つもない。既にアメリカが受け入れている1854年のシリア人難民の中に、テロ活動を行っている人が全く無いのと同じだ。似ているというだけで、当時は法の裁きを受けた。アメリカ人でない人達に今やろうとしている事は、それと同じだ。

3)今シリア人が置かれている状況を、当時の12万人もの日系人の抑留に害悪という脅威があったとする比較を試みる貴殿には、このようなシンプルな答えをしたい。当時、脅威など無かった。我々はアメリカを愛していた。真っ当で正直で、良く働く人達だった。そんな人達が何万という単位で人生を棒に振ったのだ。これ以外の解釈は成り立たない。

バウワーズ市長殿には、我々日系人の歴史を描いた「忠誠」というブロードウェイの舞台劇が、週8回も演じられている理由の1つを貴殿に申し上げたい。貴殿のような人がいるからだ。貴殿は行政の責任を預かる人である。だがアメリカの歴史や市民についての基礎的な事柄を学ぶのに失敗した。故にバウワーズ市長には、私から公式なゲストとして演劇鑑賞に招待したい。恐らくは、市長も思いやりと理解の念を持たれて劇場を後にされるだろう。
-- ジョージ・タケイ

Twitterやフェイスブックで強大な影響力を持つ人だけに、何らかの意思表示を市長はしておくべきでしょうね。実際、この記事を紹介している時点で、シェアが3万件近い。スター・トレックのファンは、次の選挙で絶対に市長以外の候補者に投票するだろうし。

そして、我が日本政府にも言いたい。市長宛に、抗議をするべきだと。

なお、今年は第二次世界大戦終結70年で、アメリカ国内の日系人強制収容所の歴史や、当時の日系アメリカ人が体験した悲劇に改めてスポットが当てられています。NBCでは、こうした問題についても紹介していますが、余りに長くなりすぎましたので稿を改めさせて下さい。

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