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ノルウェーメディアがフェイスブックに激怒! ベトナム戦争の著名写真「ナパーム・ガール」を巡って

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今や歴史の1ページと化しつつあるベトナム戦争。1972年、その戦場で偶然にも撮影された、当時9歳の少女がナパーム弾を背中に被弾し、苦痛に号泣しながら逃げ惑う、いわゆる「ナパーム・ガール」の写真は、全世界を激怒させました。

後にピュリッツァー賞を受賞したぐらいです。

そして、当時のアメリカの世論に戦争の大義についての疑問符を植え付け、後の撤兵へとつながっていきました。正に「歴史を作り出した1枚の写真」です。

それから44年を経た2016年に、この写真に対するフェイスブックの扱いを巡り、世界のメディア業界とFBとの間に大論戦が展開されています。各方面の報道から、検証してみます。

 

ノルウェーのジャーナリストが問題提起

まずは英国のガーディアン紙の報道から(2016年9月9日付け)。

同紙によると、きっかけはノルウェーのトム・エゲランドというジャーナリストの方が「戦争の恐怖」(The Terror of War)と題した投稿。戦争の悲惨さを伝えようと、このナパーム・ガールの写真を紹介したのですが、これが削除されてしまったのです。しかも、エゲランド氏はユーザーとしての資格を停止される処分にまで遭いました。

これを疑問視したのが、ノルウェーのエルナ・ソルベルグ首相。アメリカの新興ITニュースサイトのrecodeの報道(2016年9月9日付け)によると、「そういうのって、おかしくないの?」と、同じくナパーム・ガールの写真を引用しながらフェイスブック上で問題提起しました。

そうしたら、この人の投稿も削除。一国の首相に喧嘩を売った形になってしまいました。FBはん、根性おますな(汗)。

首相だけでなく、ノルウェーでは幅広い人が問題を巡ってフェイスブックに苦情を申し立てていました。そんな中で腰を上げたのが、国内で最大の部数を誇るアフテンポステン紙です。1面を使って、フェイスブックの総帥であるマーク・ザッカーバーグ氏に公開書簡をしたためたのです。サイトをスクリーンショットに収め、部分引用させて頂きます。

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賢明なる武将ジャパンの読者の皆さまにおかれましては、英語で書かれているのがお分かりかと。見出しを拙く訳すと、こうなります。

「親愛なるマーク様。この写真を削除せよとの御社の要請に従うつもりは全くない事をお知らせするために、この書簡をしたためております」

執筆したのは、同誌の編集主幹兼CEOであるエプセン・エギル・ハンセン氏。今回の削除を「パワーを虐待として使っている」とし、「世界で最もパワーのある編集者」である事を自覚してほしいとたしなめています。

書簡の中で、ハンセン氏は「私は驚かされ、失望しました。いや、正直なところ、我々民主主義社会の頼みの綱である貴殿がやった事について恐れているぐらいです」と言い切っています。頼みの綱とは英語でmainstayと言いますが、海事用語では大檣支索(たいしょうしさく・大黒柱の意)との意味。メインマストを支える綱を指します。こういう単語で攻めるあたり、さすがはバイキングの子孫ですね。

「世界で最も重要なメディアが、言論の自由を広げるどころか制限をしようとしているのを心配しております。しかも、上から目線でやってらっしゃる事に」(ハンセン氏)。確かに、首相の投稿まで削除したとなれば、チョー上から目線ですよね。下手したら外交問題ですがな。

ハンセン氏は「児童ポルノと有名な戦争写真との区別をつけられない事を露見させた」とフェイスブックを皮肉りながら、こうしたアカウントからの削除が「私が責務として行う編集作業を制限しているのだと悟らざるを得ない」と位置付け、再考を促しています。ここらも異議なしでしょう。

それにしても、一国を代表する新聞社がFacebookのことを「世界で最も重要なメディア」と言う当たり、新聞業界の屈折感や鬱屈感を垣間見る感じですね(苦笑)。

 

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アルゴリズムに頼りすぎ(と、ITに詳しいガーディアンも上から目線)

さて、そうした鬱屈感はガーディアンもお持ちのようで(新聞業界ではニューヨーク・タイムズと並んでITで様々な仕掛けをしているのですが、残念ながら結果が出ていません)、ここぞとばかり?に詳しい解説をしています。

まず、ナパーム・ガールの写真を巡る措置について、アフテンポステン紙側は「削除するか修正せよ」と受け止めたと解説。実際、FB側では「性器が丸ごと写っていたり、お尻や女性の胸が写っている画像は削除されます」とガイドラインを定めています。今回、アフテンポステン紙はナパーム・ガールの写真をフェイスブックの自社アカウントで紹介したところ、やはり削除されてしまったぐらいです。

で、ガーディアン側が問題視しているのは、こうした背景にあるのがフェイスブック側の経営判断の結果だとしているところ。同紙によると、最近になってFBはトレンド・トピックスを扱う編集者を解雇。その代わりにアルゴリズムを使って自動的に投稿の是非を判断させるようになっているのだそうです。

ところが、これが初期段階のトラブルなのか、様々な問題を生じさせています。ネタの話を、まっとうなニュースと勘違いして紹介してしまった事例もあるぐらいです。

ハンセン氏も、この点については同意見を述べています。書簡の中でフェイスブック側がコンテンツの可否やプロモーションを行うのは、それが人の決定によるものであれ、自動的にやるのは、編集行為そのものではないかと、踏み込んだ指摘をしているのです。

「メディアというのは、どんな報道であれ、掲載するかしないかについて責任を持つものなのです。それは権利であり、義務でもあります。世界中の編集者が負っているのです。それをカリフォルニアにある御社のオフィスのアルゴリズムによって決められるべきではありません。編集者の運命を決する存在であるマーク氏なしに、編集者は生きられなくなっているのです」

その自覚がおありですか?となりましょうか。

なお、recodeによりますと、批判を受けてフェイスブック側では考えを改め、現在はエゲランド氏や首相の投稿も読めるようにしています。

そのフェイスブック側の釈明は以下のとおりです。

「我々としては、この写真が時代の象徴となっていることは認識しています。しかし、子供のヌードの写真を載せるかどうかの線引きは難しいのです。世界全体に於いて安全で尊重されるべき体験を維持しながら、言論の自由を持続させるバランスの取れた模索を、我々は行っています。その解決策が何時も完全とは限りませんが、自社のポリシーや皆様に適用する方法については今後も改善に努めていきます」

以上のようにガーディアンの取材に答えていますが、まぁ全面降伏ですね。

一応は、解決したと考えるべきなのでしょうか。

それにしても、こんな歴史的に有名な写真を児童ポルノ扱いするとは……。落ちこぼれの新聞記者の成れの果てとして、実に悲しく思えてしまいました。

「驕る平家は久しからず」ですぞ、ザッカーバーグ殿!

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