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APより引用

アメリカ 歴史・戦国NEWS

アメリカの飛び級APテストで世界史が大幅削減 ローマ帝国もマヤも消えてしまう?

投稿日:

アメリカにはAPテストというのがあります。
Advanced Placementの略で、いわゆる「飛び級」ですね。

特に高い学力の高校生に対し、非営利団体のカレッジ・ボードが、大学レベルのカリキュラムを与える試験。
この試験に対応する授業カリキュラムもあるほどです。

AP公式サイトより引用

優秀な人材は国力にも直結するというわけで、アメリカ国内でも注目度の高い存在ですが、そのAPテストで出題される世界史の範囲を巡り、目下物議となっています。

1450年以前の歴史はバッサリ出さない!
カレッジ・ボードでそんな動きが浮上しているのです。

当然、それだと「ローマ帝国も、中国の古代王朝も、マヤも除外されるではないか」として、各界から轟々たる非難が寄せられているそうです。

日本でも
武田信玄&上杉謙信
坂本龍馬吉田松陰
が高校の日本史教科書から消えるとして話題となっておりますよね。

なので少し古いニュースですが、アメリカのアトランティック誌の記事(2018年6月13日付け)を引用させていただきながら、考察してみたいと思います。

 

「1万年って、あまりに長すぎるでしょ」

これまで世界史の出題範囲は紀元前8000年から現代まででした。

つまり1万年分。
高校では6分割して教えているのですが、大学の講義期間に換算すると2回分に相当する長さだそうで。「余りに範囲が広すぎるでしょうが」というのが、カレッジ・ボード側の言い分なのです。

今後、1450年以前については、地理と合体させたカリキュラムを高校の飛び級試験を志望するクラス向けに用意するので、そちらで学んで欲しいとの姿勢を示しています。

カレッジ・ボードの広報担当を務めるザカリー・ゴールドバーグ氏は、相応の調査やデータがあると説明しています。

対象とする時代の情報が多すぎる為に、然るべき成績を挙げられていないし、教師の負担も大きい。
また、多くの大学では1学期の歴史の講義で好成績を上げたら単位を与えているのですが、その際に学ぶ範囲は1450年以降としているケースが多いのですって。

「現場がそういう対応してるのなら、要らないでしょ」
って感じでしょうか。

 

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当事者の高校生は愕然 各方面からも非難の嵐

『受験勉強をする学生にしたら、勉強する範囲が狭くなったので大歓迎だろう』
当局としても、そう考えたのかもしれません。

しかし、今年秋から実施するという、いきなりの展開でして、学生たちはむしろ愕然としているのですって。そりゃそうだ。

アトランティック誌の取材に対し、ミシガン州の世界史の教師は
「バッサリと除外された時代には、世界史にとって豊かで多様性のある内容があるのに」
と、割り切れない思いを示していました。

また、「こんなのおかしい」と、ソーシャル・メディア等でも非難の嵐。
遂には、抗議運動を起こす人達まで現れました。

オンライン署名運動サイトのChange.orgでは、この問題の責任者であるAPのトレバー・パッカー氏に対し、見直しを求めるように求めています。

目標としていた5000人を上回る賛同者が署名。
その後、目標人数を1万5000人に据え直し、8月23日時点で12,470人まで集まりました。

呼びかけでは「農業の発展と文明が歩む道を方向づけた人類の歴史の約95%」を占める時代を除外するというのは「歴史の大削除」となるではないかと強調しています。

こうした時代には、アフリカから世界中の地域に人間が移動し、その際に生じた技術的な進歩と環境面の変化がありました。
また、 ペルシャ帝国、秦、アメリカ大陸ではテオティワカンやプエブロ族が興亡を見せていますし、宗教では、 儒教、ヒンズー教、キリスト教などが誕生しています。

それを全部バッサリで良いのか!というわけです。

テオティワカンの中心部/photo by SElefant wikipediaより引用

 

「米国人が、ますます欧州中心の文明観を持ってしまう」

ちなみに、この署名運動を起ち上げたのは、ダイラン・ブラックというニュージャージーの高校生だそうです。

自分達の負担が軽くなるだろうに、敢えて運動を起こしたというのですから問題意識の高い方です。
実際、起ち上げた理由として「こんな事をしたら、ますます多くのアメリカ人が、欧州中心の文明観を持ってしまう」との危機感を持ったからだとしています。

ブラック君は、世界史の授業(APのカリキュラムに沿った内容)で、スペインのような国々による南北アメリカ大陸の征服を研究する前に、両大陸の先住民について学んだそうです。

「そうした知識が無ければ、ヨーロッパ人が到達するまで誰もそこにいなかったと思ってしまう」
って、確かに正論ですね。

教育現場にも同様の意見が広がっており、1450年以前の全てをカバーしなくとも、せめてそこから900年遡った頃から教えたいとの声が上がっているそうです。

「世界の各地が植民地化される前のアジアやアフリカの歴史を学ぶ必要があるからだ。ヨーロッパだけが歴史では無く、かの地が暗黒期を迎えていた頃に、他の地域では革新が起きていた事を学ぶのはクールだ」(AP世界史の教師で、ブラジル系とユダヤ系の先祖を持つアマンダ・ドアマラル氏)と言うのが理由だそうです。

 

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「計画自体は変えないが、専門家と協議してみる」

こうした非難を踏まえ、カレッジ・ボードでは「世界史の範囲を狭めるという計画自体は変えないが、専門家と協議する」との声明を発表しました。

「もう少し、長くします」となりましょう。7月半ばまでに具体的なスパンを示したいとしています。
これには、「建設的な柔軟さを示した」と歓迎する声が大学の歴史教授などから上がっています。

もっとも高校生や教師は「漠然としすぎている」と困惑しているそうですが。

なお、こうした範囲を狭めようとする動きに対し、熱心な教師の間からは「試験に出題されない範囲を熱心に学んでもらえるものか」との声も上がっているのだとか。
確かに、試験に出るから真面目に勉強しようかというモチベーションが湧くでしょうから、それ無しにどうしろって話ですよね。

他国の学校教育に口を挟むのはアレかもしれませんけど、イスラム教の誕生時期までは絶対に遡るべきだと思う。

だって、アメリカが今なお対決しているのはイスラム原理主義なんだし、そうした過激派と戦うにあたり「そもそもイスラム教は何か」という社会通念をアメリカ人が持たないのはどうなのか?

コンセンサスを作るのも、教育の目的のはずでしょ?

南如水・記




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【参考】
AP

 



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