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週刊武春 江戸時代

「江戸時代のデフレの正体」なぜ殿様は働き者の高齢者を表彰したのか

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9月16日は「敬老の日」。以前は毎年9月15日だったのですが、最近はハッピーマンデーによって毎年変わるようになりました。

敬老の日の歴史は新しく、1947年に兵庫県の野間谷村というところの村長さんが提唱した「としよりの日」が起源とされ、66年に祝日に一気に格上げされました。
江戸時代の「お年寄り」はどんな風だったのでしょうか。
織田信長が好んだとされる「敦盛」の「人間五十年…」のイメージもあり、平均年齢が低いこともあり、江戸時代とお年寄り、というのはなかなか結びつきませんが、当時の日記などを見ていると80歳を過ぎた「後期高齢者」が藩から表彰された、といった記事があちこちにあります。
そうした中でもスーパーじいちゃんとスーパーばあちゃんたちの姿を見ていきましょう。

スケベエじいさん(85歳)はとっても真面目

エントリーナンバー1番(二人しかいませんが)は、

備前国の仁堀東村(岡山県吉井町)の助兵衛おじいさん!85歳!

「助兵衛は一生懸命に耕作をし、村中の見本となっている。年貢も早々と完全に払っており、身のとりまわしも年を取るまでよくやっているということなので、郡会所へ呼び寄せて料理を出した」
(宝永2年(1705) 耕作之いたし様精ニ入、村中見習申様ニ有之由、御年貢も早ク皆済仕、其身ノ取廻シ歳寄候迄宜キ由、相聞へ候ニ付、郡会所え呼寄せ御料理被下)

エントリーナンバー2番

岡山城の城下町に住むおばあちゃん73歳!

夫の新右衛門は80歳。9年前から歩くこともできず、家の財産もないのとても貧しかった。でも、妻は年取っているけれども元気で、春夏は人の衣服を洗い、糊をつける作業に雇われ、秋から冬は年貢米の籾を取って精米する作業をして家の助けとしていた。さらに帰ってからは夫の看病に心を尽してもてあますことはなかった。

(明和5年(1768)頃 和気屋新右衛門妻七十三歳、夫新右衛門八十歳、九年已前より歩行も得せず、家産もなきものなれハ、いよいよ貧し、其妻老たれども達者にて、春夏ハ人の衣を洗ひ糊かふ手業に雇ハれ、秋より冬に至りてハ、官倉の庭に立て貢米の疎なるあれバ、箕を以籾を去り、精ならしむる事をつとめて賃米を取て助力とす、帰りてハ老夫の看病に心を尽し、さらに倦る色なし)

1人目は「在方善孝人留(三)」、2人目は『備前国孝子伝』巻四にある史料です。85歳の男性が耕作に専心し、年貢をしっかり納めていること、73歳の女性が洗濯仕事に精米仕事と元気に働き、賃米を得ている姿がここには記されています。現代人の目から見ても驚くほどのパワフルさです。

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人口が頭打ちだった江戸時代

この記事に記された18世紀は江戸時代の人口のピーク期です。
江戸時代に入る前(16世紀末)の日本の人口は、およそ1800万人ぐらいと推定されています。
江戸時代前期の17世紀には、平和になったことと新田開発などで人口が著しく増大しました。17世紀の人口は不明ですが、18世紀から始まった幕府の公式調査だと
1721年

2606万5425人
となり、調査から漏れた人もたくさんいるので、だいたい3000万人くらいと倍増近くなりました。

ところが、そのあとは人口は増えもせず、減りもせず、上の調査ではだいたい2400~2600万人を幅で推移して、
1846年の最後の調査では

2690万7625人 

あれ?あんま増えてない?!120年で伸び率たったの3・2%ですよ。

これはどういうことか。

江戸時代も成長が鈍化して、現代の「少子高齢化」のような、高齢化問題を抱えていたのですね。

80歳まで働くおじいちゃんは、現代の年金支払い開始年齢の先延ばしに合わせた退職年齢の65歳義務化などを彷彿とさせます。

夫を介護するおばあちゃんなんて、現代でも「老々介護」と社会問題化していますが、老人ホームなどの施設がない江戸時代の老老介護はめっちゃ大変だったんだろうなぁと、同情いたします。

なんで、「敵の首級を取った」「城を奪った」ではなく、「お年寄りもバリバリ働いてきます」が褒章されるのか。

高齢者であっても元気に働いて年貢をおさめ、村の厄介にならずに暮らしてほしいという施政者にとっては、都合のよい働き者とも言えるわけです。

参考文献




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