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週刊武春 ロシア

人類史上最悪の悲劇となった独ソの戦闘 ロシア映画『スターリングラード』

更新日:

takosaburouです。今度は独ソ戦ネタ。それも、本来の歴史ネタから少しばかり逸脱。今年は、あのスターリングラード戦終結70周年に当たります。

スターリングラード3
第二次世界大戦の転換点(ただし、ロシア側はクルスク大戦車戦を以て転換点とする向きが多い)と言う事もあって、2月の2日のドイツ第6軍が降伏した日には大々的に報道がなされました。

ワタクシメの世代(50歳以上)の人なら、田宮のプラモデルの箱書きなどで割に良く知っているのですが、それより若い世代ではそうでもないようですので、ここで簡単に解説をしておきます。

死者14万人 捕虜10万人 人類史上最悪の戦い

1941年6月22日、独ソ戦が勃発します。
ナチス側は猛進撃をかけますが、モスクワを目の前にしながら戦線が膠着。翌1942年、モスクワではなく、油田のあるカフカスを占領すべく、ソ連の南東部に矛先を向けます。

そこに要害として立ちはだかったのが、スターリングラードという街。ボルガ川に面し、当時のソ連の独裁者、ヨシフ・スターリンの名前から命名されたこの街が、ソ連赤軍の拠点として邪魔したのです。

ドイツ側はフリードリッヒ・パウルス大将率いる第6軍が主力となって襲いかかります。9月13日に市街に突入。激烈な市街戦となっていきます。
一旦はドイツ側の優勢となっていたのですが、同年11月19日に事態がガラリと転換します。赤軍が、スターリングラードの両翼を守っていたルーマニア第3、第4軍に襲いかかり、スターリングラードに到達していたドイツ第6軍を包囲してしまったのです。包囲された将兵は30万人を超えていました。

ヒトラーは、パウルスに死守命令を下す一方、救出作戦を発動します。駆けつけたエーリッヒ・フォン・マンシュタイン元帥率いるドン軍集団が第6軍の目の前まで近づいたものの、肝心のパウルスが燃料不足とヒトラーの命令厳守を理由に動こうとせず、そうこうする内に赤軍の反撃に遭い、結局撤退。頼みにしていた空軍の補給も先細り、飢えに苦しんだ末に2月2日に降伏してしまいます。

スターリングラード2

戦死者は14万人を超し、捕虜となった10万人の内、戦後生きて祖国の土を踏んだのは1割にも満たなかったとされています。

一方、ソ連側は赤軍側の死者だけで50万人を超し、戦前に60万人を超していたスターリングラード市の人口は、戦闘終結後には1万人を切っていたそうです(以上、ウィキペディア日本語版などを参考)。

恐らく、人類の歴史上最悪の戦いと位置付けても良いでしょう。
これ以上の悲惨な戦いが起きない事を願って止みません。

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映画の予告編に使われたWhat A Wonderful World

以上のような悲劇であった為、過去に度々映画の題材となっています。ジュード・ロウの出演した『スターリングラード』などは、その代表作と言っても良い。

で、今回は終結70周年記念バージョン。今年末までに公開されようとしています。

その名もズバリ「スターリングラード」(ロシア語での原題はСталинград)。IMAX3Dでの制作だそうですから、迫力ある中身になりそうですね。ちなみに、ロシア映画で3D方式での制作は初めてなんですって。
さて、この映画(コロムビア配給で、アメリカでは10月に公開)の予告編が話題を集めています。使われているのが、あのルイ・アームストロングの「この素晴らしき新世界」(What A Wonderful World)だからです。

YouTubeの予告編を見てみましょう。

 

ビターな感じで編曲されていますね。ちなみに、元の歌詞はこうです。

 

I see trees of green, red roses too
緑の木々を、そして赤い薔薇をも見る
I see them bloom for me and you
私とあなたの為に咲いている事を知る
And I think to myself, what a wonderful world
そして私は思いを馳せる。何と素晴らしい世界なのだろうと
I see skies of blue and clouds of white
空の青さと、雲の白さが目に染みる
The bright blessed day, the dark sacred night
その明るさが一日を祝福し、その闇が夜を尊きものとする
And I think to myself, what a wonderful world
そして私は思いを馳せる。何と素晴らしい世界なのだろうと
The colors of the rainbow, so pretty in the sky
虹の色は、かくも空に美しく
Are also on the faces of people going by
そして人々が顔を合わせては行き交い
I see friends shaking hands, saying how do you do
手を握り合い、どうでしたかと言い
They're really saying, I love you
心から言う。愛してますよと
I hear babies cry, I watch them grow
みどり児が泣くのを聴き、育つのを見る
They'll learn much more than I'll ever know
私が知るより遙かに深きことを知るのだろう
And I think to myself, what a wonderful world
そして私は思いを馳せる。何と素晴らしき世界なのだろうと
Yes, I think to myself, what a wonderful world
そう、私は思いを馳せる。何と素晴らしき世界なのだろうと
(拙訳)

スターリングラード

いや~、この程度にしか訳せないとは、修行が足りませぬなぁ(涙)。…およそ、歌詞とそぐわないのだけはお分かりかと。
しかし、編曲によって、それが返ってスターリングラード戦の悲惨さを強調する格好となっていますね。GJ!

この編曲を担当しているのが、アンジェロ・バダラメンティ。「誰それ?」と言う方もおられましょうが、あの「ツイン・ピークス」や「エルム街の悪夢3」とかを手がけている方(以上、ワーナー・ミュージックのHPから引用)と書けば、お分かりかと。何か、ホラー系が多い人ですよね(笑)。

なお、戦争映画の挿入歌に「この素晴らしき新世界」が使われた事は過去にもあります。1987年公開の「グッドモーニング・ベトナム」がそれです。(tvcommercialssongs.com2013年5月5日付け)。
あの映画は戦争の空しさを活写していましたが、今回はどうなるのでしょうか。

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制作費は3000万ドル アメリカや中国で回収か

映画は既に8月半ばにクランクアップし、現在は編集段階にあるそうです(rt.com8月16日付け。ちなみに、こちらはロシアのサイトです)。
IMAXの方でも、公式ウェブサイトで告知済み。
ちなみに、撮影には半年、サンクトペテルブルグの近郊で行ったのだそうです。制作費は何と3000万ドル! ロシア映画史上最大なんですって。そりゃあ威信がかかっているのでしょうけど、よくこれだけの金がって感じですよね。

元々、この種の3D映画のマーケットとしては、ロシアは4番目に成長するなど勢いがあったそうです。ところが、2012年になってそれが鈍ってしまい、6番目に後退。テコ入れと言うか、反撃の必殺兵器として投入されるのが、この『スターリングラード』なのです(rt.com2012年9月3日付け)。

なお、この記事が書かれた時点でのロシアのIMAXシアターは僅か19館。それに3000万ドルも突っ込んで大丈夫かいなという気にさせられますが、アメリカには336館。中国には88館ありますので、こうした国々での興業で回収していく積もりなのでしょう。

ちなみに、中国の方では既に公開が決定しているそうです(国営ノーボスチ通信9月5日付け)。こちらの報道では、上映される映画館数が3200館だとありますから、IMAX以外でのシアターも対象にしているのでしょうね(その場合、上映方式はどうなるのだろう?)。旧ソ連時代に両国が対立していた関係で、実は中国本土でロシアの映画が上映された例は少なく、今回の「スターリングラード」が斬込隊長の役目を果たす事になります。中国人は、こういう派手な映画が好きでしょうから、大ヒット間違い無しって所でしょうか。

あっと、監督の事を書き忘れる所だった(汗)。フョードル・ボンダルチュクって名前の人です。父親がセルゲイ・ボンダルチュクと言いまして、ソ連時代に「戦争と平和」(有名なトルストイの原作)のメガホンを取っています。つまり、親子揃って戦争巨編に挑戦している訳です。

息子さんの方は「第9中隊」というアフガン戦争を舞台にした映画の監督を勤めています。米アカデミー最優秀外国映画賞にもノミネートされているぐらいですから、今回の作品もそう心配しなくても良さそうですね。何だか、今からワクワクして来ました。

スターリングラード4

 

takosaburou・記

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