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週刊武春 歴史漫画ウソホント

「NARUTOナルト」最終回を迎えた忍者漫画の設定と史実を比較する【歴史マンガウソホントVol.10】

更新日:

 

友情、努力、勝利…と、言えば少年ジャンプ。

少年ジャンプの中でも異彩を放つ、海外でも大人気作品NARUTO(ナルト)が、2014年11月10日発売号で最終話を迎えた。

 

忍者に対するイメージを誇張し描いたとも言える作品。

実在する人物はおろか時代設定も日本史のそれとはまったく異なるが忍者に対する伝説や脚色がふんだんに使われている作品でもあるため忍者ファンにはたまらない一作だろう。

実際、海外での評価も高く海外版のNARUTOの売れ行きも絶好調だとか。

しかし、NARUTOが忍者だと思われてしまうのは実際の忍者とかけ離れた存在であるため、些か問題が有る。

 

幾つかNARUTOの設定を忠実と照らし合わせてみよう。

 

九尾の狐伝説は中国から平安時代に「飛来」した

NARUTOイラスト2

ナルトはその体に九尾の狐を宿している、という設定であるが九尾の狐は様々なフィクション作品に登場するため、実際の根源を知らない人は意外と多いかも知れない。

 

九尾の狐は中国の神話がルーツだ。

狐=悪というイメージが定着したのは空海が密教を伝来した時期、平安時代である。

 

仏典の中で、「野干」の名が出てくるが、これはあくまで狐に似た妖怪であって狐では無かった。

しかし日本国内では狐の妖怪として認識が広まり、狐=悪さをする、というイメージが定着した。

そういった宗教的背景からか、九尾の狐も昔話として派生した妖怪の類だ。

 

有名な話だと玉藻御前の話が一番国内では身近だろう。

玉藻御前という絶世の美女が平安時代末期の鳥羽上皇に取り入り、愛されたがそれ以降徐々に上皇の体調が悪くなり、床に伏せるようになった。陰陽師、安倍晴明がこれを見破り、見事封印したという話だ。

 

九尾の狐は元々国を滅ぼすため絶世の美女に変化し国主を誑かすといった言い伝えがある。

中国では妲己が有名だ。

 

一番古いものでは神武天皇から後花園天皇までの史書「神明鏡」に玉藻御前の名が出ているが、勿論事実ではない。

江戸時代になると歌舞伎や浄瑠璃で玉藻御前の話が芝居になり人気となった。

 

安倍晴明が封印した、という所がナルトにも使われている設定である。

 

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本当は地味な忍者の世界

 

解説するまでも無いとは思うが、忍者と定義される人物たちが実在したのは江戸時代まで。

NARUTOの中の世界観は一言で言うと「ファンタジー」設定だ。

時代劇の様に上忍、中忍、下忍といった設定も有れば「サスケ」など架空の忍者として有名な人物の名前も出てくるがエンジンやTVゲームの技術もあり、地図も日本ではない。

しかし、史実に沿った時代設定やキャラクター設定ではここまで人気作品にはならなかっただろう。

忍者はあくまで忍んでいなければならない。

ド派手なアクションシーンや魅力的な忍術合戦は実在しないのだ。

例えば全く日本の忍者事情を知らない人に対し、「忍者と言えばナルトです」と言ってしまうと大変な誤解を与えてしまうため避けた方が良いとは思うが、忍者に対する知識を持って読むと、江戸時代の歌舞伎にでもかかりそうなストーリー展開でフィクション作品としての面白さが満喫できる。

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忍者の情報収集能力は低かった?

近年の歴史研究で、忍者にはすぐれた調査能力すらそもそもなく、「談合」で情報を互いに流通していたという疑惑もある。

戦国時代が終わり、江戸時代になって初めての内乱が九州の島原・天草で発生した。キリシタン一揆として名高い「島原の乱」だ。原城に立て籠もるキリシタンは元武士も多く、戦闘力と戦術はきわめて高い。

そこで幕府側は忍者を放ち、内情を探らせた。ところが、その報告は想定外のものだった。

「分かりませんキリ」

ある疑問が浮かんだのだ。

「さては戦国時代の忍者は談合していただけだったのでは?」

忍者は、伊賀と甲賀が主流である。地図を見てみれば一目瞭然の通り、両者の本拠地は隣接している。彼らが各大名に仕えて情報を集め、データーベース化しておけば、いつでもどこでも引き出せる完璧な情報ソースとなるのだ。これなら、危険な侵入などせずに済むからだ。

これではうちはサスケも革命を起こそうと思うわけだ。

 サスケも自来也もいずれも空想の人物

 

猿飛佐助、自来也といった物語として伝承されてきた忍者の名前がNARUTOでも使われている。

NARUTOに出てくる、実際にもフィクションなどで有名な単語のルーツについて解説したい。

 

猿飛サスケ

NARUTOの中ではキャラクター同士の会話にしか出てこない猿飛サスケ。

作中、三代目猿飛ヒルゼンの父親がサスケだった、うちはサスケが「猿飛サスケのように強い忍になるようにという願いを込めてつけられた名前」という情報しか今のところ出ていないが、人気忍者猿飛佐助をうまくNARUTOの世界観に練り込ませてある。

 

対して実際に言い伝えられている猿飛佐助は架空の人物である。

上月佐助という実在の甲賀忍者をモデルとしているという「実在説」もあるにはある。

一般的な物語の中では真田幸村に仕え、真田十勇士の一人としてあまりにも有名だが、甲賀流でありながら甲賀で直接修行を積んだ訳ではないという異色の経歴を持つ。

 

戦国BASARA,、SAMURAI DEEPER KYO、花の慶次など名だたる時代漫画にも出てくる人気忍キャラクターだ。

どの漫画でも人間技とは思えない忍術を放ち、軽快に任務をこなしていく様はまさに忍者のイメージそのものだが、勿論そのイメージ自体が史実ではないのであくまでフィクションはフィクションでしかない。

自来也

盗賊、忍者。という全く違うとも思える二つの顔を持つ自来也。

ヒキガエルの忍術を使うという設定で江戸時代の歌舞伎で人気を博し、現在でもゲームや漫画によく登場する人気忍者だ。

猿飛佐助が善なら自来也は悪のイメージ。

 

NARUTOでは伝説の三忍の一人でナルトの師匠兼名付け親という存在。

女好き、過去問題児だったということ以外、あまり「悪」というイメージでは描かれていない。

 

上忍、中忍、下忍なんてなかった

NARUTOイラスト1

ナルトは忍の学校へ通い、下忍として認められてからは最高権威灯影を目指すべく中忍試験を受けているが、実力はメキメキ上達しても未だに下忍のままという哀れな設定がある。

このように、忍者はその腕や才能に分かれて「上忍・中忍・下忍」に分かれていると思われているが、実際このようなシステムは存在しない。

忍自体、地侍や旗本、足軽から山賊まで身分は様々で雇う側が誰を使うかという違いだけであり、身分差は存在しない。

また、作中、サスケは木の葉隠れの里を抜け、復讐心から大蛇丸の所へ行くという抜け忍の設定がある。抜け忍とは文字通り忍の里を抜け、仲間とは離散、単独行動で動く忍のことを指す。

史実では、伊賀流の忍に抜忍成敗という法が有り、仲間への裏切りや脱走は容赦なく罰したというが、確かに仕事の隠密性を考えると有り得る話ではあるが、法として定着していたかどうかは疑問が残る。

 ナルトの忍用語まとめ

さて、ふんだんに忍用語が出てくるNARUTO。

その全てが架空の人物であったり、歌舞伎や浄瑠璃などの演劇で脚色され定着した認識であったりするがまだまだNARUTOには忍用語が出てくる。

チャクラ

NARUTOではチャクラが多いとか少ないとか言いながらバトルシーンを繰り広げている。体内にあるチャクラの量で、忍術を発動させたりその強弱が変化するという設定だ。

 

チャクラと言えばインド人女性がよく付けている額のビンディをイメージする人が多いのではないだろうか。

チャクラとは、仏教やインドのヨガで信じられている精神、肉体両方に備わっているとされる中枢部分のことを指す。

密教では5つ、ヨガでは7つと言われているがそれぞれに赤や青など色分けされている。

 

これはNARUTOが自身のチャクラとは別に九尾の狐のチャクラを意識した時色で表現するセリフがあるが、こういったヨガで使われるチャクラの色を流用したものと思われる。

 巻物

忍者と言えば巻物、巻物と言えば忍者という位巻物と忍者は切っても切れないイメージがあるが何故そのようなイメージが定着したのか。

勿論NARUTOでも巻物用の携帯ポーチがあるほど巻物が沢山描写されている。当然、実際にNARUTOに出てくるような忍術を使うために巻物を持っていたわけでは無い。

そもそも、戦国時代に書状(手紙)などは巻物の形で流通していなかった。普通に折っていたのである。

江戸時代になって、昔の有名な人(たとえば家康)の手紙などは宝ものになるので、大切に保存するために、手紙を台紙に張って巻物にしたというのが実際のところである。

 

忍者装備

忍者の武器と言えばクナイや手裏剣が思い浮かぶだろう。結論から言ってしまうと、今あなたがイメージした手裏剣やクナイは存在しない、と言いきっても過言ではない。

あのような形状の武器があった所で命中率が低い手裏剣より刀の腕を磨いた方が余程簡単で戦では役に立つ。

武器としての性能は低いのだ。

 

忍者が携帯していたもの、というよりは暗殺術の一つ、毒殺で使われる或いは逃走時に敵の目をそらす為に使われた非常用の武器である。

暗殺用という特性から、あまり使用頻度は高くないものの、手裏剣は武術の一つである。

 

室町時代の頃から手裏剣は登場しつつあったが、相手に針や短刀を投げ付けるという「危機迫った状況で致し方なく」というものが発展し、十字型の手裏剣が登場した。

よくある卍型の手裏剣は現代になって某時代劇のプロデューサー西村俊一氏が考案したもので全く史実には存在しない代物である。

ご本人も、あまりにもの浸透性に「おかしなことだ」と仰っているくらいだ。

 

春原沙菜・文と絵

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https://bushoojapan.com/supersub/2014/05/06/19482

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武将ジャパンでは2013年7月のサイト誕生から1周年を迎えた新シリーズ「歴史マンガウソホント」です。歴史も好きだけどマンガも好きという当サイトの執筆陣が総力を結集したこの企画は、同時並行で書籍化されました。

数々の歴史マンガを題材に、歴史的にどうなのかという時代考証を加える本邦初の試みです。テレビや映画などの歴史ドラマでは時代考証学会という動きがありますが、マンガにスポットを当てた動きはありません。大好きな歴史マンガが、史実をベースにすることで、より面白く、さらにマンガ家(原作者含む)の技量がアップすることを読者の立場から期待しています。

書籍は「そうだったのか!人気『歴史・戦国マンガ』100の真相」で2014年8月に発売されました。594円(税込み)。

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