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加賀藩の包丁侍が加賀騒動を切り刻む!映画「武士の献立」のネタバレレビュー

更新日:

此度はお台所が戦場ぞ!
毎度!ご無沙汰しております、ロボット慶次で御座います。

今回取り上げる作品は
『武士の献立』。

舞台は江戸時代、『加賀騒動』と『包丁侍』を軸にした作品となっている。
加賀藩と言うと皆さん、前田利家を思い出されると思いますが、利家亡き後、御家はどうなったか気になると思いませんか?
そして包丁侍とは?
江戸時代の大名はどのような食事をしていたのか?

大名に仕える武士の料理人「包丁侍」

江戸時代、将軍・大名家には台所御用を勤める武士の料理人達がいた。
刀を包丁に持ち代え、日々の食事を賄う侍達を人々は揶揄と親しみを込めて
『包丁侍』と呼んだ。

加賀6代藩主、前田吉徳。
100万石の名を欲しいままのこの藩も、ご多分に漏れず、贅沢三昧を極め、財政は逼迫していた。
ロボット慶次と称する某としては、この時点で水風呂を馳走してやりたい気持ちで一杯だ。

K-naviより引用

吉徳とその側近、大槻伝蔵は藩政改革に望み、財政建て直しを図っていた。
しかし、大槻は足軽の三男、しかも還俗した身。
旧派閥派は快く思っていない。
そんなありがちな背景を元に話が進んでいく。

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主人公は上戸彩は江戸の料亭の娘から加賀藩奉公

主人公、春(上戸彩)は浅草料亭の娘として産まれ、12の歳になると加賀藩江戸屋敷側室お貞(てい)の方(夏川結衣)の元へ見習奉公に出ていた。
お風邪を召されたのか、床に伏しているお貞に、甲斐甲斐しく粥を作る春。
大根を刻む手捌き、炊いた飯を水でさらし、外連味のない動作で調理していく。
粥をお貞に誉められる春。
幼さの残る春の子供らしい笑顔とそれを微笑ましく見守るお貞はまるで本物の親子にも見える。

それから15年後、加賀藩にて能見物する吉徳とお貞、家臣一同。
お貞の傍らには春の姿も見える。
丁度昼時なのか、お重に詰められた料理はまだ閉じられている。
すかさず腹が鳴る春。
お貞は春に料理をすすめ、遠慮なく頂こうとする春をお貞の側近、浜路(ふせえり)にたしなめられる。
前年、嫁入りしたのを出戻った春を苦々しくも思っていたのだろう。

天才?料理人西田敏行に食通ぶりを絶賛され嫁入り

そこへ台所御用役、舟木伝内包早(ふなきでんないかねはや)(西田敏行)が現れ、殿に一杯の汁を持ってくる。
「うむ。鶴か。旨いな。」
「実はこれは鶴モドキで御座います。」
そこで殿も、この中に鶴モドキの正体が分かるものはおるか?と伝内の趣向に乗り気になる。
多数の家臣が答えるが、伝内は首を縦に振るどころか、少し笑みも見られる。
誰にも分からないだろうと自信があったのだうが、春にレシピをピタリと言い当てられ、唖然とする伝内。

するとどうでしょう、伝内から『是非、息子の嫁に来てもらえないだろうか。』と春に縁談が持ち込まれた。
昨年、出戻った件もあり、春は断りを入れる。

暫くすると台所で用事をしている春のところに伝内が訪れ、市で見慣れない青菜を手に入れたが、これが何か分からないか?と春に教えてもらいに来たのである。
「これは明日葉(あしたば)ですね。今夜摘んでも明日には葉が出ていることから名付けられました。八丈島の物なので江戸には滅多に出回りません。」と即答。
ちなみに、現在、明日葉は某の地元、伊豆地区にも自生しており、よく天麩羅にしたり、お浸しにしたりして頂いている。

春もその様に調理し、伝内に味見してもらう。
舌だけでなく料理の腕も確かなもの、流石、我が家の嫁にと見込んだというが、春は困惑しながら断った旨を告げる。
伝内、承知しておりますと話題を何処で料理を習ったのかに切り替え、浅草料亭で育ち、いつの間にかと答える春。
しかし、伝内も知っていたが、その店は火災にあって焼失していた。

奉公に出ていた春だけが生き残ってしまった事実を知った伝内、お悔やみと苦労した旨を告げると共に、自身も長男を亡くした事を話す。
父と同じく台所御用役だった長男は流行病で亡くなり、次男・安信(高良健吾)が役と家を引き継ぐ事になった、と事情説明。
お互い家族を失ったもの同士の時間が流れる。
その時間を払拭したいのか、伝内、汁を一口。

『旨い。やはり安信には、舟木家には春殿が必要だ。頼む!』

と、お武家様に土下座され、どうにもこうにも断りきれなくなった春。
こうして舟木家に嫁入りが決まってしまったのであった。

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ツンデレの夫・安信は年上の女房に不満?

加賀藩金沢城下、剣術道場・養心館。
舟木安信(高良健吾)と師範・今井定之進(柄本祐)は木刀を交え、稽古にいそしんでいた。
ほぼ互角の腕前に見える。
そこへ今井の妻佐代(鳴海璃子)が果物を持って現れ、休憩となる。
縁側で八朔らしいものを食べながら定之進より、
「そういえば江戸からの嫁は今日来るのではないのか?」
と聞かれた安信、
「母上がいるからいいだろう。」
と素っ気ない様子。

何もかも自分で決められない事に苛立ちを抱えているのか?
春は安信の4歳年上、しかも出戻り、それに加え、幼少の頃より包丁侍とからかわれ、それを跳ね返すかの様に剣術に磨きをかけて来た。
それを長男の病死が阻んでしまった。
安信としては剣の道一筋、それでどこぞのよいところに婿入りするのが当てがはずれ、しかも嫁迄自分で決める事が出来ず、軽蔑すらする包丁侍の道に進まなければならないという、何もかも思いどおりにいかない人生に嫌気が指しているのが見てとれる。

舟木家に場面は移り、江戸から加賀までの遠い道程、少しやつれて見える春。
伝内の妻・満(余貴美子)は思ったことをづけづけという感じの人であるのか、春を戻り鰹に例えてそれを有り難がる人もいる、と言うので春はお辞儀をしながら不快そうな顔。
なんかこれだけ見るとこれから嫁姑戦争勃発か?と想像してしまう。

が、夜になり仮祝言が執り行われる。
改めて挨拶する安信、
「夏殿…」
いきなり嫁の名前を間違え、
「春でございます。」
安信、やはり自分の思いどおりにならず、不満があるが嫁にいたわりの言葉をかける。
案外、優しいところもあるようだ。

次の日、朝から食事の支度に勤しむ春。
女中から止められるが、この為に来たのだと張り切る春。

一方、安信は城にて台所仕事。
同僚に妻の事を聞かれるが、
「女なんて芋と同じだ。一皮むけば加賀も江戸もかわらん。」

そこへ上役、景山(宮川一朗太)が現れ里芋の見映えの悪さを指摘する。
形も大きさもバラバラだ。
確かに安信の手際は悪し、腕前は大した事はない。
やる気の問題であろう、全くお役目に身が入ってない。
剣に未練タラタラと言ったところか。

その頃、舟木家に佐代が訪れ、婚礼の祝いを持参していた。
春もその場に同席している。
満が、思わず
「佐代殿から安信に婚礼の祝いを貰うとは、縁は異なものじゃ。」と言ってしまい、佐代に目配せされ、ハッと気づき装う満。
安信と佐代には何かしらあったのか、と春も感づいたかもしれない。

安信、役目から戻り夕食の時間。
満は春の料理をすっかり気に入った様子。
恒例の行事、舟木家料理吟味会に春の料理も出してみたらどうかと安信にすすめる。
「何を食っても文句ばかり言う連中。」と安信、この行事にも飽き飽きした発言。

 

うまい料理を作ったらだんな逆切れ!

そして吟味会当日。
集まった舟木一族はとても不味そうに食事を食べている。某、本当に不味そうな食べ方に笑ってしまった。
安信に対し、罵詈雑言な一族衆。
安信タジタジ。
自分の為に言ってくれているのは分かっているが、そこ迄言われると舟木家の為だけなんじゃない?と安信もやり場のない心持ちが分かる気がする。
次は吸い物が出される番だが、春、台所に戻り、確認。
やはり一族衆を納得させられる出来ではないと判断、作り直して出したら、一族は「旨い。これは殿にもお出しできる代物だぞ!」と安信を誉めるが、作っていない本人は浮かない顔。

皆が帰ると安信逆ギレ。
「わしもこのわたの生臭さは分かっておった!余計なことをするな!この古狸め!」
更に役目がつまらんとまで言い放ち、春にたしなめられると料理勝負に。
春が負けたら離縁、勝ったら安信に料理指南を受けて貰う。
さて!刺身勝負!
安信VS春、バトル開始!
結果は…
まあ、皆さん予想どおり
春 WIN!
これだけ刺身をグズグズに切ったら魚が泣いてるよ。

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お約束のバトルの末に改心した夫が修業する

こうして安信は観念して料理指南を受けるのであった。
元々根気強いのは剣で折紙つき。安信、水を得た魚の様にメキメキ腕を上げていく。
暮らしぶりをお貞に知らせる手紙を書く春。
筆箱の中に何故か簪が。
不振そうに手に取る春。
春からの知らせを読んでいるお貞。
そこへ大槻伝蔵が一目会いたいと忍んでくる。
加賀騒動の俗説としてお貞と大槻の不義密通があったとされ、お貞の産んだ子供が大槻との子供であったとまで伝わっている。
実際は、各藩の城も大奥の様になっており、大槻の様な殿におぼえめでたい者でも男子禁制の場所には入れなかったはず。
創作の域を出ないだろう。(加賀騒動については下のWikipediaを一部引用します)

前田吉徳が第六代藩主となった。吉徳はより強固な藩主独裁を目指した。足軽の三男で御居間坊主にすぎなかった大槻伝蔵を側近として抜擢し、吉徳・大槻のコンビで藩主独裁体制を目指す一方、藩の財政改革にも着手する。大槻は米相場を用いた投機、新税の設置、公費削減、倹約奨励を行った。しかし、それらにより藩の財政は悪化が止まったものの、回復には至らなかった。さらに、悪化を食い止めたことを良しとした吉徳が大槻を厚遇したことで、身分制度を破壊し既得権を奪われた門閥派の重臣や、倹約奨励により様々な制限を課された保守的な家臣たちの不満はますます募り、前田直躬を含む藩内の保守派たちは、吉徳の長男前田宗辰に大槻を非難する弾劾状を四度にわたって差出すに至った。

延享2年(1745年)6月12日、 大槻を支え続けた藩主吉徳が病死し、宗辰が第七代藩主となった。その翌年の吉徳の一周忌も過ぎた7月2日、大槻は「吉徳に対する看病が不充分だった」などの理由で宗辰から蟄居を命ぜられた。さらに延享5年(1748年)4月18日には禄を没収され、越中五箇山に配流となる。その後、宗辰は藩主の座に就いてわずか1年半で病死し、異母弟の前田重煕が第八代藩主を継いだ。ところが延享5年の6月26日と7月4日に、藩主重熙と浄珠院への毒殺未遂事件が発覚する。浄珠院は宗辰の生母であり、重熙の養育も任されていた人物である。藩内で捜査した結果、これは奥女中浅尾の犯行であり、さらにこの事件の主犯が吉徳の側室だった真如院(注・お貞)であることが判明した。これを受けて真如院の居室を捜索したところ、大槻からの手紙が見つかり不義密通の証拠として取り上げられ、一大スキャンダルとなる。寛延元年(1748年)9月12日、真如院の身柄が拘束されたことを聞いた大槻は五箇山の配所で自害した。寛延2年には禁固中の浅尾も殺害され、真如院と前田利和(勢之佐)は幽閉されたが、真如院は自ら絞殺を望んでその通りに殺されたという。

虫も殺せぬ?料理人

話を映画に戻しまして、

卵を産まなくなった鶏を食べてしまいましょう、と春に言われるが、安信躊躇。
どうやら絞めるのが苦手らしい。

実は某の叔父も鳥肉を一切食べないのだが、幼少の頃、首を落とされた鶏の胴体が走り回る様を見てからトラウマになったそうで。以来、地元グルメ鶏飯は叔父だけ鶏肉抜きという、最早鶏飯じゃなくない?と言った状態なのである。

だから安信の気持ちもわからんでもないなあ、と。

それでも春に鶏を押し付けられ、逃がしてしまい、追いかける様言われる。
どうにか捕まえたが、可哀想に感じたのだろうか、放してしまう安信。
あてもなくウロウロしていると定之進の家前で定之進と大槻に出会う。定之進から大槻が忍んで改革の話を今井の家でしていた事を告げられる。
忍ぶのが好きな大槻と対立しているのは年寄衆・前田土佐守直躬(まえだとさのかみなおみ)(鹿賀丈史)。
この人物は前田利家次男・利政の子孫。
近年の研究では加賀騒動の実状はこの土佐守が仕掛けたもので、お貞と大槻は嵌められたとしているものもある。
定之進は大槻派に共鳴し、安信にも大槻の話を聞いてみる様薦められる。なんだかキナ臭くなってきたぞ。

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めきめき料理の腕をあげた安信の働く金沢城で不穏な動きが

金沢城、台所。
安信と同僚がまた里芋の下拵え。
同僚、安信の芋の煮付けが評判だったと話す。
「あれは芋がよかったのだ。やはり、女も芋も産地が違えばそれぞれだ。」と素材を誉めたのか、春を誉めたのか。
料理の上達が景山の目にとまり、昇進に推挙された安信。
夕食を頂きながらそれを聞き、喜ぶ母。
「まだ決まったわけではありません。」安信、まだ包丁侍を嫌っているのか、謙虚なのか。
以外と慎重派かも。
大勢の候補の中から選ばれるのだからと安信。
治部煮が出てくるが、何かいつもと違う。
春に問うと鶏肉が少なかったので簾麩を足したと答える。

昇進試験に挑む安信。
下城すると出迎えた春に
「簾麩の治部煮がよかったらしい。お前のおかげだ。」と礼を言う安信。
春に対し、徐々に心を開いていく。
昔の人の結婚てこんなだったのかな?今、結婚できない人、某もだが、こんなシステムなら楽かなあ、とも思うし、やっぱ、好きな人と結婚したいなあとも思うし複雑。
当時の人からしたら
「えー!こんな人と一生なんて嫌だわ!」とか
「思ったより可愛いじゃん!ラッキー!」とかあったのかなあ?

それはさておき、寺からの帰り道、佐代と一緒になる春。
佐代は、
「安信が出世したのは奥方のおかげだと夫が申してます。私も肩の荷がおりました。」
とまるで諦めがついたかのような佐代の表情。
「これはお祝いです。」
と手渡された風呂敷包の家紋らしきものが、あの筆箱に入っていた簪(かんざし)と同じデザイン!
春、やはり安信と佐代の間には男女の関係があったのかと感じざるを得ない。
佐代との経緯を満に話すと、これからの為に話せばならんと説明し出す。

恋のライバル登場!

安信9歳の頃、養心館に稽古に行き出し、そこの1人娘が佐代。安信の一目惚れだ。
年も同じで気があった。
益々安信は稽古に邁進する。
そして秋の奉納試合で道場一となれば、佐代の父親が安信を婿にと言う話になると舟木家では思っていた。
ところが夏に長男病死、安信が家督を継がなければならなくなった。
迎えた奉納試合、定之進との激しい試合の中で一瞬の隙ができた安信、紙一重で敗れてしまう。
定之進も密かに佐代を思っていたのかもしれない。
その後、安信は家督相続を申し出、包丁侍の役も願い出た。
どうやら試合で隙を見せたのも舟木家相続の覚悟の上であったのだろう。
そして佐代の事は幼なじみであり、剣の腕も立つ定之進になら任せても異存なしと考えての行動だったのかもしれない。
いずれにしろこの時、安信と佐代の恋は終わったのだ。

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女中や下男も場所はちがえど主人と同じものを食べていたのかな

舟木家に嫁いで半年。
朝から南瓜を煮る春。
このシーン、なんでもない様に見えるが、某が知りたかった事が映像として写しだされた。
それは女中、下男がどのような食事をしていたかである。
この映画では主人に出した副菜と同じものを食べていた。
食事の場所は別々であるが、南瓜は鍋から直接食べているといった感じで、ちらっと写るだけだが、主食その他も同じものが膳に乗っていた。
もっと主人とは違った扱いを受けているのかな?と時代小説を読んでいると感じていたので、嬉しいシーンでもある。

江戸詰めを終え、金沢に帰宅した伝内。
安信の昇進は春のおかげと礼を言う。
安堵した伝内、隠居してレシピ本出したいんだよ、加賀藩の饗応料理とか加賀の郷土料理等、
と自分の思いを告げる。
その頃、安信は頻繁に大槻の集まりに顔を連ねていた。
藩政改革に乗り気の様子。
旧体制派・前田土佐守は大槻の命さえ狙おうと追い込まれている。改革も大詰めを迎えようとしているのか。

家に戻った安信、改革には自分の剣の腕前が必要と感じているのか、まだ城での役目を蔑む様な口振り。
天は二物を与えてもそれはそれで困る事もあるのだ。

藩主の急死「加賀騒動」へ

明くる日、突如、藩主が倒れたと急使が来る。
看病の甲斐なく、吉徳は死去する。
これが『加賀騒動』の引き金となる。
次代藩主・宗辰(むねとき)に前田土佐守は大槻が藩を混乱させた首謀者として上げ、大槻は山中に禁固の身となった。
吉徳という後ろ楯を失った大槻になすすべなく、連座して若い家臣たちもおとり潰しとなった。
今井定之進も連座の対象となったが、舟木家には咎はおよばなかった。
加賀を去る定之進に、
「お前の家はとり潰しなのに家はなんの咎めもない。包丁侍がこんなに恥ずかしいと思った事はない。」と安信。
家より面子を重く見ている。
「このままでは終わらんよ。」と赤いモビルスーツに乗る人の様な事を言い残す定之進。
そのとおりで、これだけで加賀騒動はおさまらない。
宗辰も1年で病没、藩主は弟・重煕(しげひろ)となる。
この時、重煕に毒殺未遂が起こる。
この主犯がお貞、出家して真如院と名乗っていた、に向けられ、捕らわれる。
真如院の下女が毒を盛ったという事で、真如院が自分の息子を藩主にしようと企んだのが罪状とされている
しかし、昨今の見方は土佐守が大槻成敗と政権掌握口実の為、全てを仕組んだ事とされている。
真如院の身を案ずる春。
安信、春と真如院を会わせる手筈を調える。
何だかんだいって優しい男だ。
真如院に面会する時、春は食事を差し入れる。

結局、浮気していたのか…(映画では)

「私は罪人ではないが、一つだけ本当の事は大槻と愛し合っていた。」
と事実を告げる真如院。
愛する人と夫婦になれなかった事が唯一の心残りと語る。
差し入れの中に柚餅子(ゆべし)を見つける真如院。
柚餅子は加工後、吊るし、干され、冬の間寒風にさらされ熟成する。
「そなたらもこの柚餅子の様な夫婦になればよいの。」
間もなく大槻は自決、真如院も後を追い、世を去った。

漸く加賀騒動が治まりつつある中、重煕着任祝いに徳川家を初め、近隣大名を饗応料理に招く事となり、伝内が饗応料理頭取となる。
安信に補佐を言いつける伝内に、断る安信。
定之進の事が引っ掛かっている為、土佐守の為に役目を果たしたくない素振り。
気持ちは分かるが役目に私情を挟むな、とたしなめられ、家を飛び出す安信。

包丁侍は「武士」なのか「料理人」なのか選択を迫られる夫

憂さ晴らしの酒屋から出てきた安信が出会ったのは意外な人物、定之進。
帰宅した安信は出迎えた春を、殺しかねない形相で掴み見る。
このシーンは何を表現したいのか一度見ただけでは理解できなかったが、定之進から事を打ち明けられ、その荷担を決意した現れだろう。

舟木家の前で物売りから野菜を買い、家に入ろうとする春を呼び止める男。
安信に、と手紙を渡し他言無用を告げ名乗らずに去る。
役目から戻った安信に手紙が来ている事を伝える春。
読むと血相を変える安信。
皆が寝静まった頃、ふと目を覚ます春。
夫は布団に居ない。
恐る恐る襖を開けると刀を研いでいる安信。
明朝、鷹狩に出かける土佐守を定之進らと討ち取ると打ち明ける。
「離縁状を書いておいた。あれがあればそなたに害は及ぶまい。お前には犠牲になって欲しくないのだ。」
妻への労りと想いを覗かせる安信。
研ぎ終わった刀を手渡し、着物の用意を頼む。
着替える前に水を浴び、身を清める安信。
部屋に戻ると春の姿がない。
刀も見当たらない。
春は刀が無ければ夫は荷担しないと考えたのだろう。
必死に逃げる春と捜す安信。
やがて諦めた安信は木刀を携え、定之進の元へ向かった。
その場で安信が見たものは…

 

日も暮れ、家に戻る春、家族
総出で捜した様子。
安信、春から刀を取り、
「自分のした事が分かっているのか?定之進達は死んだのだぞ!覚悟は出来ているな?」
と春を斬ろうとする。
土佐守の罠に嵌まって定之進達は一網打尽にされたのだ。
春はただ、夫を守ろうとしただけなのに。
そこへ満が現れ春が安信を守った事、
兄が死んだばかりだというのにお前までこの母を残して逝こうというのか!親不孝者め!」
と発狂したように泣き叫ぶ。
この映画で最大の見せ場というか、主役を完全に喰った演技。
某、シビれて身震いした。
そこへ出先で伝内が倒れたと急使が来る。

不幸中の幸、舅の病で命を救われた春。
「親子して死に損なったな。」安信に向かって伝内、皮肉とも冗談ともとれる。
刀を持って血を流すやり方でなく、包丁をもって饗応する事が加賀藩を救う事になると持論を述べる伝内。
安信もいつにない真剣な表情で聞き入っている。
そこにはもう刀を未練にしている、包丁侍を軽蔑している安信の姿はなかった。

伝内、安信と共に饗応料理の真髄を求める為、能登へ向かう役目を春と共に行う様頼む。
あのような事があったばかりで躊躇う表情の春だが決心して頷く。

能登路を三人の旅人が歩いている。
安信、春、使用人だ。
各村々を周り、素材、料理、調理法、料理に関するあらゆるものを調べていく。
女性の足には厳しい旅路、春の足袋は血が滲み、泥で汚れている。疲れ果て、眠っている妻に労りの眼差しを向ける安信。

能登から戻ると饗応の前に藩主が大槻派の者達の復職を認めた、と知らせを受ける。
佐代も養女となり、藩に戻っているという。
国を去る時に身籠っており、産まれた子供は病に、医者にかける金子も無く、亡くなってしまった。
安信はやるせない気持ちと安堵の気持ちが混ざったであろう。

饗応の当日を迎え、舟木家の前に駕籠が着く。
正装に着替え、送り出される安信。
始まりの儀式が厳かに行われ、病の伝内の代わりに取り仕切るは安信。
大量の食材に包丁侍達が群がり、安信の指示に従って膳が作られていく。
フレームアウトでやや遠目から指示の声が聞こえたりと中々捻っている。
鱸、鰤、鰯など魚介類が多いか。
郷土料理、鯛の唐蒸しがメインディッシュに。
この料理は鯛丸ごと一匹の内臓を取り除き、そこにおから、椎茸、人参等を入れて蒸し焼きにする。
出す際は鯛2匹、腹を向かい合わせにする。
ただ、現在は結婚式等祝いの席に出される料理だったが、腹を裂くのが縁起悪いとされ、次第に廃れていっているとの事。
誠に残念。

滞りなく饗応は終わり、夕暮れ時、それらしく城下を眺められる城内、土佐守から呼び出される伝内と安信。
お褒めの言葉を授かる両名。
「この夕日が血に見える。」と語る土佐守。
先日命を狙われ、その者達を一網打尽にした事、そんな事はもう終いにしなければならん、と伝える土佐守。
安信が関わっていた事を知っているかの様な、それでいて咎めない、これからは役目に励んで欲しいという土佐守なりの励ましと、激励に聞こえた。

家に戻ると春の姿がない。
残された手紙には、
「饗応の宴が終わった事で私の役目は終わりました。どうぞ想いの方と一緒になってください。」
と佐代の簪が同封され姿を消した。

海女さん達の料理を作っている春。
どうやら余程気に入られている。
そこへ現れたのは安信。
両親も春の帰りを待っている、見つかるまで戻ってくるなとも。
佐代の簪を取りだし、確かに好いていた事、夫婦になりたかったと正直に話す。
簪を炎の中に投げ入れ、
「自分が今必要なのは春、そなたなのだ。」
浜辺で抱き合う二人。

家路につくのを柚餅子が二人を祝福するかの様に出迎えている。
亡き真如院もきっと同じ気持ちであろう。

後日譚
今更だが舟木伝内包早、安信は実在の人物。
作中のとおり加賀騒動の時代に包丁侍として活躍、安信は父も果たせなかった御料理頭となる。
伝内は多数のレシピ本を残し、今もそのレシピは伝わっている。
近年、舟木家の墓も見つかっている。
舟木家は終幕までその役目を果たした。

ロボット慶次・記

この映画の出演者は以下の通り
舟木春 :上戸彩
舟木安信 :高良健吾
舟木伝内 :西田敏行
舟木満 :余貴美子
今井佐代 :成海璃子
今井定之進 :柄本佑
お貞の方(真如院) :夏川結衣
大槻伝蔵 :緒形直人
前田土佐守直躬 :鹿賀丈史
浜路 :ふせえり
景山多聞 :宮川一朗太
前田吉徳 :猪野学
語り :中村雅俊




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