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5月25日(土)全国ロードショー映画『武蔵ーむさしー』三上康雄監督 公開直前突撃インタビュー!

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いよいよ公開5日前を迎える映画『武蔵ーむさしー』に武将ジャパンでもおなじみイラストレーター富永商太氏が三上康雄監督への突撃インタビューを試みた。
本映画のテーマ「本物の武蔵」について「リアルへの追求」を軸に監督から伺います。

『武蔵ーむさしー』は佐々木小次郎役に松平健をはじめ目黒祐樹、水野真紀、若林豪、中原丈雄、清水綋治、原田龍二、遠藤久美子らの豪華キャスト。

三上康雄監督 プロフィール

1958年1月20日、大阪市東区(現:中央区)生まれ。近畿大学商経学部卒業。
1974年から1982年にかけて「関西自主映画界の雄」と呼ばれ、16mm作品を含む自主映画を5本監督。その後、家業のミカミ工業に30年間専念。2011年、創業100年を期に後継者不在の為、M&Aで会社を譲渡。2012年、株式会社三上康雄事務所を設立。
2013年、劇場用映画「蠢動ーしゅんどうー」を監督。同年、全国85館ロードショー。
ハワイやダラス等の国際映画祭出品。世界12カ国公開。日本映画監督協会新人賞ノミネート。
2018年、劇場用映画「武蔵ーむさしー」を監督。2019年ロードショー。
重厚な演出、リアルな殺陣、オールロケで、国内外で圧倒的支持の本格正統時代映画の旗手。製作・脚本・監督・編集等を兼任。自ら武術(居合、殺陣等)を行う。

 

リアルへの追求① 映画 本物の武蔵

「蠢動ーしゅんどうー」から6年。前作「蠢動ーしゅんどうー」をホップとすると今作「武蔵ーむさしー」はステップに本来位置づけられるはずだが三上監督はそのステップを跳び越え今作をジャンプに位置する作品と語る。なぜ、ステップではなくジャンプだったのだろうか?

三上「富永さん、『武蔵ーむさしー』のキャライラストを描いてくれる仲といえども、いきなり難しい質問やね。ステップでは撮れなかった。こんな、過去にも稲垣浩監督と三船敏郎さん、内田吐夢監督と萬屋錦之介さんが宮本武蔵として作られた大作に挑むのはジャンプやで。」

武蔵を撮りたいという この命題は監督にとって揺るがない。ではこの作品をつくるためにどれだけの登場人物がいるか?キャスティングは?等々考えた場合、前作をはるかに凌ぐハードルを越えなければならない事の見当がつく。

三上「けど、その宮本武蔵とは全く別の、武蔵。本物の武蔵を作れたと思うよ。」

武蔵を撮る、と決めた時点で監督の前にはジャンプという大きなハードルが立ちはだかりそれを監督は撮り切った。 私は今作品を既に観させていただいているが、作品に圧倒され観了後しばらく言葉がなかった。
ただただ凄い。前作も名作なのは間違いない。しかしながら三上監督今作への期待を前作の感覚で見積もってかかると大きなしっぺ返しを喰らうことになるだろう。今作「武蔵ーむさしー」はまさに一足跳びの「ジャンプ」を果たした傑作だからだ。

 

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リアルへの追求② 主人公の武蔵像

富永「本作の主役であります武蔵についてお伺いします。これまで数多の作家さんが手掛けてこられた事と思いますが今作に登場する武蔵は、私が今まで知っているどの武蔵とも当てはまらない 全く違う新しい武蔵でした。そしてこの武蔵に魅了されました。監督が描きたかった本物の武蔵の誕生について教えて下さい。」

三上「今までの小説とか映画に出てくる武蔵にずっと疑問をもってた。もともと粗暴な人間で姫路に3年間幽閉されて書物読みあさって剣によって己を高める?書物を読んだら剣は人殺しの道具てわかるやろ普通?と思うやん。にもかかわらず剣によって己を高めるってのはおかしいと思った。じゃあ(本物の)武蔵は....」

監督業のみならず製作、脚本、編集、武術(居合、殺陣等)まで手掛ける監督御自身がこれまでの武蔵を一旦ゼロにして武蔵にまつわる文献を考証しフィールドワークを行い武蔵像を再構築してゆく。

三上「じゃあこの映画の武蔵が本物の武蔵か?て話やけどそれは観てくれた人が本物の武蔵や!て思ってくれたら、それはその人にとって本物の武蔵。観てくれた人が納得、得心してくれる事が本物やと思っています。」

富永「小次郎についてはいかがでしょうか?」

三上「小次郎も美少年説があるけど細川家が少年を剣術指南に迎えるわけがない、と思っていたので壮年説をとって調べて裏付けが全部出て来たからそれでいく事にしました。」

このように武蔵だけでなく劇中登場する主要人物12人に等しく本物が追求され人物像が再構築されたこの作品は観る者に全く新しい武蔵として新鮮さを与えているといえよう。

 

リアルへの追求③ 殺陣

富永「劇中実際に使われた刀を持たせていただきましたが体感では2kgくらいはあるでしょうか?とても重くて扱いにくいです。この映画では他にも様々な武器の使い手が出てまいります。中には八角棒(八角形の木刀)などの身の丈ほどある重いモノもあり、一振り振るえば遠心力で軌道の流れを考えながら使わなければならない難しいモノもあります。これが実際使われての殺陣シーンはどれも圧巻で観ている方にも緊迫感が伝わって来ます。」

三上「うん、富永さん自分一人でしゃべって説明してくれてるやん。」笑

富永「あ、はい」笑

三上「その通り!」笑

富永 笑「リアルへの追求という事で殺陣について・・・」

三上「勝ちたいと思ったら武器を考えるやん?それを武蔵の気持ちになり考えたり、相手の気持ちになって考える。そうして形になったのがこの映画」

そして監督の中では殺陣は殺陣単体のパートとしては存在してない、という。マルチにこなされる三上監督の頭の中では脚本家としての三上も、ロケハンを進める三上も、殺陣を担う三上も全てが同時進行して動いているという。シナリオがなくては殺陣は決まらない。殺陣がなくてはシナリオは決まらない。すべては連動し平行し決まってゆく。さらに脚本家の三上が考えたものを次の監督の三上が絵を撮る段階で修正を施す。さらにそのやり取りを背後からプロデューサーとしての三上が全体を見ている。まるで映画マトリックスのエージェントスミスのような様々なパートの三上が存在し絶え間なく頭の中を行き交っているのだろう。三上監督はオーケストラの指揮者でもあり、個々のプレーヤーでもあり全てを同時並行させて壮大な交響曲を作りあげているのだ。

 

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リアルへの追求④ オールロケから小道具まで

富永「三上監督の本物への追求は、オールロケへのこだわりのみならず小道具にまで至っておられます。劇中出てまいります大根、これもわざわざ農家の方と交渉されて当時のモノを再現できるよう栽培をお願いし使われています。また、反物についても当時の憲法染めで手間暇かけ復元されたモノです。ここまでこだわられる理由というのは何なのでしょうか?」

この私の問いに本物への追求という意味だけでは正確ではない、と語る三上監督。

三上「本物への追求というよりは”違和感”を取り除いている。」

富永「違和感、ですか?」

劇中武蔵が畑に生えている大根を引き抜きむさぼるシーンがある。もしこの大根が今の品種改良が施された真っ白で立派な大根であったらどうであろう?観客は大根の不自然さに目がいく。「随分今風で立派な見栄えだな」と。
しかしこのシーンで監督が見せようとしているのは、武蔵がむさぼり食うシーンであって大根ではない。監督の「見せたい意図」から外れる意図を生み出すモノは監督にとって取り除くべき”違和感”なのだ。手間暇かけて作られた素朴な大根は観客の目に止まることなく自然に流される。流される事でその大根は「物語から観客の注意を外さない」という立派な役割を果たしているというのだ。

 

2極化が起こっている?

富永「監督、最後に。これは「リアルへの追求」とは別で私個人的にお伺いしたい質問なんですが・・・」

三上「どうぞ」笑

富永「今映画『武蔵ーむさしー』、実は既に一定数の関係者の皆様はご覧になられその感想も一定数リサーチされておられます。そうすると2極化が起こっていると伺っております。一方の方々は大絶賛された方々。そしてもう一方の方々は”この映画全く意味がわからなかった”という方々。この事について監督御自身、どう捉えられておられるのでしょか?」

三上「勧善懲悪のヒーロー物を期待する人達はこの映画を観たらアカンやろ。スカッとするために観に来てるのにスカッとしない。この映画は。」

富永「確かに。誰もヒーローではないですね。「アイツをやっつけて!」「やったー!」という物はこの映画にはないですね。」笑

三上「でも、それぞれの思いが、それぞれの立場があったから、それぞれに正義があるはずで、この映画では、武蔵が京の吉岡の門を叩いた時から、起こる清十郎、伝七郎、七左衛門、佐々木小次郎、豊前細川家、京の所司代、それぞれの正義のぶつかり合いを描いています。だから、いろいろな視点があるわけ。勧善懲悪、ヒーロー物やと思って観たら、”わからない”になるかも。でも、そんな人1割ぐらいやし。聞いたら、その人たちは普段はテレビ番組しか見てないそうやで。ガクッやね。(笑)。だから、普段、映画館で映画を観てる、歴史好き、武術をやってる、そういう人たちには向いてると思うよ。」

富永「あと、この映画では誰も気持ちや感情を語りませんよね。それが読み取れずに置いてかれ続けて意味がわからなくなる人もいるのかなと」

三上「気持ちを語るなら小説でいい。小説で完結するのであれば映画にする必要はない。表情やしぐさ、間で気持ちを表現するのが映画やと思ってます。」

富永「それを個々の役者さん達の動きや表情に委ねられているのですね。」

私は今回、幸運にも既にこの映画は2度観させていただいている。
1度目はただただ圧倒された。しかし久々に映画を観たという充実感があった。
2度目はゆとりがあった。既に1度観ているので視野が広がっていた。
そうすると自分は1度目ちゃんと本当に観ていたのだろうか?と思うほど多くの気付き、発見,驚きや感動があった。更に5日後全国公開で3度目を楽しみにしているが2度目の時の感動や手応えが自分の中でまだまだ起こる事を期待している。

映画『武蔵ーむさしー』是非劇場で刮目下さい。

文:富永商太 撮影:藤原宏晃

出演:細田喜彦 松平健 目黒祐樹 水野真紀 若林豪 中原丈雄 清水綋治 原田龍二 遠藤久美子 武智健二 半田健人 木之本亮

監督:三上康雄




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公式サイト:https://www.musashi-movie.jp/

 



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