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あさが来たレビュー

大河ドラマをすでに超えた? 朝ドラ「あさが来た感想レビュー」スタートby武者震之助&霜月けい

更新日:

朝の大河ドラマ連続テレビ小説「あさが来た」ファーストインプレッション!

2015年秋。

かつて朝の連続テレビ小説が、これほどまでに望まれていたことがあったであろうか。

前作の『まれ』は『純と愛』以来の「朝の連続苦行」と称され、視聴率も大台20パーセントを割る体たらく。

それだけならここまで渇望は高まらなかった……

今年は朝ドラファンだけではなく、大河ファンも苦しみを味わっていた。長州をおにぎり女目線から描いた『花燃ゆ』。これがとんでもない駄作だったのである。

「うう……苦しい……まともな幕末が見たい」

「女目線だろうがもういいんだ。もう、まともな出来ならば……」

「おにぎりと義兄との不倫以外に興味を持つヒロインが見たいんだ……」

↓『花燃ゆ』を見て苦しむ視聴者のイメージ

そんな中発表された『あさが来た』は、幕末スタート。しかもおにぎりヒロインとは違い、正真正銘激動の時代を生き抜いた女傑・広岡浅子(wikipedia)!(ドラマでは白岡あさ)

「この苦難を乗り越え、朝を迎えれば……まともな朝ドラが見られるんだ!」

『花燃ゆ』に苦しむ視聴者たちは、月曜の朝を待った。それは希望の夜明けなのか、あるいは新たなる失望なのか——

こんにちは、武者震之助です。大河レビューに続きまして、ちょんまげ朝ドラこと『あさが来た』のレビューを書かせていただきます。今回は初回ということで、長くなりそうです。

時は1901(明治34)年。白いドレス姿で廊下を歩くヒロイン。

白岡あさは、女学生たちを前にして日本初の女子大創設を宣言します。

「なんて素敵な朝なんだーッ!」↑朝ドラの出来に感激する視聴者のイメージ

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「花燃ゆ」に介錯をする朝の一撃

これは完全に、今期大河の存在意義を殺りにきましたね。

大河や朝ドラのような一代記では、初回冒頭に主人公の到達点を描き、さかのぼるパターンがよくあります。本作の場合、ヒロインは「日本初の女子大創設」に向けて進んで行くわけですね。

私はかつて今年の大河レビューで、初回から酷評(新大河ドラマ「花燃ゆ」感想マンガ第1話「嵐を呼ぶ(人を結ぶ)妹」に早速辛口の嵐)を書きました。理由はこの初回で示す到達点が、ヒロインが中学生くらいの年頃になったらおにぎりを握ることで示されていたからです。伸びしろが全然ないわけです。

大河はさておき、今期朝ドラのつかみはオッケー!というところでしょう。

さてそのヒロインあさの少女時代ですが、いきなり木登りをしています。このように木登りヒロインも大河朝ドラあるあるですが、それについては口述するとして、OPを見ていきましょう。

正直なところ、有名アイドルグループが主題歌というのは首をかしげるところがありました。これは杞憂だったようで、さわやかな朝に似合っています。歌詞の意味もあまりひねらず、素直です。これまたさわやかで明るいイラストをバックに、主演女優が映るなかなかセンスがよいものとなっております。本作はポスターなどのデザインセンスもすっきりしていて、しゃれております。宣伝の時点でおにぎりを捧げ持った薄笑いヒロインがポスターであるとか、センスが超絶ダサいと出鼻を挫かれるものですが、本作についてはそういうことはないようです。

OPのあとはいよいよ本編です。ヒロインの実家である京都随一の商家・今井家の場面です。おてんばなヒロインに対し、姉はおしとやかな優等生という設定です。あさは開始早々、父親に叱られます。このほのぼの場面のポイントとしては、「おなごのくせに」と言われること、父親がしっかりと厳しいところでしょう。「女の規範からはみ出して無謀な行動をするはねっかえりヒロイン」があさの造形の基本です。口癖は「なんでどす?」と「びっくりポン」。好奇心と反抗心を感じます。

このあさ、どこかで見覚えがあります。『八重の桜』の八重そっくりです。これは、演じるのが同じ鈴木梨央さんということもありますが、木登りをし、女なのに男のようなことをしたがるというキャラクター的な部分が大きいでしょう。今作のヒロインはある意味「テンプレ通り」でもあります。『カーネーション』の糸子もこのタイプでした。

なぜこのようなタイプのヒロインが多いのか? それはやはり物語として展開しやすいからでしょう。

今よりもずっと女は女らしくという規範が強かった昔。おとなしい性格の女の子ならば埋没してしまような時代、強く自ら物語を切り拓くにはバイタリティと負けず嫌いな性格、好奇心や向学心が必須です。もう見飽きた、また木に登っていると思われようと、その方が話になるのです。

こうした跳ねっ返りヒロインはどの時代でも動かしやすいものですが、明治から戦前にかけては「逆転のチャンス」があり劇的な人生を送ることが可能です。女性の社会進出が急激に進んでいった時代では、マイナスとされていた部分がプラスに転じ、新たな時代の先駆者となることができたからです。この時代のヒロインは、他の時代よりもずっと「跳ねっ返り」系が輝きやすいのです。こういう性格だからこそ「女子にも学問が必要だ!」と信じて突き進み、女子教育革命を起こすことができたりするわけです。

本作の跳ねっ返りあさもキラキラと輝いていますね。子役があさ以下、全員可愛いことにも感心しました。前作の朝ドラも今期大河も、子役が可愛くないんです。顔の問題ではもちろんなく、目がどんよりとして動きすらぎこちなさを感じます。子どもは敏感ですから、現場のよくない雰囲気を一番感じ取っているのかもしれません。

本作の特徴として、姉妹の仲はよいことがあるようです。姉妹のダブルヒロインといえば『アナと雪の女王』を思い出します。安易にそれに乗ったわけでもないのでしょうけれども。どこぞの妹が病気の姉の夫を舌なめずりしながら狙う邪悪な展開に疲れ果てた心には、なんとも萌えが心にしみわたってきます。

霜月けい・絵

霜月けい・絵

史実を越える年齢差のいいなずけの存在感やよし

そしていよいよ、残り五分で重要人物がまた一人出てきます。あさの婚約者・新次郎です。ここで一斉に許嫁同士の年齢差にツッコミが入りましたがまとめますと、史実では8歳、ドラマ設定上は11歳、役者実年齢では25歳差になります。流石にこれはきつい、玉木宏さんはキツいのではないかとネットでもツッコミが入りました。

しかし私はこれに対してこう言いたいのです。

平清盛』で玉木さんが初登場した際、武者丸という幼名、童姿、小学校低学年くらいの設定であったことを忘れたのか、と。

登場人物の年齢幅が広い朝ドラや大河で、年齢のズレが生じるのは序盤終盤でよくあることです。あさの両親も本当はもっと若いはずです。幼少期から大人になるまでに一人、十代の役者を挟んだ方がよいとは思いますが、これもお約束ということで。

本作を改めて見て、私は不安になりました。出来はよい。特に大河でドラマ的に不満だったところをほぼ完全にカバーしている感があります。テンプレ通りと言われそうでも、きっちりお約束を抑えているところも高評価です。キャストも音楽もナレーションも文句なし。

ただ、ここまで高評価になるのは、朝ドラ前作と今期大河が酷すぎる反動もあるかと思います。朝ドラや大河は途中までおもしろくとも、だれてつまらなくなることが多いのも事実。なんとか息切れせず、三月まで走りきって欲しいものです。

武者震之助・記




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霜月けい・絵




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