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あさが来たレビュー

あさが来た感想レビュー第9週「炭坑の光」は現代の働く出勤前の女性にも光をくれる?

更新日:

おはようございます。今週もさわやかな朝が来ました。

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11/23(月)今週も五代がきもい!がそれがいい

あさは九州出立前に、はつに会いに来ました。そのあとは寄合所にも用事があるそうで多忙のようです。五代は多数の鉱山を手にし、「鉱山王」と呼ばれるようになっているそうです。寄合所であさは、他の商人たちから四男坊、髭が生えていそう、とからかわれます。男が同じことをしたら何も言われないのに、女がそうすると「威張っている」「女じゃないみたい」と叩かれたり、からかわれたりする……気丈な女性でもこれに凹んでしまうというわけです。あさくらい気丈なら気にしないのではないかとスルーせず、そこはしっかり描きます。

・朝ドラ「あさが来た」第7週視聴率をアップさせた女性クギ付けのシーンとは? | アサジョ http://asajo.jp/excerpt/4166

こんな記事があります。「たおやか」の使い方には疑問を感じますが、働く女性の応援をするドラマであることは確かでしょう。大河の土屋P、おわかりいただけましたか? 奥御殿やら各所でえこひいきされながらやたらと持ち上げられる、コネ頼りのヒロインなんて女性の応援になっていませんからね。朝ドラヒロインが正統派キャリアウーマンなら、大河ヒロインはコネ入社で仕事もできないくせに、チヤホヤされるパブリックエネミー女ですからね。

シェリル・サンドバーグ著『LEAN IN (リーン・イン): 女性、仕事、リーダーへの意欲』という、働く女性を励ます本があります。サンドバーグは「ボッシー(威張っている、ボス面をする)」という言葉は禁止しようと呼びかけています。女性がリーダーシップを取ろうとするだけで「ボッシー」と呼ぶのは意欲を喪失させるからやめましょう、ということです。本作は明治が舞台なのに、現在のサンドバーグが指摘するような悩みを描いています。これなら舞台が時代ものでも、現代人の共感を得ることができますね。現代舞台の『まれ』より、ある意味現代的です。

五代からああしたからかわれ方が気になるかと尋ねられます。五代は大きな目で見たら男も女も、そうたいした違いはないと言います。そのあと「私がハズバンドなら、あなたにこんな肩身の狭い思いをさせない!」と続けなければいい人なのに。今週もこの五代がキモい。ルー語がうまくあさに真意を伝達していない、五代もセルフツッコミしているのが救いです。

江戸期以前の男女の考え方というのは、実は身分や地域性に差があります。女性の人口が極端に少ない江戸では、女房は「山の神」なんて言われて結構発言権があったわけですね(政治的な権限などはさておき)。そんな中でも五代の出身地薩摩というのは、男尊女卑が厳しいお国柄です。現代でも鹿児島県知事が「サイン、コサイン、タンジェントを女の子に教えて何になる?」と言って問題になってしまいました。

劇中の五代はある意味近代性の擬人化ではありますが、史実の五代も薩摩武士とはちょっと思えないほど柔軟性がある性格です。幼い頃から世界地図を広げて見入り、日本と同じ小さな島国英国がなぜあそこまで発展できたのか考えていたという逸話もそうです。また五代は薩英戦争で捕虜になってしまい、武士の恥だとさんざん非難されました。武士ならば腹を切っておかしくないと憎まれ刺客すら放たれました。ところが五代はその刺客を説得し開国を説いたというのだからびっくりぽんです。五代は、器にあわせて変わることのできる水のように柔軟な性格なのです。劇中では柔らかい男の代表として新次郎が登場しておりますが、五代ももの凄く柔らかいんですね。しかも五代家は次男の友厚以外、母や兄もガチガチの国粋主義者のような性格で、友厚がいくら成功しようとそれを受け入れなかったらしいんですね。劇中でもユニークですが、史実を調べて見ても驚異的な人物です。

もうひとつ、五代が影響を受けたであろう欧米の女性について。幕末から明治にかけて外遊した日本人が驚いたのは、女性の活躍でした。レディファーストであるとか、パーティに夫人同伴であることを見て、これではまるで男が尻に敷かれているではないか、と。中でも特にアメリカ女性は、男性とともに苦労して開拓をしてきたという誇りがありました。そうした姿を見て、これからは日本も女性の時代だというわけで、日本初の女子留学生が決まったりしたわけです。

しかし、これには誤解もあります。『マッサン』でもエリーがやたらとイギリスではもっと女性が尊重されていると主張しておりましたが、必ずしもそうであったわけではありません。この時期来日した外国人は、美和のように三味線の師匠として生計を立てる多くの日本人女性を見て驚きました。当時の欧米では、そこまで自立できる女性はなかなかいなかったからです。あさのような女性の実業家は欧米でも珍しい存在でしょう。

さらに脱線して、明治期の女子教育について。大河でも朝ドラでも出てきておりますが、これも現代の感覚で見るとちょっと注意が必要です。女性の自立自学よりも、母親となる女性の知性を磨くことが重視されていたからです。江戸期までの日本は。「腹は借り物」という考えで、母親側の資質は問われませんでした。教育も男子に対してはあくまで男親が行うという考えでした。昭和のドラマで、妻が子の教育のことで愚痴ると夫が「教育はおまえの役目」と放り投げる場面がありましたが、あの考え方も実は結構最近のものなのですね。

ところが明治以降、優秀な母親が優秀な子を育てるという考えが生まれたのです。『花子とアン』では女学校の生徒たちが次から次へと結婚していきましたが、女子の高等教育=優秀な母親という考えでしたから、ごく当然のなりゆきでした。村岡花子のような例はあくまで少数派なのです。

ということを、明治の女子教育ということで頭の隅にでもちらっと入れておいてもらえれば。

話をドラマに戻します。加野屋でもやっと炭坑商売が認識されつつあるようで、おかげで借金が減っている、ありがたいと思われ始めています。雁助は不機嫌ですが。

商売に興味のないよのは、犬張り子をいくら作っても孫ができないと不機嫌そう。正吉はもう新次郎とあさ夫妻の孫はあきらめている、榮三郎が子を作ればよいと発言! あれはあれであの夫婦が幸せなんだから、とよのをなだめます。よのは不満そうにいっそあの二人の仲が悪ければな〜とまで言ってしまいます。この会話をばっちりと新次郎が物陰から聴いているのですが……。女がキャリアを取れば子はあきらめて、子を産むならキャリアをあきらめるという、これまた現代女性にもありがちな悩みですね。

新次郎は相変わらず三味線に夢中で、「浴衣の会」で発表の機会があるそうです。こうして趣味にのめり込むのも、寂しさを紛らわすためでしょうか。新次郎はあさを労りマッサージ。あさは炭坑の労働者は、いったん心を開いたら女だからと馬鹿にしないところはよいと言います。それからあさは福沢諭吉『學問のすゝめ』の一節「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」を引用し、平等にはまだまだ遠いとつぶやき、そのまま寝てしまいます。そこを新次郎が得意技お姫様だっこで連れ去ります。ここまで仲の良い夫妻に割り込もうとする五代は、相当のガッツだと思います。

はつはやっと惣兵衛に和歌山の土地について打ち明けます。惣兵衛はこれこそが前に踏み出す機会だと感謝し、頭を地面にすりつけんばかりに下げます。デレ後の惣兵衛って本当に素直。けれど、誇り高い菊がどうするか不安だと気を揉む惣兵衛でした。

九州に向かったあさは炭坑で歓迎されます。亀助からある納屋頭に問題があると報告を受けるあさ。一体誰がそんなことを?

 

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11/24(火)夢と現実の合間に

どうやらサトシの組の成績が悪いそうです。亀助曰く、しかも坑夫たちの上前を相当ハネているとか。

ここでサトシの問題行動を棚卸しする前に、納屋頭の業務のおさらいとなります。納屋頭は親分と坑夫の間に入り、給与の上前や備品代の売り上げをピンハネしているそうです。それを知ったあさは、そんなことはやめようと改革を提案。現代ですと派遣社員と派遣会社みたいな仕組みですからね。

あさはこのままでは坑夫の暮らしがよくならない、夢も希望もない、自分としては働く人に希望を持って欲しいと語ります。あさは採掘量にあわせ納屋頭を通さずにボーナスを払うこと、納屋頭による備品販売をやめ加野屋で仕入れて安く売ることを提案。なんというホワイト経営者。でも、これをすると納屋頭の取り分が大幅ダウンですね。あさの提案に支配人の宮部と親分の治郎作は渋い顔。治郎作の妻であるカズだけはうっとりした顔をするのですが。

ここで今年の大河のような駄作ですと、主人公様の改革案を駄目出しする愚かな田舎者みたいな描き方をするところですが、本作は考えさせる作りです。

夢は大事と言いますが、身の丈にあった夢だからこそ言えることでしょう。あさは一人賛成であったカズを追いかけ、話をしようとします。カズは夢は将来を考える余裕のある人が持つもの、ここの人はそんなものは持てないと言います。死と隣り合わせの危険な仕事、酒を飲んで目の前の憂さを忘れて生きるのが精一杯なのに、夢なんて遠いものであると。

カズは真っ黒に汚れた手をじっと見つめ自嘲的に笑います。あさが見る手は真っ白。ふ、深い……。

夢を見るのはよいことです。しかし、それはその人の状況次第ですし、身の丈にあっていればこそよいものなのです。例えば今ここに五代を連れてきて、炭坑を掘る人間にビッグなカンパニーだのバンクだのをやろうと言わせたら、愚行でしかないわけです。五代がビッグな夢をあさに語るのは、あさがそれを実行できるだけの資産と実力を持っているからです。

このあたりが本当に駄目だったのが、夢がテーマの『まれ』です。あの作品は破綻しまくっていましたが、それでもヒロインの夢が「能登の食材を生かしたおいしいケーキを作り、お客様に喜んでもらうこと」という、ちょっと背伸びしたものであればあそこまでひどくならなかったと思います。世界一というでかい夢をドーンと打ち上げて、それに向けて研鑽を積むこともなく、案の定失敗して「ま、いっか! 夢だーいすき!」とブン投げたから見事に炎上したわけですね。同じ事は『花燃ゆ』にも言えるわけで、ヒロインの美和は「新しい日本人を育てる」とかビッグマウスもよいところですが、その実夫の遺児を育てることすら途中放棄しているわけです。楫取はさらにあくどく、自分の失敗の尻ぬぐいを末端従業員にさせる時、ハッパをかけるために言うのが「群馬の未来」だの「新しい日本」だの、そんな空虚な夢なわけです。日々生きるのに精一杯な労働者にこういうことを言うのって、一種の虐待なんじゃないかと個人的には思いますけどね。その前に賃上げしろ、と。ブラック企業に限って、やたらとでかい崇高な理念を掲げますよね。

今作がこうしたビッグマウス駄作と一線を画しているのは、まさに地に足がついた夢を、主役のみならずそれぞれの人物が追う物語である点です。

次にまた夢と身の丈の話。今度は眉山家です。惣兵衛は和歌山で百姓として再スタートを切ろうと菊に提案します。栄達は自分たちの土地が手に入るという、身の丈にあった夢に喜び息子の提案に大賛成しています。しかし菊は山王寺屋再興こそが夢、それをあきらめて大阪から引っ越すなど言語道断と反対するのです。

眉山一家は、実は皆夢を持ち叶えようとしているという点では同じなのです。違うのは、惣兵衛たちが身の丈に合った夢を見ているのに対し、菊はもはや手の届かない夢を目指しているという点なのです。こんな菊を見ても、大きな夢を持つのは素晴らしい、志があると言えますか? 言えませんよね。夢はただ目指せばよいわけではなく、現実と折り合いをつけなければならないのです。

留守の新次郎は三味線のお稽古。浴衣の会を前に練習に励んでいるようです。久々に登場したお師匠の美和は、三味線の音に寂しさが出ていると指摘。ここで三味線のお手入れをしたり、話しかけたりしてすっとぼけている新次郎がいい味を出しています。美和は今度、恩人に頼まれて大事なお客様のために演奏すると言います。それってもしかして、あのビッグなゲストでしょうか。

再びあさ。張り切って働くあさは、泣き出した赤ん坊をあやす母親を見て、さみしそうな顔になります。亀助に対してあさが打ち明ける胸の内とは?

 

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11/25(水)キャリアと家庭の両立に悩む

あさの悩みは、キャリアと家庭の両立。子を産むこともできず、新次郎の世話をちゃんとできない自分は嫁失格だと悩んでおります。これぞ「女性の目線」から見た歴史ではないでしょうか。女性目線とは、今年の大河のようにイケメンとスイーツにキャーキャーすることではありません。時代が変わり、可能性の幅が広がったこそ、新たに増える女性特有の悩み=家庭とキャリアの両立をひしひしと感じる……これぞ女性目線でしょう。

史実の広岡浅子にせよ、原案にせよ、実はここまでくよくよと悩んでおりません。出産も育児も他人任せにして事業に専念しておりました。じゃあなぜドラマでは悩むかというと、やはり明治を描きながら現代をも描く、そういうコンセプトがあるからでしょう。

ここで治郎作がカズの肩に腕を回し、カズが驚くとぱっとはなすシーンがあります。治郎作、登場時は強面だったのにすっかり気のいいお兄さんになってきましたね。

ここで亀助によるふゆ宛の手紙を用い、近況説明が行われます。この二人の関係もちょっと気になるところです。そこへあさがまだ暗いうちから起きてやって来ます。

起きたのはあさだけではありません。サトシが坑夫を乱暴な口調で起こしています。腰が痛いから休みたいと訴える坑夫すらひったてるサトシにあさは困惑。そんなあさに、治郎作があの腰の痛い坑夫は怠け癖がある、厳しくしなければならないと説明します。サトシのピンハネはかなりのものですが、有能な納屋頭だそうです。今こそ炭坑の改革に取り組みたいあさと、慎重な治郎作です。

あさはより多くの石炭を掘った坑夫に、納屋頭を通さず直接加野屋からボーナスを支給すると発表。納屋頭の仕事がなくなるわけではないとも説明。よいこと尽くしのようですが、サトシが異を唱えます。騙されるな、平等なんてうまいことを言うが、平等なんて綺麗ごとだと。ゼニを持っている加野屋が一番威張っているだろうと言います。

よくよく考えれば、あさは別に何も悪いことを言っていません。サトシは平等という言葉尻をとらえて罵っているだけに思えます。しかしこれがサトシの手です。正しい理屈ではなく、嫉妬心を煽って対立を激化させるのです。現在のネット論争でもありがちですが、理屈がどうこうよりも「綺麗ごとを言う奴は嘘つきだ!」と煽ったもんが勝ちになってしまうわけです。

じゃあなぜ煽られる側はコロッと賛同してしまうのか。貧しいんだと思います。余裕がないのです。お金がないという状態はどういうことかと言いますと。心に余裕もないのです。余裕がないあまり、強要や正義という余裕を持っている人に腹が立ったりするものなのです。お金がなければ趣味や娯楽や贅沢も無縁になりますが、教養や知識にもアクセスできません。あさが平等を持ち出したのは福沢諭吉を読んでいたことからも説明がつきますが、文字も読めない、本も買えない人にとってはそうした理想や知識までもが「金持ちの振り回す贅沢なもの、自分たちには無縁のもの」に思えてしまうのです。大河では美和や楫取が理想を大上段から振り回すと、周囲はあっさりと調伏されてしまいますが、より現実に近いのは本作の方でしょう。あさは学問だけではどうにもならない現実の壁に悩みます。「学問さえあればどこでも松下村塾ができる!」とかドヤ顔をしている美和には達成できない境地ですね。

あさの苦労は亀助の手紙を通して、加野屋にも伝わっておりました。新次郎の三味線の会にもあさは出られないとうめが嘆いても、新次郎は相変わらずのマイペースぶり。とはいえ本心は寂しいらしく、往来で見かけた仲むつまじいカップルの様子を見て哀しげな顔をしてしまいます。それを目撃したよのは……。

昨日美和が言っていた恩人は大久保利通で、その大久保がもてなすビッグなゲストとはやはり五代でした。それにしても美和を演じる野々すみ花さん、美声ではまり役ですね。なんでも美和はかつて大阪一番の芸子であったとか。美和は、五代こそ大阪の恩人であると話しかけます。大阪の人間で五代を知らぬ者はもういないとか。大久保は流石だと褒め、大阪のみならず日本の恩人、五代がいなければ日本の金銀は海外に流出してしまったことだろうと言います。五代は謙遜するものの、大久保は真顔になって中央政府に戻り大蔵大臣にならないかとオファー。どうする五代?!

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それにしてもここまで持ち上げられても嫌味に感じさせないのが、大河の楫取と対比になっています。実力の差か、それだけではないドラマの完成度のせいでしょうか。

 

11/26(木)「初めて海に飛び込んだペンギンが好き」

 五代は二度と官には戻らないと、大久保の申し出をあっさりと断ります。しかも大久保の口から、大阪に気になる女がいるからだ、と言います。美和がきっとそのひとは白鷺のように優美なのでしょうと言うと、いいや彼女は「ファーストペンギン」だと譬える五代(ゆるかわいいペンギンイラスト付き)。相変わらずおかしいぞ、五代!

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あさは全身真っ黒になりながら働きます。きっと自分の言葉が届かないのは苦労が足りないからだと反省しているのです。ここでおにぎりが朝食に出てきますが、このおにぎりは無毒、呪いなしでしょう。握ったのは大河ヒロインではありませんから。

そしてあさは納屋頭の説得に。最初は反応が悪かったものの、納屋頭の福太郎が昔はやりたいことがあったとあさに話しかけて来ます。絵が好きだった、母に絵描きになればと言われたことを思い出した、と。福太郎はあさが嫌いではないようです。あさの粘り強さにより説得は功を奏し、サトシ以外の組は話を聞くようになりました。そして労働意欲も向上。あさの改革は徐々に軌道に乗っています。ちなみに日本初の世界記憶遺産となった「山本作兵衛氏の炭坑の記録画および記録文書」ですが、その作者・作兵衛の父の名が福太郎だそうです。これってつまり!?

はつの家では、惣兵衛が家をあけることにはつが反対しています。まあ、前回二年以上失踪しましたからね、不安にもなりますね。今度帰ってこなかったら視聴者の怒りマックスになりますよ。菊ははつにいけずを言うわけではなく、ちょっと嫌味な口調ながら理解を示します。菊が外に出て息子を罵りながらキュウリをかじっていると、そこによのがやって来ます。菊は一瞬決まりの悪そうなな顔になります。

菊は自嘲的に今の境遇をよのに語りながら、藍之助は渡さないと釘を刺します。よのはそこで「どこも同じですな」と言います。どこか同じか、と反発する菊。しかしよのには通じない! 話が通じない! 強引に自分のペースに引き込み、自分の愚痴に持って行きます。ある意味姑同士の頂点決戦ですが、よののペースに菊が引き込まれています。ここでよの、キュウリの駕籠に手を出して、菊に促されると一本取ってバキッとヘシ折って食べ始めます。慣れない手つきからして菊の真似なんでしょうが、さらっと天然でこういう行動を取ってしまうのがよののおもしろさです。菊のいけずも全然通じていませんし。

菊は商売を手伝うあさを褒めますが、よのははつを褒めます。隣の芝は何とやら、といいますか。互いに見る点が違うといいますか。しかもよの、はつが二人目妊娠中と知るとその子が欲しいと露骨に言い出します。どこまでもよのさん無双!! かみ合わないようでいて、あまりによのが天然すぎてそのせいで菊が本音をこぼすという、奇妙な展開になりました。。

加野屋には、すっかりイケメンになった三男・榮三郎(18)が帰って来ました! な、なんというイケメン兄弟! 榮三郎は寄合所で兄が悪口を言われていたと正吉にこぼします。それでいて兄の顔の広さには負けたとか、何とか。

その兄・新次郎は一人三味線稽古中。その横顔から寂しさが漂います。新次郎は翌朝、加野屋にやって来たはつと久々に再会するのでした。

ところで、本日本作における時空の歪み、もとい凡ミスが確定しました。先週の時点でおかしかったんですけれども。18才の榮三郎、先週の時点で16才と正吉とよのの会話で言及されているのです。このときよのは「正太郎が亡くなってから八年」と語っております。これもおかしくて、あさとはつが嫁いでから十年という設定がその前に出ているのです。正太郎の死と今井姉妹の婚礼は同年ですから、本当は先週の時点で正太郎の死から十年ということになります。整理しますと、榮三郎は正太郎の死、新次郎の婚礼時点で8歳。それから十年で現在18才。正太郎の死から8年経て16才という先週の台詞がミスであったということだと思います。ソフト化で修正入るパターンかな。

もっと突っ込むと榮三郎は一周目で既に聡明さの片鱗を見せておりますが、あの時点での彼は大きすぎました。時空が歪んでいるもう一人はふゆで、今井姉妹が嫁いで十年ということは、現在23才前後と思われます。どのタイミングで誰に交替するか、気になるところです。

11/27(金)孤独なもの同士近づく二人

どこか孤独な者同士、接近する新次郎とはつ。新次郎は妊娠中であるはつを気遣い、重たい荷物を運んであげます。力がないと自嘲気味に言う新次郎ですが、ここはがんばりどころ。川縁を歩きながら、惣兵衛がまた出ていったと愚痴をこぼすはつ。お互い配偶者においてけぼりにされた、寂しい者同士です。ここではつは、もしかすると新次郎に嫁いでいたかも、と思い出してしまいます。この花嫁交換というオリジナル設定はうまく生きています。もしかしたら、と思うのは、そこは仕方ないというもの。勝手に「あの人には、本当は私の方がふさわしいんだから!」と勝手にヒロインが思い込み、姉の夫や松下村塾製に色目を使う大河とは違います。はつはそんな自分の考えを恥ずかしく思ったのか、新次郎に自分で持つと言い、荷物に手を掛けます。すると新次郎とはつの手が重なってしまい、それに慌てた新次郎は川に転落してしまうのでした。

手が重なってどきん、きゃっ、川にゴロゴロって。ベタな少女漫画テイストです。実は本作、古典的な少女漫画の技法を使っていることが多いんです。でも巧みに入れ込んでいるせいか、そこまで安っぽく見えませんし、むしろ様式美にすら思えるんですね。

眉山家が住む納屋の前で着物を乾かす二人は、ちょっといい仲に見えるのでしょう。通りすがりの老婆に仲がええこってと言われるほど。はつはもし新次郎と自分が結婚していたらどうなっていたのか、と禁断の問いをつぶやいてしまいます。これには新次郎も一瞬動揺しますが、惣兵衛が早く帰ってくるよう祈ったらどうかとうまくかわします。ヒロインの夫と姉がこんな関係となるといやらしく見えてもおかしくないところですが、ギリギリでそうは見せないところが本作のうまさでしょう。

この次の場面は、新次郎が三味線を披露する浴衣の会です。名前の通り皆浴衣なのが何とも艶めいています。今のカラフルな浴衣とは違って、藍と白のシックな色合いですが、これが何ともいい味を出していますね。ここに来た榮三郎はもう大人だと新次郎に主張しますが、それがかえって幼さに見えています。桐山照史さんの演技はまだちょっと堅く、玉木宏さんあたりと比べるとこなれていませんが、それがかえって背伸びする末っ子という役柄にはまっています。その兄弟のもとに美和が持ってきたのは、先週出てきたビールです。まだ丁髷だらけで江戸時代と変わらないようでいて、ビールが出てくるところが明治です。この時代と時代が混じり合った感覚が本当に楽しいです。

新次郎の三味線演奏が始まります。史実では信五郎が夢中だったのは三味線ではなく謡曲です。しかしこの玉木さんの三味線演奏の艶っぽさを見ていますと、変更して正しかったとしみじみ思えますね。

加野屋ではよのがおかんアート作成中。雁助、うめ、ふゆ、はつらが次々と映し出され、それぞれ何か寂しさを抱え、そっと抱きしめるような夜を過ごしているとナレーションが入ります。しかし、なぜかここに五代が挾まるとギャグっぽく見えるのは何故でしょうか。

鉱山のあさも奮闘中。そのあさのオーバーワークを心配しすぎたカズたちは寝てくれ、頼むから寝ろと説得。確かに上司が頑張りすぎると部下が気を抜けませんからね。そう言いたくなる気持ちもわかります。そこでついに治郎作が参入!

「もっと自分を大事にできないの!? バカッ! べっ、別にアンタを心配なんかしていないんだからねッ!」(要約)

何このツンデレ? カズ曰く、馬鹿は褒め言葉だとか。

「馬鹿ッ! 余計なこと言わないでよねッ!」(意訳)

どこまでツンデレヒロインだ、アンタ。カズはここでまた本当は奥さんのこと好きなんです、その裏返しですとツンデレ心理を解説。本当は坑夫たちは皆そうです、とさらに突っ込み。ええーっ、こいつら全員ツンデレなの? ついに治郎作、おおきにとか言い出しますよ。

「あんたに元気がないと私たちも元気でないんだから……アンタに負けないように頑張っているんだから……こんな気持ち、初めてなんだから……アンタのおかげで私たち……アンタに感謝してるんだからねッ」(意訳)

ここで九州ツンデレたちの告白タイムが始まります。集団ツンデレとかどういうことなんだと思っていると、ここで亀助が感動のあまり大泣き。おまえもヒロインみたいだな、オイ。このドラマ、男性キャラの方がヒロインぽくありませんか。

ここで亀助、サトシが実は大阪出身じゃないかと問題提起。そんな中、あさは疲れてぐっすり眠っています。あさが見る夢はどんなでしょう。「旦那様?」とつぶやいて寝ぼけながら起きると、目の前にいたのは、

「グッドモーニング!」

ジャージャージャン♪(エレキギター、横山光輝三国志の効果音に思えてきました)

……またあんたか。ペンギンスケッチをかざした五代がいます。何故。これ、夢じゃないとすれば人妻の眠っているところで待機とか通報案件なんですけど。どういうこと!?

 

11/28(土)サトシって何者なの?

あさの名前は英語だとモーニング。グッドモーニングはあさのようだと説明する五代。さらにファーストペンギンの説明をします(かわいいアニメつき)。当時ファーストペンギンの概念がわかるほどペンギンの生態は理解されていなかったと思いますが、そこはまあ、五代のすべてがツッコミどころなので。ファーストペンギンは勇敢、敢えて最初に進むあさは偉いと褒める五代。胸を張って堂々と飛び込めと言うと、さっさとどこかへ馬で去る五代。何やら枕崎に用事があるようですが、そんな忙しい中ここに立ち寄ったそうです。だから何なんだよ、五代! 忙しい中でファーストペンギンを言うためだけに来たのかよ!

あさは大阪出立前、直接サトシに話しかけ、不愉快な思いをさせてすまない、しかし炭坑の改革には自信があると言います。

「新次郎さんは元気ですか?」

サトシはそうあさに声を掛けます。驚くあさ。そこへ久々に大阪に帰るのがうれしそうな亀助があさに声を掛けてそのままになります。サトシの正体はうすうす視聴者にわかっていると思うのですが、結構引っ張りますね。

加野屋に帰ったあさは、皆に歓迎を受けます。大急ぎで新次郎たちの元に向かい、長い不在、三味線の会に参加できないことを謝ります。三味線を父親に内緒にしているため榮三郎は焦ります。正吉は榮三郎を促し出て行き、夫婦を二人にする気遣いを見せます。よいお舅さんですね。堪忍を連呼するあさの頰をむにゅっとつまみ、まずはゆっくり顔を見せてくれと迫る新次郎。この「お帰り」がさわやかで優しく、ええ夫婦やな〜としみじみします。

正吉も今夜は三味線を弾いてもいいと言っておりました通り、新次郎はあさに三味線を聞かせます。はぁ〜、仲良きことは美しきかな。翌朝、朝日をあびて延びをするあさ。このドラマで定期的に挟まれるこの新しい朝の場面がいいんですよね。たった十五分の中、朝、昼、夜とメリハリがきいています。ちなみに正吉とよのの寝室に新次郎の三味線が聞こえてくる場面で、よのが障子を閉めようとするのですが、正吉が止めます。この三味線を聞く場面は、近藤正臣さんが発案したそうです。

眉山家には惣兵衛が帰ってきました。想像より早い帰宅に驚くはつ。山で猪に遭遇したと語る惣兵衛に、はつがどこに言ってきたか尋ねると、惣兵衛はミカンを一つ渡します。和歌山に下見に行ってきたようです。

加野屋では、一同を集めて何か話があるようです。なんと正吉、隠居宣言。唐突な気もしますが年齢的には妥当なところでしょうか。後継者は予誰かというところで終わりますが、予定通りに榮三郎でしょう。気になるのは思い詰めた様子の雁助。代替わりで身の振り方を変える可能性もあると思います。

 

総評: 今週はあさの炭坑改革編。偉そうに意識高い系の演説をすると次から次へとあっさり洗脳するわけではなく、ちゃんと下の方から説得して変えてゆく描写なのはよかったと思います。このへん、駄目な朝ドラはもちろん、今年の大河が本当に駄目なので、反面教師にしているのかと思うほど。

今週も先週に続いて「溜め」の週と言いますか、さほど大きな動きはありません。炭坑改革にせよ、眉山家の再出発にせよ、週のはじめで問題提起して土曜日にスピード解決するのではなく、何週間かまたがせるところが丁寧ですね。サトシの正体はてっきり今週明らかになると思いましたが。

ここで褒めてばかりのところで駄目出しをしますと、榮三郎とふゆに生じた時空の歪みがですね。榮三郎年齢問題は凡ミスだと思いますが、ふゆは何か意図があるのでしょうか。

その榮三郎、子役からバトンタッチしました。幼い頃は歳よりもませた感じでしたが、成長後はむしろまだちょっと歳より幼い感じ。史実の広岡正秋は才気にあふれた人物です。どう演じるか楽しみですね!

武者震之助・記

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