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花燃ゆレビュー

「花燃ゆ」感想マンガ 第4話「いきてつかあさい」美男美女を集めたけど使い方がわからないNHK様へ

更新日:

 

こんばんは、武者震之助です。

イケメンと歴史好きな女性がターゲットとみられる本作。ついに公式サイトには「松下村塾推しMEN診断」までお目見えしたようですが、肝心のメインターゲット層が日本刀を愛でるゲームの方に釣られてしまって、ますます本作の存在意義が薄くならないか心配な今日このごろです。(*武将ジャパンでもゲーム刀剣乱舞の攻略ブログ始めました)

花燃ゆ推しMEN診断

さて、

第一回「河原の不審者」

第二回「幼女に河原ドン」

第三回「トキメキのおみくじデート」

と、「こんな大河は嫌だ!」ネタを素でいくような怒濤の展開を見続けてきました。今週はどんなトキメキが待っているかと武者震いが止まりませんぞ!

さて本作評価についてこんなニュースも。

 

花燃ゆスポニチ

「花燃ゆ」 視聴者に「新しさ」ゆえの「戸惑い」も(スポニチ)

ただ単にぶっとんでいて出来が悪い作品を、新しいだのライト層だの女性向けだの言い換えてごまかすのはどうかと思います。既に今年の路線は『江』、『八重の桜』でも経験済みなわけで、三度目なのにまだ新しさと言うつもりなのかと突っ込みたいのですが。 それはさておき、今週もいってみましょう。

 愚かな姉描写で文の好感度があがると思っている安易さよ

ペリーへの軍艦へ密航し、捕まってしまった寅次郎。そこに駆けつけた伊之助がくってかかります。萩では梅太郎が怒られていますが、この場面で深刻な顔をしている全員の中で薄笑いを浮かべている母・滝が気になります。息子が捕まったというのに、ものすごい落ち着きぶりです。ことの重大さは叔父・文之進が寅次郎死罪はやむなしと言い切ったところで頂点に達します。

いくら何でもそれはないと文は父に何か救う手立てがあるはずだと言います。父は無理だと言いますが、文はこのまま死を待つだけなんて嫌!と言います。この健気な妹路線で一年はきつい……。

場面が切り替わると、あの不気味な能面スマイルの母がこんなことを言うわけです。 「九州、奥州、今度は異国だなんてねえ」 それを見てやはり笑顔の嫁。いくら何でも緊張感なさすぎでは。息子さんのしでかしたことは、夜の校舎ガラス壊して回ったどころじゃすまないわけですよ。脱藩までしているんですよ。笑いごとじゃありません。

母より緊張感のある文と敏三郎が兄を救うためにはどうすればいいかミーティング。そんなことより寅次郎の密航場面が見たいのですが、いつまで続くのでしょうか。

ここで文はのぞき見スキルで、兄・梅太郎の様子がおかしいことに気づきます。手の仕草からして切腹も意識していたようですが、妻・亀の一言によってタイミングを失ったらしく、ここは何とか回避できました。ここはなかなかよい場面であったと思います(文がのぞき見していなければもっとよかったと思いますが)。

場面が変わると寅次郎の父母の部屋になります。ここでも能面スマイルの滝がホラーのようです。昼間の光でならまだしも、夜の薄暗がりでこれは本気でちびりそうなレベル。母のおおらかさ、落ち着きを表現したいのでしょうが、加減というものがあると思います。

一方、寿は妊娠しております。
こんな中一人だけ明るい寿は、「お茶会行けなくなっちゃったし〜」とかくだらないことばかりを言います。こんな姉に対し、文は手伝いをすると張り切り、女子力アピール。先ほどまで脳天気丸出しだった寿は、「育(はぐくみ)だった父上は責任取って切腹かもね〜。寅のKYのせいで超迷惑なんですけどぉ〜」とか言い出します。 聡明で健気な妹に対して、愚鈍でわがままな姉にしたい意図はわかります。

しかしここまで徹底的に兄、しかも夫の親友である寅次郎に対して冷たいとなると、わざとらしすぎますよね。 昨年の糸も最終的に離縁させることを逆算してひどい描写をされましたが、あれは出番の後半だけでしたからマシでした。
今年は序盤からかなり後半までこの描写が続くわけですね。しかもおそらく、これから文は史実の寿が示した兄への気遣いを、己のものとして吸収しながら描かれるわけですよね。はるかに悪質です。

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密航シーンはなかなかの盛り上がり

伊之助は江戸で寅次郎を救うため奔走しておりますが、なぜか探偵のように聞き取り調査を始めます。彼が牢番の回想を聞くところで、やっと密航シーンが入ります。ここまで、実に長く感じました。

ふんどしで櫓を縛る話をしていると、いきなり切り替わって小伝馬牢になります。ここから寅次郎が囚人に語る形に。こんな無駄に凝った構成にしないで、今日の冒頭でこの場面を描いてはいけなかったのでしょうかね。

密航シーンそのものは、俳優の熱演とやたらと雄壮なBGMのせいもあって、結構盛り上がりを感じます。家族がだらだらと心配する場面よりははるかにましです。 ついに通訳経由でペリー提督に希望を伝えた寅次郎ですが、熱意は認めるけれども条約があるから乗せられないと断られる寅次郎たち。必死の思いで密航したいと語りかける寅次郎たちですが、あっさり「NO」をつきつけられます。

この必死さの前に、どうして佐久間象山を出すなどして、寅次郎がなぜ渡航したいかを描かなかったのは痛恨の極みです。彼の思想や情熱を関連番組や書籍に丸投げして、ただの痛い兄として描いてきたせいで、エキセントリックな変人にしか見えないという……。

この無邪気で何も考えていないヤンキーを、まだ若い俳優さんが演じていたならここまで痛くはなかったと思います。伊勢谷さんのような落ち着きと知性を感じさせる、歳も実際よりかなり上の方が演じるとなりますと、本当に痛い人にしか見えません。

渡航話を終えた寅次郎は、同じ獄の囚人に熱い思いを語ります。それにしても本作、それまでだらだら行動していた人間がいきなりしゃきっとして、台詞をずらずらと並べ立てますね。これが演技力のある人ならましですが、そうでないとイタコに憑依されたかのようです(第一回目の子役とか)。昨年の「太平の世ガ−」一本槍よりはマシかもしれませんが、どのみちひどい。

それにしても寅次郎、リンチにあいそうになりながら「殺せるもんなら殺してみろ!」と挑発するというのは、かなり無謀です。考えなしにしか見えません。ところがなぜか、牢名主がものすごいSEとともに歩みより、彼を救います。寅次郎より、この牢名主が何者か気になってしまいました。あの足音、もう人間じゃないでしょう。

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自殺を止めるには孫の世話をさせろ!そして本日のスイーツは大福

一方、萩ではなごやかにご飯を食べながら、文は姉の「父が切腹するかも」という一言が気になっています。気になったら聞き出すのが文ちゃん。寅次郎のことを言うのかと思ったら、寿の子供に籠を作って欲しいと頼みます。

そしてついに寿姉さんが出産します。

そんな小田村家に、江戸から伊之助が帰ってきました。伊之助は、寅次郎は蟄居で済むと吉報を伝えます。

早速「スイーツを買わなきゃね!」と喜ぶ女たち。あー、よかったですねー。何が何でも一回はスイーツ入れないといけないノルマがあるんですかね、このドラマー。大福っておいしいですもんねー。

ここで滝が、「子供がいるあなたに密航計画を打ち明けなかったうちの息子って、やさしい親友でしょ?」と新たなる電波発言。そこは「うちの寅次郎が迷惑をかけて……」じゃあないんですか。伊之助、かなり寅次郎のせいで苦労していましたよね。何、他人事みたいに息子の無謀を語るんだ、この母親は。

藩の上層部ではやはり寅次郎を甘く見るわけにはいかない派と、あんな素晴らしい人物は大目に見よう派が議論しております。寅次郎の優秀さがほとんど描かれていなかったせいで、処分派の方がはるかにまともに見えますが。

文の千里眼はますます冴えるよ~

そんな中、文はスピリチャルパワーで父上に何かがありそうと胸騒ぎを感じます。能面スマイル滝母さんも、クズっぷりに定評のある寿姉さんも、異変には気づきません。しかし文ちゃんはニュータイプかつ推理力が高いから、父が生まれたばかりの甥にお守りを渡していることで、決定的におかしいと気づくんですね。

やみくもに文が走り回っていると、父上がやっと見つかりました。どうやら父は育役として監督不行届だから切腹して責任を取ると文に語り出します。

この場面、役者さんの渋さやうまさのおかげでかなりよい場面に見えるのですが、肝心の台詞に中身がありません。寅次郎には大義があると言いますが、それすらワーワー叫びながら「この国が危ない!」と叫ばせるくらいで、まともに描いてこなかったからよくわかりません。

さらに「おまえが寅を守れ」と文に言うのですが、ティーンエイジャーの妹にとっくに成人した兄を守れとか、何を言っているんですか、この父親は。母親よりはマシですが、この父親もどうなのかと疑問に思えてきました。 はたして父の命はどうなるのでしょうか。梅太郎が走ってきて、とりあえず野山獄に収監に決まったと告げます。父の切腹願は差し戻され、おとがめなし。

ここで梅太郎が文と土下座して「寅次郎をお守りください!」と言う感動の場面ですが、梅太郎は寅次郎を守れという会話は聞いていなかったはずで、なんだか妙な気がします。

処分を受け、小田村夫妻が感想を述べます。もう寅次郎には関わって欲しくないと言う寿に、なぜか伊之助は産まれてきた子供を見ながら「でも寅次郎のおかげでこの子に出会えたんだ」的なことを言います。

えっ……? 意味がわかりません。

滝の言うことを真に受けて「そうか、あいつが俺を密航に誘わなかったから子供に出会えたんだ!」と思っているのだとしてもおかしい。 十ヶ月近くお腹に子を宿し、現代よりはるかにお産が危険な時代に命を懸けて産み、夫の不在にもくじけず育ててきた妻の立場がありません。

ついでに言うと、独身・子供がいないからということもあってか密航の同行をさせられた金子重之輔さんもかわいそうでは(今後の展開を考えるとさらにえげつないものが)。 伊之助は本当は妻を愛していない、文こそが運命の人アピールをしたくてこんな描写なんでしょうが、伊之助がただの冷たい男にしか見えません。これではせっかくのイケメンも台無しです。

藩の犯罪者に浴びせる家族たちのおもしろ励ましの数々

そうこうしているうちに、いよいよ寅次郎が護送されてきました。文はじめ家族が出迎えます。

それにしてもなあ、この場面もなあ。 往来のど真ん中で、罪人の家族が大声で息子がかわいそうだの、兄のかわりに異人に私が出会う、情報を差し入れてやるなぞ、大声で喋っていてよいものなのでしょうか。 ここでまた滝の台詞がふっとんでいるのです。

中田秀なんかも旅できなくなったらきっと困ると思う…(霜月けい・絵)

中田秀なんかも旅できなくなったらきっと困ると思う…(霜月けい・絵)

「あんなに旅行好きな子ができないなんてねえ」なんですよ。そこかよ、そこなのかよ! この母親は一体どこまで脳天気なのかと。江戸時代の旅、しかも息子さんの場合は脱藩までしていますよね。これ、盗んだバイクで走り出した我が子が捕まった時に母親が「あんなにバイクが好きなのにもう乗れないわねえ」と言うくらい、ひどいと思うんですけれども。この母にして、あの子ありのぶっとび家族だなあ。

支離滅裂なのは文も同じです。兄の手足になる宣言まではまだよいでしょう……一昨年も同じような事を言った妹さんがいましたが、彼女は脚が悪い兄を背負って移動するという物理的手足になっていましたっけ。

書物は人だの、外で見聞きしたことを兄に伝えるだの。文がいくら努力しようと寅次郎は海も渡れないし、異人にも会えないですよ。無理です。脳内妄想での話としか思えません……一昨年も弟にかわって戦うと宣言した姉がおりましたが、彼女は弟より戦闘力があって、実際に武装従軍し狙撃しまくっていたので、あの場合は正しかったのですが。 文の場合は、今後そういう機会があるのか微妙ですので、あんまりこういう台詞を言わせないほうがよいのではないでしょうか。

人生最大の見せ場がおにぎり作りのようですしね。

一生懸命がんばって勉強する宣言したところで、彼女が明治になってから大学創設に携わったなどという業績もないわけで、張り切れば張り切るほど苦しい展開になりえます。おにぎり作りの特訓でもしていた方がマシかもしれませんね。

いよいよ野山獄に寅次郎が入ります。すると、牢屋の暮らしをしているとは思えない、ハンドクリームを毎日つけているかのような美しい手がちらりと見えます。

今回はうーん、目立った破綻が少ないように見えて、台詞が支離滅裂、セキュリティ意識や江戸の行動原理は相変わらずないに等しい回でした。

寅次郎が何を考えていたのか、その行動原理をまともに描いてこなかったこと、文はうろちょろするしか出番が作れないこと、脚本家が勉強不足で武士の行動をちゃんと描けないこと。この三要素がじわじわとボディブローのように響いてきております。

個人的に夢に出てきそうなレベルで恐ろしかったのが、母・滝です。あの笑み『ダークナイト』で「何マジになっちゃってんの?」と言っていた悪役(ジョーカーさん)とか、とかマクドナルドのアイツのように見えて、夢に出てきそうです。 能面スマイル、焦点が合っていないような目、息子や夫が死にそうな時でもどこか他人事。昨年のやたらフルフルしていた光もこういう系統のキャラでしたが、また一年これですか……決して檀ふみさんが悪いわけではありません。むしろ檀さんをこんなホラーキャラにしてしまったスタッフをいろいろ問い詰めたい気持ちで一杯です。

井上真央は悪くない! 

もうひとつ。今週はちょっと言いたいことがあります(最近毎週こんな調子の気がしますが)。 最初に言っておきます。

井上真央さんは何も悪くない。

低視聴率の主犯は断じて彼女ではない、

ということです。

この企画でこの脚本なら誰が演じても苦戦は必至です。後漢王朝滅亡の責任を献帝一人に背負わせるくらい無茶があります。 また、他のキャストの皆さんも手堅い演技です。見ていて痛々しい場面は、大抵脚本や演出の時点で既に無理があり、リカバリしようというあとは見てとれます。

しかし敢えて言いましょう。 「このキャスティングをした奴は誰だあっ!」 うん、ぶっちゃけおもしろくないキャスティングなんですね。今年の売りはイケメン大河ということですが、そんなことは例年そうではないですか。大河ドラマで「美男美女揃い」と自慢するのは、鮨屋がうちの店には魚がありますと言うくらい当然のことです(もっとも今年の「魚」は早々に退場する役が多いのですが)。  

こんなニュースも。

 適材適所のキャスティングを

今年のキャスティングは昨年と同じ手堅さを狙っていると思います。しかもただ演技がうまいとかイケメンとかそういう手堅さではなく、過去ドラマで好評だった役者を引っ張ってきているだけなんですよね。

じゃあどういうキャスティングがおもしろいかと言いますと、一昨年の『八重の桜』における綾野剛さんの松平容保があげられます。綾野さんのことを知らなかったとしても、写真を見た瞬間幕末ファンならうならされたと思います。それは何故か? 容保の肖像写真と綾野さんがそっくりだったからです。肖像写真が残されている幕末ならではのキャスティングでした。同じ作品からもう一人あげると、徳川慶喜の小泉孝太郎さんです。彼は外見以上に美声と台詞回しが抜群でした。父親譲りのよどみない長広舌は、木訥な会津藩士には絶対に反論できないだろうと思わせる説得力がありました。

さらにこんな例があります。

今年のアカデミー主演男優賞にノミネートされたベネディクト・カンバーバッチ。まさに今一番人気と言える俳優です。

そんな彼がブレイクしたのは、日本を含め全世界で大人気のドラマBBC『シャーロック』からです。彼をキャスティングしたスタッフに、とあるBBCの幹部はこう言ったそうです。

「ベネディクト・カンバーバッチを主演にして、彼をセックスシンボルにするつもりだって? そんなことありえないだろ」

初放映から五年後にして、我々はいかにその思い込みが間違っていたかわかるかと思います。しかし同時に、この人の懸念ももっともであったのです。カンバーバッチは当時ほぼ無名。個性的な顔はいわゆる二枚目ではありません。しかしそのことが役の上では重要な要素でした。視聴者になじみのない個性的な顔は、ミステリアスな探偵役にぴったり。たちまち彼は人気スターとなります。

実はこれと似たようなことを、大河が成し遂げた例もあります。『独眼竜政宗』です。まだ知名度が低く若い渡辺謙さんは、中央からは未知の存在で、秀吉や家康よりずっと若い、遅れて来た英雄である伊達政宗とぴったり重なり合いました。ベテラン勢と比べると演技で拙い部分はありましたが、その欠点以上にイメージがぴったりとはまり、大ブレイクを果たしたのです。

本当におもしろい配役というのは、こうした工夫が必要です。渡辺謙さんは最大級の成功例にせよ、冒険心が失われ守りに入り、過去の遺産で食いつなぐ昨年や今年のような配役ばかりになるのは、よろしくない兆候であると言えるでしょう。

冒険心のある配役は、新たな資源を開拓する挑戦です。手堅くおもしろみのない配役は、過去の貯金を使うだけです。後者のみに頼り切っていては、いつか破綻は必ず生じます。

……と、思っておりましたが。

「面白くないキャスティング」すら過去、昨年のものかもしれません。それでは今年はどうかと言うと、

「適材適所という基本すらできていないキャスティング」

です。

既視感のある手堅さならまだマシです。今年は、

「とりあえず美男美女を集めたはいいけれども、使い方がわからない」

という最低最悪のパターンになる可能性があります。

既にかたせ梨乃さんを無駄遣いし、特にインパクトのないまま二話目でひっそりと退場させております。檀ふみさんの使い方がひどいことは、今更繰り返そうとも思いません。

イケメン四天王である大沢たかおさんと伊勢谷友介さんも既に黄信号点灯中です。お二方とも手堅いキャスティングですが、いかんせん年上過ぎました。大沢さんは既に河原の不審者という印象が強く、なんでこんな序盤から文と運命の人設定にしてしまったんでしょう。現代からタイムスリップした医者が紛れ込んでいるように見えるのも狙っているのでしょうが、民放の他作品のヒットに乗っかるというのはどうでしょうね。昨年の大河は過去の大河の威光にすがっていましたが、それよりなお悪い。民放の『大奥』でお菓子を食べていた方もいるようですが、それでよいのでしょうか。

伊勢谷さんも苦しいですね。吉田松陰の狂気をはらんだ若さ、熱さ、そうしたものを表現するには落ち着き過ぎているのです。大河ドラマは晩年まで演じる制約上、実際は信長より若いはずの秀吉や家康に、老けた俳優を割り当てるようなことはよくあります。しかし松陰は夭折の人です。伊勢谷さんをなぜキャスティングしたのか疑問です。桂小五郎あたりではいけなかったのでしょうか。井上さんの兄ということを考慮したのかもしれませんが、せっかくの逸材を無駄使いしています。

ミスキャストだけではなく、脚本のつたなさもあります。シリアスな松陰ならばもっとマシだったと思います。ところが今作はなぜか『男はつらいよ』路線の松陰。伊勢谷さんの落ち着き、松陰の狂気、フーテン気質が入り交じってもう何がなにやらわからないことになっています。高級食材だからとトリュフと松阪牛とベルギーチョコレートを混ぜ合わせたらおいしいどころか、全部の持ち味が台無しになり、とても食べられたものではないゲテモノができあがります。本作が吉田松陰という英傑にしたのはそういうことです。この被害は今後長州藩の志士たちに拡大してゆくことでしょう。

ちなみになぜ若い命と情熱を燃やした思想家・松陰とフーテンの寅さんを重ねるのかと言いますと、名前に「寅」が入るつながりだそうです……萩の方は本気で怒っていいと思います。既に怒っているかもしれませんが。

武者震之助・記

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霜月けい・絵





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