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花燃ゆレビュー

【花燃ゆ感想マンガ】第15話「塾を守れ!」 幕末男子の育成もそろそろお願いします

更新日:

こんばんは、武者震之助です。

犯罪者の98パーセントはパンを食べている、ゆえにパンは犯罪を引き起こすというジョークがあります。これはあくまで冗談ですが、本作を見ていると文ちゃんのおにぎりを食べた連中はテロリストになるように見えるのではないかと心配です。

さて、四月からNHKもう一枚の看板ドラマ『まれ』が始まりましたね。この前には2013年の大ヒット作『あまちゃん』が再放送されているとか。まれのヒロインはお菓子作りが大好き大得意ということで、なんだか大河とかぶっています。

朝ドラも大河も二年前、つまり2013年とかぶった作品というのは大丈夫なのかなと心配になります。朝ドラは露骨な二番煎じ、大河は会津へのリベンジ妹対決と、制作動機は異なるとはいえ、中一年で似たような、しかも出来が劣るものを作るというのはねえ。アイデアの枯渇なのか、それともただの安易な発想ゆえでしょうか。

hanamoyu20150412

過激化する松陰に周囲もドン引き 

今週は地方総選挙の影響で放映時間が早まりました。

ドラマは再度野山獄に収監された松陰の場面から始まります。今週のおにぎりとスイーツは、この際の差し入れでノルマ消化。松陰は妙によそよそしく、家族の面会にもそっけない態度を取ります。

このあと、井伊と間部が吉田松陰を警戒している場面があります。史実における安政の大獄とは、当時政治的に井伊と対立していた水戸派潰しが主な目的でした。松陰は過激な言動からマークされ処罰対象になりましたが、メインターゲットではないわけですね。それでは格好がつかないのか、まあこういう脚色なのでしょう。杉家の様子も写し。ここでアバンが終わりOPとなります。

杉家には久坂と高杉から松陰宛に手紙が届き、文経由で松陰に届きます。手紙の中身は、明らかに松陰のやり過ぎた闘志にドン引きするものでした。

ちなみに松陰の弟子が師の過激思想についていけなかったのは、史実です。このころ史実では、松陰は伊之助の実兄にあたる小国剛蔵に「きみの塾からやる気があって命を惜しまない若い少年を3,4人見繕ってくれないかな?」という、少年兵スカウト的なことを頼んでおりますが、流石にそこまではやらないようです。

また、先週は吉田稔麿が松陰と疎遠になりましたが、史実ではそうなった時「僕の知っていた吉田君はもう死んでしまった!」と葬式パフォーマンスをして周囲をあきらさせたりしています。まあ、これも描くわけにはいかないでしょう。

 

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何が何でも伊之助は毎週ドヤ顔すべし!というノルマ? 

場面は、小田村家に転換。伊之助の家に松下村塾の弟子が押しかけ、「松下村塾を潰したのではないか」と抗議します。ここで伊之助無双が発動。毎週毎週、上から目線で伊之助が説教してドヤ顔するのがノルマになっていますよね。おにぎりは消えても、伊之助無双は健在です。

去年、光(てる)のプルプル顔と戦国ガールズトークが頻出するのでノルマがあるのではないかとさんざん毒づきましたが、今年は何が何でも毎週伊之助がドヤ顔すべしというノルマがあるようです。お功績強奪させて毎週ドヤ顔お説教伊之助無双をしていると、かえって彼を嫌う人が出てきそうですが、伊之助プッシャーはそこまで考えているのでしょうか?

一方の松陰先生は、ガチ切れして久坂と高杉に「俺のテロやらないんならおまえらとは絶交な!」と宣言します。ここで久坂はなぜか上半身裸で、テロの衝撃をイケメンの裸体で薄める演出が出ています。全然薄まらないんですけどね。

 

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過激なことをやめさせようとしたら、思想がグツグツ煮詰まった 

流石に危ういと思った桂小五郎は、松陰と塾生の手紙のやりとりをやめてクールダウンせよとの指令(それにしても本作の桂小五郎、存在感のなさが異常なレベルです)。おにぎりもなくなり、手紙を運ぶおつかいしか役割のなかった文も困るわけです。そこで杉家の皆さんは、こっそりと手紙のやりとりを続けます。

ところが、塾生たちは松陰の指示を受けドン引き。だって中身がミッションインポッシブル過ぎるんですもん。死ぬ気で過激なことをやれと檄を飛ばす松陰はもはや揺るぎないテロリストっぷりで、気の弱い塾生は驚いて逃げ出したりします。

松陰は文が面会に来ると、手紙はどうなかったかとばかり問い詰めます。過激なことをやめさせようと閉じ込めたのに、かえって煮詰まって危険思想が凝縮されていく現象ですね。松陰は弟子に冷たくされて壊れてしまったのか、弟子にそっけなくされたことや、幼少期叔父に受けたスパルタ教育のトラウマを思い出し、ますます危険な状態に。そんな中、松陰は覚悟を決めたのか、硯を文に託します。

ここで文と伊之助の密会タイム。互いに既婚者になりながら、二人きりで話すとかどう見てもアウトですが、今更突っ込む気もわきません。伊之助プッシャーは、彼がこんな義妹と密会しても平気なんでしょうかね。互いに配偶者がいながら、本当に好きなのは義妹あるいは義兄だなんて、気持ち悪いにもほどがあると思いますが。

このあたりのやりとりは要するに全てを見通すカッコイイ伊之助さんが、かっこつけた口調で何かイケてる台詞を言うよ、といういつのもアレなので、特にコメントはありません。こういうのをゲーリー・スー(メアリー・スーの男性版)って言うんですよね。誰かの願望に忠実な最強オリジナルキャラ(小田村伊之助は実在しますが、本作の彼はほぼオリキャラです)が、史実の周囲をバタバタと論破する。そういう展開は、ドリーム小説でだけで完結させてくださいね。

 

命を捨ててでも大義を行う若者を称揚したいのか 

一方、杉家の末子・敏三郎は手話で兄に塾生は味方だと伝えます。史実の敏三郎は障害もあってか、実家で静かに暮らして夭折したそうですが本作ではアクティブですよね。それより何より、意気消沈した兄を勇気づけるのはむしろヒロイン・文の役割かと思うのですが。そうするとテロ教唆っぽいから敏三郎にやらせたのかな?

ところで予告や新聞には文が塾消失の危機や安政の大獄に立ち向かうとあった気がするのですが、私の目の錯覚だったのでしょうか。

杉家の団らんを挟んで、ついに塾生の中で鉄砲玉が決まったようです。兄弟が多く貧しかったという入江九一が立ち上がります。その動機が「恩義ある先生は裏切れない。兄弟が多いから自分以外に生き延びる人がいればいい」というものなのですが、うーん……ここで九一の弟と妹が止めに入ります。そして結局弟が向かっていくのですが……。

おそらく作り手としては、命を捨ててでも大義を行う若者を称揚したいのでしょうが、そういう風にはこのご時世、見られないんですよね。

 

ヒロイン文って、本当におにぎり作りしか能がないのかしら…

さて、兄がテロ志願を果たした入江家の妹・すみは、文に「あんたの兄上にうちの兄が殺される! 助けて!」と泣きつきます。全体的にゆるいドラマのくせに、こういうテロ犯家族の苦しみは妙に生々しく描きますよね。

かくして脱藩する弟・野村を止めるため、入江は藩に自首してしまいます。結局入江家は兄弟揃って岩倉獄に収監されることに。文は獄中の松陰に面会に行き、「寅兄の言葉はハートウォーミングで、スピリチュアルで、私も大好きなのに、なんで無茶ぶりするの!?」と泣きつきます。

結局ヒロイン文のこの涙も言葉も無力なわけで、本当におにぎり作りしか能がないんだなあと。いやあ、なんでこの人、ヒロインなんですかね? 泣きじゃくってうろうろしているだけじゃあないですか。この人は結局、「幕末男子の育て方。」において何に貢献したと言うんです?

この泣きじゃくる文の横には伊之助がまだいます。伊之助無双も流石に松陰には通じなくて、友情が決裂します。ここまでこの二人の友情を積み重ねておけばよかったものの、伊之助は河原ドンだのうっとうしいドヤ顔ばかりしか描いてこなかったため、決裂してもどうでもいい気分にしかなりません。むしろ雄大な川井サウンドを背景に、ねちねちねちねちねちねちねちしつこく愚痴っている松陰が、最高にダサく見えました。このドラマは劇中盛り上がれば盛り上がるほど、見ているこちらは気持ちがすーっと冷めてきてしまって、作中の人物と気持ちがシンクロして涙ぐむということがまるでないんですよね。何だったんだ、今週も。

 

本作の問題は出演者じゃありません

そして来週はサブタイトルが「最後の食卓」。幕末は銘銘膳で、食卓はなんだか昭和的だなというツッコミは、おそらく無粋なのでしょう。

今週のニュースはまた燃えていますね。

◆井上真央、大河ドラマ『花燃ゆ』の大失敗で潰される? 「戦犯扱い」は避けられないとの指摘 - BIGLOBEニュース http://news.biglobe.ne.jp/entertainment/0405/mcz_150405_0683545037.html

◆超低空『花燃ゆ』にまさかの「そのとき」やってくる? NHKに不穏な空気 - ZAKZAK http://www.zakzak.co.jp/entertainment/ent-news/news/20150407/enn1504071525017-n1.htm

何度も書いていますが、本作の問題は出演者じゃありませんよ。

ここまで十代半ばの場面が多いのならば、もうちょっと年下の女優の方がよかった気がしなくもありませんが。

 

現代はテロリストの素顔に触れる機会が濃密なので… 

それにしても、ここ数回の本作の薄気味悪さは、どうしたもんでしょうね。

序盤で松下村塾生の思想や賢さを描かず、精神年齢が幼く、現代っ子らしく描いたのが仇になっています。親しみを持たせようとしたのですが、過激思想に走った今の状態だと、あまりに生々しいのです。

「兄はやさしい」と文は言います。が、それもまた生々しい。

現代に生きる私たちは、テロリストの肉声に接する機会が、過去のどの時代より多くなっています。SNSでジョークをつぶやき、手料理の写真をアップし、気さくに話しかけてくる青年たち。その一方で彼らは斬首、放火、強奪、破壊とおぞましい行為を繰り返しているわけです。

テロリストも人の子、日常生活レベルで接してみたら、そのときの素顔だけは結構いい奴かもしれない。あるいは昨日まで政治に興味なんかなかった若者が、次の日にいきなり何かに目覚め、あるいは自暴自棄になってしまってテロ組織に入るべく、渡航するかもしれない。普通の若者がいとも簡単に向こう側の世界に行ってしまうことを、私たちは見せ付けられています。

そんな時代背景の中、おにぎりを食べてはしゃいでいた若者たちが、いきなり目を血走らせて要人暗殺を謀議し出すというのは、かえってリアリティにあふれているのです。

ここまでどこが幕末かわからないようなゆるゆるの展開をしていたのに、目の前に残虐極まりない現実をつきつけてくる。本作はそんな、暴力を描いていて、しかもその手法が極めて暴力的な作品になりつつあります。

従来の作品のように、幕末にうごめく男たちをおそろしく、頭が切れ、優秀で、現代人からは理解できないような、超人的な人物として描けばここまで怖くはなかったと思うんですよ。題材選びだけではなく、タイミングの悪さ、もろもろが重なった結果が、本作はすべて裏目に出てしまっています。

 

虚構と理想の「改革者像」を好むのであり、史実の人物に憧れるワケじゃない 

本作の痛々しさ、不気味さには、ただ単純に雑な描き方のツケであるとは言えないものもあると、個人的には考えております。

どうも日本の権力者や経営者は戦国大名や維新志士が好きでたまらない方がおられるようです。しかし、その「好き」という感情は、国民的作家が作り出した虚構に満ちた理想の「改革者像」を好むのであって、必ずしも史実の人物にあこがれているとは言えない状態が多いのです。

それだけなら無害かもしれません。問題は、フレッシュな改革者に自らを重ね合わせるあまり、自分たちが権力を持っていることを忘れ、あたかも権力者に迫害され立ち向かう側だと思い込んでしまっているのではないかということです。

権力側の心得として「綸言汗の如し」、「李下に冠を正さず」といったものがあげられます。が、往々にして昨今のこの国権力者はそんなものは忘れ、不用意な言動を非難されると「悪意のあるマスコミが揚げ足をとった!」と自分のミスを認めないどころか、返す刀で非難した側に反発したりします。しかも彼らは感傷たっぷりに、「権力側から言葉狩りをされたかわいそうな私」とでも言いたげなふるまいまでもします。自分が反体制の、草莽のヒーローであると勘違いしているのか。それともそういったイメージをばらまくことで、世間を欺こうとしているのか。どちらにせよロクでもありません。

だからこそ私は政治に幕末志士を持ち出す人たちには胡散臭さを感じますし、経営者でことさら維新志士を尊敬している人にもなんだかなあ、という気がします。彼らは本当に幕末の志士のように熱いハートを持っているわけではなく、無反省な態度への言い訳と、失敗のごまかしのダシにしているケースがほとんどだからです。

そして本作は、まさにそんなふうに幕末を政治利用したがる人向けに徹底カスタマイズされた作品であるわけです。いわばご都合主義の塊です。思想はすっ飛ばして勢いやイメージだけで世の中を騙そうとする人(あるいは、騙されやすい人)にとっては、本作の中身のなさは気にならないのではないでしょうか。

私はもちろん、本作中身のなさが気になって仕方ない派です。

そして私は少数派ではない、と。それがはっきり評価と視聴率にあらわれています。これに懲りて、次に幕末をやるときは(もうあと十年は見たくはありませんけれども)、ちゃんと中身を入れて欲しいと切実に願うわけです。

 

武者震之助・記

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霜月けい・絵

 

 





1位長篠の戦い 注目すべきは…


わろてんか伊能栞
(高橋一生さん)のモデル
小林一三とは?


2位 西郷隆盛49年の生涯!


3位 史実の真田幸村とは?


4位 最上義光 名将の証明


5位 ホントは熱い!徳川家康


6位 意外と優しい!? 織田信長さん


7位 直虎の後を継ぐ井伊直政とは?


8位 毛利元就の中国制覇物語


9位 伊達政宗さんは史実も最高!


10位 最期は切ない豊臣秀吉


注目! 史実の井伊直虎とは?





井伊家 井伊直虎 井伊直政 小野政次 龍雲丸
織田家 織田信長 濃姫 織田信忠 織田信雄 織田信孝 三法師 平手政秀
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豊臣家 豊臣秀吉 豊臣秀長 豊臣秀次 福島正則 加藤清正 豊臣秀頼
伊達家 伊達政宗 伊達成実 義姫
最上家 最上義光 鮭延秀綱 山形城 大宝寺義氏 山野辺義忠
毛利家 毛利元就 毛利隆元 吉川元春 小早川隆景 毛利秀元 陶晴賢
島津家 島津義弘 島津の退き口
真田家 真田幸村 真田信之
立花&高橋家 立花宗茂 立花道雪 立花誾千代 吉弘統幸
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